聖女ちゃんと図書館へ。
武蔵小山駅は品川区の西の端にあり、俺の家は目黒区の東の端にある。住所で言うと目黒本町だ。
ツェツィリーちゃんと外に出る。
手をつないで階段を降り、道を歩く。
26号線に出て武蔵小山とは逆に、目黒通りや学芸大学方面に向けて歩いていくと、目黒本町複合施設なる建物がある。
その建物内に入り、右手のちょっと薄暗い階段を上へとあがる。
2階の正面が目黒区の図書館である目黒本町図書館なのだ。
電車だと学芸大学からも武蔵小山からも徒歩15分という中途半端な立地であり、割とすいている。
特に今は平日の午前中なので、職員以外は常連的な爺さん婆さんがいるくらいだ。
職員がツェツィリーちゃんをぽかんと見つめる。
うん、俺もここに美人の外人さんいるの見たことないわ。
ふたりで会釈して書架へと向かう。
ワンフロアであるが部屋には絵本、児童書からライトノベル、マンガ、一般書籍、辞書と一通り揃っている。座席も机とパイプ椅子があって学生が勉強しているようなところや、椅子だけのところもあり、全体で100弱くらいの座席数だろうか。
全体的な印象としてはちょっとレトロな感じ。学校なんかの図書室を大きくしたものという雰囲気だろう。
「ふおぉぉ」
それでも本がいっぱいあるのは、ツェツィリーちゃんにとって驚くのに値するようだ。
「ツェツィリー静かに」
いや、小声で言いなおさなくても良いのだ。




