第64話 覚悟と宣誓
「一時はどうなるかと思ったよ!」
「本当、レオにも見てほしかった!」
病室に響く、カタリナとミザリーの明るい声。
俺が目を覚ましたのは昨日――ワイバーンとの激闘から三日後らしい。
腹に風穴が空いて、回復薬をぶっかけられ、飲まされたとか。命があるのが不思議なレベルだ。
「でもさ、リンがあんなに取り乱すとは思わなかったよね」
「うんうん。回復薬、レオが吐き出しちゃうから、リンが何度も……こう、口移しで――」
その肝心な記憶が、俺にはない。
ファーストキスはレモンの味って言うけど……わからないまま終わるのか。
あまりに悔しくて、思わず表情に出たのだろう。壁際にいたリンが、ふっと小さく息を吐いた。
「……レオ、安心しろ。あれは生命維持活動だ。キスではない。お前には、もっと素敵な女性が現れる」
俺の表情の意味を勘違いしたリンが笑顔を作って見せた。
「え? いや、俺はリンでよか――」
はっきりと伝えようとしたが、病室に入ってきた男に阻まれる。
「レオ、どうだ? 調子の方は?」
病室に入ってきた男は、サイドテーブルにどさっと大量のフルーツを置いた。
胸元には、金色の魔法陣を象った徽章が誇らしげに輝いている。
「フェイルさん。ご心配をおかけしました。おかげさまで、かなり回復しました」
そう、フェイルは今回の功績が認められ、ついに金証魔法師に昇格したのだ。
一方でザンクは……昇格どころか、処分対象に。銀証冒険者十段には相応しくない言動と実力だと、他の冒険者たちから複数の報告があったという。
「俺が金証になれたのは、間違いなくここにいる全員――そしてフリード、ゲルド、銀証の仲間たちや、魔法師のおかげだよ。中でもお前の働きが一番でかい。レオ、お前がいなきゃ無理だった。だから……何か欲しいもんがあれば言ってくれ。パシリでもなんでもやるぞ?」
そう言って、彼はニッと笑う。
銅証冒険者を省くのがフェイルらしい。
「本当にいいんですね? じゃあ――」
俺が遠慮なく口にすると、フェイルは吹き出すように笑った。
「やっぱり、そう来たか」
「え? 分かってたんですか?」
「ああ。実はリンにも同じことを聞いててな。『レオなら、こう言うはずだ』って即答されてさ……まさか本当に的中するとは」
そう言って、彼は一冊の魔法書を取り出し、そっと俺の枕元に置いた。
「もうこの魔法書が刻まれている迷宮は存在しない。もしかしたら新たに出現しているかもしれないが……これで、今回の礼とさせてもらう」
フェイルが置いた魔法書――それは、【風絨毯】だった。
今回の戦場で、ただ空を飛ぶだけの魔法じゃないということは証明されている。
そんな逸品を、あっさりと俺に渡してくれたのだ。
本当に、もったいないくらいの礼だ。
フェイルが病室を出るその直前、足を止め、今度はリンの前に立つ。
「……リン。この前の話だけど――」
「何度聞かれても答えは同じだ。私はレオとパーティを組んでいる。気持ちはありがたいが、断らせてもらう」
――そう。
フェイルは戦いの直後、リンに結婚を前提としたパーティ結成を申し出ていた。
彼だけではない。
何人もの銀証魔法師たちが、こぞってリンに交際を申し込んだという。
だが彼女は、すべてを丁寧に、きっぱりと断っていた。
……まぁ、婚約者がいるしな。
もっとも、リンはその話を誰にもしていないようだ。
少なくとも、彼女の口から語られたことは、一度もないと聞く。
ずっと意識を失っていた俺がこれらのことを知っているのは、カタリナとミザリーがこっそり教えてくれたからだ。
二人とも、こういう話はすぐに報告してくれる。
もちろん、彼女たちの善意……だとは思う。
肩を落としたフェイルが病室を後にするのを見送ると、カタリナとミザリーがそっと顔を見合わせ、ふっと、微笑む。
「じゃあ……私たちも、行くね」
行くとは、ただこの部屋を出るという意味じゃない。
二人が、故郷へ帰るということだ。
「カタリナさん、ミザリーさん……お二人に出会えて、本当によかったです。僕には兄弟がいないけど、お二人は本当の姉みたいで……すごく楽しかった」
ベッドを降りて深く頭を下げようとするが、まだ本調子じゃない体はふらつき、思わずよろける。
「レオ!」
慌てた声とともに、リンが駆け寄り、肩を貸してくれた。
「私もだよ! レオのおかげで一歩踏み出せたし!」
「それに【治癒】の魔法書も手に入れることができたしね!」
ちなみにカタリナとミザリーはまだ【治癒】を習得できていないという。
ただ、覚えられそうとのことで、どれだけ時間がかかっても絶対に習得してみせると意気込んでいる。
今度はリンが二人に問いかける。
「大丈夫なのか? フェーズ森林は? 二人は北カリ村に帰るのだろう?」
リンの言葉に、カタリナとミザリーが目を細める。
ふたりの故郷・北カリ村は、この街から南へ百キロほどの場所。
その道中、必ずフェーズ森林の縁を通らなければならない。
ワイバーンやマッドベアがいると報告された、あの場所を。
もっとも、平時のフェーズ森林はさほど危険ではないという。
出てもせいぜいアーマーウルフ程度。ブルホーンもたまに出現するようだが、今回のようなワイバーンやマッドベアは、本来この森の魔物ではないらしく、別の地域から流れてきたとの報告もある。
「うん。大丈夫。ちゃんと、頼れる人たちを雇ったから」
カタリナがそう言って病室の扉に視線を送る。
すると……
「元気そうで何よりだ。レオ」
「よっ! 久しぶり!」
現れたのはフリードとゲルド。
「そうか……フリード殿とゲルド殿を雇ったのか。なら安心だな……酒さえ飲ませなければ、だが」
リンがぽつりと放った一言に、
「「「――っ!!!???」」」
病室にいた四人が、雷に打たれたように凍りついた。
目を見開き、お互いの顔をじろじろと見回す。
「だ、誰に聞いたの……?」
カタリナが探るように訊ねる。
それに対し、リンは軽く首を横に振る。
「いや、誰にも聞いていない。推測しただけだ。カタリナ殿とミザリー殿は気が利くからな。自分たちだけ魔法を覚えているところで、フリード殿は覚えられない。だからせめてものお返しにと酒でも振舞った。そして、フリード殿とゲルド殿は飲みなれていない酒を飲んで、やらかした……違うか?」
リンの推理は的確に当たっていたようで、カタリナとミザリーが気まずそうにうなずく。
「うっ……でもどうしてわかったの?」
「二人が北カリ村出身と聞いたときにな。魔力回復薬が有名だが、酒の名産地でもある。だから、そう思っただけだ」
なるほど。
酒の勢いでフリードとゲルドは、カタリナとミザリーに手を出そうとしたのか。
もちろん悪いのはフリードたちだが……もう和解は済んでいるようだし、今さら俺が口を挟むことでもない。
「それでは、皆さん……お気をつけて」
言葉に少し間を置き、俺は続ける。
「あと、フリードさん。【解毒】の魔法書の件ですが……もう少しかかりそうです。意識を失っていた間に、魔力を込められず……最初から作り直しになってしまって」
「気にするな。それより、こっちも【治癒】を覚えるのに、まだまだ時間がかかりそうだ」
フリードは肩をすくめて笑うと、ふと真顔になる。
「それとギルドから伝言だ……傷が癒えたら、来てくれってさ」
それだけ言って、彼はゲルドと共に病室を後にした。
「じゃあ、私たちも……そろそろ行くね。本当に、ありがとう」
「また、いつか会おうね……!」
涙を浮かべながら微笑むカタリナとミザリー。
俺はベッドから立ち上がり、リンと並んで、その背中を見送った。
――一期一会。
もう二度と会えないかもしれない。
けれど、たとえ道が分かれても、心の中には確かに残っている。
その姿が見えなくなるまで、俺たちはずっと、病室の入口を見つめていた。
「じゃあ、俺たちも行こうか」
「ん? どこにだ?」
「ギルドだよ。フリードさんが言っていただろ?」
俺の言葉にリンはため息をつくと、俺を抱きかかえ、ベッドの上に寝かせる。
「傷が癒えてからと言っていたはずだが?」
「もう大丈夫だよ」
「ダメだ。魔法で傷や疲れは回復しても、増血するわけではない。少なくともあと三日は安静にしておけ」
どうやら俺の担当看護師は厳しいようだ。
「……分かったよ。でも今みたいにリンが俺をここまで運んでくれたのだろう?」
あの戦いのあと――俺が意識を失ったまま、リンは俺を背負ってこの病院まで走ってきたらしい。
ゲルドが【加速】を使っても追いつけなかったほどの速さで。
それも、【風纏衣】の効果が切れた状態で。
疲労困憊の中――彼女は、ただ俺を救うために。
「……あの時のことは、無我夢中で覚えていないのだ。あまり聞いてくれるな」
リンは静かに椅子に腰を下ろすと、フェイルが持ってきてくれたフルーツに手を伸ばした。
ナイフを握るその手は、見事なまでに無駄がなく、滑らかな動きで皮を剥いていく。
まるで剣を扱うように。
さすがは【剣姫】といったところか。
「……さあ、口を開けろ」
そう言って、剥きたての果肉を俺の口元へと差し出す。
「本当に……無事でよかった」
その一言は、小さく、震えていた。
潤んだヘイゼルの瞳が、俺をじっと見つめている。
そのまなざしは、どんなものよりも俺の心を締め付け――そして、癒した。
♢
三日後――
「傷が癒えたら来てくれ、と言われたので……」
ギルドに顔を出し、受付嬢に声をかけると、彼女はにっこりと笑顔を返してきた。
「レオ様、リン様。ご無事で何よりです。今回のお手柄、冒険者界隈どころか、街でも話題になっておりますよ。特にレオ様、本物の虹魔法師が現れたと噂されているんです」
な、なんだそれは……。
褒め言葉なのは分かる。けど、どこかむずがゆい。
結局、最後は気を失ってリンに助けられたからな。
そんな気持ちをよそに、彼女は机の上に重みある袋を二つ、そっと置いた。
「ギルドからの特別報酬です。一人金貨十枚――二人合わせて、大金貨一枚ずつの支給となります」
お、おおおお……。
第一位階魔法が十冊買えるほどの金額……!
二か月は何もせずに魔法の習得に専念できる!
【水盾】の魔法書はまだ読み途中だし、【火鞭】もある。それに――三日前にもらった【風絨毯】まで……!
心の中で小躍りしていると、さらに追い打ちのように朗報が届く。
「加えて、今回の功績により、お二人の昇格が決定いたしました。異例の措置ではありますが、レオ様は銅証魔法師五段へ。リン様も、銅証冒険者五段への一気昇格です」
な……なんだって!?
一気に四段階アップだと!?
ってことはこれで第三位階魔法の迷宮にも潜れるということか……。
街の東西南北にある迷宮の最奥に刻まれている第三位階魔法は、以下の四つ。
・【火爆】
・【石破弾】
・【風詠】
・【魔力障壁】
これは潜るのが楽しみだ。
「本来であれば初段からの積み上げになりますが、お二人の実力と影響力を鑑み、初段付近にとどめておく方が他の冒険者とのトラブルになりかねないという判断が下されました。なお、銀証への昇格も検討されましたが、まだ第二位階迷宮以降の踏破歴がないことから今回は見送りに。ただし、銀証昇格時に必要なすべてのテストは免除されます」
銀証魔法師になるためには、何らかのテストを受けなければならないが、それがパスされるということか。
「それと……」
受付嬢がもう一つカウンターの上に置く。
「――っ!?」
思わず声が漏れる。あまりにも予想外のそれに、反応せずにはいられなかった。
彼女はくすりと微笑み、説明を続ける。
「お察しの通りです。これは、レオ様とリン様が討伐したワイバーンの鱗。その中でも、特に保存状態のいいものを選びました。よく見てください――小さな魔法陣が、鱗の一部に刻まれているのが分かりますか?」
目を凝らすと、黒光りする鱗の表面に、緑の魔法陣がうっすらと浮かんでいた。
「おそらく、あのワイバーンはただの個体ではなかったのでしょう。変異種、あるいは希少種。通常、ワイバーンは風魔法に耐性こそあれ、あれほどの耐久度や飛行速度は持ちません。ですが、お二人の戦いを目撃した者たちの証言をもとに調査した結果……この個体、非常に強力な個体であったと判明しました」
確かに、かなり強かったな……元々の強さが分からないから、俺には判断がつかなかったが。
「この鱗ですが、非常に価値が高く、素材としても一級品です。指揮を執っていたフェイル様に処遇を確認したところ――最も状態の良い部分を、レオ様とリン様への褒美として渡してほしいとのご指示でした。ですので、こちらを」
ま、マジか……?
【風絨毯】だけでも飛び跳ねるほど嬉しかったのに、報酬まで貰えて、昇格して、さらにはこんな希少素材まで――。
死にかけたけど、緊急クエストに参加して、本当に良かった。
「ありがとうございます! あの……ちょっと、聞きたいことがありまして……」
リンに聞かれないよう、小声で訊ねると、受付嬢もすぐに察して声を潜める。
「ギルドから北に、百メートルほど歩いた先に、この街で一番の腕利きがいると聞いたことがあります」
「……ありがとうございます。すぐ行ってみます」
ワイバーンの鱗をそっと【収納】に収める。
ギルドを後にし、受付嬢が教えてくれた場所へと向かう。
♢
「ここは……?」
リンが不思議そうに店先の看板を見つめる。
だが俺は構わず、ドアを開けて中へ入った。
中にいたのは、咥えタバコの無愛想な男。カウンター越しに、面倒くさそうな声が返ってくる。
「ん? 一見はお断りだ。よそ当たってくれ」
用件すら聞く気がないらしい。
だが――ここで諦めるわけにはいかない。
「紹介状はありません。ただ、ギルドの方に街で一番と聞きまして。こちらをお願いしたいのですが……」
そう言って、そっとワイバーンの鱗を取り出す。
男の目が一瞬で変わった。
「……ワイバーンの鱗!? それも魔法陣入り……!? おいおい、どうして銅証の坊主がこんなモンを……ん? 待てよ……」
男の目が細められ、じろじろとこちらを値踏みするように見てくる。
「最近、銅証のガキがワイバーンを仕留めたって噂があったな……虹魔法師で、いつもとんでもねぇ美女を連れてるって聞いたが……」
男の目が、横に立つリンへと移る。
「……おい、そこのお嬢さん。外套のフード、取ってみな」
リンは無言でフードを外す。だが、その前に一言だけ付け加えた。
「……残念だがレオと一緒にいた美女二人は、もういない」
どうやら、リンは美女をカタリナとミザリーのことだと思っているようだ。
しかし男の反応は、まるで別物だった。
リンの素顔を見た瞬間――
「……っ!」
咥えていたタバコが、ぽろりと落ちる。
そして――
「うわっちぃぃぃ!!!」
タバコは見事、サンダルの中へ着地。
ジュッという嫌な音と共に、男が跳ねる。
火傷の痛みに足をさすりながらも、目はリンから離れない。
「ま、マジかよ……噂、ホンモノだったのか……! その美女は、剣の腕がザンクなんぞ足元にも及ばねぇって――まさか、あんたがその【剣姫】か……」
無愛想だった男の瞳に、今や本気の敬意が宿っていた。
そして、突然男が我に返ると――急にスイッチが入ったように早口でまくしたててきた。
「一か月! 一か月で仕上げてやるッ! けどな、その間、毎日姉ちゃんに通ってもらう必要がある! 作るのはただの剣じゃねぇ! 専用武器だ! 毎日、魔力を流し込まなきゃならねぇんだ! 魔力は……あるよな!?」
……そう、ここは鍛冶屋だ。
あの激戦で、リンの剣は折れてしまっていた。
「……うむ。魔力量は『550』だ。しかし……」
――えっ!?
あまりに高すぎる数字に、思わず聞き返しそうになった俺だったが、リンは構わず話を続けた。
「ワイバーンを倒したのはレオだ。ならば、私の剣よりも……レオの外套や魔法衣に使ったほうがよいのでは?」
「リンの剣は……俺が壊したようなもんだ。毎日手入れして、大切にしていたのに……だから、これは償いっていうか――いや、感謝の気持ちとして受け取ってくれ」
言い切ると、しばしの沈黙が流れる。
やがて、リンはゆっくりとうなずいた。
「……そうか。では、遠慮なくいただこう」
その瞬間、話を聞いていた職人が、パシンと手を叩く。
「よし、決まりだ! じゃあ明日から毎日来てもらうぜ! 料金は金貨三枚――材料代込みの特別価格ってやつだ!」
金貨三枚で特別価格――だと!?
思わず声を上げそうになる。けど、ここはリンの前。
ぐっと堪えて、何でもない顔で支払いを済ませ、鍛冶屋を後にした。
♢
昨日、無事に退院した俺たちは、いつもの定宿――《永楽荘》に戻っていた。
本調子とはまだ言い難い俺は、風呂で汗を流し、軽く食事をとったあと、寝室で静かに横になる。
俺のすぐ隣には、リン。
やはり心配なのか、ベッドの横に椅子を置き、腰を下ろしては、時折こちらを覗き込んでくる。
「すまないな……私の剣が完成するまで、迷宮に潜れなくて……」
「平気だよ。魔法書もたくさんあるし、訓練したいこともあるから」
水球はもちろん、剣術の鍛錬だってある。
しかし、リンの顔には陰が落ちていた。
「それに、私が……弱かったばかりに、レオをこんな目に……」
懺悔するように彼女は俯き、その頬から零れ落ちた一滴の雫が、白く小さな拳を濡らした。
「いや、リンは強いよ……弱いのは俺だ。魔力を温存しながらでしか戦えなくて、ずっとリンたちの背中に隠れて、守られてばかりだった……」
ベッドから体を起こし、震える彼女の拳の上に、俺の手をそっと重ねる。
「だから――俺、強くなる。もっと、もっと強くなる……」
その誓いに、リンはそっと、もう片方の手を重ねてきた。
「レオは今でも十分に強い」
「いや……もっと強くなる。リンの後ろに隠れるんじゃなく、並んで戦いたい。――二年後。どれほど強くなっているかは分からないけど……」
俺は言い切った。
「ギースを倒す!」
これは、覚悟の表明!
そして――ずっと胸にしまってきた、本当の想いをぶつける時!
「ギースを倒して……リンを……幸せに……いや、リンと結婚する!」
リンの瞳が揺れ、大粒の涙が頬を伝い落ちていく。
「こんな面白みのない武骨な女と……レオがか? お前にはもっと相応しい――」
「違う! 俺はリンがいい! リンじゃなきゃダメなんだ!」
溢れた気持ちは止まらない。
言葉が、次から次へと口をついて出ていく。
ずっと言えなかった本音――ずっと伝えたかった想い。
それに対する返事は、言葉じゃなかった。
リンの瞳が揺れ、肩が震え――
そして、そっと俺に顔を寄せた。
ファーストキスの味は……
甘くて、あたたかくて、涙で少し、しょっぱかった。
-----あとがき-----
-----あとがき-----
これにて第二章終了となります!
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