聖女ちゃんとお料理。
んじゃ朝食作ろうかね。
夜が軽くて腹ペコなのだが。
「ツェツィリーは朝食、パンと麺とご飯どれがいい?」
「めんは きのう おみせで いただいたもの?」
「スパゲッティな。あれとは違う味付けのか、別の麺もあるよ」
素麺とかうどんとかカップラーメンも買ったしね。
「きょーすけの べつの すぱげてぃー たべてみたい」
「わかった。ツェツィリー、料理はできる?」
ツェツィリーちゃんはしょぼんと眉を落として言った。
「たびのとちゅう しょくじつくった でも あまり おいしくない」
んー……。ツェツィリーちゃんがメシマズの可能性。でも、それってそもそも食材がマズいだけな気がするな。一緒にやれば上手くやれる気がする。
「一緒に作ろうか?」
彼女の表情がぱあっと明るくなる。
「うん!」
狭い、完全に1人用のキッチンに並んで立つ。肩が触れ合う距離である。
……なんだこの溢れ出る新婚感!
くっそ、エプロンとか買いてえ!
ツェツィリーちゃんがどうしたの?という表情でこちらを見上げてくる。
「はい、狭いので俺が火を使う担当で、ツェツィリーが包丁担当です。いけますか?」
「きるの できる」
ツェツィリーちゃんがぐっと拳を握る。俺はまな板と包丁、そしてにんにくを渡した。
「じゃあまずは、にんにくを一欠片取り出して、皮を剥いてスライスしてください」
「すらいす どうきる?」
俺は右手を手刀の形にし、縦に動かして見せた。
「わかった」
俺はツェツィリーちゃんの手付きを見ながらフライパンにオリーブオイルを引いた。




