第百五十一話 ラース教皇国での出来事 その14
「……何だったんだろうな」
「さぁ? 分からん」
「お兄ちゃん! お肉!!」
俺とロイが白いローブの少女の行動に呆気に取られていると、メイファちゃんとクリフ君を先頭に子供達が列を作り始め肉を待っていた。
「お、おう!」
「しゃーない、ロイ貸しだからな!」
ロイ一人では捌ききれないと判断した俺は焼きに回る。
「私たちも手伝うわ!」
アリィとシャーリーとソニンの三人は手伝いに来た。
なんとも出来た女性達だ。
「じゃぁ肉を切って焼くまでの準備を頼む」
「「「はーい!」」」
ロイの指示に従い三人は肉を切り始める。
「俺も手伝おう」
すると、ウィルも手伝いにやってきた。
でも……
「いや、ウィルはメイファちゃんもクリフ君と一緒にいてくれ」
「そうだ。俺もウィルに貸しを作ったままは嫌だからな」
「いいからいいから! ウィルお兄ちゃん!」
「むっ」
そう言って俺はウィルを押し戻す。
何気なく聞こえきたメイファの言葉だけど、いつの間にかウィルはメイファちゃん達に『ウィルお兄ちゃん』と呼ばれるようになっていた。
そんなウィルを手伝いに回したら子供達が悲しむだろう。
「お兄ちゃんおにくぅ〜!!」
「はいはい! すぐ出来るから待ってて!」
そうしてクリフ君の誕生日は進んでいった。




