No.48 答え合わせ
「すまぬ。ほんの出来心なのじゃ。許してたもれ」
許して貰えるまで三日三晩かかった。
ラザは気にしていないように自室に戻っていたが、カルカンはずっとお冠。
それで説教だけが続いていた日々。
「も、もうええじゃろ! 世界の危険性は分かったのじゃ!」
「ヨウのせいで日本も消滅するところだったのにゃ!もっと猛省するにゃ!」
猛省を促すカルカンの右手には愛媛の純米大吟醸が握られていて、何を大事にしているのかが丸わかりだった。
「わ、悪かったのじゃ。もう日本酒を危険に晒すマネはやめるとゆうておろうに」
「ふんにゃーーー!」
カルカンが振り回す一升瓶を交わし続け、酔いが回ったのか少しペースが落ちたところを見計らって話題転換を試みる。
「ところでカルカンよ。あの暗証番号の暗号は一体何なのじゃ? 妾には難しくて解けなんだ。ここは高尚な光の神の叡智の一端を高説賜ると嬉しいのじゃが」
ひたすらヨイショを続けていたら、鼻息を荒くした酔っ払いがニヤけ顔をする。
「んー? もう暗証番号もヒントも書き換えたから意味が無いのにゃー」
「それは分かっておる。単純に知的好奇心なのじゃ」
分からないからと直接答え合わせをするのは恥ずかしい。
しかし、このままではあまりにモヤモヤして、夜しか眠れん!
空き瓶をひっくり返して舐めていたカルカンがこちらに向き直る。
「エアマットや低反発枕、安眠パジャマまで完備してアイマスク付きで熟睡しているヨウに、夜以外の睡眠は必要ないのにゃ」
「それはお互い様じゃろうて」
妾が注文するのに便乗してお揃いの物を購入したカルカンに言われたくはない。
空き瓶を畳に置き、少し嘆息したカルカンが片眉をクイっとあげる。
「仕方が無いから教えてやるのにゃ。ただし他言無用なのにゃ!」
「勿論なのじゃ。何じゃったらNDAでも結ぶかの?」
と、言う訳で暗証番号の謎の答え合わせをすることに……。
そこで発覚した驚愕の事実。
「バ、バカな……このアホが計算式を用いておるとは……」
「ヨウが常日頃から考えているから、簡単な四則演算は勉強したのにゃ!」
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《三賀日はいずれも風邪ではなく肉をひいていた。キャベツの千切りも二玉追加しておこう》
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計算式は、101 + 102 + 103 - 29 + (1000 * 2) = 2277となった。
──カチャリ。
新作が取り付けられて、今は役目を終えていた暗証番号のロックが解除される。
「まさか三賀日を日付として全部足すとは……それに掛け算まで……カルカンよ。お主成長したのじゃな……妾は嬉しいぞぇ?」
照れもあってわざとらしい泣き演技で褒めたら、後頭部をハリセンで叩かれた。
「さ、それはもう忘れて契約違反のおしおきの時間なのにゃ!」




