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第十八話 幻想級

 俺は悪い胸騒ぎを抑え、村へシャーリーと走る。

 だんだんと村が見えてきた。


 「嘘だろ……」


 俺は衝撃を受けた。

 そこには慣れ親しんだ光景はなく、倒壊した建物、燃え盛る家、血を流し倒れている人々……。

 村はほぼ全壊していた。

 いつも当たり前のように見ていた色彩溢れる光景が灰色の世界になっていた。


 いったい何が……。

 そうだ!

 じぃちゃんとばぁちゃんは!?

 抑えられない胸の鼓動を耳で感じ、俺は慣れ親しんだ村の外れにある自分の家に向かった。

 すると衝撃の光景を目にする。

 俺の住んでいた家は原型を留めず、まるで巨人にでも踏まれたかのように立体の家が平面になっていた。

 さらに、火の手が上がっており、ところどころ燃えている。

 俺は反射的に魔法で火を消した。

 そして、家の下敷きになって身動きできないところに火の手が回ってきて亡くなったであろうじぃちゃんとばぁちゃんを見つけた。

 皮膚は焼きただれ、顔はなんとか判別できる程であったけど、無残な状態だ。

 そして、体を焼く異臭が俺の鼻を刺激する。


 「……うっ!?」


 俺はその匂いとあまりのショックで吐いてしまった。


 『理解できない』


 いや、正確には言えば理解はしている。

 しかし、思考が追いついていない。

 昨日……いや、今日の朝まではいつもの毎日と何も変わらず一緒だった。

 何が何だか……悪い夢なら覚めてくれ。

 しばらくして俺はシャーリーの事を思い出した。


 「シャーリー!!」


 これでシャーリーの身にも何かあったら……。

 どこをどう走ったか覚えていない。

 俺は必死に村を駆け回った。

 すると宿屋跡の前に佇むシャーリーを見つけた。

 宿屋も無残に倒壊し、燃えていた。


 「お父さん……お母さん……」


 そこにはシャーリーの両親であろう遺体があった。

 玄関付近で柱に下敷きになりじぃちゃんとばぁちゃんと同じように焼けていた。

 ただ救いだったのは二人とも下敷きになったら柱から顔が出ていて奇跡的にまだ顔かキレイだった事だろう。

 俺はシャーリーにかける言葉が見つからず、無言で魔法を使い火を消す。


 いったい何が……。

 俺はなんとか自分の感情を抑え、周りを見渡し状況を把握しようとした。

 すると村で生き残った者が木の下で佇んでいるのを見つけた。


 「何があったんだ!?」


 俺はそいつの近くに行き、肩を揺すりながら聞く。


 「ひぃ〜!! ド、ドラゴンが……おまえみたいな奴が村に来たからだ!!」


 そいつはパニックを起こしているようで俺を押しのけて逃げて行った。


 ……ドラゴン?

 ドラゴンってあの幻想級の?

 ドラゴンはどんな種類でもこの世界では珍しく、また強さも半端ない事からSランクより上の幻想級に指定されている。

 間違いなく今の俺では太刀打ち出来ない。

でもなんでこんな村に……。


 「ガオォォォォォォォ!!!!!」


 そんな事を考えていると前方の空から黒いドラゴンが姿を現した。

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