第百十五話 コルト都市国家での出来事 その29
「ねぇねぇ、さっきのダリウスさんとメリーさんってもしかして……」
「かもしれないな。まぁ、あの様子を見る限り、可能性はあるかもしれないけど、ダリウスさんも少しは違うやり方も考えたら良いと思うけどな」
「確かにね。あんな人前で大きな声で誘われてもね……ダリウスさんに女心を教えた方がいいかしら?」
階段を登ってる途中で、前を行くロイとアリィがさっきの事を話していた。
……ダリウスに聞こえる声の大きさで。
「う、うるせぇな! あれはただの社交辞令なんだよ! 大人はそういうのも大事なんだ!」
「その割には本気のようだったが? 向こうもまんざらでもない様子だ。だから、その辺ハッキリさせた方が良いのでは? ちなみに俺たちもソニン以外は一般的には大人だ」
「そうよ! 見ててもどかしいわ! それに女心を分からないといけません! 大声出して解決するもんでもないし、あーいうのは雰囲気が大事です! 全く……」
うわぁ〜、ロイの真面目な直球の言葉にソニンの的を得た説教……ダリウスさんっていつの間にこんな立ち位置になったんだ!?
それにしても、みんな無理矢理かもしれないけど少しは元気が出て良かった。
……ダリウスさんは必要被害だな、ここは我慢してもらおう。
「みんなスゴイけど、私達もこんな風に言われてたのかな?」
俺は心の中でダリウスに手を合わせていると横からシャーリーが小さな声を掛けてきた。
……それはあり得るかもしれない。
なんて言われていたか……考えない方が良いかもしれないし知らない方が良い事もある。
「……シャーリー、そこは考えがえないでおこう」
「ぅ、ぅん」
シャーリーも俺が考えていた事が分かったのか、一瞬考えるような素振りをした後、頷いて返事をした。
「あ〜! もう! 早く行くぞ!」
「そうですね! 行きましょう!」
俺はなんとなくこのままだと、次は俺とシャーリーが標的になるような気がして来たからダリウスさんに助け船を出した。
そして、俺たちは会議室のドアを開き、中に足を踏み入れた。




