No.52 知識無きDIYの結末
いつもなら男たちが現れて用意するところなのだが、妾はつい余計なことを口走ってしまう。
「せっかく予算の計算が終わった後なのに悪いのぅ」
「……ハッ!? 恐ろしいトラップだったのにゃ! 危うくハメられるとこだったのにゃーーー!」
勝手に色々提案していたからてっきりどうにかすると思っていたら、何も考えていなかったようだ。
仕方が無いので低予算プランを提案してみる。
「ゴルフボールとパターは既に持っておるから、古い畳をくり抜いてカップを作るのはどうじゃ?」
「名案なのにゃ! でもゴルフ用品の経費は申請されてなかったのに不思議にゃ」
それはそうだろう。ゴルフ女子に憧れを感じて、飾るために購入したので名目は「インテリア」で計上してあるのだから。
機械式駐車場のように二階を入れ替え、シンプルな畳部屋に切り替える。
それから二人してあーでもない、こーでもないと言いながら畳に穴を開けた。
急遽用意されたパターゴルフ場。という名の畳の一部をくり抜き、穴を用意しただけの雑なグリーン。
「一先ず形にはなったかの」
「畳もグリーン色と言えなくもないのにゃ」
いそいそとSNS用の自撮りをする。
ゴルフウェアを始めとしたゴルフ用品が本格的で気合い入っているだけに、畳のグリーンが浮く浮く。
「妾としては芝を掴んで風に晒すあのポーズをやってみたかったのじゃが……」
「屋内だから風ないし、パターには必要ないのにゃ」
SNSをやらないカルカンには理解して貰えなかった。
「なら芝の目を読むので我慢するかの」
──1時間後。
「のぅ、カルカン。これは難しくないかぇ?」
「芝の目は畳の目だから読むのは難しくないのにゃ」
畳は芝目がきつすぎて、どうしても乗り越えるのに力が要る。しかし省スペースのために通常よりも小さく作ったカップには嫌われ続ける。
カルカンは既に何度もカップインさせているだけに悔しい。
「妾はもう心が折れそうじゃ……」
それからも粘り強く続け、776回目にしてようやく初のカップイン。
なのに何故かカップの音がせず、やけに遠くで畳を叩いた音が聞こえる。
「何やら音が変じゃったのじゃ」
カルカンがそそくさとカップの中を覗きにいき、中をみて驚愕の表情をした。
妾も慌ててカップを覗きにいく。
カップの中を見ると底は抜けていて、ゴルフボールは一階に落ちていた。
「変に穴を空けるもんではないのぅ」
「はわわわ……修繕に一体いくらかかるのにゃー……」
本日の教訓。
ヘタにケチって素人が工事に手を出すべきではないということ。




