No.54 チョコレートボトルを選ぶ
ネットで調べつつ、必要な材料を電話注文していく。
機械式駐車場のように二階を入れ替え、特設キッチン部屋に切り替えた。
ピンポーン!
「お、さっそく材料が届いたのぅ」
今回のチョコの材料をそれぞれ作る相手向けで整理してみる。
──ラザへの友チョコ:
餡子、生チョコ、バター、グラニュー糖、岩塩、卵、牛乳、生クリーム、薄力粉、ホットケーキミックス。
──妾への本命チョコ:
板チョコ、アーモンド、ココナッツミルク、イチゴ、イチジク、ブルーベリー、バナナ、レモン。
──カルカンへの義理チョコ:
ブランデー。
ラザへの友チョコは餡子とチョコのケーキにしてみる予定。うまく焼き上がるか不安だけれど、ネットの情報を元に進めれば大丈夫だろう。
妾への本命チョコはチョコピンチョス。映えを意識してココナッツミルクのホイップも盛り盛りにする予定。何故本命なのかは、将来に必要になった時の予行練習として必要だからだ。
最後にカルカン。要望通りの材料にしたらブランデーしか残らなかった。
ま、希望通りだから構わないか。
「むむ、ケーキは意外に難しいのじゃ」
試行錯誤を繰り返しているが、ケーキは難航している。ベーキングパウダーをケチって既にストックのあったホットケーキミックスで代用したのが間違いだったのか。いや、単に分量の問題な気もする。
改めて出来上がった試作品を口へと運ぶ。
「うむ。悪くない。悪くは無いのじゃ」
味はそこそこ。問題点は……そのまま餡子とチョコを別々に食べた時の方が遥かに美味しいということ。
致命的過ぎる。
料理の出来に腕を組んで唸っていたら、背後から腰にポンポンと肉球の感触が与えられた。
「何を唸っているのにゃ? 便秘かにゃ?」
「うるさいのぅ。お主への義理チョコはそこのテーブルの上に乗ってるから、持ってとっとと去るが良い」
ビッとテーブルの上に鎮座しているブランデーボトルを指差してやった。
カルカンは「私へのチョコレート嬉しいのにゃ」と言っているが、それをチョコレートと呼ぶのは世界中探してもこのアホの神しか居ないと思う。
ボトルを両手で大事そうに抱えたカルカンがこちらへ向き直った。
「で、困っていたのは何でなのにゃ?」
「ケーキがうまくいかんのじゃ。ラザには失望して欲しくないし、教えてくれる人も居らぬし、どうしたものか」
プレゼントして普通の餡子の方が美味しかったと言われては、ショックで立ち直れそうにも無い。
せめて加工前と同じくらいの味まではクオリティアップをしたいところ。
ブランデーをラッパ飲みしていたカルカンが普段より明るめに発光し出した。
「カルカンよ、眩しいのじゃ」
「ぷはぁーーーにゃーーー。それなら知り合いを講師に紹介するにゃ」




