第百三十六話 ラース教皇国へ到着しました
あれから何事も無く、ラース教皇国へとたどり着いた。
結局、ロイに何の言葉もかけられずにここまで来てしまった。
ロイはと言うといつもより逆に少し明るく感じだ。
無理をしているのだろう。
その姿を見ていると俺の心が痛む。
今日は酒場で酒でも飲みながら気分転換した方が良いか……。
「何か今までの国と様子が違うね」
俺がそんな事を考えているよ、俺たちが無言で気まずい雰囲気を変えようとしてかシャーリーが言葉を発する。
確かに今までの国と違い静かだし、見た目も地味だ。
灰色の石で出来た建物と木々が植わっていて、街の中心の方に白く十字架が備えられた建物で見える。
おそらくあれがラース教の総本山なのだろう。
もちろん人が少ない訳ではない。
人の数は今までの国と変わりないくらいだ。
でも、活気はない……というか落ち着いている? うまく言えないけど、物静かな人が多い印象だ。
これは教皇国だからだろうか。
特徴的なのは熱心なラース教徒が多いのか、白いローブに身を包んでいる人が多い。
黒いローブのゴルゾーラ教とは全く正反対だ。
「そうだな。なんとなく今までの国と雰囲気違うな」
「まぁ、ラース教の総本山だからな」
俺の言葉に相槌を打つようにロイが言葉を重ねる。
本当にこいつは無理しやがって……。
「白いローブの人が多いし宗教国家って感じね」
「私は無理かも……可愛い服着たいし」
なぜか、ソニンが喋るとどんな会話でも女子トークになってしまう。
こいつってこんなキャラだったっけ?
「ラース教では白からすべての色が生まれたと考えられている。すべての色に染まれる白。無限の可能性を与える色。それが世界の原点であり真理であると考えられている。だから、ラース教徒は白のローブを着るのだ」
かと、思ったらウィルが説明をしてくれた。
白いローブを着るのにはそんな理由があるのか。
でも、本当この兄妹は二人足して二で割るくらいがちょうどいい気がする。
レドニンは大変だっただろうな。
だから、あんなにしっかりしているのか?
あいつが大人になったら酒を一緒に飲んで話を聞いてやろう。
「そう言えば、ラース教に巫女が誕生するらしいぞ?」
「巫女?」
突如ロイの口から出た言葉に俺は首を傾げた。




