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第百九十話 ラース教皇国での出来事 その53

 「俺もだ……メイファ」


 ウィルは言葉に詰まりながら言葉を発する。

 ウィルの様子を見ると目が潤んでいる。

 きっと涙が流れるのをこらえているんだろう。

 なんとかならないか……。

 

 「お兄……ちゃん、クリ……フは……ちゃんと、ウィル、お兄……ちゃん……みたい……に、強くなれ……るかな?」

 「あぁ、クリフはこれからどんどん強くなる。俺が鍛えてやるからな」

 「よ……かった、クリ……フ泣き……虫だから。それ……とお姉……ちゃんも、いつ……もありが……とう」


 メイファちゃんはそう言ってルルの方を見た。


 「え……?」

 「いつ……も、パン……持っ……てきて、くれ……るお姉……ちゃんと、お……なじ目だっ……たから」

 「メイファちゃん……」


 ルルは涙と嗚咽を堪えながらメイファちゃんを見ている。


 「わ……たし、しあ……わせだよ? みん……なにあえ……て。ありが……とう…………」


 メイファちゃんは『ありがとう』の言葉を発すると安らかな表情を浮かべ苦しそうな息もしなくなった。


 「メイファ!!!」

 「メイファちゃん!!」


 ルルがメイファちゃんに駆け寄りウィルと一緒に叫ぶ。

 

 「ハル君!?」

 「ハル!!」


 シャーリーとソニンが泣きながら俺の方へ向き叫ぶ。

 でも、俺は黙って首を左右に振る事しか出来なかった。

 

 「そんな……」

 「……」


 シャーリーは膝から崩れ落ち、ソニンは呆然と立ち尽くしている。

 ウィルはメイファちゃんを抱き締め、ルルはその側に佇む。

 俺はただ何も出来ずにその光景を眺める事しか出来なかった。

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