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第百六十八話 ラース教皇国での出来事 その31

 「話は終わりましたか?」


 俺たちが部屋を出るとドアの前で待機していたアンジェさんが声をかけてきた。

 中の会話は聞こえなかったのだろうか。

 特に怒っている様子もない。

 ルルってウィルが呼んでいたのはバレてなさそうだ。


 「あぁ、ルルとの話なら終わった」

 「!?」


 おいおい、ウィル!

 せっかくバレてなかったのに空気少しは読めよ!

 ……ややこしい事にならないといいけど。

 いや、その前に俺が……


 「い、いや、これには訳がーー」

 「訳……?」


 アンジェさんは言い訳というか説明しようとした俺を怪訝そうな顔で見てくる。

 ……俺、今日何もしてないのに被害にあってばっかだ。


 「そうなんです! 実はーー」

 「アンジェ、私が言ったのです」

 「巫女様!?」


 振り返るとドアを開け立っているルルがいた。


 「私が言ったのです。だから、その方たちは何も悪くありません」

 「しかし、巫女様ーー」

 「アンジェ」

 「……はい。分かりました」


 ルルが言うとアンジェさんは渋々引き下がる。

 さすが巫女様といったところだろうか。


 「おや? これは何の騒ぎですかな?」


 俺たちの背後から聞き慣れない声が聞こえた。

 

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