第百七十七話 ラース教皇国での出来事 その40
「どうやら祠へは一人で行くようだな」
ルル達を見ていると、馬車から降りてきたルルが一人で山道へ向かいエイブラム司教とアンジェさん、その他の人たちはみんな馬車の前に並んでルルをみおくっている。
ロイの言う通り、祠へはルル一人で向かうようだ。
「歩き出してぞ」
ルルを見ていたウィルが言うと俺たちはルルを見守りながら後をつけて歩く。
「……エイブラム司教来てたな」
「そうだな。これでより黒に近いグレーって感じだな」
ロイの言う通りより黒に近いグレーだけど、証拠がない以上は迂闊に動けない。
それにあくまで俺たちは護衛ではなく、勝手に来ているという建前上確実な証拠がないとどうしようもない。
「さて、山道で仕掛けてくるか祠か……」
俺たちは警戒しながら山道を登って行く。
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「山道は大丈夫だったな。とすると祠か……」
ルルは無事祠へ着き今は両膝をついて両手を組み祈りを捧げている。
木々の緑の中に白いローブ、そして空から降り注ぐ光がなんとも幻想的な光景を生み出している。
「……キレイ」
「本当ね。すごく絵になる光景だわ」
「確かに凄くキレイです……」
女性三人も目の前に広がる光景に心を奪われてるみたいだ。
「む? 来たか」
幻想的な空間を崩すかのように不吉な足音が近づいてきた。




