表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感染戦線  作者: ヘロおやじ
第 一 章 調 布 編
34/72

34.Pday 10日目

AM11:43 東京都大田区羽田空港沖 東京湾


俺達はまず50㌩の速力で、20°程に広がる角度を付けながら、V字型の編隊で近づくヘリに向かって、横並びで突っ込んでいった。


僚船との間隔が40m程離れた時、急減速をし行き成り左へ回頭して、へりの下で90°回頭し横浜方面へ、艇首向けたと同時に田所・鬼山ペアが、ルーフの穴からロシア製携帯対空ロッケット弾、9K38 [イグラ]を抱えて立ち上がった。


3機のヘリはボートの予想より素早い速度と、小回りの効きに一瞬翻弄されて、ボートを見失い再度発見した時は既に、ロックオンされた後だった。


これがヒューズ500MDだったなら、まだブレーク出来るだけの俊敏性が有ったろうが、残念ながら空戦より対水上戦を意識した為、ガンナーでの制圧射撃を選び、この機種選定の基準になったのであろう。


しかしその僅かな選択ミスが、勝敗を決したのである。


敵の指揮官がインフレータブル・ボートと侮らず、対ミサイル陣形を取って間隔と高度をばらして居たら、又結果は変っていただろう。


しかし優秀な対空ミサイルを持った、熟練兵の複数いる集団に密集隊形を取って突っ込めば、結果は明らかである。


戦闘とは如何に相手のミスを突き、己のミスをフォロー出来るかで勝敗が分かれるのだ。


ヘリの指揮官はヘリボーン作戦の経験が無かったか、経験が少なかった様だ。


その結果は戦場では素早く冷徹に下される。


彼は気がついた時には自身のヘリに、船上から発射されたミサイルが迫るのを、何処か他人事の様に見つめているだけだった。

次の瞬間白い光に呑まれ、感覚が無くなるのを感じただけだ。


2機7人が乗っていた僚機が一瞬で、爆発墜落をして行くのを見た残り1機のパイロットは、慌てて高度を上げると岸に向かい、離脱しようとしたが、そこへ駆けつけた武装ヘリヒューズ500MG3機に包囲され、たちまち撃墜されてしまったのだった。


『ヒュー、やはり現代の海戦や空戦は、所要時間が短いと言うのは事実ですね。

陸戦ならもっと時間が掛るのに、長かった様ですがわずか、5分足らずしか掛からなかったとは、驚きですね』


『しかし何処の勢力だろう? わざわざ日本本土まで出張してまで、代表を確保したがっているのは』


『私の会社の開発力は定評が有るので、引く手余多で今では見当も付かないよ。

後で落とし前はキッチリ着けて、二度と繰り返させない様にして置くさ。


さて皆さん、完全には気を抜かないで欲しいですが、多分問題はもう起こらないと思いますので、待ち合わせている船にご案内出来ます。


時間にすると20分程で着くと思いますが、船に到着するまでゆっくり東京湾のクルーズを満喫して下さい。

尚乗船して船室にご案内したら、直ぐに食堂で昼食になるので』


俺はそう皆に伝えるとボートを、横浜港へ向けたのだった。




Pday 10日目

PM12:13 神奈川県横浜市中区南本牧コンテナ埠頭 付近の海上


武装商船[モーニングサン]30,000tに着いた俺達は、収納は船員達に任せて早速割り当てられた船室に入った。


船旅と言っても精々見積もっても、5時間位の行程だが港に着いても、大した距離ではないが日没以降の行動は危険なので、1晩船上で明かし、翌朝工場へ向かう予定である。


俺は上級士官室を充てがわれており、この手の船では電子戦設備の整った部屋である。


この船はバブル期の置き見上げの小型タンカーを格安で買取し、改造を施した武装商船になっており、下手な海軍輸送艦より重武装であり、撃たれ強くなっている。


燃料自体も海水からBBLSGの電力で水素と酸素を作り出し、それを使って燃料電池とBBLSGで発電し、バイオゲル蓄電池で蓄電された電気でモーターを駆動させる、電化された機関で運行されて居る為、パンデミック災禍のこの時期に燃料と真水の心配をせず、自由に航航出来る運行コストの非常に安い船である。


又、非常時には防空護衛艦である、[ながと]級と同じ超伝導推進を、連続30分間だけだが維持出来、その際の速度は最大70kt(水中翼を併用)で高威力の魚雷攻撃の回避や、戦闘艦の追尾を振り切る事が出来るのだ。


武装は懸垂式隠蔽型125mm速射法2基に、懸垂式隠蔽型25mmCIWS2基・対空ミサイル シースパローランチャー6基・近接対空防護用短SAMランチャー4基・RUR-5 アスロック改対潜ミサイルランチャー8基・対艦ミサイル90式艦対艦誘導弾SSM-1B改10セル・XM13対空対艦光学レーザー砲1基が隠蔽されている。


その他シーホークヘリ2機と500MG武装ヘリ4機に個人ヘリの[GEN H-4]改武装小型ヘリを5機・ロボット空中管制機[ブッタeye]を4機積んでいる。


他には大型折畳み内火艇2隻・小型折畳み内火艇4隻(全船ステルス塗装済み)・LCAC-1級1隻(後部格納庫)・ウオーターバイク4隻・軽装甲車両5台・小型装甲トラック2台・装甲ミゼットⅡを4台・250ccオフロードバイク4台を積んでいる。


外観は3万トン級貨客船の体をなしているが、いざとなると下手な戦艦より強武装であり、逃げ足や優秀なECCCMを装備して居る為、目視以外での捕捉は難しい艦に成っている、ヘリ空母でもある。


またレーザー砲は[ながと]型より出力は弱いが、全高40m有る折畳みマスト部分に試製13式光学反射照準器を備えて居る為、発射中でも自由に発射角を即座に変えられ、ナノ波レーダーに優秀な電脳と相まって、20mm砲弾以上の迎撃すら行える能力がある。


形状は大隅に似ている形状をして居るが、アイランド型艦橋はもう少し後方にレイアウトしてある。


全長228m・全幅28m・深さ22m・吃水7m・排水量 基準20,800t 満載31,000t・速力 通常最大30kt (水中翼使用時70kt)・機関 三津芝&旭工機製AC45電動ジェット推進モーター4基 (150,000hp)・推進器 2軸(600,000hp)。


通常は艦上に偽装コンテナで覆われ、コンテナ輸送船に偽装しており、中型のコンテナ船にしか見えないが、実際はコンテナの中はミサイルランチャーや砲が隠されて居り、戦闘時には即座に武器が姿を現し攻撃を始める。


偽装コンテナは平に積まれた様偽装されており、一見凹凸が激しい通常のコンテナの天井部分に見えるが、緊急時にはフラットな甲板に成り、ヘリや[ブッタeye]の運行が出来る様になっており、コンテナの色や柄も変える事が出来る為、偽装やカモフラージュも簡単に出来る様工夫されている。


乗員は運行だけだと23人で済むが、戦闘行動を採る場合250名の人員が要る。(陸戦時は最大1,000名の人員を載せられる)


現在は125人で通常の作戦行動を行なって居る。


俺は早速田中君と落ち合って、船長と今後の予定を話に行く事にした。


「しかし襲撃者達の目的はやはり、私の身柄を押さえてワクチンの開発状況や、福島工場の防衛状態の確認等だろうな」


「今の時期に代表を拉致するとしたら、それが一番の目的でしょうね。


常連組は上手く行けばラッキー程度の考えと、代表の事をあまりご存知無い機関のミスリードでしょうね」


「まあ、何時もの遊び相手ならしない杜撰な作戦だし、あの程度で私を拉致出来ると思って居る、常連さんは居ないからね」


「今頃常連組から話を聞いて、戦々恐々として居るのが目に見える様ですね」


「まあ、私以外を巻き込んだ場合の報復の怖さは、知る人ぞ知る厳しさに定評があるからね、期待を裏切る事をしては不味いだろ」


「先程〝裏″に聞いて見たら、複数の国の今まで〝付合い″の無い部署からの、お誘い見たいですわ。


一企業のCEOを相手にしたとばかり思って居るでしょうが、今頃二つ名持ちの恐い者を相手にしたのを、後悔しているでしょうね」


俺は今の田中君の一言に思わず眩暈を起こした。

嫌な汗が背中と額からダラダラを垂れ、青を通り越して白い顔に成って居ると思う。





「・・・・・・・・・・・・・ダ~~ナ゛~~ガ~~グ~~ン゛!!それは言わない約束だよ~~」





俺は地獄の最下層の亡者からの、怨嗟の声を思わす声を上げた。


「イヤですわ、代表! そんな不気味な声を上げないで下さいな、愛美ちゃんに聞かれたら怖がって逃げられますよ?」


う゛~~~~~~っ この女絶対楽しんでる!


しかしこの厨二全開の二つ名付けた奴は、再起不能になるまで叩き潰して置いたが。


ヨーロッパ人・特に東欧系の馬鹿は何故こんな恥づい、二つ名を付けられて喜んでいるのが解らん!


何が悲しゅうて「ザ・ソーサラー」などと言う、厨二病全開の二つ名を付けられて喜ぶか!?


「THE」まで付いて居る何て、どんな呪いだよ全く?


この二つ名を聞いた時は2週間休暇をもらい、付けた奴を見つけてタップリ落とし前を着けてやったさ!


そしたらマジこの二つ名が、そっち方面で定着してしまったのは、後の祭りだったがね。


この二つ名はその後の、俺のトラウマになったのは言うまでもない事だが、今だ納得は行ってないぞ!


俺がヤサグレながらアイランド型デッキに行くと、船長の元海自

2佐 月夜野 定昭 キャプテンが待っていた。


月夜野キャプテンは横山提督の愛弟子で、イージス護衛艦[こんごう]型の「きりしま」の艦長を勤めていた、根っからの海の男だ。


一見細面の優男に見えるが、中身は腹が座って居て豪胆な性格であり、するとなれば周りに流されず必ず押し通す、強い性格であり本来の戦闘艦の艦長には、持って来いの敢闘精神の持ち主であるが、自衛隊というどっち付かずの気風には合わない人物だった。


今の日本海軍となった場合には、持って来いの人物で有ったろうが、当時の政権を〝売国奴の集団″と至極最もな批判をしたが為、退官した剛の者である。


退官して浪人をしていた頃、横山提督の紹介で顔合わせをし、直ぐに腹を割って話せる〝人物″である事が解り、その場で武装商船の船長にリクルートをしたのであった。


今では旭グループの幹部兼武装商船の船長をやっており、非常に満足であると言う根っからの海の男で、頼りに成るナイスガイであるが、見てくれがリクルート間系のサラリーマンである。


「キャプテン、久しぶりですね!」


「おう! 代表4ヶ月振りに顔を合わすな~、元気にしているかね」


「私は相変わらずですね、デスクワークの傍ら偶にアホと遊んだりです。


今日は新しい遊び相手に誘われましたが、遊びのルールを守らない馬鹿でしたので、少し痛い目に合わせてやりましたがね」


「野暮な馬鹿は困るからね、加減という物を知らない無礼者が多くて困るよ。


そちらも煩い目に有ったろうが、こっちの事案は死にかけの馬鹿が仕掛けた、悪質な最後っ屁見たいな事態が起こっていてな、今日中の福島工場への到着が、少し遅れそうだな。」


「何が有りました?」


「どうも南太平洋から3万トン級の、輸送船が東京湾に向けて航々中だが、無線やネット・FAXにも応答が無いので、調査してみると元々はマレーの船会社のコンテナ船だが、バックにA国系K橋の会社の船と解ったが荷が問題だった」


「まさか核兵器とか核廃棄物質間系ですか?」


「正にその通りだよ、よく調べるとその船の最後に寄港したのは、C国のK省の港だがバックを[おもいかね]でハッキングさせると、中身はどうも高濃度の核廃棄物らしいのだ」


「それが東京湾にむけて一路自動操縦で、向かってくる訳ですね?

政府には知らせたのですか」


「ええ、副総理に向けて先程緊急連絡を入れました、今対応待ちなのだが貨物船からは、ロボット偵察機[ブッタアイ]で観測した結果では、大気中に放射能は拡散されて居ないので、少なくとも対放射能容器に格納されて居ると思われますな」


「しかし下手に手が出せないな、トラップが仕掛けて有ると容器ごとドカンと爆発してしまったら、下手をすると関東以西が死の灰に覆われ、手が出せなくなる可能性があるからな」


「〝ダーティボム″のプレゼントかね、全く中世の大国は考える事も最低だ。


これを機にA国で彼らT民族は、核テロ民族と言うネガティブキャンペーンの、格好の材料にしてやれば向こう30年位は、A国でのT民族に対する扱いは、最低の物に成るだろうから、総理に進言しておこうか」


「序でにC鮮民族も計画に加担したと宣伝すれば良いんです!

それよりどうすれば良いでしょうか? 


このままでは日本の半分が放射性物質の汚染で、人が住めない地帯に成ってしまうのでしょう?


全く環境破壊の公害国家は最後まで、地球環境を汚染してしまうのを気にもしない犯罪国家のままですね」


田中君はC国に対して完全に切れてしまった様だ。


彼の国のC華思想は本当に始末が負えない、自己中心的な考え方であり、日本人には到底容認出来ない思想である。


彼らT民族はこう言う言い訳をする、即ち我々は常に外敵から国土を侵略されて来たので、侵略される前に侵略する可能性のある国を先に、侵略して置けば良いと。


だが彼らは自身の罪を、神棚の遥か彼方の上に置き、自身の国が膨張する時に行った、侵略と言う犯罪の数々を忘れて、他国に対侵略対策を行なったのである。


遥か昔の歴史を唱えても専門家では無い俺では、論破する事は難しいがつい百年内の事例を挙げれば、T民族と言うのは何れ程危険な集団であるか解るだろう。


WW2以降、隷属しない少数民族国家に対して行った政策は? と親C国派の学者に聞いた所資料が無いので答えられないそうです。


日本人を東洋鬼と貶めて来た自身が、WW2以降他の小国に対して行った行動をどう捉えているのか?

何故ASEANの国々がC国より日本を信用するのか?


何故日本が開国後T民族に対して、絶望を通り越して殺意さえ抱いたのか?


今だ吹き荒れるウィグル族のテロは何故起こったのか?

(ウィグル族はT民族では無く別民族であり、別の国家を小さいながらも築いて来た別民族である)


チベットへの侵略はどう説明を付けるのか?


ベトナム戦争が終わった後、未だ傷の癒えないベトナムに、侵略した意図は何か?


現在の他国領海における、海賊行為を行う侵略国家こそが、C国民であるT民族の本質であり、他の民族に支配されて居る時は、大人しい民なのである。


であるなら彼らは歴史の舞台から、永遠に追放されている方が地球や人類から見れば、非常に為になる存在であり、表に出た場合はこれ程迷惑な存在も居ないのである。


この様な考察から〝提督″はT民族が、国を持つことは非常に危険な状態であると分析し、今回のC国壊滅を合作したのである。


中世であれば地球に対する負荷は、然程大きく無かっただろうが、巨大消費型の世代を通らなければ成らない、現代文明の恩恵に浴するには人口が多すぎる。


最大の難事はC華思想からの脱却が出来ないならば、世界全体を巻き込み文明を崩壊させる存在であると、危機感を顕に訴えていたのだ。


これはC国だけでは無く一神教を国是とする、宗教国家も違う意味で世界と心中しかねない危険思想であり、排除して世界の主流から外さないと、世界を巻き込む自殺行為の温床になる存在であると、如何に今後の人類生残り戦略の要になる問題である。



「兎も角C華思想の最後っ屁の反撃と思い、慎重に事に当たらないとまずいな」


「そうですな! しかしコンピュータのトラップであるなら、帰って好都合でしょう?

だから、先程から代表は落ち着いているのでしょう」


「解りますか? 流石〝兄弟子″ですね、[おもいかね]に任せれば8割方は面倒が省けますからね」


「フッ、不肖の兄弟子だがこれくらいは読めますよ。

衛星用のアンテナと、タブレットをお持ちしますか? 代表」


「タブレットは自前のが有りますから、衛星アンテナとケーブル300mに、バッテリー型ブースターを2台だけはお願いします。


あとゾンビや居残りが居ると不味いので、完全武装の陸戦隊3個小隊とテルミット爆薬10kgに、例の船の図面を転送して貰えればいいのですがね」


「乗り込むのは内火艇2隻で良いですか?」


「ええ、レーダーで補足されたら、自動的に爆発などイヤですからステルスタイプのをね」


「解りました、指揮官に腕の良いのを付けますので、使ってやって下さい」


「ハッキング及び爆弾処理要員では、内の田所が得意ですので、彼に隊長をしてもらいます。

[おもいかね]との接続なぞ得意なので、船のコンピュータと接続したり、爆発物の解除は教官クラスの専門家なので、頼りになりますよ」


「距離は今現在250海里程離れた海域を、時速15ktで東京湾に向けて航々中ですので、後16時間後に湾内の何処かに衝突するか、自爆するかでしょうね」


「少なくとも10時間内には、解決する必要が有りますね」


「現在の風向きは、北西方向ですから伊豆諸島地区に、被害が及ばない距離を考えるとそうなりますね」


「では流木や鯨の被害を鑑みて、50ktで件の船に接近しましょう」


「解りました」


キャプテンは館内放送のマイクを握り、緊急事態のサイレンボタンを押し話始めた。


『各員緊急事態警報・緊急事態警報!

本艦はただ今より日本の南東沖合、250海里に居る不審船に対して迎撃行動に移る。


尚この不審船の積荷は高濃度、放射性廃棄物、所謂死の灰が収められたカプセルを積んでいる可能性が大である。


作戦は現場付近に着いた時、知らせるが何しろ時間がない。


因って本艦はただ今より緊急時高速体型に移り、現場海域に50ktで急行する予定である。

各員は非常時の場合に備え、座席に座りベルトを閉めて、対ショック体制を取って置いて貰いたい。


尚臨時の乗員は乗組員の、指示に従って行動して下さい』


「代表、ただ今副総理より秘匿回線により、緊急連絡がつながりました。

御手数ですがここまでご足労下さい」


「了解、今行く」


俺は無線所まで行くと、受話器型の通話機を渡された。


『甘莉です、浅生さんですか』


『よう、スマンな、こんな要件でわざわざ呼んで。

しかしこの手の事案が得意な艦と要員は、現在南シナ海で後始末中なのでな。

どうもその隙を狙った犯行の様で、計画的な行動だな』


『こちらも背後を洗って見ましたが、こっそりA国系K橋の会社が介在している様で、負けた場合の報復と陽動でしょうね。


このまま手を拱いていると、関東以西が死の灰で生存不可能な、地域になってしまいますので、阻止行動を取らせて貰います』


『政府からも正式に[ライジングサン]へ依頼を出すので、経費と報酬は言い値を支払うので宜しく頼む。

首相は今別件で手が離せないので、連絡出来ないが今回は日本国首相の緊急正式オーダーなので、書面等は初めにFAXで送りそちらでサインをくれれば良い様にして置くから頼む』


『解りました、では[ライジングサン]を代表して正式な日本国のオーダーとして、今回のミッションを御受け致します。


所で現場には他の部署の艦船はいますか? 場合に因っては退去して貰わないと、レーダー連動の起爆装置が仕掛けて有ると、危険ですから」


『海上保安庁の巡視船が一隻現場海域に、向かって居る様だが引き返す様命令をだすかね?』


『う~ん、目標船から半径15km以内には、入らないで欲しいですね。

レーダートラップを警戒したいので、出来れば20km以内の立ち入りを制限して下さい』


『解ったその様に通達しておくので宜しく頼む。

現場までどの位で着くかね?』


『2時間と少々でしょうね』


『解った、事が動いたなら連絡をくれたまえ、何時でも開けておくから頼むよ』


『解りました』


俺は浅生副総理と無線を終わらせると、田中君に田所君と鬼山君を呼ぶように言った。


そして田所君が来ると、今迄の経緯を話し専門家としての、意見を聞いた。


「やはりトラップは有ると思うかね?」


「ええ多分有ると思いますが、前提が素粒子コンピュータの支援がある事を、予想してないでしょうから、コンピュータ間系のトラップは簡単に解除出来るでしょう。


しかしアナログと併用されていると、かなり厄介な事になるでしょうね」


「アナログか・・・・かなり厄介な物が多いのだろうな」


「ええ、昔から時計職人や絡繰り職人が作るものは、マニヤックで解除が難しい仕掛け爆弾が多いですが、今ではかなり技術者が減って来ていますね。


昔の爆弾は本当に良く出来ていて、一種の芸術作品とまで言われる伝説の仕掛け等も有ったのですが、現在はコンピュータ型の起爆装置で簡単に解除が難しい、爆弾が作り易く成りましたので。


T民族は合理的な連中が多く、ドイツ人やスコットランド系職人の、マニヤックさが無いのでそんなに、気にしなくても良いですがね。


逆にその手の爆弾が有ったら、代表が居るから帰って解除が楽かも知れないですよ。

何故なら、自分の作品に思い入れが激しい為、作品に念が残って解除の仕方を念で残す可能性が高いですから」


「そうだね思い入れの強い工芸品は、作り手の念が結講篭っている場合が多いので、製法とか作る手順等も残留思念が教えてくれるから、アンティークショップ等行くと面白いよ」


「その通りですよ、もし仕掛けがアナログとの混合だった場合、代表も手伝って頂ければ、簡単に解除出来ると思います」


「解ったその時は手伝うよ、後必要な装備はあるかな」


ルーペに精密工具と通常工具一式、電動工具一式とドリルセット・糸鋸に鉄切り鋸・接着剤各種・針金とテープ各種に聴診器とファイバースコープに暗幕10m四方と、ガラス製スポイトと液体窒素でも有ると有難いのですが」


「解った整備と医療間系を好きなだけ漁ってくれ」


「まあ十中八九コンピュータの解除で終わりますがね」


「後からもう一度持ち込むのは、手間だから飽くまで保険見たいな物だ」


「了解、では現場に着くまでに用意をしますので、船の用意をお願いします」


「解った」


俺達は船に乗り込む用意を始めたのだった。





Pday 10日目

PM14:40 静岡沖100km 付近の海上


丁度33.990722, 138.516691 の位置辺に問題の輸送船を探知出来た。


幸い今日は北太平洋の海は穏やかで、波も50cm位で済んでおり、非常に助かって居る。

時化れば20m以上の波が起つ海域なので、一安心であり船に乗り込む作業も楽で良い。


俺達は早速ステルス内火艇3隻に別れて、件のコンテナ船[カッサンドラ]20000tに向かった。


今回はもしアナログ型の起爆装置が、有った場合の用心の為に俺も一緒にコンテナ船に向かった。

もしアナログ型と判明した場合、後で乗り込む方が危険だと言う理由からだ。


この内火艇自体もステルス仕様であり、レーダーに掛かりづらいので懐に飛び込んでしまえば、まず探知が出来なくなる為に、船に横付けするまでは船内に大人しく待っているだけだが。


まず先行の田所君の小隊が、小型の内火艇で船に乗り込みレーダー連動のトラップが無いか、事前調査を行い無ければ我々後続部隊が乗り込む手はずに成っている。


幸いレーダートラップは無かった為、我々は無事乗り込む事が出来た。


船内はゾンビも確認出来ず無人状態のようで、トラップ間系に注意して移動する事になった。


船の運行・制御用コンピュータには、案の定仕掛けがしてあったが[オモイカネ]のクラッキングには敵わず、直ぐにソフト的な罠は無力化出来たので、自動操縦は解除出来て船を周回軌道に乗せ、作業を始める事になった。


そして田所君のチームが船倉に向かうと、案の定簡単な罠が数箇所仕掛けられて居たが、ベテランからすれば何の事は無いトラップだった。


40分程かけて船倉に着いた田所君から連絡があり、無事船倉に付いて核廃棄容器を見つけた旨連絡が有った。

これより起爆装置の解析を行う事にするそうだ。



結果から言うと一番不味い結果に成った。


アナログ&デジタル兼用のいやらしいタイプの起爆装置だったのだ。


起爆装置はC-4に食い込む形で設置してあり、本体は加工された鉄板の800mm×1500mmの長方形型に収まり、電源は自前のバッテリーから供給されて居るタイプである。


基本設計は昔IRAのテロリストが作った、機械式の焼き直しだが中途半端にデジタル化された機構が、分解の妨げに成っているある意味非常に微妙な設計の為、返って解除しづらい半端な傑作起爆装置に仕上がって居るので、田所君も悩んでしまった様だ。


「どうだい? 大分悩んでいる様だが」


「あ、代表わざわざ済ません!

中途半端に作られて居るので、非常に不安定な作りになっている為に、かなり分解し難い機構になっています」


「中途半端と言うとどの様に可笑しな設計なのかな?」


「一言で言えば〝傑作品の寄せ集め″と言えますね。

只その傑作品と傑作品の間を繋ぐ箇所が、不安定な為起動した場合下手をするとその儘ドカンと、逝ってしまう非常に危険な代物ですね。


時限装置で後40分程経つと回路に通電する様に成っており、そうなるとGPSで決まった位置情報以内に入ると、船の航々装置をいじると起爆する様に設定してあるのですが、このソフトだと船底に仕掛けてある爆薬が起爆し、その後で廃棄物カプセルが爆破される、訳の解らない設定に成っているのですよ」


「普通考えるのなら、カプセルを爆破して炎の上昇気流で、死の灰を吹き上げるのが一番効果的であると思うのだが?


船を沈没させたら海洋汚染を引き起こすが、この海流の向きだと日本よりベーリング海や、カナダ・北米の太平洋岸が酷い被害を受けるようだけれど?」


「そうなんです、先程[おもいかね]で解析したらその様な結果が出ました。

何を意図してこのダーティボムを作ったのか、趣旨がまるで判らず苦慮しているのです」


「少し待ってくれ、いま副総理と相談するよ」


「ええ、そうして下さい」


俺は「モーニングサン」経由で副総理に連絡を入れて、今迄の経緯と爆発した場合の効果範囲を説明した。


副総理も仕切りに相手の趣旨が読めず、唸って居たが取り敢えずこのまま起爆装置を解体する事で同意し、A国側にも通常通信で通知する事にした様だ。




「しかしこの爆弾は、かなり良い加減な設定で組んであるが、田所君はどう見るね?」


「組み合わせや個々の設計は、結講凄い物があります。

しかし纏める段階でのお粗末さは、全体の設計思想からすると考えられない酷さです。


考えられる事態を推理するなら、設計者は始めに1人が全体を設計し、個々のブロックを完成させたのですが、何らかの事情で最後の組み上げをする事が出来ず、最後を腕が初めの技術者よりかなり落ちる技術者が組んだ不完全品ですね」


「その通りだよ、私が〝読んだ″光景では最初に依頼を受けた技術者は、依頼主から人質を取られて居て、その人質が途中で殺された為に最後の結合部分を、わざと不完全にした図面を残して依頼主に反抗し殺されたのだ。


後を受け継いだ組織の技術者は、腕がかなり落ちる者だった為に、組みあがった起爆装置が不良品である事に気づかず、今回の仕掛けを船に施して今に至るという事さ」


「それなら納得出来ますね、それなりの技術を持って居る者には、ある意味分かり易いヒントが其処ら中に、ばら蒔かれた〝作品″ですので返って疑心暗鬼に成ってしまいましたが」


「殺された技術者がここに居て、これで〝えりー″の敵を討てると喜んでいた。

多分お孫さんの事だと思うが、先程副総理がオープンチャンネルでA国に、通信を入れたと伝えたらいい顔をして親指を立てていたよ。


今メッセージを受けたが、『そのまま読んだ通りにすれば問題無いが、最後だけ反対に成って居る』そうだ、解ったかな?」


「ええ、分かりましたその通りやってみます」


後は[おもいかね]から過去の起爆装置を解析した事例集より資料を出し、順番通り解除していき最後の結線を破断する瞬間、少し迷ってから徐にニッパで結線を切り、ため息を吐いて解体が終わった事を告げた。


10月の中旬にしては穏やかな北太平洋での一幕であった。




Pday 10日目

PM16:40 伊豆半島沖60km 付近の海上


我々は海上保安庁の巡視船に、現在までの経緯と分解した起爆装置に、結線を解いたC-4と核廃棄物入りのカプセルを任せて、一路福島の請戸(うけど)港に向けて航路を急いだ。


本来なら海上保安庁との引き継ぎは、もっと手間が掛るのであるが、政府要人の鶴の一声で簡単に済、解体時のデーターを渡して後の注意事項を書面にして、保安庁に提出すれば良い様に取り計らってもらった。


今は皆で食堂に集まり、食べられなかった昼飯を、お菓子で誤魔化しながら談笑していた。


「しかし今日一日で数年分の経験をしたみたいだわ」


関西出身の昭和大学病院の看護師 坂田 美沙子 が染み染みと言うと


「本当ですわね~、初めにギャングの襲撃でしょ、次に確か対岸の大火災で、その次はみゆきのお姉さんが切れて・・・」


と同じく看護師組のおっとり系 大川 美咲 が同僚の 咲山 みゆき のお姉ちゃん暴走事件に触れて交ぜっ返す。


「それ勘弁してよ~~!! お姉にはよ~~~く言っといたから・・・」


「みゆきの黒歴史のページがふえたわね~~~

次がボートの襲撃でしょ、そしてヘリコプターの襲撃に、死の灰入り輸送船襲来事件でしょ?


看護師に成って激動の生活だ~と思っていた、あの頃が懐かしいワ~」


と大川看護師が今日の総括をして居ると、皆が俺の方を向いて何だか生温かい目で見て来たので、俺は気付かない振りをしながらコーヒーを飲み、そろそろ夕映えを映し始めた太平洋に視線を移した。


そこへ田所君と鬼山君が先程の輸送船間系の、レポートを提出して来たので目を通し、サインをして田中君に渡して置いた。


「しかし今日は本当にタイミングが悪かったね、6つも事件が重なるとは幾ら何でも多過ぎるな」


「トラブルメーカーと言うか、トラブルを呼び込むのは、大体何時も代表でしょう!


まあそれだけ注目の渦中にある立場なのでしょうが、中々のトラブルメーカーと言うか、トラブル召喚師と言いますか、難儀な運命ですね、としか言い様がないです」


「む~~~~、それはあまり否定は出来ないが、こちらが望んでやっている事ではないのだがね」


「無自覚なのがトラブルメーカーの本領だと思いますわ、自覚していたら避け様もあるでしょうが、ナチュラルに寄って来る物は避け様も無いですから」


と、田中君が達観した様子で述懐すると、鬼山・田所ペアも思わず頷いていた。


「まあ今回の後半は、ダーティボム以外の襲撃は確かに私狙いだが、それ以外私は無罪だよ。


大体最初の襲撃は暴徒と言うか、ギャングの仕業だし、火災は偶々消防が機能していないせいだろ、咲山くんのお姉さんは偶然だよ?


ましてダーティボム輸送船はC国系の、テロ行為以外の何者でも無いからね」


「偶然も2つ以上重なれば、必然であると良く代表は仰るでしょう?


此処まで偶然が重なると、まあ代表がトラブル召喚体質である事は、紛れもない事ですわ」


俺は思わず周りを見渡すが、皆視線を逸らして居りガックリ来てしまった。


「お兄ちゃん! ふぁいと 愛美はどんな事があっても、お兄ちゃんのみかただよ」


と愛美ちゃんに励まされ、更に落ち込んだ事は言うまでも無い。


「しかしあのダーティボム輸送船の、起爆装置を仕掛けたのはヨーロッパ系の技術者だと思いますが、計画が杜撰過ぎますね。


いくらK橋系の工作組織だとしても、途中まではかなり綿密な計画を匂わす、行動を取って居た様ですが、後半の設置から船の仕掛けもまるで素人ですからね。


もしあのまま最初の計画通り、プロが指揮を取って起爆装置を仕掛けられたら、と思うとゾッとしますよ」


「本当にそうですよ、あの起爆装置の形状を見ると、昔IRAのテロが頻繁に起きていた頃の、恐ろしく精工な起爆装置を思わせましたからね。


陸自の爆発物解体の教科書に載っていた、あのマニアックで冷酷な、しかし芸術的でもある爆弾を思い起こさせる、設計をしていました」


鬼山君は過去陸自時代の爆発物解体で見た、当時の技術者が作ったトラップだらけのある意味芸術品とも言える、解除困難な起爆装置を思い出しながら染み染み言った。


「今回の主犯が役所関係の間抜けで、技術者のプライドが解らない奴だった所為で、我々は助かった様なものだ。


どうも役所の高級幹部は、現場の技術者を一等低く見る癖があり、侮ってしまう傾向が有るので、この手のポカミスを起こして、現場との軋轢を生む傾向が有るが、こうなると通常半月で済む仕事が、1~2ヶ月掛るからな。


其の辺の多少で其の国の国力と言うか、民度の高低が出て他国との技術力や、高効率化による国力UPの恩恵が多いか少ないがが、本当の国力なのだ。


しかし嘗ての日本帝国は、貧乏国なのに其れがまるで無かった為、A国に負けたのだろうね」


「今は其れがC国より少なく、効率が良いから勝てたのでしょうね」


「その通りだと思いますよ、しかし少し油断するとこの手の、セクト主義や理由のない優越思想は、風呂場の黒カビの様に直ぐに蔓延り、社会を侵して国が不健康な状態に成ってしまうのです。


それを定期的に且つ効果的にメンテナンスするのが、為政者の大事な仕事であり、それを監視するのが市民や本当のマスメディアの仕事なのですよ。


しかしネットで騒がれた〝ネトウヨ″と呼ばれた人達は、特亜系のネット工作員が行った、ネガティブキャンペーンの被害者ですので、間違わない様にしないと。


彼らの発言を読んでいると、真面な事実を根拠にしている発言が殆どで、ネット系左翼や特亜工作員が荒らして、有耶無耶にした特亜に都合の悪い記事や、事実を指摘する発言者は皆ネトウヨと、レッテルを貼られ発言を封じられて来たのですから」


「そうですね、ネトウヨとレッテルを貼り事実を封殺しようとする方式は、かのアドルフ ヒットラーとナチが行った、ユダヤ人を抹殺する為にした、マスメディアを使ったネガティブキャンペーンそのものですから。

イスラエルの駐日大使が、日本政府に注意を勧告した程、酷く悪質なマスコミを使った政治テロですしね。


しかしそのメンテナンスを怠った付けが、あの地震に因って民主党に向けて吹き出しましたからね。


下手をしたら福島の第一原子力発電所だって今頃、炉心融解の大惨事に成ってあの辺一帯、いや福島県全域か東北自体放射能の海に呑まれ、人の住めない場所になる所だったですから」


「そうだね、〝偶々運が良く″炉心の不具合の為に点検を行い、原子炉を停止して居なかったなら、確実に大災害になっただろう。


それが国の内外の研究機関から指摘された為、民主党政権は政権政党から追い落とされたのだ。


今回のパンデミックがあの地震以前に起き、政権が民主党だったらと思うと私はゾッとするよ」


「多分特亜系の議員達が、大騒ぎをして碌な手も打てず、今頃沖縄や対馬、九州地方に台湾、ASEAN各国の南沙諸島の島々は、C国の海賊軍に占拠されて虐殺されていたでしょう」


「何で日本人なのにあの恩知らずで、エキセントリックな国の連中を支持するのか、私には理解できませんね。


多分想像力や其の国の民意を分析する頭脳の無い、極めて特異な感性の持ち主が、特亜を支持する連中なのでしょうね。


C国の国家首脳が我が国の総理を、何故相手にしないか意味を考えられない、極めて特異でズレまくった政治的感覚が無い、コメンテーターやアホな野党政治家が多すぎますからね」


「確かに今迄のマスメディアの風潮は、権威に楯突くのが自分達のアイデンティティを示す場だと、勘違いをしたエセマスメディアの旗手が多すぎたのです。


本来ならソビエトが崩壊したと同時に、思想界や教育界・マスメディアの中枢から排除されるべき詐欺師達が、不幸にも我が国が整理を出来なかったせいでしょうね。


日本人は元々天皇家の御蔭で、旧王朝や旧政権を皆殺しにして、国家改革をしない選択をして来た極めて優しい王朝ですから。


しかし彼ら左翼と呼ばれる共産主義者は、旧政権を皆殺しにするのを、改革の第一義にして来た連中ですから、殺されない自分等は無罪と勘違いをして、又調子に乗ってしまったのでしょう」


「そうですね、日本と言うか歴代の天皇家は『君臨すれど統治せず』を、標榜して日本の心の部分を統治して来た王朝ですものね。


御蔭で歴代の統治者は革命時に、命を奪われる事なくある意味緩やかな政権交代を行い、血で血を洗う簒奪の歴史は初期の頃と、戦国期位が酷いだけで、その他の政権交代時は時代に取り残された、変化出来ない者以外は全て受け入れて来た懐の深い王朝でしたから」


「田中君その通り、しかし時代の端境期は時代にそぐわない人も出るのですよ。


明治初期の武士の残党や、徳川・豊臣の大阪夏の陣や天草の乱等がいい例です。


彼らは時代に着いて行け無い者や、特権を忘れられない古い酒の澱の様なモノです。


何時の時代の狭界期にも出る、澱は新たな流れに砕かれ磨り潰される運命からは、逃れられないので黙って介錯してやるのも、彼らに対する慈悲なのかも知れないですね」


「彼らが納得する事は無いのでしょうか?

その様な行動を取れば、大勢の人が傷つき彼らの行動に対する理解は、他の国民は永遠に得ることが出来ないはずなのに」


「彼らはそれを解っても止めないでしょうね、何故なら彼らの望む事は他人の幸福の上には成り立たない、謂わば『身勝手』な思想だと解っているからでしょうね。


彼らは何時の時代でもこう言います。


『止むに止まれず行動した』と


其れがどんなに他人を傷付けようが、女子供を巻き込み無残に殺そうが、己の意地だけが大事であり他は関係無い存在ですから。


だから私はそう言う者達が、一見どんなに立派に見えようと、堂々としてようと賊として処断しますよ」


俺は嘗て多くの者から尊敬され、敬われていたイスラムの指令官を、処断した時の事を思い出しながらそう言った。


彼は戦いには厳しく己を律し、捕虜には寛大であり多くの戦災孤児を、養って来た男であるが、折角訪れた和平の道をクーデターで、潰そうと合作してきたのだった。


俺は彼に翻意を訴えもしクーデターが起こった場合に出る、犠牲者や餓死する子供の数を示した。


しかし彼は民の苦しみより、宗派の対立を優先して、事を起す事を止めなかった。


俺はその時彼を殺してでも、止めて置けば良かったと、今でも後悔して居る。


その後彼の国は内戦状態に陥り、数十万の一般市民や子供を巻き込んで未だに内戦中であり、彼自身それから間も無く部下に暗殺されてしまった。


結局己の意地の為より、子供の笑顔が一番であるのは真理だ。


1週間遅れで申し訳有りません。


思ったより難産に成り、核廃棄物の仕掛け爆弾船を省こうか、迷ってましたがそのまま掲載します。


ジャガーノートの様な緊迫した、爆発物撤去の場面を書きたかったのですが、今の御時世でその手の記事や情報が集まらなかったので、迷っていたら1週間経ってしまいました。


何とか誤魔化して書いたのですが、いま一気に入らない出来に成ってしまいましたが、今の所これが自分の精一杯ど思い、投稿することにしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ