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玉響(たまゆら)の群像  作者: 唐橋遠海
第三章 新たな火種
128/161

三十六 王生国天山・石動元博 幸福

「いよいよかな」

 (いわい)城からの使者を帰したあと、黒葛(つづら)貴昌(たかまさ)は凛と落ち着いて、静かにひと言そうつぶやいただけだった。

 大皇(たいこう)三廻部(みくるべ)勝元(かつもと)が貴昌を城へ呼び出すのは決して珍しいことではないが、今この時期ともなると、ただの接待目的とはとうてい思えない。おそらくは人質の帰国について何らかの結論に達し、それを伝えるつもりでいるのだろう。随行長の黒葛 禎貴(さだたか)以下六人の随員も相伴(あいともな)ってまいれとのことなので、かなり具体的な話が出るに違いない。

 指定された夕七つに合わせて登城した南部衆は、勝手知ったる本曲輪(ほんぐるわ)御殿の〈竜王(りゅうおう)の間〉へと通された。ふだん勝元公が引見を行う威圧的な大広間とは違い、ずっと親密な雰囲気が感じられる別棟の小規模な座敷だ。とはいえ仕切れば三間になる三十畳敷きで、小さめではあるが上段の間も設けられている。

 貴昌と随員が部屋へ入ると、その上段の間には大皇と大皇妃三廻部真名(まな)、六歳になる嫡子利勝(としかつ)、さらにふたりの姫君亜矢(あや)沙弥(さや)が居並んでいた。大皇一家がこうして打ち揃っているのは、非常に珍しいことだ。

 二の間には、慶城筆頭家老で貴昌の後見役でもある桔流(きりゅう)和智(かずとも)の姿もある。

 この錚々(そうそう)たる顔ぶれと対面しても、貴昌の泰然とした様子はまったく変わらなかった。何が来てもあわてることなく受け止めると思い定め、すっかり腹をくくっているようだ。

 ほかの随員と並んで主人の背後に座りながら、石動(いするぎ)元博(もとひろ)もまた表向きはなんとか取り繕って平然としていた。しかし心の中では嵐が吹き荒れている。

 帰国は許されるのか。無理な条件を押しつけられないか。貴昌が傷ついたり、苦しんだりはしないか。気がかりなことばかりで、とても楽観的な気分にはなれそうもない。

「本日はお招きに(あずか)り、光栄至極に存じます」

 貴昌が持ち前の柔らかく穏やかな声でそう述べると、勝元公はたちまち相好を崩した。

「そなたに見せたいものがある」

 ふふ、と含み笑いをして、彼は懐から数通の書状を掴み出した。それを()り分け、ひとつずつ床に並べていく。

「この五通はそなたの父、黒葛禎俊(さだとし)から。こちらの三通は叔父の黒葛寛貴(ひろたか)から。そして、この二通はいとこの黒葛貴之(たかゆき)からだ」

 貴昌が情報を呑み込むまで少し待ち、片眉をしかめながら先を続ける。

「わずかふた月ほどのあいだに、次から次へと送られてきた。放っておけば、まだまだ届くだろう。まったく黒葛家というのは、あきれるほど筆まめな家系だな。三人がそれぞれに書いてはいるものの、記されている中身はどれもみな同じだ。貴之とやらは立州(りっしゅう)の国主代に就任したそうだが、その報告と挨拶は冒頭の数行のみで、残りの紙面はすべて伯父たちと同様の要請に費やしていた。敢えて言わずとも、どういう要請かはわかるな」

「はい」

「わしは回りくどいのは好かん。だから、ここではっきりと伝えるぞ」

 勝元は表情を改め、まっすぐに貴昌を見つめながら言った。

「そなたら南部衆を帰国させる」

 ざわ、と元博の全身が総毛立った。

 ついに――。

 横並びの随員六人が息を呑み、無意識にぐっと前のめりになる。だが貴昌は身じろぎもせず、ゆったりひと呼吸置いてから深々と頭を下げた。

「ありがたきお(ここざし)を賜り、感謝の念に堪えません」

「なんだ、落ち着き払いおって。さては予期していたな」

 勝元が吼えるように笑い、右隣の真名もまた小さく微笑んだ。母親に寄り添うように座っている十四歳の沙弥姫と、まだあどけなさの抜けない利勝(ぎみ)は、かわいい頬を桃色にしながらにこやかに会話を聞いている。ふだんは冷厳な桔流和智さえもが、ほっとしたような表情でわずかに口角を上げていた。

 この場でしかめ(つら)をしているのは、上段の間の左端でひとり()ねたように座っている亜矢姫だけだ。

 相変わらずの男装をして大胆に胡座(あぐら)をかいた彼女は、一見したところ大皇の側近の武将か何かにしか見えない。妹の沙弥が刺繍の施された(とき)色の装束で、姫君らしく華やかに装っているのとは対照的だった。

「黒葛家は人質の返還と引き替えに、手に入れたばかりの江州(こうしゅう)を半分手放すそうだ」

 勝元はにやにやしながら、重そうな巨体を持て余したように揺すって座り直した。かつては筋肉質でたくましく、締まっていないのは腹回りぐらいだったが、今では長年にわたる飲酒の影響か全身が青黒く浮腫(むく)んで見える。寄りかかっている脇息(きょうそく)が太い肘の重圧を受け、息絶え絶えに軋む音が聞こえてきそうだ。

「まあ、くれるというのなら、もらわぬではない。が、わしは条件次第では、それをも返してやってもよいと思っている」

 きた――元博は右隣に座る朴木(ふのき)直祐(なおすけ)と素早く横目に視線を交わした。

 帰国に何らかの条件がつくだろうというのは、事前に桔流和智から予告されていたことだ。それがひとつだけか、あるいは複数になるのかは定かではないが、彼はそのうち〝もっとも承伏しがたい〟条件をひとつ呑むようにと貴昌に助言していた。

 随員の内輪の話し合いでは、若殿に無理をさせることはするまいということで意見の一致を見ていたが、どうするか決めるのはあくまで貴昌自身だ。

 元博は、帰国を実現させるために彼ひとりが不利益を(こうむ)ることになるのではないかと危惧し、胸を痛めていた。

「条件とは、いかなるものでしょう」

「聞いたら断れぬぞ。よいのか」

「何なりと――」貴昌は平静さを保っている。「おっしゃってください。祖国の父にわたしから伝え、陛下の御意に沿う成り行きとなるよう尽力いたします」

「うむ」

 満足げに勝元がうなずく。

「そなたは誠実な若者だ。わしを落胆させるようなことはするまい」

「どうぞ、条件を」

 貴昌が静かに促すと、勝元は少し表情を引き締めた。

「元は人質として天山(てんざん)へ上がらせたが、わしは今ではそなたを身内のひとりと思うている。奧も同様だ」

 回りくどいのは嫌いだと言ったくせに、ずいぶんと持って回った言い方だ。元博はそう思い、()れったさを感じた。

「そこで、そなたには三廻部家の姫を(めと)り、真の意味で我が身内となってもらいたい」

 やはり……これだったか。

 声には出さなかったが、元博も含め随員すべてが腹の中で呻いた。

「どうだ、三州(さんしゅう)の禎俊は首を縦に振ると思うか」

「大皇家とご縁を結べるとあらば、むろん父は喜ぶでしょう」

 喜ぶのはひとり息子が帰ってくるからで、半ば敵意すら抱いている大皇家と姻戚になれるからではない。誰もが――大皇自身すらもがわかっているはずのことだが、それを胸の内に押し隠し、ここは双方が満足だという体裁で話を続けるしかなかった。

「我が家に妙齢の姫がふたりいるのは承知の通りだが、いずれを妻にするかはそなたが好きに決めてかまわぬぞ」

 勝元は鷹揚さを見せ、左右に座る娘たちに視線をやった。

「亜矢と沙弥、どちらが欲しい」

「陛下」

 貴昌はすっと頭を起こし、きっぱりとした口調で答えた。

「ありがたきおおせではございますが、やんごとない姫君がたに、わたしの一存で優劣をつけるようなことはいたしかねます。どちらの姫君をお許しくださるかは、どうぞ陛下と真名さまでお決めください」

「では亜矢を」

「貴昌どのには沙弥姫を」

 勝元と真名がほぼ同時に言った。ふだんは不仲であまり会話もしないと聞く夫婦が、はっと互いの顔を見て困惑の表情を浮かべる。

「亜矢のほうが年長だぞ」

 先に牽制をかけたのは勝元だった。

「沙弥は貴昌どのをお慕いしております」

 真名も負けじと言い返し、話題に上った沙弥姫が恥じらいの微笑を浮かべる。

 若殿、沙弥姫を――元博はぎゅっと拳を握りながら、心の中で貴昌に話しかけた。沙弥姫をいただくとおっしゃい。どうしてもどちらかをもらわねばならないのなら〈天山の武者姫〉よりも、温和で人好きのする妹姫のほうがずっといいはずです。若殿に思いを寄せている沙弥姫は、南部へ来れば夫と婚家を敬う貞淑なかわいい奥方になるでしょう。だが、見境なく敵意をまき散らす亜矢姫ではそうはいかない。

「姉が先に嫁に行くのが筋というものだろう」

「陛下が甘やかしてこられた亜矢姫には、他家へ輿入れできるだけの心得がまだ備わっておりません」

「なんだと。亜矢の備えが不十分であるなら、それは母親のおまえがろくに(しつけ)もせず、野放しにしてきたからだ」

「娘が欲しがれば何でも買い与え、どんな悪さをしても叱責すらせずに笑って許してこられたかたが、どの口でそのようなことをおっしゃるのでしょう」

 大皇夫妻は舌鋒鋭く主張し合い、どちらもまったく退く気配がなかった。元博が許婚(いいなずけ)白須(しらす)美緒(みお)から聞いた話によると、ふたりは最近ずっとこの件で()めているらしい。愛娘に良縁をと望む両親の微笑ましい(いさか)いとはとても言えないほど、夫妻の論争は激しい攻撃性を帯びていた。このままでは、じきに収拾がつかなくなりそうだ。

 誰かが止めに入るべきと思えるが、これまで仲裁役を務めていたという桔流和智も、もはや諦めきった様子で押し黙っている。

「陛下」

 ふいに貴昌が呼びかけ、大皇の注意を引いた。

「そして真名さま」

 大皇妃もぴたりと口をつぐんで貴昌を見る。

「難しい決断をおふたりにお任せして、物争いの種を作ってしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。どうか、お気をお鎮めください」

 優しく語りかけられた夫妻が一瞬目を見交わし、気まずそうに顔を背ける。だが、ひとまず言い争いは収まった。

甲論(こうろん)乙駁(おつばく)して結論に達しない時は構造を単純にするべしと、わたしはかつて傅役(もりやく)から教わりました」

 そう話しながら貴昌は肩ごしにちょっと振り返り、傅役の朴木直祐に視線をやった。いたずらっぽい目をして微笑みを投げ、再び夫妻のほうへ顔を向ける。

「ご意見が割れてしまった以上、ここは大皇陛下におふたりの総意としてご決定いただくのが最良かと存じます」

 勝元が我が意を得たりと言わんばかりにふんぞり返り、真名は美しい顔をうつむかせて小さくため息をついた。とても悲しそうだ。

「さすが貴昌はよく(わきま)えておるな」

 上機嫌の勝元がほくほくしながら貴昌を持ち上げ、部屋にいる全員を見回す。

「では、亜矢を黒葛家に輿入れさせる。これで決まりだ。よいな、貴昌」

「ありがたき幸せ」

 貴昌が謝辞を言い終えると同時に、それまでずっと黙っていた亜矢姫がすっくと立ち上がった。吊り上がった両目に怒気が燃え盛っている。

「ふざけるな!」

 彼女は怒声を張り上げ、違い棚に飾られていた陶製の花器を引っ掴むと、力いっぱい貴昌のほうへ投げつけた。だが狙いが逸れ、うしろにいる随員たちのほうへ一直線に飛んでくる。

 元博はあわてて腰を浮かし、畳にぶつかったそれが膝先で粉々になるのを見ながら、これが縁談が半ば調(たたの)った高貴の姫君が真っ先にすることだろうか――とぼんやり思った。やはり、亜矢姫が貴昌(ぎみ)の正室にふさわしいとはとうてい思えない。

「父上」亜矢が勝元に射るような視線を向ける。「わたしは輿入れなどしません」

「いや、するのだ」

 大皇は珍しく厳しい表情をして、最愛の娘をじろりと睨んだ。

「武家に産まれたからには、当然の務めであると心得よ」

「務めなど知ったことではない」

 亜矢が吐き捨てるように言い、父親を瞠目させる。

「泥くさい田舎者ばかりの南部になど、誰が行くものか。父上、わたしは決して――」

「黙れ!」

 勝元の銅鑼(どら)声が響きわたった。

「出ていけ。これ以上、愚かな世迷(よま)(ごと)を聞かせるな」

 それでも亜矢はまだ何か言おうとしたが、憤怒(ふんぬ)の形相を浮かべた父親の眼力に圧倒されて口を閉じた。屈辱感で顔を真っ赤に染め、全身をわなわなと震わせている。

「おまえが貴昌や南部衆の前で礼を失するところを見せられるのは、もううんざりだ。いい加減に大人になれ。今すぐ奧へ戻り、ひとりになって己を(かえり)みるがよい。しばらく御殿からは出るな。さあ行け」

 激しい口調でまくし立てられているあいだ、亜矢は唇を強く噛んでじっと立っていた。顔を伏せているが、目は足下ではなく貴昌のほうを見ている。獲物を狙う獣のような、野蛮で鋭い目つきだ。

 彼女は勝元がしゃべり終えると(こうべ)を上げ、横柄な態度で南部衆を睥睨(へいげい)したあと、「後悔することになるぞ」と脅し文句を吐いてから部屋を出ていった。

 室内が嵐の後のような静けさに包まれ、居心地の悪そうな勝元がわざとらしく咳払いをする。

「亜矢の態度は大目に見てもらいたい。輿入れまでには、必ず心根を改めさせる」

 いつもは尊大な彼が謝罪めいた言葉を口にして、元博を心底から驚かせた。娘の狂態が、さすがに気恥ずかしかったのだろう。

「突然のことに、気が動転なさったのでしょう」

 貴昌がさらりと言って場の空気を変えた。

「今宵のうちにも郡楽(ごうら)の父に宛てて手紙を書き、我が家にとって喜ばしい仕儀となったことを告げ知らせるといたします」

「うむ、そうか」

 腹立ちの収まった勝元が機嫌よくうなずき、親しみのこもった眼差しで貴昌を見つめる。

「では先ほど取り決めた通りでよいな。黒葛家には亜矢をやるということで」

「恐悦至極に存じます」

 徹頭徹尾、冷静なままだった主人と共に深く低頭しながら、元博は畳に向かって大きく息をついた。

 まだわだかまりがなくなったわけではないものの、ともあれ、これで帰国できる見通しは立ったと言っていいだろう。何もかも満足とはいかないが、贅沢を言えばきりがない。

「このあとは中奥の〈藤花(とうか)の間〉に座を移し、心ゆくまで酌み交わそう」と勝元に誘われ、男衆はみな腰を上げた。護衛として帯同した足軽たちが中門脇の遠侍(とおさぶらい)で待っているが、彼らにも酒食が振る舞われるという。

 元博が部屋を出がけに、しゃくり上げる声を聞いたように思って振り返ると、沙弥姫が母親の膝にすがってすすり泣いていた。真名が何ごとか囁きながらその背を優しく撫でさすり、弟の利勝(ぎみ)は傍でおろおろしている。

 沙弥の貴昌への思いは、幼いなりに真剣なものだったのだろう。

 恋い慕う人の伴侶となる淡い夢を打ち砕かれて涙に暮れる姿はあまりにいじらしく、元博は哀れを催さずにはいられなかった。


 酒宴は長く続き、南部衆が御殿を出た時にはすでに二更を過ぎていた。星の明るい夜で、風は少し肌寒い。

 貴昌(たかまさ)と随員六人は騎馬で進み、歩行(かち)の足軽十人がその周りを囲んで警備に当たった。

 日中に登城する際はあまり気にならなかったが、夜も更けてひと気のない道を行く帰路では、護衛の数の少なさがいささか心もとなく感じられる。ふだんの外出なら従者なども含めてもっと大勢連れて行くが、今回は随行長の黒葛禎貴(さだたか)が「共揃えを増やして物々しくなり過ぎると、大皇(たいこう)の心証を害するやもしれぬ」と言い、苦渋の決断でぎりぎりの少数に抑えたのだ。

 とはいえ、曲輪(くるわ)をふたつ下りて桔流(きりゅう)邸内の〈賞月邸(しょうげつてい)〉へ戻るまで一刻半とはかからない。御殿のある本曲輪(ほんぐるわ)と二の曲輪には方々に番士がいるし、三の曲輪へたどり着きさえすれば目指す屋敷はもうすぐそこだ。

 ほろ酔い加減の由解(ゆげ)宣親(のりちか)玉県(たまかね)吉綱(よしつな)と後列に並んでゆっくり馬を進めながら、元博は道の左右の暗がりにしばしば警戒の視線を送った。空閑(くが)忍びの政茂(まさしげ)や剣の師である月下部(かすかべ)知恒(ともつね)から、天山(てんざん)を去って故郷へ戻るまでは気をゆるめるなと異口同音に忠告されている。ついに帰国が現実のものとなった今こそ、いっそうの用心を心がけねばならない。

 本曲輪を出た一行はつづら折りの山道を下り、番所で手形を見せて二の曲輪へと入った。門をくぐった先には、壮麗広大な二の曲輪御殿の外周道が長く伸びている。そこを小半刻ほど進んだころ、黒葛禎貴が隣で馬を歩かせている貴昌に声をかけた。

「若殿、ほんとうにこれでよかったのですか」

 元博ははっとして、ふたりの会話に思わず耳をそばだてた。ほかの随員も、にわかに注意を集めたのが気配でわかる。

「帰国をするためとはいえ、お心に沿わぬことをなさらなくともよいのですよ」

「桔流和智(かずとも)さまのご助言もあり、帰国の条件に婚姻を持ち出されるであろうことは予想できていましたからね」

 貴昌は今日、御殿でずっとそうだったように、どこか物憂げな優しい口調で言った。

「必要と思うことをしたまでです。わたしは後悔していませんよ、叔父上」

 前列にいる真栄城(まえしろ)忠資(ただすけ)が、馬上で腰をひねって主人を振り返った。

「しかし、選んでよいと言われたのに、なぜ沙弥(さや)姫をとおっしゃらなかったのです」

「忠資は、沙弥姫のほうが好きなのか?」

 問い返す貴昌の声にからかうような響きが混じり、忠資が小さく苦笑をもらす。

「好き嫌いの話ではありませんよ。大皇妃もおっしゃっていた通り、家に入り夫に尽くす妻としての心得が亜矢(あや)姫に備わっているとは思えませんし、あのかたはあまりにも――手ごわいでしょう」

 ほんとうはもっと明け()けな表現をしたかったのだろうが、忠資はかなりやわらげた言葉を使った。

「沙弥姫はしとやかで感じのよいかたですし、何より昔から若殿に好意を寄せておられます。それにあの姫君は、母御の真名(まな)さまに似て容姿端麗でいらっしゃる。若殿とはお似合いの夫婦になられたと思いますよ」

 忠資の言葉を黙って聞いたあと、貴昌はつぶやくように言った。

「片方を選べば、片方を拒絶することになってしまう。わたしはそんなふうに、あのおふたりを傷つけたくはなかったんだ」

 常に他者への思いやりを忘れない貴昌の優しさを元博は愛していたが、彼がいつも自分自身の気持ちを後回しにしてしまうことに歯がゆさを感じずにはいられなかった。妻を選ぶという重大事に於いてぐらいは、少しぐらいわがままになってもよかったのではないだろうか。

 忠資の隣を進む朴木(ふのき)直祐(なおすけ)が、肩ごしにうしろを向いた。

「大皇陛下に事を委ねられたのは、賢明なご判断でした」

 貴昌が彼をじっと見て、こくりとうなずく。

「ならば、よかった」

「どちらの姫君がお相手であっても、若殿ならばうまくおやりになれます。わたしは心配してはおりませんよ」

 彼がいつもの控え目な調子で述べた言葉に、元博は少し驚かされた。傅役(もりやく)として貴昌を六歳から教え育ててきた直祐は、彼に幸せになって欲しいという気持ちを人一倍強く持っているはずだ。その彼が肯定するのならば、亜矢姫を黒葛家へ迎えることは必ずしも悪手ではないのかもしれない。

 それきり何となく誰もが物思いに(ふけ)ったままで曲輪門を抜けて、暗く長い山道を黙々と下り、ふと気づいた時にはもう三の曲輪への入り口に建つ番所の前までたどり着いていた。

「やれやれ、ようやくここまで帰って来たか」

 手形(あらた)めがすむのを待ちながら、元博の右横で由解(ゆげ)宣親(のりちか)が大あくびをする。

「わたしは早く〈賞月邸〉へ戻って、(とこ)にもぐり込みたいよ」

「わたしもです」

 元博は微笑んで相槌を打ち、あなたもでしょうというように、左隣にいる玉県(たまかね)吉綱(よしつな)のほうを見た。ふだんからあまり会話に交じらない彼は、今夜はまたひときわ口数が少なく、ここまでほとんど何もしゃべっていない。

 吉綱は元博が投げた視線には気づかなかったらしく、馬上で首をうなだれたままぼんやりしている。宣親と同様に眠気が差しているか、あるいはすでに半分眠っているのかもしれない。

 検めが終わって隊列が動き出し、元博は手綱をさばいて馬の向きを変えた。番所の建物の横を通り、松明(たいまつ)を持った番士に誘導されながら門を抜ける。

 全員が三の曲輪へ入り、再び整然と隊列を組んで歩き出した。目指す桔流屋敷の外壁が先のほうに見えており、通用門まではあと一町ほどの道のりだ。

 ところが少し進んだところで、黒葛禎貴がさっと右手を上げて隊列を止めた。左手の雑木林から、わらわらと出てくる人影がある。十人ほどのその集団は隊列の前方に集まると、一行の行く手を遮るように横に広がった。

 追い剥ぎか――手綱を引く元博の脳裏に一瞬そんな考えがよぎったが、見れば彼らはふだん城下にいる武家の若者たちと変わらない身形(みなり)をしている。小袖に袴、羽織。武器は腰に二刀を帯びているのみで、履き物も普通の草履だ。襲撃ならば、もっとしっかりと武装をしてくるだろう。では目的は何なのか。

「何者だ。道を空けよ」

 禎貴が(いか)めしい声音で命じたが、誰も動こうとはしない。

 一触即発の張り詰めた空気が満ちる中、雑木林からさらにひとりの人物が現れた。足止めを食らった者たちを(あざけ)るかのように悠然と歩いていき、通せんぼうをした集団の中央に仁王立ちする。

「黒葛貴昌、話がある」

 つんと顔を上げ、偉そうに呼ばわったのは三廻部(みくるべ)亜矢だった。

 たしか大皇に御殿から出るなと命令されたはずだが、父親の言いつけなどは屁とも思っていないらしい。

 元博は馬上で首を伸ばし、亜矢のうしろに並ぶ青年たちをよく観察した。見知らぬ顔もいるが、大半は彼女にいつもくっついて回っている取り巻きたちだ。何人かは名前も思い出すことができる。しかし彼らの中に、前に桔流家の家人(けにん)椹木(さわらぎ)彰久(あきひさ)と密会するところを見かけたことのある杵築(きづき)正毅(まさたけ)の姿はなかった。その同じ日に、やはり彰久と連れ立っている姿を見た例の胡乱(うろん)牢人(ろうにん)者があるいは混じっているかと思ったが、あの男もこの集団の中にはいないようだ。

「いかがなさいました、亜矢姫」

 貴昌が当惑した様子で問いかけ、周りが止める間もなく馬を下りてしまった。いざとなれば駆け去れるよう騎乗したままでいて欲しかったが、礼儀正しい彼に馬上から高貴の女性にもの申すような真似ができるはずもない。

 急いで自分も下馬しながら、元博は素早く周囲を見回した。

 広い曲輪道には人影ひとつなく、左右に建ち並ぶ屋敷群も明かりを落とし、すべての扉を閉ざしてひっそりと静まりかえっている。大声を上げれば誰か出てくるかもしれないが、即時の加勢は期待できなさそうだ。ここにいる手勢だけで、主人を守りきらなくてはならない。

 とはいえ、亜矢はともかくとして、取り巻きの若者たちに斬った張ったの騒ぎを起こす気はないように見える。そもそも腰の立派な大刀を抜いたことがあるかどうかすら怪しい、快楽主義の呑気な連中だ。お山の大将を気取る姫君に呼び集められ、否応なく参加させられているだけだろう。

 しかし油断はできない。このような場では、ほんの少しのきっかけで何が起こっても不思議はない。

 前方の集団に動きがあればすぐさま貴昌を(かば)えるよう、元博はさり気なく彼に近づいて右斜め後ろに陣取った。由解宣親がすり足で左へ回り、真栄城(まえしろ)忠資(ただすけ)は貴昌よりもわずかに前へ出て亜矢姫を牽制する。できれば刀を抜き、ふたりの間に割って入りたいに違いないが、そこまでするとさすがに非礼となってしまうだろう。

 固唾(かたず)を呑んで見守る元博の背後に、黒葛禎貴(さだたか)がそっと身を寄せて囁いた。

「何か起きたら若殿を引っ掴んでうしろへ走り、そのまま祭堂へ駆け込め」

 祭堂は、先ほど出てきた曲輪門の前を通り過ぎた先にある。なるほど、あそこならばこんな夜中でも、本堂の扉を叩いて助けを乞えば中へ入れてくれるだろう。元博がうなずくと、禎貴は彼の横を通って前へ出た。

「姫君、お話ならば後日あらためて伺いましょう。当方より御殿へ参上いたしますゆえ」

「下がれ!」亜矢が眉を吊り上げながら怒鳴りつける。「おまえになど用はない」

 貴昌はちょっと手を上げて禎貴を制し、さらに半歩前へ出た。

「どうぞ、おっしゃってください」

 彼が静かに促すと、亜矢はふんと鼻息をもらした。

「例の話を、あの馬鹿げた……縁談を――」どうにも言いにくそうで、口がへの字に曲がっている。「おまえから父に断ってもらいたい」

「なぜです」

「な――」

 理由を訊かれるとは思っていなかったらしく、亜矢が絶句した。当惑と怒りで、その頬がみるみる紅潮していく。

「なぜとは、なんだ。わたしがそうしろと言っているのだ、黙って従えばよかろう。逆らうというなら、今この場で殺してやる」

「ご要望には添いかねます」

 亜矢はあんぐりと口を開け、信じられないというように貴昌を見つめた。

「なんと物わかりの悪いやつだ。城へ行き、わたしとは結婚したくないと父に言えばすむことではないか」

「心にもないことは申せません」

「心にもないだと!」

 鸚鵡(おうむ)返しにして、亜矢が猛々しく笑った。

「では結婚したいと言うのか。この――わたしと」

「そうです」貴昌の返答にいっさいの迷いはない。「あなたを妻として、黒葛宗家にお迎えします」

「おまえの家になど誰が行くものか。わたしはこの天山(てんざん)で産まれ育った、本来ならばおまえなど足下にも寄れぬ雲上の住人だ。地べたを這って暮らしている、みすぼらしい南部人どもの国になど住めるはずがない」

「住めば都と申しますよ」

 貴昌が微笑んでいるのに気づいて、元博ははっとなった。彼は亜矢の無礼極まりない態度にも、およそ名家の姫君とは思えない悪口雑言にも少しも腹を立てていない。

「とはいえずっと離れているので、実を言うと南部がどんなところだったかは、もうほとんど忘れてしまいました。帰国したら、また一から故国のことを学び直さねばなりません。姫君、あなたも一緒に学んでくださいませんか」

 穏やかにそう言われ、亜矢はうっと言葉に詰まった。こんな申し入れをされるなど、まったくの予想外だったのだろう。

「な、なにを……つまらぬ()(ごと)を。わたしは行かぬ。行けぬ。父――いや母上が、輿入れはさせぬとおっしゃった。母上はわたしを行かせたがってはいらっしゃらないのだ」

 舌をもつれさせてしゃべりながら、亜矢が混乱した表情を浮かべる。なぜこんなことを言っているのか、自分でもわからなくなっているようだ。

「亜矢どの」

 ふいに貴昌の声が厳しい響きを帯びた。

「この天山にあなたの幸せはない。手の届かぬものを(いたずら)に追い求め、自ら不幸になるのはもうおやめなさい」

 亜矢が鋭く息を呑んで後ずさった。

 どれほど執着しても、決して愛してはくれなかった母。それでもなお彼女の愛情と関心を切望するあまり亜矢は(すさ)み、憎もうとしても憎みきれない母親以外のあらゆる者たちに激しい憎悪を振り向け、その結果、長年にわたって孤独を深めてきた。

 それは彼女を近くで見ていた者なら誰もが察していることだが、その厳然たる事実を本人に直接突きつけた人間は、おそらくこれまでひとりもいなかっただろう。

 元博は朗々と流れる貴昌の声を聞きながら、迷いなく禁忌に触れた主人への畏怖の念に打たれて息を詰めていた。彼のみならずほかの随員や足軽たち、亜矢の取り巻きたちもみな完全に呑まれており、(しわぶ)きひとつ立てる者もない。

「ご自身ではめた(かせ)を外して自由になり、これからは初めて出合う新しい土地で、新しい幸せを探してみられるといい。あなたが真の幸福を見いだせるよう、わたしも力を尽くすとお約束します」

 亜矢の中で感情がばらばらになったように、その表情もまた取り留めなく複雑に変化した。激怒しているようにも見えるし、今にも泣き出しそうにも見える。何かに抗おうとするような頑固さが浮かんだかと思えば、それがふっと消えて、たちまち怯えた子供のように頼りなげになる。

「幸福……? わ、わたしは――」

 震える拳を握り締め、見開いた目をぎょろぎょろさせている彼女に、貴昌がさらに半歩近づいた。

「亜矢どの、あなたには幸せになっていただきたいのです」

 ぎょっとしたように亜矢が顔を上げる。

「なぜ、そんなことを言う。おまえはわたしを嫌っているはずだ」

「それは違います。昔からいつだって、あなたの幸せを願っていました」

「嘘だ、嘘だ」強情に言いながら何度も首を振ったあと、確信を失ったように小さくつぶやく。「どうして……?」

「わたしたちは、ここで共に成長してきた(おさな)友達ではありませんか」

 茫然となった亜矢がよろめき、それを支えに駆け寄ろうと貴昌が足を踏み出しかけた瞬間、耳をつんざくような轟音が響きわたった。

 彼の体が斜めに弾き飛ばされ、反射的に突き出した元博の両腕の中に倒れ込む。

 間髪を入れず雑木林の中から、雄叫びを上げて男たちが駆け出してきた。三十人ほどもいるだろうか。全員が斬り込み支度で、すでに抜刀している。すぐさま南部衆も刀を抜き放ち、周囲ですさまじい斬り合いが始まった。

「若殿。貴昌さま!」

 元博は膝の上に貴昌を抱え、顔を近づけて必死に呼びかけた。震える手でその体をまさぐり、左の脇腹に触れた指先のぬめりに愕然となる。

 撃たれた――のか。

「わたしの声が聞こえますか」

 傷口を押さえても、指の間から血があふれ出してくる。どうしよう。どうすればいい。何をすればこの人の命を救えるのか。

 あまりにも心が乱されていて、まともな考えが何も浮かんでこない。 

 狼狽のあまり叫び出しそうになったその時、意識がないように見えた貴昌が瞼を開いた。

「貴昌さま……」途方もない安堵感が、温かい波のように寄せてくる。「よかった、どうぞお気を確かに」

 貴昌はゆっくり視線を動かして元博を見上げると、驚くほど強い力で彼の腕を掴んだ。

「みなは無事か」

 短く問いかけた貴昌の指から、氷像が溶け崩れるように力が抜けていき、目の光が消えて虚ろになる。

「みなは……」

 低く囁いたそれが、彼の末期(まつご)の言葉となった。


 暗闇の中で永劫の時が過ぎたかと思えたが、誰かに肩を叩かれて我に返った時には、周囲でまだ乱闘が続いていた。

元博(もとひろ)、若殿は?」

 乱れた息で(せわ)しなく訊いたのは黒葛(つづら)禎貴(さだたか)だった。いつの間にか脇に立ち、敵を寄せつけまいと血刀を構えている。

 お亡くなりに、と言おうとしたがどうしても言葉にならず、元博はただ力なく首を振った。

「そうか……」

 ひび割れた声でつぶやくと、禎貴は彼の襟首を片手で掴んで引き起こした。

「さあ立て」

 こんな土の上に、ご遺体を置き捨てては行けない。抗おうとすると、そのまま強い力で地面を引きずられた。

「おぬしはなんとしても落ち延び、ここで起きたことをつぶさに御屋形さまへ伝えよ」

 馬のところまでたどり着き、彼が自分をその背に押し上げようとしていることに気づいた元博は、必死にもがいて身を振り放した。

「禎貴さまがお行きください」

「馬鹿者。年寄りに無理をさせるな」

 禎貴は元博の背中をぐいと押し、やおら振り返って正面から来る敵を袈裟斬りにした。

「早くゆけ。わしらが持ち(こた)えているうちにな」

 焦燥と未練に身を引き裂かれそうになりながら、元博はどうにか馬の背中によじ登った。視点が高くなり、それまで見えていなかった周囲の様子がはっきりと見て取れる。

 護衛役に連れてきた足軽は、すでに半分まで数を減らしていた。まだ戦っている者たちも傷を負い、数でまさる敵に押されかけている。

 貴昌(たかまさ)の遺体にほど近い場所で、由解(ゆげ)宣親(のりちか)がうつ伏せに倒れていた。その体の周りに大きな血溜まりができている。すでに事切れているのかもしれない。

 真栄城(まえしろ)忠資(ただすけ)は敵勢の中に斬り込み、縦横無尽に剣を振るって奮戦していた。のらりくらりとかわしながら相手を翻弄するのが本来の彼の戦い方だが、多勢に無勢なので力攻めに徹している。

 その忠資と背中合わせで、朴木(ふのき)直祐(なおすけ)も戦っていた。返り血を全身に浴びた、日ごろの温厚な彼からは想像もつかない凄絶な姿で、群がる敵を次々に斬り伏せている。

 ふたりから少し離れた場所では玉県(たまかね)吉綱(よしつな)が、右手に大刀、左手に脇差しを持って振り回しながら、周りを囲む敵に向かって何ごとか叫んでいた。

「わたしは玉県家の者だ。吉綱だ!」

 彼の勇ましいところはこれまで見たことがなかったが、危急存亡の(とき)に奮起勇躍して、剣を交える相手に名乗りを上げているのだろうか。

 一瞬でそれらのことを見て取り、元博は再び禎貴に目をやった。敵と鍔迫(つばぜ)り合いをしながら、彼が無言で〝行け〟と顎をしゃくる。見ればその体も、すでに数多くの傷を受けて血まみれだ。

 元博は唇を噛み、馬腹を蹴ろうとした。だが横たわる貴昌の姿が視界に入り、はっとして動きが止まる。すかさず駆け寄ってきた禎貴が、馬の尻を平手で叩いた。

「案ずるな。若殿にはわしらがお供つかまつる」

 彼はそう叫んで不敵に笑い、また敵に向かって斬り込んでいった。

 打たれて驚いた馬はすでに走り出している。元博は手綱を短く持って上体を低く伏せ、周りの敵を蹴散らしながら駆け抜けた。

 行く手に、三廻部亜矢が立っている。

 彼女は貴昌が銃撃された時にいたのと同じ場所に今も佇み、入り乱れて戦う男たちをただ眺めていた。いつもは隙あらば武力を誇示したがるくせに、刀を抜いてすらいない。

 すべての元凶――。

 そう思った途端、かっと全身が熱くなった。

 彼女が何もかも仕組んだのだとしたら、このまま見過ごすわけにはいかない。

 馬を疾駆させて横をすり抜けざま、元博は左腕を伸ばして彼女の胴を抱えると、力任せに鞍の前部へ引きずり上げた。

「暴れるな。声も出すな」

 低く凄みながら、亜矢の腰の大刀を奪って道へ放り捨てる。さらに脇差しも鞘から抜き取り、その切っ先を彼女の背中に突きつけた。

「騒げば命はない。わかったか」

 苛烈な反応を予想していたが、亜矢は沈黙して身を固くしている。

 元博は自分が少しの躊躇もなく殺意を示したことに(おのの)き、ともすれば湧き上がってくる凶暴な感情を身の内でなだめながら、寒々しい夜道にひたすら馬を急き立て続けた。

聳城国マップ https://13604.mitemin.net/i136505/

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