17話 初めての通常ダンジョン
今日からまた定時投稿に戻します。
俺たちは、今はパーティーハウスとなった俺の家の跡地から自衛隊の送迎でダンジョンへと向かう。
ダンジョンの場所は別に秘匿するつもりはないみたいで、今回は目隠しは無しだ。
30分ほどして、住宅街の中に車は止まり、運転手さんから降りるように指示があった。
ダンジョンがある場所はすぐに分かった。
住宅街の中に1つだけ異彩を放つ建物。
少し広めの公衆トイレのように見えるのだが、入り口は自衛官の人が2人で守っている。
朝倉さんが何か書類のようなものを渡すと、守衛の2人はそれをしばらく確認して道を開けてくれた。
「緊張しますね、せんぱい」
「あぁ」
美嘉がささやくように言う。
ドアを開けると廊下があって、朝倉さんがその奥の扉を開けると、おなじみのダンジョンが広がっていた。
とはいえ、道は25メートルほど行ったところで曲がり角になっているようだった。
「俺が先頭で、朝倉さんがその後ろ。美嘉は1番後ろだよな」
俺が配置の確認をすると、2人は黙って頷く……朝倉さんはともかく、美嘉はかなり緊張しているようだ。
まぁ、ここの1層は自衛隊でも対処できていたようだから万にひとつも心配はないが、いちおうなんとかしておくべきだろう。
「大丈夫だ」
美嘉の頭をポンと撫でる。美嘉の顔からボンっと蒸気があがる。
うん、やりすぎた。ごめんよ。
いずれにせよ、ダンジョンに潜る前だということを考えると、俺の行為もあまり褒められたものではないだろう。
結局、少し変な雰囲気のまま俺たちはダンジョンに潜る。
時々出てくるゴブリンを撲殺しながら、自衛隊の人たちが作ったという地図を読む朝倉さんに従っていくと、やがて下層への階段を見つけた。
だが、階段にたどり着くだけで1時間ほどかかった。
距離がそこそこ長かったのもあるが、曲がり角でいちいちクリアリングをしていたからというのもある。
索敵スキルがあるから必要ないのだが、一応奇襲を警戒してやっていた。
というか練習としての側面も大きいが。
「今度からクリアリングはもう少し雑にしよう」
「そうですね、せんぱい。いくらなんでも曲がり角が多すぎます」
「でも、次の層からは曲がり角はだいぶん少なくなるみたいですよ」
朝倉さんが見せてくれた地図には、曲がり角は10箇所くらいしかなかった。
あと、1層に比べて広さが全然違う。
「その次の層はどう?」
「あんなに曲がり角が多くて広い層は、自衛隊が攻略した10層の中ではここだけですよ」
それを聞いて俺は複雑な気持ちになる。
この構造なら、ここを一般開放したときに、1層で初心者狩りというか、追いはぎをしようとするやつは格段に多くなるだろう。
ダンジョンに意思などあるがわからないが、このダンジョンの構造は性格が悪い。
そう思った。




