表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/494

第十九話 対ドラゴン

 そこにいたのはまさしくドラゴンだった。

 鱗の色は吸い込まれるような漆黒。

 見るからに凶悪な感じがする。

 ドラゴンは悠々と俺の前に降りたった。

 その大きさは三階建ての宿屋くらいだろうか。

 俺とドラゴンは村の中心部、と言っても何もない広場で対峙する。

 周りは建物が燃え盛り、もはや人の気配はない。

 この場にいるのは俺とドラゴンだけ。

 ドラゴンは圧倒的な存在感を放つ。

 ドラゴンと俺を例えるなら、ライオンの前にいるネズミ。

 その差は歴然だった。


 『こいつがじぃちゃんとばぁちゃんを……』


 しかし、俺は恐怖より先に身体が動いた。

 無詠唱で魔法を叩き込む。

 慣れ親しんだ魔法を対ドラゴン用に大きさを大きくし今考えアレンジした岩砲弾(ストーン・シェル)


 ドゴォォォォォォォォ!!!!!


 魔法はドラゴンに命中する。

 衝撃で土煙りが上がりドラゴンが見えなくなっても魔法を撃ち込み続けた。

 もはや、原形を留めていないかもしれない。

 俺はありったけの魔力を使い息の続くかぎり魔法を打ち込む。


 「はぁはぁ……」


 どれくらい魔法を撃ち込み続けただろうか。

 今までにない程、魔力を使った気がする。

 ……やったか?


 「!?」


 しかし、そこには予想を裏切り、何事もなかったかのように立つドラゴンがいた。


 『オマエハナニモノダ?』


 突然俺の頭の中に声が鳴り響いた。


 『モウイチドキク。オマエハナニモノダ?』

 「おまえこそ何なんだ!? 村をめちゃくちゃにしやがって!」


 俺はさらなる魔法を撃ち込む。

 『聖なる大砲(ホーリー・キャノン)

 この魔法は上級精霊の光属性の魔法だ。

 貫通力が高く、上級属性の為、一点集中という意味では一番効果が期待できる。

 眩い光がドラゴンに突き刺さる。


 「何!?」


 俺の予想に反して光から姿を現したドラゴンは鱗の一部が剥がれたくらいだった。


 『ホゥ。ワレニキズヲツケルトハ。ソノチカラ、ソノカミ、ヤハリワガアルジノイッテイタヤツカ。シカシマダアカンボウノハズ……ドチラニシテモアノオカタノキョウイ二ナルモノハハイジョスル』


 すると、ドラゴンは口から紫色の炎を吐いた。

 俺は反射的に横に飛びかわす。

 俺は振り返り、元いた場所を見ると紫の炎が地面を焼き、ガラス状になった。

 なおも、紫の炎は何もない場所を燃やし続けている。

 これは一発喰らったら即死だろう。

 俺はあまりの光景に現実に戻され、足が震え力が入らない。

 でも、このままでは殺される。

 俺は力を振り絞りすぐさま身体強化の魔法をかけ、スピードを強化した。


 『ムダナコトヲ。グラビテーション(重力魔法)

 「グハッ」


 俺は急に何かに上から押さえ付けられるかのようににうつ伏せ状態になり身動きが取れなくなった。

 さらに上からドラゴンに踏みつけられる。

 俺がドラゴンに対抗しようとしても圧倒的な力の差の前に歯が立たない。


 「グハッ! ……ゲホッ」


 俺は自分の身体が丈夫からか身体強化の魔法のおかげか耐える事が出来た。

 しかし、口に鉄の味が広がり口から血が流れ出る。

 さらに、息がうまく吸えない上に痛みが走る。

 肋骨が折られたのだろうか?

 さらにドラゴンの足の爪が背中に突き刺さる。

 ダメだ……。

 意識が朦朧とする……。


 『ホゥ。マダタエルカ。イツマデモツカナ?』


 奴は俺を痛めつけて殺すつもりだ。

 ヤバイ。

 意識が途切れそうだ……。

 俺は死ぬのか?


 その時だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ