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好み

作者: 柳瀬七海

深夜のコンビニは、来る顔ぶれが大体一緒だ。

何処の誰だか知らないけれど、顔を見れば、好みのコーヒーやお菓子、そして煙草の銘柄まで覚えてしまっている。


このお客もそう。3日に一度はこのコンビニで煙草を買う。


「わかば下さい」


微糖の缶コーヒーを手に持ち、初めてレジで告げられた時、思わず顔を凝視してしまった。

そして、その5年後。

「お嬢さんを若葉さんを僕に下さい」あのフレーズを言い私の両親に頭を下げる彼がいた。

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