表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/494

第百十七話 ラース教皇国へ向かいます

 「短い間ですが、お世話になりました」

 「いえいえ、こちらこそ。君達のおかげで助かった。無事を祈っている」

 「こっちこそ世話になったな! また会ったらエールでも飲んで騒ごうや!」


 コルト都市国家を出発する時、コールさんとダリウスさんが門のところまで見送りに来てくれた。

 いろいろあったけど、新しい出会いもあった。

 最初はダリウスさんに良い印象がなかったけど、やっぱり人は見た目や態度だけじゃない。

 いざという時に本質が見えるものだな。

 そう考えるとダリウスさんは良い人だ。


 「ハル……ちょっと……」

 「はい……?」


 俺はダリウスさんに呼ばれて近くに寄った。


 「ハル、おまえ! 昨日俺を見捨てただろう!? そんな仲間を見捨てる奴はこうだぁぁぁ!!!」

 「す、すいませぇぇぇん!!」


 ダリウスさんは近くに寄った俺の頭を左脇に抱え、右の拳で俺の頭をグリグリしてくる。

 ……これメッチャ痛い!

 しかも、見捨てたのは俺だけじゃなくてロイとウィルもなのに……。

 ふと、二人を見るとアリィとソニンの横というダリウスさんからしたら鉄壁の防御の近くに陣取って俺を見て嘲笑している。

 二人め……覚えてろよ?

 昨日の絆は撤回だ!!!


 「ったく……これでチャラだ! ……これ以上すると次は俺がおまえの彼女にやられちまう」


 ダリウスさんは後半部分のところは俺にしか聞こえないよう声をひそめ言った。

 俺はその言葉を聞き、シャーリーの方を見るとジト目でダリウスさんを見ている。

 ……うん、頼もしい彼女だ。

 世の中、女性が強くなってきたものだ。

 時代の流れだろうか?

 俺の知る限り、どの夫婦も女性が強い。

 アースハイト王家、シーレント王家……王族でさえだからな。

 今思うとじぃちゃんとばぁちゃんも主導権はばぁちゃんが握ってた気がする……。

 ……良かった、小さい時にばぁちゃんの手伝いで家事もしてたからな。

 なんかこれからは男も仕事だけじゃなくて家事もしないといけない時代な気がくる気がする……。


 「まぁ、気をつけてな! おまえ達なら何かあっても大丈夫だろうが油断するなよ! 俺はだいたいここらあたりで活動してるから近く寄ったら探してくれ!」


 俺の思考が脱線していたところに、ダリウスさんが別れの言葉を口にする。


 「ダリウスさんもお元気で!」


 短い間だけど、戦闘隊形(フォーメーション)とかいろいろ教えてくれたし、なんだかんだ言って一緒にいて楽しかった。

 別れは寂しいけど、またいずれ会えるだろう。


 「……達者でな」

 「メリーさんと仲良く」

 「そうよ! 私達が女心教えたんだからね!」

 「……ダリウスさんの幸せ願ってます!」

 「そうですわ! アリィお姉様とシャーリーお姉様の話無駄にしてはいけませんよ! 失敗したら私が許しません!」

 「う、うっせぇ!! さっさといけ!」


 ……ロイがいらない事を言ったせいでちょっと違う方向へいってしまった。

 ダリウスさんも最後の最後まで可哀想に……。

 最後の挨拶にしては何か違うような感じがするけど俺たちらしいか。

 ふと見るとみんないい顔をしている。

 これからもいろいろあるかもしれないけど、みんなで悲しみや喜びを分かち合えば大丈夫なはず!

 

 「また、会いましょう!」


 俺たちは馬車を引いて、コルト都市国家を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ