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第十五話 ちょっと進展しました

 「……あっ、いや、その……ハル君は私を助けてくれたのになかった事になんか出来ないです……」


 彼女は『しまった!』って顔をしながら言って徐々に顔が赤くなっていく。


 「そ、そう? でもあんまり関わらない方が良いと思うけど……」


 俺は俺で咄嗟の事に対応出来ず……。

 あぁ、俺はなんでこんな事しか言えないんだ。


 「そんな事ないです! 村の人たちはハル君の事よく思ってなかったけどハル君は優しいし悪い人じゃなさそうです!」


 やっぱり俺は村であまり良く思われていないのね?

 まぁ分かってるけど。


 「やっぱり良く思われていないんだ」


 つい自然と呟いてしまった。


 「あっ、いや、その……そんなつもりで言ったんじゃなくて……」


 彼女は恥ずかしいやらやってしまったとかいう感情が混じっているのか慌ててバタバタしてる。

 ……可愛いなぁ〜。

 おっとこのままじゃ彼女が可愛いそうだし俺もそんなつもりで言ったワケじゃないから早く何とかしないと。


 「ゴメンゴメン! そういうつもりじゃないから! まぁ分かってた事だしね。あっ、そう言えば名前は?」


 よし!

 やっと名前を聞ける!

 動揺してたにしろこの言葉を言えたのは大きい。

 やっぱり反省(予習)は大事だ。


 「あっ、はい! 私はシャーリーって言います!」


 シャーリー……。

 名前まで可愛いな。

 俺がボケーっとしてる間に気まずい沈黙が流れる。

 しまった!!


 「あの〜……良かったら魔法教えてもらえませんか?」


 シャーリーは遠慮がちに突然口を開き言ってきた。

 ん?

 俺はシャーリーの前で魔法使ったっけ?


 「あっ、いや、無理ならいいんです! じゃぁ失礼します!」


 シャーリーは俺が返事しなかった事で悪い事を言ってしまったと感じたのだろう。

 足早に帰ろうとする。

 マズイ!

 このままじゃこの前の二の舞だ。


 「待って! いいよ! 教えてあげる!」


 シャーリーが立ち止まり振り返る。


 「でも、なんで俺に魔法教えて欲しいの?」

 「あの、ハル君を探してる時に村で聞いたんです。ハル君は山を一つ燃やせるとか、地形を変えるぐらいの威力のある魔法を使えるとか……」


 あぁ、そんな風に言われてるのね。

 山火事はやっちゃった事あるし地形は……。

 まぁでも被害は最小限にとどめたはずだ。

 俺は少し遠くを見ながら自分の過去を振り返った。


 「……ははっ、それ聞いてよく俺の事怖がらなかったね」

 「ハル君は優しい人ですから!」


 シャーリーが真剣な眼差しで俺を見ている。

 ……そんなに見つめられたら照れるなぁ〜。

 俺はどこを見て話していいか迷いながら話を続ける。


 「まぁでも教えてあげるのはいいけどなんで教えて欲しいの?」


 教えるのはいいけどそれが悪用されるのは嫌だし。

 そう考えるとロイは大丈夫だろうか?

 俺は急に不安になってきた。


 「実は私魔法が苦手なんです。あっ、治癒魔法とかは得意なんですけど攻撃魔法とか苦手で……自分の事は自分で守れるくらいにはなりたいんです!」


 そういう事か。

 まぁいつ魔物や動物、男に襲われるか分からないしそれくらい対応出来るように教えてあげよう。

 シャーリーに襲いかかる男なんて跡形もなく消えさせられるように。

 でも、髪の色が特別だからって魔法が上手いとは違うのか。

 まぁそんな事は今はいいか。

 よし!


 「そういう事ならいいよ! 教えてあげる!」

 「あ、ありがとうございます! お願いします!」


 そうして俺はシャーリーに魔法を教える事になった。

 ……これってシャーリーと会う機会が増えるって事だよな?

 俺はシャーリーにバレないように右手でガッツポーズしながら心の中で喜んだ。

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