第百八十五話 ラース教皇国での出来事 その48
「ふぅ〜」
「ハル君大丈夫!?」
「ハルもまだまだ甘いわね」
地面に着地した俺の元にシャーリーとソニンが駆け寄ってくる。
俺の周りにはさっきの男達の死体が転がっているけど、二人とも気にはしていない。
いや、気にしていない訳ではないだろうけど、今までの経験から少し慣れたのかもしれない。
本当ならこんなのに慣れて欲しくはないけど、今はそんな事言ってられる状況ではない。
「あぁ、大丈夫。それよりウィルは!?」
俺は自分たちの事に必死になっていてウィルの様子が分からなかった。
ウィルならおそらく問題ないはずだけど……。
「お兄様なら大丈夫! あっち」
ソニンに言われ、その目線の先を辿ると戦闘狼を斬り捨てたウィルがルルの前に立ちエイブラム司教と対峙していた。
「くっ、どいつもこいつも私の邪魔をしおって!」
エイブラム司教は怒りを露わにしている。
「……罪を認めやり直さないか?」
ウィルはエイブラム司教に説得を試みている。
今はこんなエイブラム司教だけど、昔は民衆にも人気があったくらいの人だ。
出来るなら罪を認めゼロからやり直してほしい。
「だまれ!」
エイブラム司教は叫ぶと袖口から何かを取り出した。




