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第百二十九話 ラモル山での出来事 その10

 俺と漆黒の鎧の男はカルザルの言葉をきっかけに、一気にカルザルに詰め寄った。


 「っ!?」

 「チッ!」


 その瞬間、俺と漆黒の鎧の男が詰め寄ろうとしたカルザルとの間に突如、上空から黒いローブの男が舞い降りてきた。


 「なんだ!?」

 「……」


 俺と漆黒の鎧の男は素性の分からない黒いローブの男を警戒し、動きを止める。

 黒いローブの男……おそらくこいつもゴルゾーラ教の奴だろう。

 でも、いったいどういう事だ?

 カルザルも俺たちの前に姿を現したけど、ダビドやダグマルと違って何か罠とかもある訳じゃないし、ウィル達も逃している。

 逃げた先で何かあったとしても静か過ぎるし、そもそもシャーリーにあげたネックレスからの反応は近くにあるし大丈夫だろう。

 罠もないし、上空から現れたこの男もカルザルの今までの様子から来ると知っていた訳ではないだろうし……。

 上空から舞い降りた黒いローブの男は俺たちの方を一瞥した後、カルザルの方へと向き合う。


 「……申し訳ございません」


 カルザルは黒いローブの男の顔を見ると、一瞬驚愕の顔を浮かべた後に片膝をついて頭を下げた。

 黒いローブの男は見たところ、今までに見たダビドやダグマルとも違うように見える。

 背丈とかは普通な感じがするけど、なんとも言えない存在感を放っている。

 そして、あのカルザルが頭を下げるという事はもしかして……。


 「……良い。顔を上げよ。カルザル、おまえがしようとしていた事は分かる」

 「はっ! しかし、勝手な行動を……申し訳ございません」


 カルザルが上空から現れた黒いローブの男に謝罪を口にして敬語で話している。

 と言う事はやっぱりこいつは、ダビドやダグマル、カルザルの上の存在の大司教と呼ばれている奴なのだろうか。


 「……おまえがハルか」


 大司教と思われる黒いローブの男が俺に向かって口を開いた。

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