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情緒桜城  作者: 山本大介
18/20

六、➁


 12月31日、大晦日、肥後製菓堂山鹿店は最後の日を迎えた。

 隼人も最後の勤務日となる。

 彼は晴れ晴れとして、妙に落ち着いて朝を迎えた。

 いつも通りの勤務といつも以上の接客を心がけ、仕事に取り組む。

 あっという間に閉店間近となる。

 店の常連である老婆が名残惜しそうに、最後までいてくれて、肥後シリーズの和菓子を箱詰めで買ってくれた。

 隼人がレジを打っていると、


「せっかくもうすぐ新年なのに、残念だったね」


 と、老婆はしんみり言った。

 隼人はスマイルを心がけ、


「はい、そうですね。熊本市内の本店は営業しますので、よろしかったらそちらの方もお越しください」


「アンタも、そこにいくんかい?」


「いえ、私は今日で・・・」


「そうかい・・・」


 老婆は気まずい事を聞いてしまったと苦笑いをする。

 紙袋に入れた箱詰めのお菓子を受け取ると、


「がんばんなっせ」


 と言い店を後にする。

 隼人は最後のお客様を、店の外まで見送ると深々と一礼し、


「ありがとうございました」


 と、心を込めて言う。

 隼人は老婆が暗闇に消えるまで見送り、頭をゆっくりあげると、


「がんばなっせ・・・か」


  と、呟いた。


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― 新着の感想 ―
[一言] おばあちゃんの一言に、ジーンと来ますね。 優しい常連さんがいてくれるとありがたいですね。
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