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第百五十六話 ラース教皇国での出来事 その19

 「「「巫女様ーー!!」」」


 群衆が叫ぶ中、巫女様と呼ばれている少女は手を振る事なく、お淑やかに佇んでいる。

 そして、巫女の両隣に白いローブの男がいてどちらかと言えば、巫女の左隣にいる者が手を振って歓声に応えているような気がする。


 「ここからじゃ遠くて良く見えないな」

 「そうだな」

 「やっちゃいますか」

 「あぁ」


 俺はそう言うと目に魔力を集中させる。

 ロイも頷くと目に魔力を集中させだした。

 目に魔力を漂わす事で能力を引き出して、遠方まで見えるようになる。

 以前、シーレント王国で耳に魔力を集中させて、能力を引き出し聴力を上げたのと同じ原理だ。

 この前、カルザルと対峙した時、人影が見えた時点これを使えば良かったのにすっかり忘れていた。

 なので、みんなに教えておいた。

 耳の事はシャーリーとの会話とか何か盗み聞きされたら嫌だし教えてないけど……でも、いずれ誰か気付くかもしれない。

 きっとロイかアリィあたりだろうな。


 「思ったより、幼そうな顔だな」


 俺が考え事している間にロイは巫女様の顔を確認したようだ。


 「えーっと……そうだな。白いローブに白い髪そして白い肌だからなんとも可愛いらしい感じだけど……」


 巫女様と呼ばれる少女は背も低く、白で統一されている事もあるなんとも言えないけど幼さそうな柔らな雰囲気な感じだ。

 でも……ん?


 『ジー』


 何やら視線の感じる方を向くと、シャーリーとアリィがジト目でこっちを見ている。


 「お、おい、ロイ」


 俺は小声でロイに声をかける。


 「どうしーーうぉっ!!」


 今までロイの口から聞いた事がないような声が出る。

 ロイの奴、相当慌てたな。

 まぁ、アリィに慰めてもらってたばっかだもんな。

 ってそんな悠長に考えている場合ではない。


 「違うんだ! そういう意味で見てたんじゃなくて! それになんかどっかで見た事ある気がしない!?」


 俺は必死に訴える。


 「へぇー、ハル君どっかで見た事あるんだ。こっそり会いにでも(・・)行ったの?」


 逆効果だった。

 シャーリーは抑揚のない声で返答する。

 隣ではロイがアリィに説明して同じような結果になってる。


 「と、とりあえず、シャーリーも見てみてよ!」


 俺は何とか誤解を解こうとシャーリーに巫女を見るように促した。

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