第百三十一話 ラモル山での出来事 その12
「えっ……?」
俺はゴード=ザイールの口から出た名前に言葉を失った。
『ファラン』
それは、俺の父さんの名前だ。
エターナル・ログの力を継承する時に出てきた父さんが言ってた世界の危機。
そして、今この目の前にいるゴード=ザイールが言っていた世界を闇に染める事。
ゴード=ザイールが口にした計画を阻止しようとした人物ファラン。
もしかして……。
いや、でも父さんは世界の危機は回避したって言ってた。
それに、現在まで世界があるって事は過去の危機は回避されているはず。
でも、目の前のこの男の言う事は……。
……どういう事だ?
「……俺の父さんを知ってるのか?」
騒めく胸を抑えながら一つ言葉を発する。
「……なぜか分からんがファランを知ってるようだな。まぁ奴の事だ。自分の子供に何かしたのだろう。……そうだ。我はおまえの父、ファランを知っている。おまえの父は我の計画を邪魔した。おまえは我の憎き相手の子供と言う事だ」
「っ!?」
俺は奴の言葉に衝撃を受けた。
少しはそうかもと思ってたけど……。
「父さんは!? 母さんはどうしたんだ!?」
俺はゴルゾーラ教の事も奴の計画の事も頭の中から消えて父さんと母さんの事が頭の中を占めた。
「……奴らはここにおらず、我がここにいる。それがすべてだ」
「っ!?」
俺は奴の言葉に再度衝撃を受ける。
父さんと母さんは死んだと思ってた……分かってた。
父さんと母さんは世界の危機を救う為、命を顧みず戦った。
この世界は父さんと母さんが守った世界。
でも、父さんと母さんは何の危機で誰と戦ったのか。
それは今まで分からなかった。
でも、やっと分かった。
今目の前にいる男が俺の父さんと母さんを……。
「……許さない……許さない!!!」




