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2-01 強襲のアクアトゥス、妹(仮) 2/2

「美味しい」

「嬉しいです兄様、その言葉だけでアトゥは幸せの涙がでてきてしまいます……ぁぁ、嬉しくて頭がおかしくなりそうです……っっ」

「いや大げさ……ってマジで泣かないで? 感動し過ぎだし、ほら、ええっと……テーブルクロスくらいしかないけど涙拭いて?」


 なんて正直なんでしょう。

 冗談なのにアクアトゥスさんったら手元のテーブルクロスで涙を拭い、そりゃもう幸せそうにはにかみます。


 キャラ濃いなぁ……。俺の妹(仮)とは思えないくらい。


「ありがとうございます兄様、はぁぁ……ちょっと落ち着いてきました……」

「……えっと、今さらハンカチ見つかったけど使う?」


「兄様のハンカチ……い、いただきますっ! むしろ下さいそれっ、後で洗濯して返しに来るという王道コンボを期待されてるのですねっ、そのフリ喜んでいただきますっ!」

「うーん、キャラ濃いなぁ……あ、口に出てた、まあいいや」


 いちいちツッコンでたら切りがない。

 その当たり前のことに気づきました。

 アクアトゥスさんが用意してくれたパンを手にとって、彼女の顔を見ながらかじりつきます。


「あ、それどうですか。最近見つけたお店で買ったんです」

「うんいいね、美味しい」


 それはドイツパンもどきです。

 クルミみたいなナッツが入ってます。

 ちょっと硬いけど雑穀の良い匂いがして、素材の味がちゃんとしてます。

 食べてるとなんか生きてる実感がわきます。


「兄様と一緒に食べたくて早起きしたんです、褒めてくれても……いいですよ、兄様……?」

「うん、ありがとうアクアトゥスさん。美味しいよ」

「ウフフフ……クフフフ……兄様……アトゥはやっぱり頭がおかしくなりそうなくらい……幸せです……♪」


 つっこまないつっこまない。

 後はあれです。青菜と根菜のスープ。

 これがまた素朴で手堅いおかんの味というか、温まるしホッとします。


 それと……なんか黒い肉。

 いや黒い肉っておかしくね? なにこれさすが魔女。


「あ、それどうですか兄様……?」

「……謎。謎なのに美味いのが許せない感じ。謎美味い」


 タンパク源は謎肉のソテーです。

 肉質硬いし脂もあまり乗ってないんだけど……肉そのものに甘みとうま味があります。

 外側から芯まで全部真っ黒ってこれ、絶対……絶対おかしくね?


「あのさ……これ、鳥?」

「違いますよ兄様」


「これ……豚?」

「フフフ、違いますよ兄様」


「牛……?」

「ハズレです♪」


 わかってたさ。

 三大食肉のカテゴリーじゃないことくらい……。

 でも信じたかった……心のどこかで……。


「は虫……類……?」

「はい♪」


 あーはい、はいはい。うん魔女っスな。

 そんな気はしてました、魔女=は虫類。

 うんそうだね、大ざっぱにみれば鳥だっては虫類の子孫だしね?!


 クッ……なんで、なんでフォークがこんなにガタガタ震えてるんだろう……ッッ。


「故郷では滋養食として好まれ兄様もよく食べてましたっ」

「うそーん……」


 そんな記憶ねーし……。

 しかしこのサイズ、でっかいトカゲかな、ワニかな……。


 り、リザードマンとかだったらやだなぁ……アハハハーッ!

 さすが魔女、美味いけど謎食材との親和性がすごいし!



 ・



「ああそうそう、アクアトゥスさんに質問があったんだけど」

「はい……? 何でしょうか兄様、理想の殿方はズバリっ、兄様ですが」

「うん、それはまあ、おいといて」


 ジェスチャーでそれを机の上に置いてみせる。


「ポイッ」

「あっ?!」


 で、窓の外に投げて見せました。


「爆弾作りたいんだけど、爆弾。アクアトゥスさんがくれたあの教本には載ってなかったし教えてくれないかな」

「爆弾ですか……」


 本題を切り出すとアクアトゥスさんが急にトークダウンします。

 そりゃまあ爆弾だし、わかっちゃいたけど。


「ダメ? 貴様のような若造にはまだ早いワァァーッ! とかソレ系?」

「いえいいですよ、だって兄様は兄様ですもの」


 あらあっさり。

 大切な段取りとかエピソードがぶっ飛んだ気もするけどまあいいよね。やったー!


「むしろなんだか……不思議な感じです……」


 感慨深いと胸の前で両手を組み、アクアトゥスさんが瞳を閉じる。あ、回想モードだコレ。


「ああ……幼いアトゥを押さえつけて……兄様はアトゥに手取り足取り大人の錬金術を教えて下さったのですから……ぽっ♪」


 ……いや、妄想モードだと思いたい。


「ハァハァ……♪」

「何度も言うけどキャラ変わりすぎじゃねチミ……いや息乱すなだし、なに回想してるし、過去の俺なにしやがったエロガキだし……っ!」


 アクアトゥスさんはご飯時だっていうのに頬を真っ赤に染めて、なんかいけない思い出の世界にトリップし続けたのでした……。



 ・



 四苦八苦……いやうん、ホント四苦八苦の果てに爆弾錬金の初歩を教わりました。

 爆弾に必要なのはズバリ、炸裂属性を持った素材とそれに掛け合わせる混合物です。


 最初からそんな気はしてたけど、錬金術っていえど材料は普通に爆弾的な素材ってことらしいです。

 氷、炎、電気とかいった上位タイプは、それぞれを発生させる混合物が要るし、安定させる必要があるそうです。


 だからまずは石やら針やら日用品を混ぜるのが良いとか……エグいな……?

 モンスターも最後は灰になるって言っても……グロいなそれ……。


 それで大事なのは材料調達です。

 炸裂属性の素材は迷宮でたまーに産出されることがあるそうです。


 一番メジャーなのが[ボムのかけら]ってやつで、ボムと総称される超危険モンスターの残骸だとか。うん覚えやすい。


 MPまだ回復してないけど作りたくなってきてしまいました。

 爆弾爆弾爆弾! 爆弾作りたい投げたい俺も鮮やかに敵グループまとめて一掃してみたい!


 素材が手に入り次第、その爆弾作ってやろうと心に決めました!

 ぽーんって投げてドカーンで大活躍! そして迷宮の奥地からお宝ザクザク! アシュリーも俺もウッハウハ!


 これだ、これっきゃない!!


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