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第百七十五話 ラース教皇国での出来事 その38

 「待ち伏せらしきものも罠もなし……か」


 俺たちは祠を始め祠に通じる山道周辺を見回ったけど、特に怪しいものは見つからなかった。

 というか、魔物でさえ見当たらない。

 

 「ここまで何もないとかえって不気味だな」


 ロイが呟く。

 確かに今までは何かしらの嫌な気配があったり予兆みたいなのがあったけど、今回はそれすら見当たらない。

 それどころか魔物もいないようや場所で子供が一人で来ても危険のないような場所に思える。


 「もしかしたらルルちゃんの思い過ごしじゃないの?」


 ロイの言葉を受けアリィが口を開く。

 その可能性もあるにはあるしそれならそれが一番いいけど……でも、巫女であり人の心が見えるといったルルが命の危険を感じる程の事だ。

 だから警戒を解くのはいけないと思う。


 「どうだろな。しかし、油断して命を守れないよりは警戒した結果何もない方がいいだろう」


 ウィルの言う通りだと思う。

 失った命は還って来ないのだから。

 

 「そうだね。ウィル君の言う通りだと思う」

 「さすがお兄様ですわ」


 シャーリーとソニンもウィルに続く。

 

 「まっ、そうね。もう目の前で人の死を見るのは嫌だしね。警戒しましょう」


 アリィもアリィでおそらくラーク大森林の時の事が頭を過ぎったのかウィルの意見に賛成する。


 「そうだな! もうすぐルルが到着する時間だろうしもう一度見回りしてから山道で待つか」


 俺の言葉にみんな頷き見回りをしながらルルを待つ事にした。

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