第百四話 コルト都市国家での出来事 その19
「うぉりゃぁぁぁ!!!」
戦闘狼が、俺に注意を向け俺を中心に円を描くように回っているところに背後からバトルアックスの横薙ぎの一線が襲う。
戦闘狼はそれに気づくのが遅く、一頭が体と首を分断された。
遅れて、水魔法の水竜、水虎、風魔法の風の刃が戦闘狼を襲う。
しかし、先ほどの一撃で警戒していた戦闘狼はそれらの魔法から距離を取るように下がった。
そこにダグマルが放ったと思われる闇魔法、無数の黒い刃とぶつかり相殺される。
さっきのはアリィ、シャーリー、ソニンの魔法だな。
「ハル! 大丈夫か!」
「全く、無茶する奴だ」
ダリウスさんの一撃、アリィ達の魔法の間を縫ってロイとウィルが俺の両隣に来て、ダグマルと戦闘狼に向かいあった。
「ハル君! 大丈夫ですか!? 無茶し過ぎです!!」
「そうよ! シャーリー、もっと言ってあげて!」
「ハル! シャーリーお姉様を泣かせたら許さないと言いましたよ!?」
後ろから女性三人の声が聞こえる。
……これは後で説教確定だな。
「まぁ、仕方ないな。今回はおまえが悪い」
「愛する者に残される気持ちも考えた方がいいな」
……はい、言い返す言葉もございません。
まさか、ウィルにまで言われる日が来るとは……。
そして、ウィルの口から『愛』とか言葉が出てくるとは……実は意外とロマンチストだったりするのだろうか?
「はは! とりあえずこの状況をなんとかしないとな!」
女性三人の後ろで背後を警戒していたダリウスさんから言葉がくる。
確かに、この状況を打破してなんとかしないとな。
でも、みんなが来てくれたおかげで活路ができた。
すると、先ほどダリウスさんの一撃で倒された戦闘狼に異変が起きた。




