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感染戦線  作者: ヘロおやじ
第 一 章 調 布 編
12/72

12.Pday 1日目

今回の投稿はここまでです

お楽しみ下さい


PM12:45 調布飛行場側 調布[ひよく寮] 書斎


俺は1階にある書斎と呼ばれる指揮所に入り、施錠してデスクに座りパソコンを起動した。


一見とあるメーカーの量産品に偽装した、ディスクトップパソコンは実は【おもいかね】の技術を利用した、ワンオフ製品で最新型の市販品の5世代先を行く性能を持っている。


キャッシュは20giga/bでメモリーは5tera/b、ハードはサブで通常はメモリーチップを20tera/b乗せており、ハードディスクは500tera/bを使い、CPUは従来型の物で換算すると6万個以上を継げ同時リンクさせたのと同じ性能があり、下手をすると通常型スーパーコンピュータ並みの能力がある、40インチモニターを3面使った超々ハイビジョン仕様だ。


無論認証を受けた人物以外の制御は受け付けないし、現状のどんな優秀なハッカーやクラッカーの侵入も覗きも受付けない。


某有名通信ソフトに偽装したソフトを立上げ、[おもいかね]を使った専用衛星回線のおかげでタイムラグなしで、南シナ海の南沙諸島にある孤島パラナオ島の横山提督に繋がった。


横山直道 元海上自衛隊勤務 最終階級海将補(49才当時)


横山提督の戦略眼は各方面の情報を統括し、独自の方法で分析するのでその精度とスピードに定評があり、戦術家と言うより大戦略家であり、歴史学者か優秀な政治家又は囲碁の高段者の様に世界の動きを、時系列を折り込みながら俯瞰して読む事に長けた人物だ。


その視点は近視的ではなく、世界の動きを大河の流れの様に読み、どの様に舵を取れば安定と発展、戦争と和平の狭間を見切り、西洋と東洋の哲学を織り交ぜた独自の哲学を持って、将来へ絆ぐ航路へと導ける一手を打てる、稀有な天才戦略家だ。


嘗て旧陸軍の石原莞爾が「将軍」と呼ばれた様に、付いた渾名が「提督」。


俺が「提督」より『元帥』が良いんじゃ無いかと言うと、嫌そうな顔をして私は「提督」が分相応だとの賜った。


どうも本人の中では拘りがある様だ。


彼は嘗ての古巣防衛省の将官連中より、頭2つか3つ実力が飛び抜け、熱狂的なシンパは国内外に多いが敵も多かった人だ。


正に現代に生まれた石原莞爾の様な、異能者と呼べる人物だ。


彼を慕う人間は国を超えて把握出来ないくらい居り、俺の人材確保のリソースは彼の伝手が有ったればこそで、どの位それに助けられた事か。


どう言う訳か彼は俺を気に入り、俺が立ち上げた「未来戦略研究所」の所長に防衛省をさっさと退官し、就任してくれた古参の同志であり、パンデミック後の世界戦略を謀る事の出来る、数少ない軍師でもある。


俺のパンデミック後の世界観が変わったのは、彼と知合った為だ。


正に180°変ってしまった。


それまでは、現行の社会の枠組みに戻す位しか展望の無かった俺に、彼の説いた世界観は鮮烈だった。


現行の大東亜戦争敗戦以降に、出来上がった枠組みの歪さや独善性、それに因って起きたパンデミックと言う大厄災。


それを意識した時、俺の中で今回起きる大災害を契機として、世界の枠組のシフトを変換すると言う望みを持った。


横山提督の読みでは、パンデミック終息後の世界は、今迄のヨーロッパ列強の遺産を引き継いだ枠組みで在れば、第二・第三のパンデミックや世界危機が訪れる可能性が高いと観ている。


実質14世紀から始まった世界シフトは、所謂シオニズム的世界体制であり、一神教的アプローチで推移して来た結果、今の歪みに繋がったものだ。


シオニズム的世界観は唯一絶対神による、収奪を基本とした理念であり、根に収奪を肯定するシステムリソースと言うべき根底の思想があり、常に他に対する飽く無き収奪の欲望によって、成り立つ社会に成らざるを得ない。


開国時の日本人はこの《毒》に酔ってしまい、批判も無く取り入れざるを得ない二者択一を迫られ、この《毒》を飲まなければ滅亡せざるを得ない、絶望の淵にいきなり立たされたのだ。


この《毒》すなわち一番日本人にそぐわない、一神教的システム《攘夷》を取り入れた大日本帝国は、二律背反を持ったまま地球世界への表舞台へと、デビューせざるを得なかった。


それからの日本は本来持っている、勤勉で誠実な国民性や秩序の何たるかを弁えた高い精神性を持ちつつ、根本にある大矛盾《攘夷》に悩みながら、日清・日露・日中の戦いを生き抜いた。


そしてアジアの盟主と言う、絶対君主でなくては成らない立場の中で、本来なら互恵が基本理念にある日本社会との、矛盾に足掻きながら何とかそれを無視し、アジアの地位向上の為戦い続けて来た。


しかし運命の日米戦で、開国からの矛盾が吹き出しそれが原因で大敗の後、正に憑き物《攘夷》が落ちた如き状態になって、無条件降伏を受け入れた。


戦後の世界には一転して、本来のあるべき姿である平和国家日本を唱え、その様に行動して行く様に成ったのは、別に日本と言う国の特質を解って居れば、意外でもないだろう。


だが戦後70年近くなり世代交代が完了したにも拘らず、《攘夷》の後継者であるユナイテッド・ネイションズ(UN)より、今だ外されぬ敵国条項の不公正及び一方的な断罪に因って負わされ、不当な歴史評価にもたらされた国民の精神的歪み。


実史では日本の一部として参戦したにも拘らず日本が敗戦後、我らは戦勝国であり日帝の併呑は実は彼らの民族の、大半が同意した事項であるのに拘らず掌を返すように、自分らは預かり知らぬ事であり植民地にしたと事実無根の主張をし、その恨みは1000年先まで忘れないと言う、異常国家の(そし)りを受つづける歪み。


行っても居ない大虐殺と、現政府軍と一度も戦っていないにも拘らず、我らが大日本帝国軍を敗走させ追い出したと豪語し、アジアの国々がヨーロッパ列強の下辛酸の苦しみを舐めていた時、孤軍奮闘し独り列強と戦っていた、大日本帝国の苦労を慮ら無い自称亜細亜の大国からの謗り。


自身がアジアの盟主と言う立場のみに固執し、最後はA国へ大日本帝国とアジアを売り渡す事に因って、自国の盟主としての面子を保とうとしたアジアの裏切民族であり、自称大国と称する日本敗戦後に成立した詐欺国家の、無礼であり虚言歴史からなる誹謗中傷的言動の数々。


この様な謂れのない誹謗や謗りを受けて、黙って受け入れる嗜虐的な変態性を持った国民だけではない、まともな人々が昨今増え続けて来たのは何故か。


戦後のWGIPを賢持して、捏造した歪曲歴史を元に、ジャパン・ディスカウントに邁進する、狂信的マルキシズムに凝り固まった、マスメディアと左翼系政党・団体。


反日在日異国人と反日本政府勢力による、洗脳教育や報道にも関わらず、それら反日本人組織の歪んだプロパガンダにもめげない、強かさを見せ始めた民衆達。


それらの可能性を見て、横山提督は動き出したのだと思う。


そろそろ歪んだ、所謂僭称国の歴史認識を正し、脆性破壊を起しつつあるシオニズム的システム《攘夷》に替わり、真に民主的であり共生・互助を基盤とするヤマティズム的多神教システム《和》に、世界システムを是生しないと地球環境自体が変化し現行生物が、生存出来ない世界になると横山提督は見ている。


俺もその大戦略《和》に沿ってパンデミック禍を好機とし、以降の世界システムの再構築をして行こうと決意をした。


その稀代の大戦略家である横山提督が仕掛けた、対C国包囲網もいよいよ最後の実力行使の段階に差し掛かったのである。


横山提督は、まず彼の国は残すべきかを吟味する事から始め、歴史的国民性・人口密度・地政学的条件・国民の精神性等を加味して計り、今後1000年先の地球環境にとって有益か、負担にしか成らないのかを推論した結果、この民族は滅ぼす方が地球人類にとって、有益であると判断した。


C国以外の世界各国の軽重をも判断したのだが、この国は数千年の歴史から、何も学ばない民族であり、我欲の為なら地球世界を滅ぼす、負のポンテンシャルが強い民族であると結論したそうだ。


今、此処では詳しく言及しないが、今後事態の推移に因ってどの様な戦略を取り、どの国を残しどの国を見捨てるかは、ハッキリ分かって来るだろう。


人に因ってはその判断は、神をも恐れぬ所業であると言う者もいるだろうが、彼ら全てを教化して生かす方向へ導くには、地球を十数回は絶滅させる資源と時間が必要なのだ。


しかし我々に残された時間は少なく、我々が悪魔・魔王の謗りを受けても地球生命と、人類の存続を考えた場合、見捨てる・見捨てない人々として割り切るしかないとの結論に達したのだ。


俺達は、今回のパンデミック禍を利用して、地球全体の人口削減をも視野に収めて、今まで動いてきたのだ。


このまま人口が増えて行けば、いずれ有限の地球資源は150年足らずで枯渇してしまうだろう。


それを少しでも先延ばしにし、人類に残された最後のフロンティアである宇宙開発を地球滅亡前に間に合わせる為、現在の地球人口を最大10億~20億まで削減すれば、300年間の猶予時間が手に入り、宇宙開発に廻す余力が得られると算出したのだ。


しかしこの残り時間も、ほぼぎりぎりの持ち時間に過ぎず、宇宙資源を使った文明にシフトさせると言う、悪魔の計算とも謂うべき戦略が成功しない場合は、自身の出した毒に因る中毒死が、人類を待ち受けているのが解ったので、この戦略を取る決意をしたのだ。


横山提督は今回のパンデミックが、無秩序な開発を行ったC国の起こした人災である側面が強く、無秩序・無責任・無計画の悪魔の3無主義が起こした大災害であると弾じた。


しかしそれを起した原因は、シオニズム的世界システム、《攘夷》と他国を顧みないレイシズム思想である、C華思想が合わさった事が、大元の原因であることも提起する予定だ。


それをワクチン配布と同時に世界に宣伝し、無計画で無責任な経済発展がなにを世界にもたらすか、地球人類に突付ける必要があるだろう。


先進国が先に行い、継続不能の結果が出ている公害垂れ流しの経済発展を、途上国へ認める事がどれ程無責任で、危険な結果が出たかをまざまざと見せつけて、それを禁止するのを封じ込めて行き、責任を持った発展を後押しするのが正道だと説かなくて、真の繁栄は有り得ないのだ。


そして一部先進国の、自国の発展だけを考えた安い原材料や、農産物を求める一部メジャー企業を優遇するために、地球を汚染し砂漠化を無視しての収奪の危険性を訴えて行く事の大切さを、人類に刻み込む事が大事なのである。


その様な事を、又許す態度を是正しない国や国民が居るなら、ワクチンの輸出を止める措置を取り、自然淘汰でその国が自然淘汰されるのを待つまでだ。


何故なら、それが本来の歴史の流れであり、座して滅亡を選び今後の歴史に名を出せなくなる選択を、自ら選んだ国の民の結末になるだろう。


そして一罰百悔で、パンデミック禍の原因を作った、C国に対してワクチンの輸出を最後に行う措置をも取る、大義名分に使用するつもりなのである。


しかし実は、横山提督の取った戦略を実行すれば、我々の海軍が勝利した段階で、C国とC鮮半島は実質崩壊し、対外的に侵攻する所か、国内の対ゾンビ戦で手一杯になり、今まで強みだった十数億いる人口が仇となり、矢弾が尽きて陸軍や空軍は1月程で壊滅する。


そして無政府状態が感染に拍車を掛けると共に、生産施設が壊滅し生き残った者達にも発展途上国に有りがちな、国内流通の保存食料や物資が少ないため餓死する者が頻発。


多すぎる人口の為、ゾンビの密度が高くなり、次々と感染者が増える負のインフレ・スパイラルに落ち入り、生き残るのは非常に難しい環境になるだろう。


その為シュミュレーションでは、1年後に国全体の人口は0.5割を割るだろうとの試算が出ており、場合に因っては国民総ゾンビ化の悪夢がまっているのだ。


その間に、C国やその他の核保有国に、核を使わせない為の最大の一手が素粒子コンピュータ、[おもいかね]の存在である。

 

素粒子コンピュータはその演算速度や、同時並列処理の同次元性により、従来のコンピュータの数京倍の演算速度を誇り、本当の意味のAIが生まれる素地になるのであろうと予想されているシステムだ。


今後の研究では、素粒子の同時共振性を応用した、超光速転移も可能性としては示唆されている。


所謂超光速航行船の開発も行える可能性や、大統一場理論の数学的立証のためのツールにもなり、重力場や次元に重畳されているエネルギーの、取り出しにも関与する道具になるのではと期待されている。


しかし現行での素粒子コンピュータの利用法は、[おもいかね]を使い圧倒的な演算速度のアドバンテージを利用して、現行コンピュータの防壁は意味をなさ無くなり、侵入した形跡も発見出来ずに、ハッキングやクラッキングが思いのままに成る事が、最大の脅威なのである。


この機能を使い、先月の時点で世界の全ての国の軍事ネットワークに侵入し、核兵器の安全装置解除のパスワードを、全て書き換えてしまっているので、最早核兵器は死に体になってしまったのだ。


無論海軍の保有して居る原潜やその他の艦船に、搭載された核弾頭の安全装置も、[おもいかね]で作られた隠蔽性の高い事実上発見不可能な、時限ウィルスにより書き換えられ今頃全て使用不能になっているだろう。


更に、ASEAN各国に日本が資金を供与し、事前に弾薬や単純なロケット兵器の大増産を、C国禍を理由に1年程前から各国で行い、現在弾薬のストックは日本もASEAN各国も1年前の10倍ほどの備蓄が出来て、自国及びC国からのゾンビ順滅に備えているのだ。





「提督、そちらの状況はどうですか、C国政府は実質機能してない状態の様ですが、やはり地方の赤軍の軍部が、国政を掌握しつつあるんでしょうか」


『ああその様に推移して居るね、やはりあの国は管理能力の割に、国が大きすぎなのだよ昔からね。


こうなるとパンデミックが起きなければ、発生した流民が政治不安を起こし、それに同調した新興宗教が発生し、それを地方軍が討伐した結果、兵士の中に反政府分子が発生する。


そして彼等による、武力革命が起こり彼らは民衆の力を借りて、新たなる革命政権を樹立して・・・・ の繰り返しを大昔から飽きもせず行なって来た民族だからね。


全く過去に学ぶと言う事を、知らないのかと今更ながら呆れるね』


「まあ進歩しないC華思想に凝り固まった、民族はどうにも理解出来ませんし、するつもりもありませんからね」


『まあ今回のパンデミックで、その負のループからも脱却するだろうね、滅亡と引換に。


自業自得なので同情の余地はないのだが・・・・・。


残念だな、総合的に見るとそう嫌いな国ではないのだが、活かすには余りにも地球への負担が大きすぎるんだ。


私の立てた予想と、今後さほどのずれも起きないだろうが、起きるとすると隕石でも落下して大災害が起きた場合のみだろうね』


「では彼らが我々へ侵攻するのが、後3日~4日後になるのは、粗決定事項と言う事ですね」


『総理にもその様に伝えておいて下さい。


後例の災害のメタ情報は、やはり今回の災害と同じく確実ですかな?』


「ええ今の所変更は無いようです、後3年7ヶ月後に発生しますし、その次が4ヶ月後発生で変わりないですね。


しかし降灰による被害は、あまり酷くは無い様ですね、火砕流も大した被害を出さない方向へ向かいます、樹海の中での噴火ですからね」


『そうですか、難儀な事ですね全く。


まあ人口が減っているのが救いですが、西の方面と関東一帯はゾンビ禍と相まって、復興に時間が掛かりますな・・・・』


「ええ、人口が都市部でかなり減っているので、思い切った手も打てるのが強みですね、後は総理の腹しだいですが我々も、バックアップしますんで返ってやり易いかと思います。


 それに後数日すると、メガ・フロート一号基のコア・ブロックが、浮上しますので、次の災害が起きる頃までには、人口が減った分土地が余りますし、メガ・フロートへの避難も出来るので、3.11よりも人的被害は少ないでしょうね」


『その通りですね。 しかしさすがの君も今日は偉いポカをしたね、まさかパンデミックの騒動に、巻き込まれるとはおどろいたよ』


「私は良くミスはする方ですよ? まあこれくらいのポカは日常茶飯事ですからね。


ただフォローが上手いので、目立たないだけですよ」


『まあ存じているよ、滅多な事では君も逝きそうもないからな』


「先生もでしょう?」


『ハハ違いない、まあ冗談はこれぐらいにして、今の所シナリオ通り事は進んでいるよ。


半島の方も、半年前に在A国軍が撤退したので、奴らは古巣の旧宗主国様に、裏では条約を結んで付き従うようだしね。


C国がこちらに侵攻した場合、海自はC・K連合軍艦隊を相手に専念すれば良いのだから、松浦海将ならまず負けないだろう。


連合国は、予定通り港と船・空港を破壊して置けば、あとは勝手に自滅するし、我が国はパンデミック拡散防止の為に、難民船を撃沈させるだけで他は一切関わらないで、無視すれば良いのだ』


「まあ提督のお墨付きの、松浦海将が指揮を取れば、負けるはずがありませんしね。


此方は海将が動き易い様、軍事行動の全権を一任する事を、徹底するだけですから。


オイルは我社が握って居ますし、政・財・官の連中は私の怖さを知っているので、滅多な事はしないでしょう」


『一部“カンパニー”の連中と、D国の裏関係にイスラムの過激派が要注意だが、三つ巴の抗争を仕掛けているので、日本国内ではお互い手一杯の三竦みだろうね』


「後提督、予定道理ゾンビ処理工場を、一月後の目処で稼働しますので」


『ほう遺体回収ロボットの運行の目処が立ったのか、後ゾンビホイホイは上手く稼働したようだね。


そちらも今の所シナリオ通りなので、予定道理進めて下さい』


「分かりました、C国海軍の侵攻があれば一任しますので、目一杯暴れてください」


『サー・イエッサー、プレジデント』


所でゾンビホイホイとはゾンビの、生態を利用したゾンビ集収システムだ。


奴らが音と匂いで引き寄せられるのを、利用する陸上の定置網の様な物で、都心部にある陸上競技場やサッカーグラウンド、野球場に設置して自動的に音や匂いを発し、グラウンドに一旦集める。


所定数が集まった後、一体ずつ通れる処理通路に、誘導して頭部を破壊し其れを冷凍保存して回収車で回収した後、燃料処理して人口オイルとして利用するプラントへ送る処理装置だ。


無論這って集まった奴らも別ルートで処理する。


今の人から見れば、非人道的に見えるかもしれないが、考えても見て欲しいのだが、一体1億2千万人の40%である4千8百万体の、遺体をどの様に処理するのかを・・・・・。


放置して置けば、ワクチンが出来る前に、ゾンビウィルスが変異して、空気感染を行う形態に、進化してしまったら手遅れで人類滅亡。


では防疫の為に5千万体弱の遺体を、どの様に火葬にするのか? その燃料は? それを運搬する燃料は? 人手は?


最早人権ごっこしてどうにか成る数では無く、早急に処理すべき汚染物質にしか過ぎないのである。


無論霊的な防護をする為、工場へ搬入した時点で車両もろとも上がる者は上げ、不可能な者は消滅させる“力”を俺が、付与した“場”を通る事により、工場や車両が霊的に汚染されない設備も備えている。


横山提督との定時連絡が済むと、他の主要工場と部署に連絡を終えるのに2時間ほど掛けて終わった。


福島工場へは、佐田婦人の光恵さんの両親の安否を訪ねた所、福島県の主要都市にもパンデミックが発生した為、近隣のパート従業員も一括して居住棟に受け入れが終わっていた。


その為御両親も福島工場の避難寮に、無事保護されて居ることが分かり安心したのだった。





Pday 1日目

PM15:15 調布飛行場側 調布[ひよく寮] リビング


俺はリビングに降りて行った。


そこには、長椅子でお昼寝中の愛美ちゃんに付き添った、光恵婦人と田中君がガールズトーク中だった様で、少しお邪魔かなと思ったがTVを見る為に腰掛けた。


「あ代表、定時連絡は終わったのでしょうか」


「ああ済んだ、そう言えば佐田さんのご両親と弟さんは、福島工場に避難して無事ですと報告を受けています。


こちらからも、貴方がたと旦那さんが、無事保護されていると連絡を入れて置きましたから、後1時間程したら専用回線が空きますので、連絡を入れておけば、親御さんも安心するでしょう」


「返す返す済みません、わざわざお手数をお掛けしまして」


「気にする程の事ではありません、我社は社員を大事にするのでこれ位普通ですよ。


それよりこのサンドイッチは、食べても良いですか?


少々小腹が空きましたので」


「あ済みません気が付きませんで。


先ほど部屋にお持ちしようと思ったのですが、重要なTV会議中だったので通信が終わったらお出ししようと思っていました。


今スープを温め直して、お出ししますので少々お待ち下さい」


「すいませんねお手数かけて。


あ田中君、鬼山君と田所君はどうした」


「はい、二人共お昼が終わった後、町内会の方に出向き[とおりゃんせ]の設置時の細かいコツや対ゾンビ戦の方法や、暴徒が押し寄せた時の対応をレクチャーしに出ています」


「ほう、こう言う時に元傭兵の経験が非常に役に立つね。


一番大変なのが武装した暴徒への対応だからな・・・・。


場合に因っては、[バイパー]の貸出と手入れの方法を、教えて置かないと対応仕切れないかも知れないな。


しかし暴徒の手に渡った場合の、デメリットも計算に入れて置かないとな」


「でも暴徒がトラックで突っ込んで来たら、[とおりゃんせ]でも防ぎきれませんものね」


「そうだな、後で鬼山君と田所君に相談して、自動車の防壁を追加した方が良いだろうな。


後近郊の警察署の位置も出して置いてくれ、万が一警察署がゾンビに制圧された場合、証拠品保管庫を抑えないとヤクザから押収した、武器弾薬が暴徒の手に渡るのを防がなければ成らない。


いくら頑丈な鉄扉に施錠が有っても、大型のバールで力任せにこじ開けられたら一溜まりもないからね」


「分かりました、近隣の警察署やホームセンター・トラックターミナル・ドラックストアーや大型の販売店の場所を、ピックアップしておきインフラが途絶した場合の、資源確保を優先して行える様にしておきます」


「宜しく頼む、この町が無事であれば調布飛行場を確保した場合の、良い足がかりになるからな。


まあ本格的に調達し始めるのは、3~4日経ってからが、丁度世間が混乱し始める時期だから丁度いいんだがね」


「あまり速く動きすぎると、返って目立ってやりにくいですか?」


「ああ、木を隠すなら森の中だよ」


「じゃあ犯罪者予備軍の代表にお聞きしますが、最初に狙うとしたらどこがいいですか?」


「私が最初に狙うんなら、トラックターミナルが狙い目だと思うよ。


まず避難して来る人間はショッピングモールや、大型量販店・DIYショップに逃げ込んで、立て篭るだろうから先住民とのトラブルになり易いそれら店舗はさけるな。


次に店舗はガラス戸や窓が多いので、一箇所破られるとゾンビが雪崩込んで来て、壊滅しかねないから危険だよ、暴徒に襲われ易いしね。


その点トラックターミナルの倉庫群は、内部に人は少ないので、ゾンビの巣窟に成りにくいし、建物も窓が少ないので守りも楽だ。


 それに色々な物資が蓄えられているし、大量に同一物資が手に入り、積込みにもフォークリフトや、台車が当前にある環境だからね。


 何よりいいのは目立たない場所にあり、場所柄防犯体制が整って居るから、侵入路を閉鎖し易いメリットがあるね」


「代表は目立たなく物資の豊富な、トラックターミナルが一押しですか。


 でも衣料品や食料品各種を集めるなら、デパートやショッピングモールも良いのでは?」


「田中君、こんな事態になった場合、やはり人間の最大の敵は人間だよ、悲しいけどね、そいつらがまず狙うのは物資の在り処が分かり易い、ショッピングモールやデパート・商業施設だよ。


 君の様な若くて美人さんは、その手の場所では一番気を付けなければね。


 DQNは一般住民の中にも紛れ込んでいるし、大概そう言う奴らはサイコパスが多いから始末に負えない。


 ああ言うサイコパスは、無政府状態になったら、真っ先に襲って来るよ絶対ね。


 その場合、絶対にその手の奴らは許しては駄目だし、謝って慈悲を乞うても息の根を止めて置かないと、必ず再犯をして多くの人を殺す山賊と同じ、メンタリティーの持ち主だからね」


「では止めを刺すのは、義務と考えて良いのですか?」


「ああ、私も田所君と一緒に南米の某国で、訓練を受けた時の教官に、彼自身が止めを刺さずに、あたら慈悲を掛けたばかりに、後にその犯人に娘を惨殺された事がある人から、訓練を受けたけどね。


 あの時相手の人間性を読みきれなかった、自身の不徳の所為で何の罪もない娘を犠牲にしてしまったと、涙を浮かべて言われたよ。


 それを聞いた時私はそう言う場合、迷わず引き金を引こうと誓った」


「手を出した段階で必ず再犯を犯すと考え、それ以降の被害者を無くす為に処分するのが、より良い判断と言うことですね」


「ああ、あの手の連中の再犯率は非常に高い、ほぼ100%だと田所君や鬼山君は言っているね、それに根っからの詐欺師が多く素人だと簡単に奴らに騙されて許してしまうそうだ。


 しかしそれを許すのは、逆に許したものが犯罪幇助者だよ!」


「そ、そうなんですか?」


 どうやら俺達の話を聞いていた、佐田婦人が聞いて来た。


「ええ佐田さん、この様な無政府状態の、所謂戦場で婦女暴行や殺人を行う奴らは、100%改心しないと田所君や鬼山君は経験上言い切っています。


 逆に下手な慈悲を掛ける行為は犯罪を、助長・幇助するのと同義だそうです。


 仮に1万人に一人、10万人に一人改心する人が居るかも知れないが、0.01%や0.001%の宝くじなみの、当選率しかない善人を助ける為に、残り99999人の極悪人を世に放つ罪はどちらが、より大きいかを考えれば結果は直ぐ出ます。


 田所君や鬼山君は元傭兵であり、自らの手で敵を殺して生き延びて来たプロですが、卑怯な殺しはしていませんから、あの様にあっけらかんとしていられます。


 しかし戦士の殺しと、犯罪者の殺しはまるで別物です。


 奴らは、己の技術と力と運で戦場を生き延びる戦士ではなく、彼らの影に隠れて卑怯な理由で戦士以外の戦闘に関わりのない、老人や女子供の様な反撃しない弱者を、快楽のや利益の為殺す外道です。


 私もその様なクズを見つけたら、ゴミとして処分するでしょう」


「もし、相手が土下座をして、許してくれと言ってもですか?」


「佐田さん、私は陰陽師でもありかって人間だった物を処分して来ました。


 彼らの中でも、人に危害を加える意識ある存在を、多々処分して来た経験者です。


 奴らは最早矯正不可能な存在が殆どで、自分が助かるためならそれこそ、相手の尻の穴を舐めてでも助かろうとする存在ばかりです。


 まともな人を騙すのなど、其れこそ呼吸をするように簡単に行う存在であり、相手が背を向ければ後から刺すのを、躊躇わない連中ですよ。


 偶々その相手が肉体を持っているか、持っていないかの違いだけで、その他はまるで人間とは違いはないのです」


「そうですね・・・・・、嘗ては人間だったと言うか、肉体を持たない人間が霊なのかも知れないんですね」


「その通りです、既に肉体を持ったまま悪霊化してしまった人間も存在するのですよ!


 そう言う人間を私が“見る”とまるで、違う生き物を見ている感じで見えてしまう、所謂生きた悪霊を良くみかけるんです」


「生きた悪霊ですか・・・・怖いですね、では甘莉様がゾンビを見るとどう見えるんですか?


 その人の霊までゾンビ化してしまうんでしょうか」


「昨日TVで“視た”C国の大半のゾンビは、元ドライバーの本人の霊は、体を止めようと必死ですが、止めるに止められない状態で、焦っているか諦めて目と耳を塞いでいるかどちらかですね。


 しかし肉体を持ったまま悪霊化している人間は、ニヤニヤ気持ちの悪い笑を浮かべて憑いています、それも同類が多数一緒に取り憑いてね」


「では彼らゾンビを殺してしまった時は、霊本人はどう思っているのでしょう」


「ほっとして居る人、呆然として居る人、パニックに成っている人と色々居ますが、まともな人はやがて気が付いて勝手に上がるか、ウロウロして居る人が殆どですね。


 しかし生前から悪霊化して居る人は、自分と波長の合う霊の乗ったゾンビに取り憑いていきます」


「有難うございました、大変勉強になりましたわ。


 やはり生きたまま悪霊化したくはありませんので、真面目にしっかり心を持って生活して行く事にします」


「そうですね、後は悪霊化した犯罪者は、引導を渡すのが世の為人の為ですので忘れない様に、下手な同情は大勢の人を不幸にする犯罪幇助ですから」


「ハイ! 肝に銘じておきます。


 あ、そうだスープが冷めてしまったわ、ゴメンなさい」


「良いですよ私は猫舌気味なんで、ぬるい位が丁度いいんですから」


 そんなかんじで、ゴタゴタしながらその日は過ぎていった・・・・・。



誤字・脱字が有りましたらご指摘下さい

早急に訂正致します

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