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52-4 滅びの扉 - 深淵よりの呼び声 -

※消してしまった部分を執筆しましたので、正しい52-4話に差し替えました。

 毎度毎度ヘマばかりですみません。完結までもう一息ですので、もうしばらくお付き合い下さい。

 完結しても日常話中心にまだまだ続きます。


 日曜朝のヒーローみたいに出し惜しみはしません、先制攻撃あるのみです。

 眷属化の力を使って、俺はまとめて相手の群れを飲み込みました。


「はい、ポーンいただき。……ってあれ?」


 ところが失敗しちゃったみたいです。

 結果は数えて多分23名の敵軍の中から、たった3名が石床に倒れるだけの結果になっていました。


「なにやってるんっスか先輩! やり直しっス、もっとちゃんとやるっスよ!」

「いやどうもそれが……ジャミング受けてるくさい? あ、ジャミングっていうのはね――」

「ああもうっ説明は後にしなさいよっ!」


 ターン制バトルの世界ですら、攻撃したら反撃が返ってきます。

 そしてこの力は古なる者とその眷属が最も恐れる嫌がらせでもあります。


 だから敵数残り20名ばかしが怒りの奇声を上げてこっちに突撃したり、ビュンビュン弓放ったり、いきなり全力でボルト魔法ぶっ放してきたわけですねー。


「せーんせ、ちゃんと戦わないと後ろから刺すからねー」

「兄様、今回は護衛対象がいることをお忘れなく……」

「ちょっとアレクっ! アインスのこと忘れてた……、みたいな反応しないでよっ!」


 敵はその昔、エルフの主流と別れてそのまま消息を絶った連中です。

 そのダークエルフとの混成部隊として現れた冒険者たちも、どうやらかなりの腕利きが選ばれているようでした。


「先輩はあてにならないっス! いくっスよウルカっ、マナ先生ととアトゥちゃんは支援を!」


 といってもこちらが負けるはずがありません。

 ウルカとアシュリーという完璧な前衛、優秀な後衛であるマナ先生とアトゥにお嬢が一斉に動く。


 するとものの30秒足らずで、敵部隊を見事制圧してくれました。

 俺? アインスさんの護衛をしてたよ、全然サボってないよ。2体は俺がバーンッて倒したし。


「はぁっ、攻撃サボる後衛って、やっぱ腹立つっス……」

「す、すみません、ご主人様は、私を守って……」

「アインス、あなたは手を抜く口実にされただけです。悪いのは兄様ですのでご安心下さい」


 何か言いたい放題だけど、それ全部聞こえなかったことにしました。

 いえそれより今は気になることがありまして、俺は倒れた敵に近づきあれこれ物色していたりします。


「で、せんせーは何やってるのー? あ、ダークエルフのおっぱい触ってるんでしょ~」

「それ最低っスッ!」

「兄様、アトゥは失望しました!」


 するとさっき眷属化に失敗した全ての敵兵が、ガラス質の指輪を付けていることに気づきました。

 色は薄い紫、光の屈折率が低いので、やっぱガラスかなー。


「いやいや、知らん人のおっぱいなんか興味ねーし。耳はまあ、触ったけど……うん、こんな状況じゃなかったら魚拓取ってたなー」

「うっ……そんな自供いらないわよっ!」


 俺は微弱な魔力のこもった怪しい指輪を、敵の手から引っこ抜いてゆきます。

 チラッとお嬢の姿を確認したら、自分の耳を抱えてなんでか赤くなったり、ぷりぷりかわいく怒ってたよ。


「うわぁ……変態だぁ~……」

「うふふ、お姉ちゃんもその気持ちはわかるわ~♪ アレッきゅんの全身を、拓取りしたい……」


 恐らくこの指輪がジャミングをかけていたのでしょう。

 眷属化を再度試すと、今度はあっさり成功していましたから。


「あ、成功したんですか兄様?」

「うん、この指輪が妨害してたっぽい。ドロポンの餌にするか」

「ご主人様っ、あまり、変な物をこの子に……ああっ!?」


 スタッフオブドロポンのティーカップに指輪を3つ入れます。

 するとドロポンはそのケイ素の塊が気に入ったのか、3つまとめて身体に飲み込んでいました。

 

「アレクっもうっ! はぁっ……もう、先を急ぎましょ……」

「おっ食べてる食べてる。溶けてるのが見えるよ、指輪。さすがクリスタルドロポン?」


 お嬢の言う通りです、とにかく今は先を急がなくてはなりません。

 クリスタルドロポンのお腹がほんのり紫色になったのをちょっと見て、俺は前衛をおいて先頭を歩き出しました。



 ・



 迷宮と迷宮の混線がもたらす、複雑怪奇な階層を俺たちは進んでゆく。

 今まで俺たちが進んできたルートが、フレスベル側の迷宮管理者ちゃんに遠いルートならば、ねじれたここから他の迷宮に入り込むのが正しい選択でしょう。


 しかしそれは敵との遭遇リスクを上げる行為です。

 もっと強力な敵部隊に遭遇する可能性もありましたから、俺たちは緊張した面もちで静かに道を進む。


「先輩、質問っス」

「はいなに、アシュリー現役大先生?」


「そうやってすぐに人を茶化す癖そろそろ直すっス。あ、それで先輩、そのアバドンってやつが、もしこの先で敵に操られていたら……自分たちに勝ち目とかあると思うっスか?」

「ない」


 最悪の可能性を想定すると、この先で眠れる者(アバドン)と戦うシナリオも起こり得ます。


「へー、その根拠はー?」

眠れる者(アバドン)がこの大陸中央高地そのものだから。つまり、でかすぎて、倒せない系」


 嘘です。もし眠れる者を眷属に変えることに成功したら、俺なら眠らせたまま、俺の都合のいい夢を見せます。


「あたしにはちょっと想像できないわ……」

「アトゥに賛成っ、なんか笑っちゃうよね~♪ 神話の世界に片足突っ込んでるんだもん、ボクら~♪」


 その時点で、もう大陸中央高地に自分たちがいる限り最強、何でも望みのままになる。

 要するに地域限定で世界を自由にできるっていう、チートモードの始まりになるわけです。


「待つっス、また敵っス」

「アインスちゃんはお姉ちゃんが守るから~、アレッきゅんは前の方で、お願いねっ♪」

「あーでも俺、マナ先生に背中を向けることそのものに、抵抗があるんですけどー……」

「バカ言ってないでちゃんと戦いなさいよもうっ!!」


 軍勢に大公様の姿はありません、なら容赦なくやっちゃいましょう。

 複雑怪奇にねじれた迷宮を、俺たちはロゴスの眷属を倒しながら、ただただ果てしなく下へ下へ進み続けました。



 ・



 どれほどの相手を倒し、どれだけ歩いたのやら……もうちょっとわかりません。

 迷宮と迷宮がねじ混じった時点で、もう前に進んでるやら遠ざかってるやら、わかんなくなってきていましたし……。


「はぁはぁ……っ、い、今の……なに……?」


 だけどようやくゴールが近付いてきたようです。

 下層より獰猛なうなり声が響き渡りました。

 お嬢は耳が良いですから、それを具体的に感じ取ってしまったようです。


「多分、超大型のモンスターっスね……ふぅ、ふぅ……」

「だけどさ、これって数が……うわ、2,3体どころじゃないんだけど……っ?!」


 進むにつれ少しずつ、それが戦いの咆哮であることに気づかされました。

 例えるならそれは怪獣大決戦[ゴ○ラ VS その他全部盛り]です。


 恐ろしいことにありとあらゆる怪物の叫び声が、遠い下層よりここまで届いてきていたのでした。

 推測の域ですがこれは、奥に通すまいとする迷宮と、招かれざる侵入者の戦いといったところでしょう。


 レウラの素材となった、あの黒い飛竜のときもそうでしたし。

 まあわかんないけどこれ、急がないとヤバい展開だってことだわ。

 なら俺たちはさらに足を早めて、道を急ぎ進むしかありません。


 もし眠れる者を起こされたらゲームオーバー、公国とフレスベルで生まれた者と、俺は永久に別れなければならなくなる。その展開だけは絶対イヤです。

 しかしこんな大事なときに、脱落者が出てしまいました。


「アレッきゅん、ごめん……お姉ちゃんもう限界……」

「私も……すみません、もう、歩けません……」


 ふと振り返ると、マナ先生とアインスさんが床にしゃがみ込んでいました。


 いえそれだけじゃないっぽい。

 お嬢とアトゥも杖に寄りかかってもう立ってるのがやっとで、ウルカも壁に二の腕を預けて息を乱している。


「何でそんなに、ピンピンしてるっスか……ああもう、ダメっス……」

「兄様……すみませんが、少しだけ休ませて下さい……さすがに、強行軍が過ぎました……」


 アシュリーまで腰を落とすと、そのまま大の字になってしまいました。

 けど、ここでみんなと一緒に休んでいるわけにはいかないです。なら俺はみんなに背を向ける。


「兄様っ、待って……単独行動はダメですっ!」

「待ちなさいよアレクッ! ぅっ……頭が、クラクラして、きゅぅぅ……」


 立ち止まっている時間はありません。

 それに地底より響き渡るこの叫び声からして、ここから先は俺だけの方が都合の良い過激な舞台でした。


「いやそうもいかないし、ちょっと行ってくるよ。ウルカ、みんなをお願いな」

「ふぅ、ふぅ……言われなくてもそれはわかってるよ。じゃないと、わざわざ裏切った意味ないし……。ふぅ、任せなよせんせ」


「任せた」


 そこからは振り返らずにただただ走りました。

 相棒はドロポン1匹だけです。つぶらな瞳に見守られて、とにかく消耗しないペースで走って走って走り続ける。


 進めば進むほどわかりました。

 下で行われていることが、もはや戦闘ではなく、戦争の域に入っていることに。


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