第百五十五話 ラース教皇国での出来事 その18
「すごい人だね! こんなにたくさん!」
「本当ね! しかも白一色!」
「なんか、ある意味異様な光景ですわね!」
シャーリーとアリィ、そしてソニンが口々に感想を述べる。
今日は巫女誕生の儀式。
俺たちは街の中心にある白い外観にに十字架が飾られた建物、ラース教の総本山に来ている。
ラース教の総本山である建物はこの街では異彩を放っている。
灰色の外観が多い建物が並ぶ街並みに輝く白。
シーレント王国も白を基調とした建物が多かったけど、ラース教皇国は灰色の中に浮かぶ白い建物ということで目立っている。
『灰色と白』
これは人間の本質を表しているとも言われている。
いくら心が汚れ、黒くなっても人間の本質は白であり、自分の心の中心は白いと。
白、灰色、黒それぞれあれど中心に据えているのは白き心だと……。
今日は聞くところによると儀式と言ってもみんなに巫女候補のお披露目をするだけらしい。
巫女になるには、その後で光の精霊がいると言われている霊峰の祠に行き、祈りを捧げなければいけないらしい。
その後、正式に巫女と認められ、改めてみんなの前で宣言があるらしい。
「それにしても人が多いな」
確かにラース教の総本山である建物の周りには人が溢れ返っている。
この後で巫女と面会なんてできるんだろうか。
「おぉ!! あれが巫女様か!」
「巫女様ーー!!」
「なんて清きお姿……」
突然沸いた群衆の声を聞き、その視線の先に目を向けるとラース教の総本山である建物の十字架の下にあるバルコニーのようなスペースから、白いローブに包まれた少女が見えた。




