6 ドラゴンブレスLV2
『ドラゴンブレスか……』
爆炎の向こうから巨人が現れる。
『だが、いかに「暗黒竜王」とはいえ、小竜クラスのブレスでは俺は倒せん……』
俺の必殺ブレスが効いてない──!?
見れば、巨人の肌には、わずかな焼け焦げができた程度だった。
ほとんどダメージを受けていないらしい。
『下位眷属とはいえ、さすがに巨人ね。とんでもない耐久力と防御力よ』
と、ナビ。
今まで狩ってきたモンスターとは違う、ってことか。
俺はごくりと喉を鳴らした。
さて、どう戦うか。
あるいは──逃げるか?
自問するまでもない。
ここは、逃げられない。
逃げたくない。
『じゃあ、試してみましょうか?』
試す? 何をだ。
『「滅びの光芒」LV2よ』
LV……2?
『正確には、その全開能力ってところね』
──俺はナビからその内容を聞いた。
なるほど、全開にすればあいつにも通用するかもしれないな。
ただ、リスクもある。
一度使ってしまうと、一時間はブレスを撃てなくなってしまうらしい。
『ドラゴンブレスには体力以外に膨大な魔力を使用するのよ。小竜であるあなたでは、全開版のブレスを一度撃つと、次に撃てるようになるまでに魔力チャージにそれだけの時間がかかる、ってことね』
丁寧な解説ありがとう、ナビ。
要は──一発外せば終わりってことだ。
『当てれば、おそらく私たちの勝ち。外せば負け、ね』
ナビ、さっきみたいに相手の動きを読んでくれ。
『……駄目、今度は読めないわ』
えっ、どういうことだ?
『さっきと違って、両腕の筋肉に力がこもってる。左右どちらの拳でも打ち出せる体勢よ』
と、ナビ。
……なるほど。
さっき俺が奴の一撃をかわしたから、さすがに警戒されたか。
両腕のパンチを交互に繰り出すのか、あるいはフェイントを交えてくるのか。
先の先を読んでカウンター……というのは、今度は通用しなさそうだ。
とにかく、動き回って的を絞らせないようにしよう。
俺は四足で駆け出した。
まだまだ四本の脚での走行には慣れていない。
人間のときは、こんな動きはしなかったし、そもそも俺のバトルスタイルはブレスが主武器だ。
足でかき回す戦い方はほとんど未経験といってよかった。
それでも──。
ドラゴンの強靭な四肢は、人間以上の速度をもたらしてくれる。
慣れない足捌きながらも、俺は巨人の周囲をめちゃくちゃに駆け回った。
『ちょこまかと……』
うっとうしげにつぶやく巨人。
『だが、逃げられはせんぞ。しょせん体のサイズが違いすぎるのだ。俺のリーチなら、お前がどこに逃げようとも届く──』
両腕を振り上げる巨人。
さすがに、俺のスピードに目が慣れてきたんだろう。
慎重に狙いを定めている様子だ。
『ち、ちょっと大丈夫なの?』
焦ったようなナビの声。
問題ない。
タイミングを計っているのは、俺も同じだ。
緊張感を孕んだ空気が流れ、やがて──、
『見切った! 潰してやる!』
巨人が叫んで両腕を繰り出した。
左右から振り下ろされる【拳撃】。
逃げ場はない。
『駄目、避けられない……』
ナビが悲痛な声を上げる。
問題ないって言っただろ。
脚力で避けられないなら──別の方法で避けるんだ。
俺は口を開き、地面に向けた。
『滅びの光芒』LV1発射!
まずは通常の『LV1』を使用。
青白い光線を地面に撃ちこみ、その反動で斜め前に飛び上がる。
巨人の【拳撃】をかいくぐるようにして、間一髪で避けることができた。
その勢いで奴の懐に向かっていく。
『なんだと……ブレスを攻撃ではなく回避のために──』
空中で俺は体をひねり、今度は奴に向かって口を開いた。
さあ、今こそ俺の本気のブレスを食らわせてやる。
受け取れ、下級巨人──!
ごうっ!
俺は螺旋状の青白い光線を放った。
『通常版』に比べ、はるかに貫通力を高めた『全開版』。
これなら、強固な巨人の体表でも貫ける!
俺のブレスは狙い通りに奴の胸を貫通した。
鮮血とともに、倒れ伏すレッサージャイアント。
俺の、勝利だ。
【20.8.4追記】
ドラゴンブレスLV2を二連発していたのをLV1→LV2の二連発に修正しました。
書籍版の作業の時に修正したんですが、なろうに反映するのが遅れてしまった……すみません。
あと、指摘してくださった方々、ありがとうございました! 直したよ~!(*´∀`*)
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