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第百二十四話 ラモル山での出来事 その5

 「ロイーッ!!!!!」


 俺はカルザルが剣を振り上げた瞬間に、魔力操作をして足に魔力を集中させ地面を蹴った。

 そして、剣をが振り下ろされる前にロイとカルザルの間に入り、魔力を剣に集中させカルザルの斬撃を受け止ようとした。

 ちょうどその動作が終わった瞬間にカルザルの剣が振り下ろされた。


 『キンッ』


 俺とカルザルの剣が当たった瞬間、金属音が鳴り響いた。

 それとともに、俺の魔力と黒いオーラが生み出す衝撃波が周りの木々や葉を揺らす。


 「ほう……黒髪の男……ハルか、おまえはなかなかやるようだな」


 俺は何とかカルザルの剣を受け止めた。

 でも、受けてみて分かったけど、あの黒いオーラはヤバイ。

 なんて言うか嫌な力を感じる。


 「ロイ! 早く下がれ!」


 俺は剣を弾き、カルザルを後方を押し飛ばしながらロイに声をかける。


 「……」

 「ロイ!? どうした!?」


 ロイはその場から動かず片膝をついたままの状態で残っている。

 ……まずい。

 このカルザルって男は思ってたよりも強い。

 ロイがこんな状態で後ろに女性三人と罠を警戒しながら戦うには分が悪い。

 なんとか……。


 「しっかりしろ!!」


 ロイに駆けつけたのはウィルだった。


 「貴様! おまえがそんなんでどうする!? 周りがどれだけ危険な状況になってるのは分かってるのか!?」

 「……すまない」

 「立て! ここはハルに任せて引くぞ!」


 そう言ってウィルはなんとか立ち上がったロイを連れて女性三人のところまで下がった。


 「ロイ君……」

 

 後ろでアリィがロイを心配してる声が聞こえたけど、とりあえず今はこの状況をなんとかしないと……。


 「ハル……お主は何の為に戦う?」


 カルザルはロイに問いかけた事と同じ事を俺にも言ってきた。

 ……いったいそれがなんだってんだ!


 「そんなの……俺がやるべき事……大切な人を守りたいからだ!」


 俺は言葉を放つと魔力を剣に漂わせる。

 こいつはハンパではいかない。

 それこそドラゴンを倒した時みたいにいかないと……。

 俺は剣に魔力をドンドン送り纏わせる。


 「……いいだろう。……来い!」

 「うぉぉぉ!!!」


 カルザルの言葉をキッカケに俺はカルザルへ詰め寄った。


 『あともう少しでお互いの間合いに入る』


 そう思った瞬間、俺とカルザルの間に黒い人影が入ってきた。

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