No.13 飼えるペットは?
「そもそもこの結界の中に通常の生物が入ったら即座にマナ酔いで死ぬにゃ」
「な、なんじゃとーーー!?」
妾は神にも等しいマナを有していて、しかもコントロールできていないそうだ。
並みの生物ではマナ酔いという症状を起こし、最終的には死に至ると言う。
「私だから傍にいられるのにゃー」
「腐っても神であったのか」
「んにゃ? 私はBL好きでは無いにゃー。でもそういう訳だから諦めるにゃ」
慰めているつもりなのかカルカンが妾の肩をポンポンと叩く。
そしてすかさず酒瓶を奪おうとしてきたので振り払っておく。
「ええい! 禁酒じゃとゆうておろうに!」
「チッ……今なら油断していると思ったのに抜け目ないにゃー」
「どっちがじゃ! とにかくペットが飼えん間は封印なんぞされてやらん!」
酒瓶を抱きかかえて徹底抗戦の構えを見せるも、カルカンは鼻で笑う。
「我慢比べかにゃ? 付き合ってやるにゃー」
「妾の望みにペットが飼えん間の光の神の禁酒も追加じゃ! ほれ、飲みたいのであろう?」
「そういえば飼えるペットの心当たりがあったにゃ」
酒を人質に取ったら秒で意見を翻してきた。わざとらしく掌まで叩いている。
「して、どんなペットじゃ?」
「今、連れてくるにゃ」
そう言ってすぐに光の中に包まれて消えていくカルカン。
ペットと言っても幅が広いからな。爬虫類は勘弁して欲しいところ。
NGペットを頭の中で思い浮かべていたら、空間に光が集まりだした。
「おまたせにゃー」
『う~、ここなら甘いもの食べれるござる~?』
カルカンが連れてきたのは銀色の子グマだった。妾は座したまま後ずさる。
「の、のぅ。食べられたりはせんのか? 昨今は熊の被害が多いと聞くのじゃ」
「大丈夫なのにゃ。見た目はくまさんだけど、中身はドラゴンなのにゃー!」
『おいしいの~? おいしいなら食べるござる~』
妾は咄嗟に死んだふりをした。迷信と言われているが藁にも縋る思い。
その間にもカルカンが懇々と食べてはいけないことを説明していた。
「ヨウ、そんなに怯えなくても良いにゃー」
『ヨウは食べないござる~!』
「ほ、本当かぇ?」
銀色の子グマは大地の神で、名前がラザだと自己紹介を受ける。
『ボクはラザ~。よろしく~ござる~』
「う、うむ。妾を食べないのであれば良い。ん? ラザよ、足に土がついておるわい」
そのせいで畳が土塗れになっている。畳をさっと拭いてラザの足も拭いた。
けれど、何度拭いてもラザの足には土がついてしまう。
「これ、自動的に寄ってきておらんか? まるで磁石なのじゃ」
『う~?』
「ラザ様は大地の神だから、ちょっと土が寄ってきやすい体質なのにゃー」
それは困る。畳は土足厳禁とさせて頂きたい。




