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第百七十四話 ラース教皇国での出来事 その37
「うわぁぁぁ!!! すごいね!」
「確かに圧巻だ」
フォルクレストを見上げながらシャーリーが感嘆の声を上げる。
今まで歩いて来た道からフォルクレストへの山道はそのまま繋がっていて、祠だと思われる建物は山道を登って行ったところ外れの木々の間から見える。
そして、フォルクレストは遠目からでも大きな山だと思っていたけど、近くに来て見上げると頂上は雲に隠れて見えない。
さすが霊峰と呼ばれるだけある気がする。
「ここなら光の精霊がいると言われても納得出来るな」
「本当ね。すごいわ」
「これが霊峰……」
「お兄様程じゃないけどすごい気がします」
みんなもフォルクレストに対して口々に感想を言う。
ソニンの発言は少しズレているけどほっておくとしよう。
なんて言うか聖域ってやつなんだろうか。
空気も澄んでいて、何か温かいものを感じる。
ラーク大森林の時に感じた不気味な様子とは正反対だ。
この辺りは魔物さえいないような感じがする。
「じゃあ、辺りを調べて回るか」
俺の言葉にみんな頷く。
そして、俺たちは霊峰フォルクレストに足を踏み入れた。




