第百七十二話 ラース教皇国での出来事 その35
「ロイ、ウィル今日の話を聞いてどう思う?」
宿に戻って男女別の部屋分かれた後、俺はロイとウィルに問いかける。
今日のルルの話、どうもゴルゾーラ教が絡んでそうな気配がする。
「そうだな。確かに怪しい点はあるけど決定的なところはないな」
「ロイの言う通りだな。だが、奴らは人の弱みに付け込む。それによって付け込まれた人間は大きく性格を変える事もある。それを考慮すれば確かに怪しい」
ウィルは何かを思い出すように考えながら言葉を発する。
おそらく、自分の国で起こった事を思い出しているのだろう。
ウィルの父、皇帝がそうだったように……。
でも、ロイの言う通り決定的なところがないのも事実だ。
「やっぱりそうだよな。怪しいけど決定的なところはない。それがなんとも言えないな」
ゴルゾーラ教が絡んでいるとしたらルルを護衛するのにシャーリー達を連れて行くのもリスクがある。
この前のカルザルやゴード=ザイールが出てきた場合、守りながらではリスクが大きい。
そして、漆黒の鎧の男もいる。
それにロイの事もあるし……。
「まぁ考えても分からないものは分からないし、用心していくしかないだろ」
「確かにな。それしかないだろう」
確かにロイとウィルの言う通り、用心するしかないのだけど……。
ゴルゾーラ教がいろいろと動いている以上、いつも警戒しなければならないけど最近は動きが活発している。
それにゴード=ザイールは俺の事を知っていた。
俺は立て続けにゴルゾーラ教が動いているのに対して一抹の不安を抱いていた。




