第百三十七話 ラース教の巫女
「あぁ、この世界では基本的には火、水、風、土のいずれかの精霊の加護を受けて生まれてくる。それによって髪の色が決まるのは知ってるな? でも、稀に俺やシャーリー、ウィルのように一部光の精霊の加護を受けて髪の色が基本属性より淡く生まれる者もいる。ここまではいいか?」
む?
なんかロイによる巫女談義が始まってしまったようだ。
「確か世界的にも珍しいんだよな?」
「そうだ。生まれてくること自体珍しく良くて各属性に一人もしくは二人くらいだと言われている」
……そんな珍しい人物が六人中三人。
そして、俺は黒髪……。
ある意味物凄い見世物な感じがしてきた。
「……俺たちってーー」
「それは言うな」
俺が最後まで言葉を口にする前にロイに止められてしまった。
周りを見るとウィルとシャーリーも少しバツが悪そうにしている。
そう言えば俺の母さんって金髪だったけど……。
「なぁ、ロイ。金髪って生まれるのか?」
「ん? 金髪? 聞いた事ないな」
そうか。
じゃあなんだろう?
まぁだいぶ昔だし、今とは違うのかもしれないな。
俺だって黒髪だし。
「まぁ、とにかくだ。それより珍しく稀に白髪の女性が生まれる。それが巫女だ」
白髪……俺と正反対だな。
でも、生まれてくるのが男だったら……。
「なぁ、ロイーー」
「大丈夫だ。何故だか分からないけど白髪は女性からしか生まれていない」
良かった。
白髪の男性が巫女と言われてもな……。
それにしてもロイはことごとく俺の心を読んでくれる。
全く、プライバシーも何もあったもんじゃない。
「まぁその女性が十歳になったとかで近々儀式があるはずだ。巫女は十歳から十五歳までの期間だからな」
「なんで十五歳までなんだ?」
なんの年齢制限だろう?
俺は不思議に思って聞いてみた。
「いや、まぁ……十五歳になると成人だ。巫女は清らかでなくてはいけないからな……」
そう言うとロイは話は終わりだと言わんばかりにそっぽを向いてしまった。
清らか……?
成人……?
あっ、そう言う事か!
周りを見るとシャーリーが俯いて顔を赤くし、アリィは気まずそうにしている。
ソニンは……目を輝かせて好奇心旺盛乙女モードに入っていた。
「ハル、少しは常識も知れ」
はい、すいません。
ウィルに突っ込まれて俺は心の中で反省した。
「リンゴは要りませんか?」
そんな中、一人の少女が俺たちに声をかけてきた。




