表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感染戦線  作者: ヘロおやじ
第 二 章 福 島 工 場  編
37/72

37.Pday 11日目

また少々遅れましたが楽しみ下さい。


PM12:03 福島県双葉郡浪江町請戸 大平山近辺 旭製薬福島工場

     管理棟 食堂


俺達は丁度昼食時に成ったので、食堂の方へ行き食事をする事になった。


確か管理棟の食堂には今週は佐田光恵婦人の母である、田沢光子さんが勤めているはずなので、食事は非常に楽しみである。


彼女の作る料理はとても美味しく、安心出来る味であったしその彼女が曰く、自分の母には敵わないと言う位であるから、密かに楽しみにして来たのだ。


田中君に調べて貰った所、彼女の作るメニューで一番人気が、鯖の味噌煮定食だそうだ。


孫の愛美ちゃんに聞く所に依ると、臭みも無く骨毎食べられる絶品の味との事で、少し早めに食堂に下りて来た所だ。


券売機で鯖の味噌煮定食を購入し、早速列に並ぶとまだ早いせいか前方には6人程しか並んで居らず、俺自身作業服を羽織ってスラックス姿だったので、誰にも認められずに直ぐに注文コーナーに来られた。


するとお馴染みの女の子が現れ、可愛い声で注文の復唱をして厨房の配膳係りに、メニューを伝えてくれていた。


「鯖味噌定食ふたつ~お願いいします!」


「おお、愛美ちゃん! お婆ちゃんのお手伝いかな?」


「あ、丈太郎お兄さんと涼子オネイちゃん!


ハイ、これから毎日お昼はお婆ちゃんのお手伝いです。


お婆ちゃーん丈太郎兄ちゃんが来たよ」


「え!・・・・まあまあ、甘莉様、この度は娘と孫をお助けくださいまして、誠に有難う御座いました!


御蔭で東京から無事娘と孫が到着して、どんなに安心した事か。


甘莉様の御蔭でこの街所か、内の家族まで救って頂き何とお礼を言って良いやら言葉も御座いません、此処に居りません主人に成り代わって、お礼を申し上げます」


40代後半から50代前半だろうか? 娘の年代を考えるとその位なはずだが、30代後半から40代前半にしか見えない、背筋の通った若々しい雰囲気の女性が現れた。


行き成りお礼を言われ深々と、最敬礼をされて少し驚いたが、佇まいが常人と違い隙がなく、又心の篭ったお礼だったせいか、此方も居住まいを正してお礼を返す事にした。


「いいえ、此方こそ東京では寮の奥向の事をして頂いて、どんなに頼りになった事か大したお嬢さんであり、お孫さんも色々怖かった事も有ったでしょうけれども、泣き言一つ言わずお母さんのお手伝いをしていましたからね。


お二人を見ていると親御さんの、教育が行き届いて居るのが良く分かりますよ。


それにお嬢さんの料理はとても美味しくて、寮にいた皆も毎日楽しみにしていたほどです。


実は愛美ちゃんにお婆ちゃんの料理は、お母さんより美味しいとお聞きしていたので、今日は楽しみにしていたのですよ」


「まあ田舎者の家庭料理しか作れませんで、大した物でもないですが、今日は腕に依りを掛けて作りましたので、充分召し上がって下さいまし」


「そうですね、昼時なので皆に迷惑が懸かるのは悪いので、挨拶は後程と致しまして、今日は田沢さんの得意な鯖の味噌煮を頂きたいと思います」


挨拶を済ますと俺達の後ろに並んだ人達に詫びを言って、用意された鯖の味噌煮定食のお盆を受け取って、空いている席に座って食べる事にした。


お盆には立派な鯖の味噌煮が、半身が上下切り分けて盛られており、合わせの赤味噌仕立てか味噌のいい匂いが食欲をそそりながら、然りげ無く山椒の葉が添えられており、笠間焼きの角皿がその素朴な風合いで全体を纏めている。


お汁は鯖のアラの澄まし汁だろうか、アラと身が適度に入りアクセントに、丁寧に作られた澄まし汁の臭みの無い香りと、奴ねぎの彩りが目と香りを楽しませてくれる。


箸休めには厚揚げを半身に切って、一口大に小皿に盛付けてあり、ひょっとするとこれに味噌煮のみそを絡めろとの、ご所望デハナイノカ?


ウム、やりおるは女将、この雄山を唸らせるとは生意気な!

(何かテンションが上り、キャラが変って来てしまった)


更にこの厚揚げは、自家製豆腐を揚げた物と見たぞ、社員食堂にしてはなんと言う手間のかけ方か?!


最後のひと皿は、旬の大根葉をおそらく軽く叩いて、塩水で丁度良い茹で加減で上げたものを、冷水に軽く晒した一品いや逸品である。


大根自体おそらく自分の畑の物を抜いてきた、露地物でありさりげなく添えて有るが、これも鯖の味噌煮の味噌に絡めれば、えも言われないハーモニーを口腔の中で奏でるのは必定!


板長! お主出来るな!!


品の良い同じく笠間焼だろう丼に盛られた、ご飯は一度炊いた物をわざわざ檜の御櫃に移した物ではないくわ~~!! しかも新米!


ご婦人、貴女は一体何者ですか?


ふとテーブルに置かれている箸休めの、お漬物は福島名産長久保のしそ巻ではないか?


この沢庵に塩漬けしたしそを巻いた漬物は、魚でも肉でもオールマイティで口腔をリセットしてくれる、逸品なのを知っていて出しているのだろうか?


おい俺にどうしろと言うんじゃ?


ここは銀座の路地裏にある、知る人ぞ知る名店かね?


なんで内の工場の食堂の小母ちゃんがこんな腕持っている訳?


まるで何処かの世界の横浜基地の、PXの主見たいな人がいる世界なんだ!


いや~流石神様に連れられて、この世界に来た甲斐があるってもんだよ!


俺が一人感慨に耽っていると、隣の席から田中君の嘆声が聞こえた。


「な、何これ? 嘘こんな鯖の味噌煮食べたこと無いわ!


東京の一流料亭だってこんな凄い物、出してくれないわよ?


どうして福島の社員食堂で、こんな逸品を出しているのかしら?」


俺の方をどうしてと言う顔で見るので、おれは首を振り振り彼女に答えた。


「魚だけじゃ無く他の箸休めも食べてご覧、どれも一切手を抜いて居ない逸品だからな!


因みに厚揚げや大根葉のお浸しは、醤油では無く鯖の味噌煮の味噌を浸けた方が、断然うまいよ?」


田中君が俺の言う通りの方法で食べ出すと、只唸りながら見る見る内に定食が消えていった。


俺も仕事の時間が有るので、味噌煮だけを一口口に入れて思わず唸った。


後は只黙って黙々と口腔内で、奏でるハーモニーに酔いしれる時間だけが過ぎていき、気が付くとしそ巻きをお茶請けに、二人静かに食後のお茶を頂いて居ましたとさ・・・。


「・・・・っと、この茶碗は? ・・・・有田焼?・・・・柿右衛門の赫? ・・・・・え、一四代目?」


又々工場の食堂にあっては成らない物を見つけ、思わず湯呑を返えす替えすしながら唸っていると、沢田婦人がお茶請けのお菓子を持ってやって来た。


そして俺が見ている湯呑を見ると、企みが成功した童女の様に、笑いながら説明してくれた。


「ああ、それは今年5月のゴールデンウィークに、主人と佐賀へ旅行へ行ったとき、有田の柿右衛門窯の下請けをして居る、腕の良い窯元で買い付けた、お客様専用に使って居る器ですわ。


見た目よりとってもお安いので、然程気にせず使えるので私が買い付けて来たのです」


との事だ。


どうしてこの人は一流旅館や料亭の、什器仕入れのノウハウを知っているのだろう?


お茶請けを見ると、かんのやの“家伝ゆべし”だし、茶葉自体も地元産の手摘みの見事な手揉みだし、もう驚き疲れて擦り減った状態だ。


「いやーミ・シェフ沢田さん結講なご馳走と、結構なお点前誠に有難う御座います。


成る程お嬢さんの感性が、鋭い訳が分かりましたよ。


今後ともこの食堂を盛り立てて下されば、私としては望外の幸せですし、他の社員の士気も尚一層高まりますので、宜しくお願いいたします」


おれは立ち上がって最敬礼をして、謝意を現した。


それを見ている周りの社員達は、社の最高責任者が食堂の小母ちゃんへ、最敬礼をして居るのを見て驚いた顔をして居るが、社会的常識ではマエストロに対して、この位の礼はしごく当然の行為である。


やはり一流を見つけている俺の様な役職では、一流の芸術家たるマエストロに対して取る態度は一つ、最敬礼である!


もしこの様な存在を見て気付かない様なら、即刻会社の代表職など止めて、雇われ人に成った方が会社の為でもあり社会の為でもあると私は思う。


彼女も私が『シェフ』と讃えた意味を受け取り、優雅に此方の謝意を受け取ってくれた。


そして解り有った者達特有の空気を残し、俺は彼女と別れてCEOルームへ向かった。




Pday 11日目

PM13:03 福島県双葉郡浪江町請戸 大平山近辺 旭製薬福島工場

     管理棟 CEO室


意外な出会いにボーゼンとしていると、コーヒーを入れてきてくれた田中君も、思わず聞いて来た。


「代表! 光恵ちゃんのお母さんは何者何でしょうか?

あの腕、あの佇まい、超一流のシェフか超一流の板前が醸し出す雰囲気ですよね?


何であんな人が市井に埋もれて居るのか、訳がわかりませんよ」


「私も驚いてしっまったよ!

然りげ無く出して来たけど、料理に一切の手抜きが無かったし、器選びにおいても妥協は一切感じなかった。


間違いなく超一流の職人しか持てない、雰囲気を持って居る方だね。


少し調べて見たいな、悪い意味ではなく個人的興味だが。


しかし彼女を怒らせたく無いから、慎重にお願いするよ」


「解りました、お任せ下さい。


それはそうと此れからの予定ですが、もうじき地区の自治体と商工会議所の責任者が見えて、周辺事態対応の為の会議が入っていますし、その後夜も親睦会を行い酒席になります。


その時に、代表から例の宴会と言うか祭りの事を、提案して頂けると一番無理が無くて良いのですが。


先程ヲン様から聞いたのですが、今年はパンデミックの影響で秋祭りが取りやめに成ったので、その代替として今回の宴を行うのが、宜しいのではと提案が有りました」


「ふっ、ヲン様は祭りが好きだからね、地震の影響で2011年に行え無かった時は、つまらなかったそうだよ。


本来日本の神様は宴が、何より好きな方が多いからね。


変に自粛ばかりしていると、迷っている連中も行くべき所への、道標が分からなく成って、1年無駄に迷う事になるので自粛はしない方が良いそうだ。


しかし中には自分の思い込みで、自粛した方が死者も有難がると、思い込む連中もいるから嘆いていたよ」


「死者は本当に死んだばかりで、祭りなど開いても怒らないのですか?」


「祭りは祀りでもあるし、降霊の意味も強いのだよ?


祀りを行い神を下ろす事は、あの世とこの世の境界を薄くする意味もあるのさ。


そうする事に因り冥界への道も、通常より濃くなるので新たな御霊は、あの世への道が開かれて逝くべき世界へ旅立ち易くなるのさ。


中には弄れ者も居て怒り出すKYも居るが、そんなのはかなりのマイノリティであり、大半は逝くべき世界の扉が解る方が良いだろう?」


「そうですね、行き先が判らず振ら付くより、道標が出来た方が私は嬉しいです」


「現代の日本はWW2以降のUN因る占領政策で、本来の宗教的な物事を否定されたせいと、伝統文化破壊の政策に因り霊的に見ると、非常に不安定な状態なんだよ。


宗教破壊を行なって来た、A国等は自身はキリスト教大国であり、宗教は否定してないし、C国やソ連は共産主義教と言う新興宗教の、宗主国足らんとして居る連中だから、誤魔化されてはいけないし、宗教の危険に一番鈍感な国民に、成って居るのが現状だからね」


「そうですね、K国人やC国人が靖国神社で神を貶める行為をしても、我が国の識者と言われる者達は、大目に見ろと言いますが、他国で異教徒が宗教施設で、勝手な真似をしたら命は無いですから。


その馬鹿が後に其の国で殺されても、警察も相手にしないそうですからね。


これは私のEUの友人が言っていた事ですから、モスレム圏の狂信者国家が起こした行動ではなく、ヨーロッパでも先進国でもそうなるそうですからね」


「日本の識者と言うのは未だに、ユートピアが有ると思って居るのが笑えるね。


大体「ユートピア」を礼讃する連中は、原題に成った小説を読んだことは無いだろうね。


私は読んだが、今一番ユートピアに一番近い政治形態を、取っているのは何処の国か知ってるかい?」


「フフ、代表! 私も読んだことが有るから知っていますわ。


答えは我が国のお隣で、ある政体を堅持すると、大見得を切って今正に風前の灯火状態の、北の国ですよね!」


「その通りだよ、私は昔皆がユートピアと騒ぐので、読んでみてあきれ果てた覚えがあるよ。


まるで旧ソビエトの様な独裁国家で、結婚から旅行まで管理されて居て、私財の私有は一切禁止であり、奴隷まで平気で居る世の中にあんたら耐えられるのかと、良く何なにピアとかビルや雑誌に命名して居る、経営者や団体の長の教養の無さに呆れ果てたものさ」


「もう良い加減他所の文化を咀嚼もせず、丸呑みにして喜ぶ時代じゃ無いのに気が付かない、識者に騙されたく無いですからね。


・・・・・あ、内線が鳴りましたから、お客様が見えた見たいですので、第一小会議室へ参りましょう」


俺達は地域の主立った者達が集まった、会議室に向かった。




Pday 11日目

PM16:03 福島県双葉郡浪江町請戸 大平山近辺 旭製薬福島工場

     管理棟 CEO室


地域自治体の首長と、顔役等との会合が漸く終わり部屋に戻って来た。


話を聞くとやはり周りの自治体(町や村・市や県等)は、独自の治安維持やゾンビのスタンビート対策に対して、中央の支援を当てにして計画を立てて居る為、現状で後手々に廻ってしまっているようだ。


総理や自治省は現在中央政府は、体制の立て直しを行なっており、一年位は地方独自の対策を最低限行わないと、不要なダメージを受けてしまい、立ち直りに差が出来てしまうと通達を発信して居るのだが。


浪江町やその近隣の自治体は、旭製薬を中心にある程度治安が維持されており、感染者に対しては緊急事態故の殺処分を認めており、反対する者や団体には断固たる処分をする旨、繰り返し厳命して居る為に治安は最低限守られている。


又、ケーブルTVを使った、ゾンビウィルスの特集を何度も放送して居り、ウィルスの特徴や発生元、発症した場合は既に肉体的には死亡して居り、完治は100%無理であり、感染方法は体液感染で咬傷や、傷からゾンビの体液が皮膚内に入ると感染する事を、何度も放送してデマや誤報の蔓延を防ぐ処置を怠って居ない。


又、ケーブルTVと地元FMラジオで、周辺の情報を絶えず発信する事で、治安維持上の住民の不安観を減じて居るし、食料や物資の配給を地元青年団や消防団に依頼して、そこからも当面の物資は安定して供給出来る事を伝え、いざとなった場合ケーブルTVを設置した時一緒に設置した、無料の地域電話を使いSOSを発信出来る体制を取って居る。


このケーブルTVは対パンデミック時に、地域の安定と治安維持の為旭薬品がバックボーンに成り、無料で設置したインフラであり、災害に強い方式を取って何時でも直ぐに、警察や医療機関に連絡が取れる様設定されて居る。


今回予定されて居る宴も、パンデミック下では有るが最低限の治安維持を取りながら、取止められた秋祭りの代わりとして、旭製薬が食料や酒類等を拠出して行う事が、今夜のケーブルTVとFMラジオで早速放送される事となった。


この話を地元の首長に話した所、非常に喜ばれて是非やるべ! と言う事になった。


この様なある種切迫した状況で、祭りを行うのにはやはり、不安視する向きもあったが、山神様に相談した所近い内には何か事は起こりそうも無いと、お言葉を賜ったから大丈夫だと話すと、安心したようである。


やはりこう言う場合超常の力を振るう、陰陽師と言う立場は便利な物だと思う。


普通の会社の社長であれば何神懸っているのだと、判断されて相手にされないのだろうが、会社の代表であり陰陽師である俺の立場だと、以外と相乗効果で信用がいや増すみたいだな。


俺は今CEO室で先程の町長や警察所長、地元の教育委員会の委員長と話合った結果の報告を、工場の責任者を交えて伝えて居る所だ。


「では代表、祭りは3日後の午後4時から三日間行う事とし、工場の職員や家族も3班に分けて協力する事とするのですね。


まあ現状バイオジェルも量産体制で、自動ラインを稼働させて居るので、機械のメンテナンス要員を3交代で、フル稼働にしているのでその要員と研究所の、ウィルスワクチン開発スタッフ以外は比較的、手が空いて居るので大丈夫ですね」


と工場長の矢島場長からの報告である。


「警備の方はやはり3班に分けて、1日ずつ祭りに参加する班と警備に参加する班、境界警備に付く班に別れて仕事をするので、取り敢えず問題は無いと思います。


懸念事項はやはり北方の町が、ゾンビのスタンビートに飲まれないか、それが一番の懸念事項ですが、[おもいかね]のシュミュレーションでは、10月の末辺にこちらへの影響が懸念されるとの事です。


その他「草」の報告では、周りの町や集落で何箇所か感染に因り、壊滅した場所はありますが、現在境界部分に柵や堀等の施設を鋭意設置して居るので、人間や野生動物以外のすり抜けは、難しい状況に成って来ているでしょうね」


警備主任の富塚隊長から周辺状況の報告があり、10日以上立たないと問題は起きない可能性が高い様である。


「では3日後の「秋祭り」は無事開催出来るようだね、それは結講な事だ!


こう言う時こそ油断しては行け無いが、張り詰め過ぎても精神的に参ってしまうので、息抜きは必要だからね。


そう言えば[おもいかね]が管制する自動警戒網の設置は、どの程度進んでいるのかね?」


「陸側は89%の設置が終わり、後3日も有れば完了致します。


海側は後回しにしていたので、65%程終わって居ますが、後20日前後は設置に時間が係りますね。


何せ砂浜と潮風が強い為に、音響ソナーが雑音を拾いそれをソフトで除去する部分に、手間取っていますから


各種センサーカメラに因る監視網は97%、問題無く稼働して居ますので、現在そちらを使って監視を行なって居ます」


「残り3%は何故終わって居ないのですか」


「今の所シュミュレーションを行った所、3%の死角が発生しているので、その部分に関してカメラの増設で、対処して居ますので、明日一杯で120%完了する予定です」


俺は管理者二人から現在の警備や、統治に関する問題点や不明点の報告を受けており、後一月程経つと周りの状況も落ち着く様だ。


「後はいざとなった場合の避難先作りは、計画通り進行して居ますか」


「はい、計画は順調で避難場所の確保及び、シェルターは住民数の140%で用意し、昼間に出先で警報が発令された場合でも、1箇所で1.4倍の避難民を受け入れる事が可能です。


ゾンビに囲まれた場合に使う、防犯ブザーも1人2個ずつ配布してありますし、避難訓練は週一で不定に行なっており、自警団・消防団以外は基本的に全員参加で行なって居ますし、農村部の為か不参加者も少ないですね」


「そうですか、ではいざとなれば避難誘導の方は問題なさそうですね。


装甲車両の方も定数以上配備されていますし、重機の装甲化も終わって居る様なので、ゾンビや暴徒の襲来にも心配せずに済みますか」


「後、消防団や自警団は定期的に[外]へゾンビ狩りを行い、いざと言う時に戸惑わない様に、訓練していますがやはり10人中3人程は、カウンセラーのお世話になる人が出ますね。


こればかりは今の日本では仕様が無いので、精神ケアーを団の他の精神的に強い者にも手伝ってもらい、共有させる事で追い込まない様に教育しております」


「それは良い手ですね、皆で分かり合えればかなり違いは出るし、変なイジメの温床に成りづらいですね」


「ゾンビは今の所変異体が出たと言う報告は有りません。

改めてゾンビの特徴を言いますと


① 感染にした場合、感染から1分〜6時間以内に感染者の95%が発症し、心停止及び脳波停止状態に成りゾンビ化する。


② ゾンビ化後には脳波がα波のみ観測され、その他の波動は計測されなく成り、体温は約39℃〜40℃で一定して居る。


③ 痛覚は無くなりエネルギー代謝は血液以外の方法で行われ、筋肉のリミッターが外れた状態に成り、握力・腕力・顎力が異常に上り捕まれば、成人男性でも引き裂かれる可能性が非常に高い。


④ 行動速度は落ち早足程度の速度でしか動けず、30cm程の段差も登れなく成り、探知能力も聴覚は通常の人間の5倍程で、嗅覚は1.5倍程度にアップするが、視覚は角膜の白濁のせいで然程良くは無い。


嗅覚も呼吸自体を行わない為、行動のため体を動かした場合に偶に鼻腔に空気が入った場合に、使われるだけでほぼ8割方音に頼って居る。


⑤ 感染方法はゾンビの口腔内の唾液に、非常に多く含まれるウィルスが、人体の表皮にある傷から感染し、体内で増殖して感染を引き起こすある種のレトロウィルスの一種である。


ウィルスの多い唾液は口周り以外、手等に大量に付着して居る事がまま有り、爪傷からも感染する事が多いが、雨に晒されたゾンビは意外に爪傷からは感染しない場合もある。


⑥ 知能は極端に落ち、言語は理解出来なくなり本能の侭に、キャリアーを増やす為に人に対して噛み付き攻撃を行う。


⑦ 今の所他の動物が感染する事例は報告が無く、消毒もアルコールの70%希釈液か塩素剤で粗99%の除菌が可能である。


以上ですね」


「まあ変異がまだ起こって居ない事はいい事だ。


今の段階だと数の暴力以外なら比較的対処は、楽に出来るから一般人で有っても、遠くからの攻撃や長柄の槍状の武器の攻撃とか、足を絡めて転がした状態で中枢神経を断てば、簡単に駆除出来るからね。


後は止めを刺す事が出来るかの問題だけだからね」


「其の辺は個人の適正としか言い様が無いですね、普段大人しく柔らかな人が意外と平気でゾンビを撲殺し、精神的後遺症も無い場合もあれば、逆のケースもあるのでなんとも言えないのが実情ですな」


「それから海外の現状ですが、今朝程ネットや日本軍の情報を閲覧した所、半島の北から十数隻の避難船が確認されましたが、軍が警告の後こちらの勧告を無視して、日本に向かいましたので全て撃沈した模様です。


これを受けて日本政府は大陸からの、感染難民を阻止する為に海軍と空軍に、北の港の渡洋出来る船を殲滅する特例措置を、世界に発信し本日実行する旨通達しました」


「やはりそうしましたか、まあ北はウィルスの発生元のK林省から近いですから、そちらから変異型のウィルスが飛火するのは、御免ですからね。


しかしまだ渡洋出来る船を、隠し持って居たのは驚きです」


「そうですね、多分秘密のドックに隠して居て港からは、帆走したか櫂かオールで出港して外洋で、エンジンに切り替えて脱出した、党の幹部か王朝の誰かかと思います。


パンデミックが発生してから約8ヶ月経ちますが、そろそろ発生元から変異種が発生してもおかしく無い時期ですからね。


冷たい様ですが防疫と我が国民の生命財産をこれ以上、大陸の犠牲にしても何らリターンが無いですから、それ所か彼らを救っても感謝所か言掛りを付けられて、賠償を求められるのが毎度の事ですので、助ける必要は無いでしょう」


「まあ世界に冠たる大K民国にC鮮民族なのですから、きっと自力で自己救済は出来るでしょうな!


ましてやこのご時勢で、南北協調して我が国に責め入ろうとした程、国力が余っている連中ですので、放って置いても自力で何とかしますよ」


「後R国の「東制港」はやはり感染騒動で、北方軍管区が我が国に水面下で防疫とワクチンの配布の交渉して来ましたが、我が国も同じく国内がパンデミックでそれどころでは無いと、本国に頼ってくれと総理が返事をした様ですね」


「やはり本国は極東方面は切り捨てたのでしょうな、北の国は其の辺はシビアですから、流刑者の子孫にはいざとなると冷たいですな」


「そうですね、南支那海海戦には間に合わなかったですが、北には既に「神心」が配備されつつ有りますから」


「対C国海戦にはやはり最新のFJX3はオーバースペックですからね。


あちらにはF―15イーグル改と[おもいかね]で充分対応可能でしたから大丈夫と、提督が仰っていた通りですから」


「事実その様になりましたが、やはり開発力ではEUと裏取引がある、R国はポット出のC国より恐いですからね、総理の判断で北海道に温存されたのはそのためですよ」


「ええその通りです、そしてA国の国策に因る嫌がらせで、散々我が国のFJX計画は潰されて来ましたから、現在のA国・民主党政権が2期続いたのは、我が国にとってはある意味神風が吹いたのかも知れません。


御蔭で今回のパンデミック過に於いて、共和党政権下に於いて難しい舵取りをしないで、済みましたから非常にラッキーだったです」


「あの大統領が政権を取って居た御蔭で、かなり楽をさせて貰いましたね。


ある意味営業マンの様な人物ですから、読み易い人物では有りますからね」


「一定の利益を出して、出資者(有権者)に利益を還元しつつ、自身も儲かればある程度満足する性格ですから、共和党の大統領の様に白人優越思想も無いので楽でした。


2流国の大統領なら程々の成果を挙げられて、名大統領と言われたでしょうが、あの国を舵取りするには役者が足りないですね」


「まああの人物が長に選ばれるのは、彼の国の凋落の時期が来たサインだったのでしょうね。


もし天がA国を味方するとしたなら、本来この時期には共和党の白人が大統領になっていたでしょうから」


「『驕れる者久し駈らずや』と言う格言は、キリスト教圏やイスラム教圏には無い思想ですかね?


一神教では奢り昂ぶった思想の歯止めになる、格言や至言は事神の使徒達には無縁なのかも知れませんな。


まあ異端者審問が未だに幅を効かせている、宗教後進国では行き過ぎた権威の集中の弊害に、意識が向くはずも無いでしょうから、一神教の欠点にも今だ気づかず、多神教を原始宗教と貶めて喜ぶ、其れこそ原始宗教を信望して居るのは自らだと、相対的に気付かない連中ですからね。


今回のパンデミックでは一神教徒は、出来るだけ数を減じる方策ですから、パンデミック後は世界はかなり風通しの良い、思想界になるでしょうな」


「そうですね一神教国の人口比に於ける、影響をなるべく減らす方策は無論撮りますよ、何せ宗教対立は21世紀後の世界安定に取って、重要課題ですから先鋭化し易い一神教徒は、出来るだけ数を減じる予定ですからね。


彼ら一神教徒が地球の思想界に蔓延った御蔭で、如何に有益な人々が不利益を被ったか知れません。


ヨーロッパのアジア侵略の歴史の影に必ず、ローマの影が暗躍していましたし、20世紀後半からキリスト教徒対モスレム教徒の、テロ合戦で何れ程他の無関係な宗教信者が、大迷惑を被ったか知れませんから」


「両勢力合わせて5千万人以下に、人口を抑え込む必要があるでしょうね。


場合に因っては両勢力地域に、変異体ウィルスを意図的に蔓延させるのも、いい手法なのかも知れませんしね」


「そうですね其の辺も視野に入れて、色々戦略は考えて居ますが欧米とアフリカ・中東圏に変異体ウィルスを、ある程度蔓延させて人口を減らすのも、考えて居ます。


元々今回のパンデミックも欧米の投資会社が、自身の資本を回収する為にC国へ無制限に、資金を融資したのが最大の原因ですし、それを『提督』のシンクタンクが上手い具合に、ネット上で広がる様に仕向けて居る為、余りC国に対して欧米勢力は強く出られないのです。


だから世界の動向は今、誰が最大の主犯かを追い求めるのに夢中で、ASEAN各国や東北アジア各国は、どちらかと言うと最大の被害国であり、欧米やC国に対してどうにかしろと、苦情や賠償を求める動きをしてもらい、彼らを牽制して貰って日本の動向を、隠して貰っているのですよ」


「後はパキスタンとマレーシア、そしてウィグル人の動向は注意しないとですね、彼の国はアジアに打ち込まれた、モスレムの橋頭堡ですから上手に数を減じ無いと不味いですからね」


「まあパキスタンはモスレム教徒の管轄で、インドと国境が有りますから[おもいかね]で核を封じ込めながら、イスラム圏として対処が可能です。


ウィグル自治区もC国国内問題として、ワクチンの配布を最後に廻せば、コントロールが可能です。


一番の問題はマレーでしょう」


「あそこを今後どう扱うか、其れが問題ですね。


一つの方策としてマレーのトルコ化を誘導する、と言うのはどうかと方策があります。


その為にマレーにあるモスレムの関係者に対する、ネガティブ工作を行うと言う手を実施して居る所です」


「富塚隊長そちらの工作は上手くいっているかな」


「はい代表、彼の国の有名ラビに対しての諜報工作を実施し、金や女性関係のスキャンダル等の、情報を小出しにリークしてスンニン派とシーア派の対立を煽っていますし、同じ派内でも対立を煽りそれを外から他の宗教の者が、呆れて見守る構図が出来つつあります。


国内でも余りの醜聞に嫌気がさし、改宗する人が多く出はじめてイスラム教に対する信頼がかなり揺らいできて居り、教徒の中心からかなりのゾンビも発生して居るため、かなり末期的な状態ですね」


「あまりやり過ぎ無い様コントロールしないと、逆に教義に対する試練の時が来たと、張り切る奴らが出ますので注意しながら、行なっていますよ」


「こう言う場合には生かさず殺さず、閉塞感を煽り別の宗教に勧誘するのが一番理に適って行く為、強い毒より老衰して逝く苦痛の少ない方法での、投薬方法が人の心を折るのに適切ですね」


「元々あの辺でイスラム教が布教されたのが、西洋列強が支配した為に民衆に絶望感が蔓延した為でしたよね?


本来は小乗仏教とヒンズー教が主体で、平和な地域だったのがキリスト教徒と言うウィルスに対抗する為、イスラムと言う毒を注入してしまった不幸な地域なのだろう」


「全く一神教と言うのはまるで悪性のウィルスと同じ、性質があるので困るよ。


唯一絶対正しい神を頂く所為で、一切の自己反省が出来ない進歩の無い、ある意味進化の袋小路に追い詰められた、絶滅危惧の存在に自身が絡め取られた不幸な存在だと気付かないからね。


この物質界に生まれたら無謬は有り得ない事柄なのに、それを妄想して他の者に押し付ける自身が禍津神の使徒になったのに、まるで気付かないのには呆れるよ」


「まあ一神教徒と神の話しをて居ると、本当に退屈で飽きますからね。


只自分の信仰している神のみ偉大で、偉いと手を変え品を変え話すだけで、学ぶ点も見習うべき点も少ないのが実情ですから、も少し他の人を想いやった話をして欲しいです。


いくら自分の神に忠実で俺は偉いだろと言われても、他の宗教との連携とか融和の話が出ませんし、世界平和は自身の神が世界を征服した暁にやって来ると宣う、どう贔屓目に見ても世界の争いの基になっても、平和の使者には成らない、公平に見て魔王の配下にしか思えないし、行動もその通りなのに気が付かない連中ですからね」


「残念ながら一神教とは、悪魔教の種を宿した宗教だと思うよ。


一神教の特徴は唯一絶対神を信仰する事であるし、この現実世界とは物質世界であり、絶対矛盾の世界でもあるのだから、唯一絶対神とは〝混沌(矛盾)の神″であり〝幻想の神″であるわけだ。


ある宗教では神とは名前と形を変えて、色んな神に顕界するのだと解いているが、唯一絶対神を信望し求める者にはその考え自体が、異端であるため絶対に容認出来ない考えだ。


だから唯一絶対神を信ずる人間は、端から全ての他の神は認めないし、認めた場合は異端者になり神敵、つまり悪魔教徒になるのだから絶対に相容れないのだろうね」


「だからと言って思想弾圧をして、改宗を強制しても昔から彼らは意固地に成って、地下宗教化して生き残るから始末に悪い。


良く徳川幕府政権下でキリスト教を禁教し、その理由を当時の信者に侵略の為に使われていると話して、説得をしたけれど結局自身の信念の為に、日本が侵略されようと構わないと説得に応じなかったそうだ。


その為当時の幕府の為政者は説得に応じない、潜在的宗教テロリストを見せしめを兼ねて残酷な手法で、処刑したのだがそれが現在の進歩的な、学者さんに言わせると酷い弾圧だと言われるのだからやってられないな」


「日本ではかなり弾圧だと言っても、大人しくしてれば見逃してくれる位甘かった見たいですよ。


他所の国では弾圧する場合徹底的に、ひとり残らず赤子でさえ見境無く、絶滅させて居た歴史資料が見つかりますが、日本ではあんなに隠れキリシタンが残れる程、目立たなければ見逃して貰っていたそうですね」


「まあ学者は歴史的事件を大げさに、其れこそ嘘じゃ無いが実態と合わない大げさな表現で、論文を書くまあ週刊誌の記者見たいな連中だからね」


「今の所目立った世界の、動きはそんな所だな。


欧米や中東方面にアフリカも、今の所我々アジアの動きをそんなに詳しく掴んで居ない。


わざとそう仕向けて居るし、ASEANの小国等は態と世界に情報を発信しない手を、打っている所も出て貰っている国も有るくらいだ。


本当は裏ネットで密に情報のやり取りは行なっているのだが、まるでパンデミックで国が滅びた様な振りをして、情報を発信せず受信のみに留めているのさ」


「そうする事でパンデミックの負債の見積もりを、アジアが大きいと誤解させる手を打つ訳ですか」


「その通りです、そうする事で此方を気にせず自国の事のみにかまけて、我々にチョッカイを掛ける事がしづらくなるでしょう?」


「そうする事で今後我々が影で色々動いても、気づいた時にはもう体制は決まった状態に、一気に動かすのですね」


「ええ、気がつけばもう追いつけない位、引き離す必要がありますね」


「仏教宗派の少林寺には『力愛不二』と言う言葉が有るが、“力なき愛は 無力 愛なき力は 暴力”と言う意味だ。


要は幾ら自身が不戦を標榜し、戦いは悪だと唱え相手に自身の実力を示さ無い事は、要らぬ争いを産み戦の基になり、数千数万の死者が出てしまい却って大悲劇を生む。


丁度第一次世界対戦の後、近代戦争の結果が恐ろしい死者の数を産み、それを恐れたヨーロッパ諸国が行った対ドイツ政策の不戦主義が、ナチスの台頭を許してしまった為、更に酷い死者を出す第二次世界大戦に継った結果を見ると判るだろう。


WW2以降『動機』はともあれA国の取った『戦略』は、私は認めるよ。


彼の国は結講上手に世界の〝火消し″を行なって来たからね!


世界の〝警察官″としてはそれなりの、評価を与えても良いだろう。


『動機』の方が余りにも稚拙なため、全てを台無しにしているのに気付かないのは、お笑いなのだけれどそれ以外は、割と上手に収めて来たからね」


「『動機』が稚拙と言うとどう言う事でしょう?」


「余りに世界統治に一神教である宗教的観念を持ち込過ぎたのだよ。

地球文明をリードするには宗教の扱いを間違えると、大事になりカオス化して集収が付かなくなるからね。


世界統治を模索する段階で、一神教的プログラムを使って統治する方法は、色々な宗教がある地球文明では軋轢が大き過ぎ、絶滅戦争の引き金になる公算が大きいのだよ。


それと同じで無神論・科学的アプローチでも、共産主義の〝大いなる実験″の結果でどうなるか予想は出来るだろう? 言うなれば別の形の一神教だからね、彼ら科学の使徒達は。


で、考えられる次善の方策が多神教的プログラムに因る、宗教的集合案しか出口が見い出せ無かったのだ。


多神教は他の神を基本滅ぼさない、非常に協調的な思想だからね。 


一神教の様に自身の考えを押し付けるのでは無く、協調と共生・互助と生かし合いが基本理念だからね。


一神教は薬で言えば超劇薬でありどちらかと言うと、薬と言うより毒薬以外の解釈は事実上不可能だ。


ではどうするかと言うと、パンデミックで一神教徒の人口を人為的に減らす事にしたのだ。


そして世界で一神教と言えば、キリスト教とイスラム教そしてその母体であるユダヤ教だ。

特にユダヤ教が全ての一神教の母体になって居り、今後地球文明を発展させて行く上で、大きな弊害になるシュミュレーション結果が出ている。


だから我々のシンクタンクはパンデミック時に、かの宗派の人口を1億以下、出来れば5000万人以下に減らし、パンデミックが起きた原因も各国の研究者に因って、シオニズムに事の根本原因があるとの論文や、マスメディアやネットを使った情報戦で意識を誘導する計画だ。


実は蹈鞴博士に依頼して、ウィルスのワクチンも博士の提唱していた、根治型のワクチンと、従来の特定型のみに有効なタイプの2種類を製造してもらい、多宗教国家には根治型のワクチンを渡し、一神教国には特定タイプのワクチンを先に優先して配付して、再度のパンデミックを誘発させる予定なのだ」


「ある意味『悪魔の選択』ですね」


「それは自覚しているのだが、 [おもいかね]のシュミュレーションをしても、別のシンクタンクでの結果も同じく、今後20年以内に90%前後の高確率で人類滅亡、60%の確率で現文明滅亡と出てはな」


「そんなに高い確率が出てるのですか? 以前代表にこのままの道筋で逝くと高確率で、地球に住む生物の98%は未来が無いと仰っていましたが」


「3ヶ月程前に出た結果だよ。


その時にどの様な道筋で行けば、回避出来る確率が一番高いか計算した方策が、今行なって居る計画の骨子に成って居るシナリオだ。


我々のシンクタンクが現在行える最高の英知を集めて、プログラムを組んだシュミュレーションソフトを、素粒子コンピュータを使い計算した結果出した、結果を反映させて出来たシナリオなのだ。


本来誰だってこの様な選択をし、神の代行者の様な行動をしたくないよ?


私だって知らない気が付かない立場なら、こんな行動をしたくは本来ないのだからね。


しかし気がついてしまい行う力が偶々有った為、行動すれば助かる確率が因り高くなるのなら、人類の未来に賭けてみるかと決心し行動を起こす事にしたのだよ。


この行動は神の代行者がする行動なので、お前の様なやつが行う資格は無いと言われても、気がついて力がある意味を考えると、行動を起こす意義はあると思ったからやっていると言わざるを得ないな。


この計画を推進する決心をした時点で、地獄行きは覚悟したのだが、今でもこれ以上の計画を誰かが考えてくれないか、と思う事がしばしばあるし逃げたくなる時もあるよ」


そう言うと皆に自嘲する様に笑ったのだった・・・・・・。



少し周りが楽になったと思ったら、風邪をひいてしまいました。


やはり間は魔に通じると言うけれど、その通りと思いましたね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 「両勢力合わせて5千万人以下に、人口を抑え込む必要があるでしょうね。 場合に因っては両勢力地域に、変異体ウィルスを意図的に蔓延させるのも、いい手法なのかも知れませんしね」 「そうですね其…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ