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感染戦線  作者: ヘロおやじ
第 一 章 調 布 編
21/72

21.Pday 6日目

何時もご覧下さいまして有難う御座います

ヘロおやじです

すっかり週1ペースが定着してしまった様ですが、あまり文字数が少ないと読み応えが無いかと思いこの字数に落ち着きました

15000語前後が大過ぎず少な過ぎずかなと自分の読書ペースを基に決めましたがどうでしょう


15000語を書いた時点で丁度1週間が来るのが私のペースの様です

AM12:45 調布飛行場側 調布[ひよく寮] 書斎


 俺は軽い夕食後4時間程仮眠を取り、シャワーを浴びて眠気を払い書斎に入った。


 一応書斎と言う名前は着いて居るが、実質総合通信指揮所とも言える、設備が整った一室になっている。


 今回はC国海軍との海戦をモニターする為、パソコンのディスプレイだけではなく、3面に通常天井に収めてある60インチの、液晶ディスプレイを配置したレイアウトになって居り、同時に多くの情報を表示出来る様になっている。


 今は回線を衛星と繋いでおらず、各方面のTV会議用に映像ウィンドウがスタンバイ状態で、10面程右側のディスプレイに表示され、左側のディスプレイには東シナ海と南沙諸島の海図が表示され、中央ディスプレイには時間と衛星リンクシステムの、ブランク表示が映されているだけである。


 デスクにはパソコン前に田中君が、オペレーター役で待機して居り後にレイアウトされた指揮デスクに、俺がすわり時間が来るのを待っている状態だ。


 しかし本格的な海戦は、AM6:00位から始まるだろうと予測されているが、場合に因っては牽制のミサイル戦が、早めに始まる事もあると予測されている為、早くに招集が掛って来たのだ。


「田中君衛星とのリンクは問題ないか」


「はい代表、今の所[おもいかね]の戦域統合システムは、順調に働いています。


 C国軍の情報部隊がしきりにハッキングで、妨害工作を仕掛けて居ますが、彼らに探知出来ない次元で、情報の送受信を行なっていますので、彼らは自分達の工作が上手く行って居ると信じ込んでいますね。


 その他の国の覗き屋も同じく、[おもいかね]のフィルターを通した情報を、本当の情報だと信じこんで居るでしょう」


「素粒子コンピュータの面目躍如といった所だね。


 A国やR国・E連合の素粒子コンピュータ開発は、現状どうなっているか情報はハッキング出来ているのかね」


「全世界へ[おもいかね]の監視網で覆って居る状態ですが、今の所理論的に実用段階になる開発を、行なっている機関は有りません。


 もしその様な論文なり数式が出た場合、ミスリードをする情報や誘導を行いパンデミック終息まで、我が国以外開発が出来る要素を全て潰しています。


 その為現在全ての国は我が国が、実用型素粒子コンピュータを持っている事は、知らないでしょう」


「素粒子コンピュータの素子は、生物のニューロ細胞にある伝達物質が、カギを握って居るのに気が付かないだろうね。


 現代の科学は、専門分野の独自性が強くなり過ぎた為、物理学と細胞生理学に情報分析学の素養が無いと、この壁を突破出来ないからね」


「素粒子コンピュータ生みの親である代表が、そう言うのであれば間違いないでしょうが、現在のセクト主義だらけの、象牙の巨塔には無理難題でしょうね」


「さてそろそろ、皆さんが集まって来る時間だな、田中君通信を繋いでくれないか」


「解りました代表、只今繋ぎます」


 田中君が通信認証センサーを起動させると、俺と田中君の網膜パターンと生体エネルギーのパターンを読み取り、通信が継がった。


 これはパスワードで管理すると、権限の無い第三者がアクセスしてしまう事を、警戒しての認証措置だ。


 この通信で取り扱われる情報は、第一級国家機密に属し例え親兄妹配偶者にも、明かす事は禁止されている重要情報として扱われる。


 回線が継がり各受信ウィンドウに、各部門の責任者や政治家が映り始めた。


『やあ甘莉君よ、まだ調布で足止めされたままだって? 

ドジを踏んだじゃないか、ハハハハハ』


「亜生先生勘弁して下さいよ、これでも気にしているのですからね」


『イヤー普段あんまり隙を見せないお前さんが、ドジを踏むから面白いんじゃないか、これが杜のおやじがしたら又かで済んじまって、面白くもなんでもないからな』


「まあまだ20代の若造がした失敗を、あまり突っつかないで下さい、お願いしますよ」


『アハハハじゃあこの辺で許してやるよ、だが東京は今どうなっているかね? 北の大地に都落ちした立場だと、鮮度がいい情報がなかなか入ってこないからな』


「又々そんな冗談を言っても天下の副総理が、報告を受けて居ないはず無いじゃないですか」


『優秀な官僚達がオブラートで包まくった表現の、情報を新鮮な情報と言えるかい。


 報告書を読んでいる内に、何言っているか分からなく成るのが、官僚情報だぜ。


 だから生きた情報をサッサと言いな!』


「解りました、今日調布から八王子の倉庫まで我社の光発電ユニットを取りに行ったのですが、朝個人ヘリで偵察した事故情報が、昼には殆んど役に立たなくなりました。


 理由は多分ですが、避難所が多くの場所で内部崩壊した結果、そこから逃げ出した新たな避難民がゾンビを車で撥ねた結果、事故を誘発して新たな渋滞箇所を、増やしたためです」


『なんで内部崩壊したんだ? 諍いを起すにしては早すぎるし、ゾンビにバリケードを破られるにしては、まだそんな数は揃ってないはずだぞ。


 どうして崩れたんだ?』


「多分原因は【家族愛】ですね」


『家族愛だと? 何だそりゃ』


「副総理、例えば貴方が避難民だとして、もし避難中にお孫さんがゾンビに噛まれたらどうしますか?


 直ぐにゾンビ化する訳でもないし、一見元気に振舞っているお孫さんですよ?

ゾンビに噛まれたのでその場で始末出来ますか?


 多分噛まれた事を隠して、避難所へ逃げ込むでしょう。


 そしてその夜発症したお孫さんが、お母さんかお父さんを襲い、ゾンビ化しそれが連鎖して、立て直す暇も無く避難所は決壊。


 それが新たな避難民を産み、彼らが車の丈夫さを過信して、ゾンビを轢きそれが原因で、新たな事故が起き渋滞箇所が増える。


 こう言う訳です」


『・・・・・そうか、・・・・避難所の責任者に通達を出すしかないか。


 避難民の咬傷の有無を徹底的に調べて、傷が有った場合処分するしか無いだろうな、・・・・ハア』


 副総理は思わず天井を仰ぎタメ息を吐いた。


「現状その処置しか無いでしょうね・・・・。


 ワクチンは我社のトップ研究者達が、現在情報も機材も全て最優先に回して、研究中です。


 [おもいかね]のシュミュレーション能力をフルに使って、検証しているので遥かに速く検証出来るので、今までなら1年以上掛っていた開発が、1/4の3ヶ月で成果が出せると思います。


 大元は新型インフルエンザウィルスを無効化する研究を行なっていた、蹈鞴博士の理論を応用して抗ウィルス薬を開発して居るので、変異型ウィルスにも有効な薬らしいのです。


 私にも詳しくは解らないのですが、ウィルスは細胞に感染した時暗黒期と呼ばれる、その細胞が感染したか分からなくなる、期間があるそうですが、その期間ウィルスは非常に脆い状態になる、というのが蹈鞴博士の説です。


 その期間を利用して、ある種の逆転写阻害酵素に似た酵素を、分子レベルで浸透させ、脆い状態のウィルスを無効化するのが要点らしいのですが、副総理解りましたか?」


『あほ、そんなんが解ったら今頃政治家なんて、ヤクザな商売をしているかよ』


「そうですよね、政治家よりヤクザな商売はスパイ位ですからね。


 本業のヤクザよりある意味酷い商売でしょうから・・・・」


『フン! 解っているならお前は自前の商売をちゃんとしろ。


 ヤクザ家業は俺らだけで沢山だからな。


 お・・・日本の悪の総大将がお出ましだ』


 亜生副総理が振り返ってドアの方を見て言った。


『やあ甘莉君7日振りだね!


 とうとう始まってしまったのは残念だ、しかしけじめはキッチリ付けておいて、今後新たな世界を作って行こう』


「ええ総理! けじめは付けておかないと、今回の災害で亡くなった人々には、申し訳が立ちませんからね。


 奴らと奴らを放置した者達には、相応の責任を取って貰う為に、今日は朝も早くから集まったのですから」


『私も男なのだとつくづく思うよ、昨日から血が滾って落ち着かなかった。


 出来れば味方にはなるべく、血を流して欲しく無いけれどね』


「提督が戦略を練った大勝負です、大船に乗った気で事に当たりましょう。


 例え何かが起こっても、我々が腰を据えて居れば、打開出来ると信じていますしね」


『そうだね我々は人事を尽くした、後は結果が出るのを待つまでだ』


 そこへ担当官僚が総理へ予定を振って来た。


『総理、全員揃った様ですので一言お願いします』


『ええ解りました、


 今日お集まりの皆さん、この戦の勝敗に因って今後の世界動向が、大きく左右される事になるでしょう。


 しかし幸い私達は充分人事を尽くす時間が取れた。


 対するC国はどうでしょう? 地の利・人の倫・時の理の3つの「り」が一つも揃わず戦いに臨もうとしています。


 もちろん油断する気は毛頭ないですが、相手の見てくれの大きさに惑わされてはいけません。


 国民数の多さも経済改革のため、昔の様に国民を雑兵の様に使い捨て出来ない国家体制になり、無知な国民を騙す手も自ら封印してしまいました。


 何より今回の戦いは相手の苦手とする海戦です。


 日本には帝国海軍から連綿と続く歴史と伝統、そして一番大事な戦訓の蓄積が有ります。


 彼の国が最近儲けた金をつぎ込み、俄か仕立てで作った海戦の本質が解らない、海軍と訳が違います。


 更に我々には、彼らの知り得ない最新技術があり、彼らが想定して居る技術格差が、更に数十倍の開きを持ち、向こう50年は彼らが追いつく事は出来ない開きが出てしまって居ます。


 後は我々が奢らず油断せず、粛々とするべき役割を果たせば、勝利は我が国の物になるでしょう』


 ディスプレイに映る各セクションの責任者や軍人、政治家達はWW2以降始めて行われる日本国としての戦争に、必勝の決意を新たに安部総理に拍手を贈った。



 それからは現在のC国海軍の位置及び我が軍の位置を、CICと同じシステムで表示し、予想航路とミサイルの射程距離と航空機の飛行距離、対艦ミサイルの射程距離を表す円を表示している作戦図を、モニターに映し軍からの説明が有った。


 本日未明より自衛隊は、日本軍と名称を改め交戦規定も国際標準の、誰が見ても解る物に改められた。


 又階級も軍隊本来の階級に改められ、自衛隊独自の判りづらい呼称を改めた。


 更にゾンビウィルスのワクチンが完成した暁には、UNに対して敵国条項の撤廃を要求する予定である。


 今回の海戦の予想はほぼ9割以上の確率で、日本軍のワンサイドゲームになる可能性が高いが、戦闘情報は[おもいかね]のハッキングにより6:4の戦績で日本・ASEAN連合海軍が、辛くもC・K国連合海軍を80%の損害で撃退するが、日本・ASEAN連合海軍も60%程の損害を受けて、辛勝した様に工作する予定である。


 勝ち過ぎは禄な事は無い、同盟国には余計な警戒はされるし、民は人に因っては横柄になり兵は弛緩し油断する。


 因って勝ちは6:4で、いや囲碁の精神にある半目勝ちでも、勝ちは勝ちで良いのだ。


 戦えば必ず勝つ国は、最終的に身内の裏切に依り、内部崩壊の危険を常に孕んでおり、為政者がそれを忘れると即座に、国自身に毒が廻り己を殺してしまう。


 俺は政治家と個人的に会うと、この様な話しを良くする。


 解る政治家は自民党で全体の2割程だろう、しかしその他の政党だと1割を切る人数しか理解出来ない。


 平均0.2%位かな、日本の政治家はもっと歴史や哲学、思想などを学ばないとヨーロッパやアメリカの政治家に、対抗出来ないだろう。


 いくらマルクスの資本論を読もうが、その後に控える歴史的、民族的な背景を理解しないと国の進路を誤つ事になる。


 広く薄くでも良いので、基本的な世界史の基礎位流れとして、把握しないと相手国の考えを真面に読めない、政治屋ばかり増えても国の為には、成らないのではないか。


 隣の国であるC国やK国の国民性も、理解出来ないおめでたい政治屋ばかりだった日本の与野党、特に民主党や他の左翼系野党。


 戦後の総括をするべきと大言壮語はすれど、中心を何処に置くべきかを弁えず、他国の意見ばかりに右近佐弁していれば、何れは誰にも相手にされなくなるのだと、気づかない左翼政治屋やマスコミの、書生論的と言われる政治の歴史を知らない論拠。


 歴史認識にしても相手国は自国を有利にする為、端から自国民に嘘を教えており、それを糊塗するために平気で捏造された歴史を、我が国に無理やり認めさせようと工作して居るのに、わざわざ乗ってやる必要は無い事に気が付かない。


 K国の場合自国民にC鮮戦争(1950年6月25日 - 1953年7月27日休戦)を、自国の教科書にどう掲載して居るのか、左翼政党の政治屋は理解して居るのだろうか。


 何と自国内に居座る日本軍の残党を、K国軍とA国軍が共同して倒した事が、C鮮戦争になっている教科書を見た時の、驚きを何と表現して良いのだろう?


 C国の教科書では赤軍に日本帝国軍は敗退し、C国から追われた事になっているのを彼ら左翼政治屋やマスコミは、どう抗弁するのだろうか?


 帝国陸軍は蒋介石の国民党軍とは戦ったが、共産党軍とは一度も正式に戦火を交えた事が無い事実を、どう説明するのか聞きたい。


 俺の知って居るヨーロッパの国では、己の左右どちらの主義主張を超えて、自国の誇を傷つける政党は皆無である事を、日本の自称知識人は知らない様だ。


 幾ら己の信じる政権に国民が応援しなくとも、自国民を裏切る行為や発言をした国内政治集団を、許す国民はまともな国であれば存在しないのが普通なのだ。


 日本人の様に幾ら左翼だろうと、日本国民に危害を加えられる恐れがある、捏造した記事を30年以上放置する存在を、許す必要は無い事を理解すべきではないのだろうか?


 実際海外赴任の日本人子弟や日系人移住者の子供達が、C国人やK国人の餓鬼供から謂れのないイジメや誹謗中傷の被害に有っても、それを報道した捏造記事を書いた浅日新聞グループは、何の保障も行わず相変わらず他人の罪を、断罪して居るのが現状である。


 だから今回総理が行った国民に危害を加えた、マスコミに対し強権を奮い会社の解散と、関係者の逮捕は当然の処置であろう。


 マスコミは己を国が暴走した場合の検閲者であると、自己弁護をして言訳をするが、WW2の時国民を戦争に向かう様扇動したのは、他ならぬマスコミだったのは動かし様のない事実だ。


 更に、マスコミが国民に対し他国の利益のため、ペンと言う凶器で不当に傷付けた場合は、誰が国民を擁護するのだろう。


 他国の様に暴動により、リンチを認めるのだろうか。


 それとも己自身の自浄作用で、そのマスコミ機関を攻撃し、二度とマスコミに関われない様に、徹底的に叩く行動が出来るのだろうか。


 其れ位の行動をしない場合、二度とマスコミが国民の擁護者であると、発言は出来ないであろう。


 でなければマスコミは、新たな貴族になりたいのだと国民は理解し、マスコミが国家権力により攻撃をされても、擁護する人は居なくなる覚悟をしたと、俺は理解した。


 そして今回の浅日新聞グループ、ブジ・ヨンケイグループの壊滅作戦に、国民は政府にエールを送ったのを、他のマスコミももっと真剣に捉えるべきだと思う。


 李下不正冠の精神が無い、自称正義の味方に誰がエールを送ると思っているのか?


 我々の衰退が国の増長を許す元になると、豪語するが自身の増長は誰が糾すのか答えて貰いたい。


 我々民は何方の増長も許す訳が無いのに、気が付かない高知能のサルが、マスコミ関係者なのか?


 自分達は特権階級だと思うのなら、ノブレス・オブリージュの精神を持てと言いたい。


 自浄が出来ない存在なら、特権を剥奪される恐怖を常に持って行動しろと、民は要求して居るのだ。


 ネットが有れば、マスコミは不要と判断されるだろう、未来が読めない高知能のサルが、自身を過大評価しなくても正しい評価は、他人がちゃんとしてくれる事に良い加減気が付かない、裸の王様がいまのマスコミである。


 おっと総理から又話しがあるようだ。


『皆さんまだ状況が動いて居ないので、暫く通信を省電力モードで待機したいと思います。


 何か他にありますか・・・・・・。


 無い様なら暫くは待機状態で各自休憩して下さい、では』


 俺は総理へプライベートな通信を、依頼したら直ぐに了承された。


「総理お時間を頂きまして有難う御座います。


 早速ですがパンデミック前に発注を頂いた、太陽光発電ユニットの扱いについてお伺いしたいのですが、宜しいでしょうか」


『ええ構いませんよ甘莉さん、ユニットの扱いと言うとどういった事でしょう』


「現在私が調布に足止めをされているのはご存知でしょうが、今後避難先で何時電力の供給が止まるかが不明なので、現場の要請でまともな避難所へユニットを供給しても宜しいでしょうかと言うお願いです。


 無論政府からの供出品である事は、避難先でも大いに宣伝して提供する予定ですが」


『別に供出するのは構いませんが、現場の要請と言うと[ライジングサン]の指揮官達からの依頼でしょうか』


「ええ各流通センターや避難施設へ近場の避難所から、打診が結講あるそうです。


 因みに私がいるこの街の町内会からも、連携を約束した自治組織からも結講打診がありますので、総理に判断をお聞きしてから供出する様伝えて置きました。

私が供出先の自治組織の現状を聴取しておきますので、問題無ければ提供しても構いませんか?」


『解りました、暴徒の様なギャング紛いの組織以外でしたら、ドンドン供出しても構いません。


 現行政府からの贈り物だと、宣伝しておいてくだされば問題ないです』


「解りました、では各施設に通達を出して、総理や政府からのプレゼントと言う事で供出いたします」


『宜しくお願いします甘莉さん、後でその旨一筆書いて取り敢えずFAXを送りますので、正式な書類は後程お渡しします』


 そう言うと総理は防衛担当大臣と一緒に別の責任者と話し始めた。


 俺は松浦海将改め松浦大将と、今後の打ち合わせをする事になっている。


「お久し振りです松浦大将、補給の事でお話をしようと思っておりましたが、お時間大丈夫でしょうか」


『ええ海戦が始まるまでは最高責任者といっても、其々の分野はエキスパートが働いていますので、さほどする事は以外と無いのですよ』


「其れは内と変わり有りませんね、補給用の医薬品及び野戦治療ユニット30セットは嘉手納に5日後までに輸送は可能です。


 ついでにレトルト食品セットも、一万人100日分3百万食も追加で嘉手納に届けて置きますので、後方の避難民も余裕で受け入れが出来るでしょう。


 後、避難所の指揮官に避難民を受け入れる最、ゾンビの咬傷が無いか確認を徹底させて下さい。


 本土の避難所は其れが原因で多数の避難所が壊滅し、新たな避難民が発生し其れが原因で自動車事故が多発し、通行不能の道路が更に増えてしまいましたので、注意して下さい」


『ほう避難所の責任者は確認を怠ったのか、部下に徹底していなかったのか解らんが、其れは致命的な結果をもたらすのに、気が付かなかったのかな?』


「主な原因は避難民の数が想定数以上だった為、自己申告で確認を行い担当者が目視での手間を省いたのが原因だったみたいです。


 冷たい様でも確認が終わっていない避難民は、避難所に受け入れ無い体制を徹底しないと、結局避難所がゾンビで内部から、壊滅してしまう事態になります」


『解った後方の避難所担当指揮官には、改めて徹底させる様命令をして、引き締めを強化する事を約束します。


 貴重なご指摘有難う御座いました甘莉代表』


「いいえ此方こそ若輩者の諫言を、お聞き入れ下さいまして有難う御座います。


 補給物資が不足しそうな場合は、是非此方に連絡下さい、我社には輸送用のハーキュリーズが有りますので、優先してお届けします」


『その場合は活用させて頂くので宛にしています。

それでは又』


「貴重なお時間下さり有難う御座いました」


 俺はその他避難所を統括する内務関係の警察や、消防のトップに今現実に起こっている避難所の内部崩壊を話し、現場の指揮官にゾンビ咬傷を持つ者に対する、避難所内に入所する場合の検査を、徹底させる様指導を要求した。


 全国20箇所にある旭工機の配送センターに、政府の発注により量産した太陽光発電ユニットを、施設の管理や自治が確り確率されている避難所に対して、代表決済でユニットを供出する通達を送信した。


 供出する場合は、政府による支援である事を、確り明記して避難所に渡す事も徹底する様厳命しておく。


 気が付くと0230を廻っており、休憩を取る事にした。


 俺達はサンドイッチをコーヒーで流し込みながら、今後の予定を話していた。


「代表、海戦はどの位で終わりますでしょうか」


「現代の武力衝突は市街戦が無ければ、意外と早く終わるだろうね。

長いのは最初の駆け引きでの情報戦だ。


 情報戦で有利に立てば実戦は、1時間以内に終わるのではないかな。


 明治の頃の海戦も早いが、WW2での海戦は殆んど情報戦で時間を取られて、それに負けた側が一方的に航空機に叩かれて、短時間に負けるパターンが増えているのさ」


「では今回の戦いでは我が方の情報戦能力が高いので、一方的に勝利する可能性が大ですね」


「C国お得意の飽和攻撃で、日本艦隊を撃滅する戦略を立てて、我が国の3倍の戦力で戦いを挑んで来ているのだろうが、彼らの想定以上に技術格差が開いて居る。


 C国戦闘機が誘導されるのは、我が艦隊が居ない海域であり、諦めて母艦に帰還した時には艦隊は壊滅し、残存燃料が最寄りの基地へ帰還が、不可能な量しかない事態に落ち入り、戦わず海の藻屑になるだろうね」


「我々側はC国艦隊に[おもいかね]謹製の、ゴーストミサイルの飽和攻撃をして、相手の対空兵装を疲弊させてから、本命の基地航空隊が対艦ミサイルの攻撃で、全滅させる手筈ですしね」


「結局はワンサイドゲームになる確率が高いね。

特に海戦の場合は情報集収機器の優劣が、海戦を制するから。

どんなに数が多くても、相手の手の内を読めなければ、強力な騎馬兵団もお門違いの場所に引き離され、無駄な遊兵になり各個撃破の対象にしか成らないからね」


「では海戦に勝利した暁には覗き屋達に偽装情報を流し、安心させておくわけですね。


 C国海軍も壊滅したが、日本海軍も6割近くのダメージを受けて疲弊したと思わせ、油断を誘って置いてその隙にワクチンを開発し、世界のイニシアチブを握ってしまうのが目標ですから」


「その通り、情報を制する者が全てを制するのだ。


 只我々は情報漏洩や、スパイ潜入の油断をしては不味い、それだけは徹底して守らなければ成らない一線だ。


 政府も今後新たに情報省を作り、日本の知的資産や国防に関わる情報を守り、国策を左右する情報を積極的に、防衛する体制を整える事になっている」


「これで我が国もWW2以降初めて“普通の国”になれるのですね」


「その通り、70年掛かったが漸くA国の属国ではなく、我々独自の考えの下国家運営が出来る体制の一部が整うのだ。


 そしてその後で憲法改正を行い、正に日本国が新たに成立するわけだ。


 その時UNを作った当時の体制から、新たな世界秩序が生まれる基礎が作られるのだよ」


「しかしパンデミックによりUNの常任理事国が、どの程度国力を落としているかが今後の課題でしょうね。


 彼ら常任理事国の一角であるC国は、実質壊滅状態になり脱落して居るから良いとして、残るA・R・B・EUの勢力がどの程度国力を落とさせるかが、[提督]の腕の見せ所ですから」


「今は詳しく言えないけれど現在進行中の作戦があり、作戦が終了すると理事国の国力はかなり削ぐことが出来るし、技術者や知識階級が軒並み被害を受けて大打撃を受けるだろうね。


 A国やR国は現代の奴隷と言うべき、有色人種系の移民は真っ先に切り捨てられるだろうから、事態は深刻だろう。


 パンデミック終息後新たに移民を募ろうにも、後進国の人々は壊滅的に人口が激減してしまい、新たな移民が思う様に集まらないから」


「その点日本はあまり移民に頼る政策は取って来なかった為、人口が削減された場合でも他の工夫をして補おうとしますから、有利かもしれませんね」


「我が国は閉鎖的と言われて来たからね、無意識に精神性が低い人間の流入を拒んで来たと私は見ているが、進歩的知識人から言わせると排他的だと文句を言われそうだが。


 彼ら知識人は科学にイズムを無理やり混ぜて、喜ぶ所があるがその様な事をすると新たな見方が出来ると思い込んでいるようだが、結果はカオス(混沌)化してより悪い方にしか結果が出ないのさ」


「カオスになり悪い方に事態が進んでしまうのでしょうか?


 例えばどんな例が有るのですか」


「う~ん、例えるならば人間の性格が社会から受けるストレスに因って歪んだ結果、犯罪者が増えると言う社会学者が提唱する、一見科学的な例に思える仮説だがね。


 本当に科学的に言うなら、一つの仮説で全て解決出来ると思う人間は、科学的に物事を考察しているとは言えないことに、気が付いていないよ。


 科学の本質は疑う事から全てを検証する精神が無いと、いけない大前提があるのだよ。


 心霊論争に例えるなら1000例の心霊事象が有れば、1000例の誰が見ても辻褄が合う否定的な実証が成されなければ、完全否定をしてはいけないのが科学なのだ。


 995件の心霊事象が錯覚や思い込み、自然現象を誤解しての勘違いで否定されても、残る5件の説明不可能な事象が有れば否定は出来ないし、否定しては科学的アプローチの根幹を否定してしまうので、逆に5件の事象に責任を持って反証出来ない者は単なる迷信家と一緒なのだ。


 イギリスの心霊研究機関は、その精神で検証を行うので心霊現象に対して、否定的には成らない科学者が多いのさ」


「日本の科学者とは思想的にかなり違う様に思えますね。

日本の学会なら1000例中995件の間違った件があれば、全て否定しても大丈夫だと思い込んでいる、迷信家が大半を占めているようですから」


「そうだねTVに出て居る否定派のタレントや、科学者はアカデミックの意味を知らない高知能のサルばかりだ。


 日食が起きると不吉な事悪い事が起きると、騒いでいる坊主と同じレベルの人間だと公言して居るのと一緒だよ。


 自分の信じたい事のみを信じる人は、何処か大きく歪んだ自我を持って生れて来ているのでは無いかと思うね。


 犯罪者は社会から受けるストレスに因って発生すると、頑なに信じる偏執的な法曹関係者は人間も動物の一種だと思わず、何か別の次元に居る生物だと頑なに狂信して居る宗教家と同じだと気付かない。


 競馬や犬のブリーダーをして居る現場の人達には常識なのだが、凶暴な親から生まれた子供は凶暴な気質を遺伝されて、生まれながら凶暴な個体になる確率が高く、幼い内に親から離され別の集団で育てられても、親の気質を受けて似たような凶暴な個体になる可能性が高いそうだ」


「性格は遺伝するのですか?


 人間もその親の持った気質が遺伝されて、ヤクザで乱暴な親を持つ子はやはり乱暴な性格になり易いのでしょうか」


「人間も御霊が高かろうが低かろうが生物として生れたら、その種族の経験等をある程度胎児の段階で脳が発達する時に、ベーシックプログラムとしてインストールされるのだから、当然親の脳構造と似た神経回路が形成されるのだろう。


 両親共暴力的な人間なら、顔や体格が似る様に暴力的な解決方法を選ぶ人間に、形成されるだろうね。


 馬や犬は血統書があるので、非常に大量のデーターが揃っているし、同じ哺乳類同士で群れを作る種だから、ほぼ人間にも当て嵌るだろうな。


 噛み癖のある犬は親も噛み癖があり矯正は難しいのさ。


 犯罪の特質がある親の子は犯罪者に成りやすく、一度発症すれば治癒は奇跡が起きないかぎり不可能だろうね」


「だから犯罪者の再犯率が高いのは、その個体が問題解決に暴力を選択し易いと言うか、その方が楽だから再犯するのですね。


 まるで麻薬に手を出した人間みたいですね」


「そうだね、しかし其れだけで済まないのが、霊的な特質が加味された場合だよ。


 元地獄霊が努力の末人に転生した時、普通の家庭に生まれても御霊の前世の因縁が足を引き、生きながら悪霊になってしまう者もかなりの数がいるのだ。


 麻薬が起こすフラッシュバックと同じ現象だね。


 依存性の高い麻薬と同じ効果を起こすのが前世の“癖”だ。


 御霊と言うプログラムに憑いたバグと言うべきか。 これは本人が自覚して常に意識をしていないと、いざと言う時自分の足を引く罠と一緒だ。


 解決には相対する癖をインプットするのが効果的だろう。


 怠け癖には時間を守り、用事を先に済ます癖を着ける事や、怒り易いなら怒るまえに深呼吸をする癖を着ける等がいいのだ。


 不味い対処は其の癖を矯正しようと努力する事だよ。


 矯正しようと努力すればする程、逆に自身の反逆心を煽り、余計に癖が心に癒着してしまうので要注意だ。


 よく見る光景だが親が子に、悪癖を矯正しようと努力して居るが、自分の過去をよく見てみると解るがその方法で、上手くいった経験があるかな?


 大体癖が矯正出来たのは、別の癖をインプットした場合だけで、直そうと努力すればする程静電気の起きた透明樹脂板から、埃を取ろうと雑巾で乾拭きをして居る学ばない人を見るようで、思わず見ているとタメ息が出てしまうよ」


「・・・・・そうですね! 悪癖や悪習を自分で直そうと努力して、成功した試しは無かったな~・・・・・。


 思い返すと自然と消滅した様に消えた物も、あったみたいですけれど、別の癖で上書きした場合は自然消滅した様に、無くなっていたみたいです」


「私のお師匠さんにこの方法を教えて、もらったのですが効果覿面でしたね。

田中君も将来母親に成った時、子供の悪癖を矯正するなら此の手しか無い事を覚えて置けば効果は大ですよ。


 私が良く言うでしょう「説得・納得・御得」と。


 それと同じで本人が納得しないで、命令されて無理やりさせられた行動は、命令した方は言うだけ無駄な時間を取られ、嫌々行動した方は何も残らず強制された不平不満だけが残るだけで、誰も得はしないのです。


 子供に対する癖の矯正も、自分で成功した体験の無い方法論を使って、矯正しようとして、説得力の無い言葉で子供を騙して、誘導出来る程子供は甘くないですよ? 


 自分の子供の頃を思い出せば、直ぐに解ることです」


 「・・・・・そうですね、今代表が言った通りの方法で、母が私の癖を矯正しようとしましたが、幼い私には説得力の無い説教にしか、聞こえなかったです。


 私が思ったのは、そんなに私の欠点を責める母が自分の欠点を直さないで、何で私だけを責めるのかと、反発だけが後に残りました」


「その通り、人を変えようとするなら、まず自分が自分を変えて見せなければ、人は自分の言う事を聞きはしないのです。


 子供の問題で騒ぐ人はまず自分が、行動で子供に示して説得しなければ、自分の子供ですら言う事を聞きません。

まして赤の他人である仕事上の部下では、面従腹背をして答えてくれますよ」


「そうですね、自分がチャランポランな性格をして居るのに、偉そうな説教をする上司に従う人はいません。

言うことは言うがする事もする人の言う事は、納得して聞けますが」


「又話しが脱線しました。

総理と提督、私の三人で今後世界の航路を破滅からどう救うか、話し合い人類の明日が来る未来に運命の舵を切る様、現在努力中である事は約束しますよ。


 私達は神では無いので、全ての人が全て幸福になる世の中にする事は出来ません。


 しかし今日より明日の方がより良い生活が送れる、世界を呼び込む努力はして行きたいと思っています。


 開戦まで後3時間は有ると思いますので、田中君は1時間程仮眠を取って休んだ方が良いです、貴方が起きたら私が仮眠を取りますから、ソファーで休んで下さい」


「わかりましたでは4時になったら起して下さい」


 田中君は素直に長椅子で毛布を被り仮眠を取り始めた。



Pday 6日目

AM04:45 調布飛行場側 調布[ひよく寮] 書斎


 開戦予想時間まで約1時間になった。


 現地と本土の時差は約1時間なので、現場では4時前だろう。


 我々は[おもいかね]の御蔭で、C国海軍の現在位置は全て把握しており、戦力と艦船数の詳しい情報も、ディスプレイ上に表示されている。


 別のウィンドウにはC国海軍の作戦が、[おもいかね]のハッキングにより、タイムスケジュールこみで、翻訳された物が表示されている。


 別のウィンドウには、[おもいかね]に依る欺瞞情報が表示されて居るが、C国海軍やその他の国にはその情報が、実際の情報であると思わせて居る。


 衛星や無人機による映像もCGIとは思えない精度で、現実とすり替えられて居るので、まず現行技術で解析されても解らないだろう。


 戦域は交戦5時間前より、海空共に立ち入り禁止区域として発表されており、侵入者は武力に因って排除する旨警告が発せられて居いて、侵入者は[おもいかね]のクラッキング攻撃により、漁船や民間船に偽装したスパイ船13隻に、原潜5隻は容赦無く掃除されて行った。


「しかし技術格差と言う物は恐ろしいね、相手は此方の影さえ踏めないが我が方は、相手の位置どころか作戦内容まで丸裸にして居るのだから。


 やはりC国は超大国だと言う奢りが、作戦や相手の技術力を甘く見積もり、相手にすべきではない国と敵対してしまい、国の命脈を断とうとして居るのだからやり切れないよ」


「今時大きい事は良い事だ! ですからね、日本では45年程前に流行った重厚長大賛美の掛け声で、21世紀を戦うあの国はやはり中世の超大国ですね」


「大男総身に知恵は廻らずで、方向転換があまりにも遅すぎ、現代の様に早いテンポで世の中が変わる時に、着いて来られず滅ぶしか無い恐竜みたいな物さ。

環境の激変期に生き残るのは、種としての基盤がある程度確立し、生活基盤を素早く変えられる者達だけだ。


 大きい事が良いのは安定した時代だけさ」


「20世紀から激動の世紀に突入したのに、百年経ってもそれに気付かない無神経な巨人ですか。


 滅びるのは自身のせいですから、一人静かに死んでくれた方が廻りの迷惑にならずにすむのですが、あいつ等にそれを求めるのは無理でしょうね」


「生き汚い連中だから無理だね。


 国としては滅びるが民族としては、A国やその他の国へK橋として、移民して居るので全滅する事は無いでしょうが、パンデミック終息後生き残るT民族は、1000万を切るだろうと試算が出て居るし、故国へ帰ろうとしてもWW2以降彼の国が行った、他民族に対する大虐殺を我が国が、黙って見過ごす気は無いからね。


 NK大虐殺と言う捏造歴史と違い、嘗てC国に侵略されていた事のある、他民族国家を嘗て自分達が先に手を出したにもかかわらず、それを忘れて侵略され返したのを根に持ち、逆恨みした結果WW2以降他国のはずの国々を、侵略したのはC国民だ。


 更に侵略行為を国内問題と偽り、民族浄化の大虐殺まで行う悪辣な手を使う、者達を放置するつもりは無い。


 放って置けばまた人口を無計画に増やし、平気で公害を他国に撒き散らす汚染民族はアジアには要らない。


 C国とK国はアジアのガン細胞と同じで、己と他を相対化して見られない非常に迷惑な民族であり、放置していても他国に迷惑しか掛けない、矯正不可能な集団なので、地球から極力退場願う事にする。


 日本としては恩も義理も解るASEAN各国と、付き合った方が安心出来るからね」


「ヨーロッパはどうする予定ですか。


 あまり早く助けてしまうと国力を温存し、再度他国へ侵攻する可能性が有りますから」


「彼らへ正直にワクチンが完成した事を、伝える事は無いでしょう。


 通常どんなに急いでも1年半は開発と、製造に時間が掛ってしまいますからね。


1年半位経って以降、世界にワクチンが開発出来たと発表すれば、怪しまれずに時間稼ぎが出来ますよ」


「A国はどう対処するんですか? 


 あそこは我が国にかなりの数根を下ろした、拠点を持っていますが」


「A国はこの海戦が終わったら多分日本から撤退する予定ですよ。


[おもいかね]でハッキングして彼の国の戦略は、調査済みですのでまず予定は変えないでしょうね。


 南沙諸島海戦で実質日本海軍の艦艇が、ASEAN艦隊の盾になりかなりの損害を出す予定です。


 そして東シナ海海戦の損害を合わせて、日本の防衛力がかなり落ちても、パンデミックによりR国は日本に侵攻する余力は、当分無いしC国は瓦解しているので、在日A軍を国内に振り向け、国内のゾンビを掃討するための戦力として使うでしょう。


 日本は自国の残存艦隊で充分防衛が、可能だと判断するでしょうね。

中東の部隊も無論撤退して、国内安定に振り向けるだろうと予測して居るのです。


 この動きを誘発する為に、A国へ我が国の海軍が損害を受けたと、偽装情報を流すのですよ。


 あと日本も対C国戦で出した損害の為、自国の事で手一杯になり他国へ干渉する国力が無いと、ミスリードさせる為の戦略です。


 無論石油も輸入がストップして、エネルギー問題で国力が落ちると、読でいるのでしょう。


 我社のバイオ燃料の品質と生産量も、わざと過小に情報漏洩をしておきましたのでね」


「結局今回の海戦の結果が、今後の世界動向を左右する、ターニングポイントになるのですね。


 私余計に緊張して来ましたわ」


「結果は(ほぼ)解っているのですから、あまり緊張しすぎると疲れが酷くなりますよ。

 

 せっかく数年来の肩凝りが解消したのに、再発したら馬鹿らしいですからね」


「そうですね、総理の演説通り人事を尽くす時間を充分持てたのですから、C国より圧倒的に有利な条件で戦いに望めますので、正に必勝の体制で戦いを行える立場なのですね」


「そう言う事! 肩から力を抜いて程々の緊張を維持して、戦いに臨もうと自身に言い聞かせているのだがね」


「私、戦争は初めてですので緊張するのだと思います。


 多分始まってしまえばこんなに、オタオタする事は無いと思いますが、待っている間は禄な事を考えないですね」


「実戦の前はベテランでも同じだよ、只ルーキーよりその緊張と付き合う自分なりの方法を持って居るだけだよ。


 その少しの違いが生き残る為の初動を早く行う、道筋の様な物に継がり生存率を上げる一助になっているのだと思うよ。


 まあ戦場で生き残るのは、紙一重の運とそれを引き寄せる生きようとする、執念みたいな物が強い人間が、生き残るのじゃないかな」


「此ればかりはコンバットブロープンしないと、身に付かない物でしょうから考えても仕方ないのかも知れないですからね。


 出来れば味方に余計な死者が出ない様願うだけですね・・・・。


 身勝手な願いでしょうけれども、そう願わざるを得ないですね」


「其れは戦争の時に両陣営が願う事だと思いますし、身勝手な願いではないと私は思いますね・・・・・ん?


 どうやら動きが有ったみたいですね!」


 それは戦域図中の北太平洋に居た、C国原潜より発射された5発の中距離ミサイルの発射により戦いのゴングが鳴らされた瞬間だった。

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