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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第一章 〜幼少期編〜
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5.家族で教会へ。




 さて、ベッドから出るお許しも出た事だし、早速、今日から魔力制御の練習をと思っていたのだけど。


「ユゥーリィ、食事が終わって落ち着いたら、ちゃんとした外出着に着替えてくるのよ」

「え?」


 食事中のお母様の言葉に、思わず聞き返してしまう。

 最近始まった立ち居振る舞いのこと以外で、お母様からこう言う指示が来る事は珍しいと記憶しているからだ。


「何を言っているの、今日は教会の日でしょ」

「……ぁ、忘れていました」

「貴女はあまり行く機会がなかったから仕方ないけど、顔を見せれそうな時はなるべく見せておかないと」


 月に一度の教会のミサ。

 実際には十日毎の休息日に小さなミサは行われているけど、そこまで熱心ではない信者は、大体は月に一度程度の参加で良いらしい。

 けど、仮にも貴族で領主やその家族ともなると、地元の教会に月に一度の本ミサにはなるべく顔を見せる事が、領主とその家族の威厳を保つには必要があると言う説明に、領主と教会の角の突き合いに対しての、貴族としての義務みたいな物なのだろうと、思わず斜めに解釈してしまう。

 もっとも私は病弱な事もあって、その月の一度の本ミサにも禄に顔を出しておらず。

 実に半年以上ぶりの参加となる訳で、忘れていたとしても仕方ないと思う。

 普段は自由にさせてもらっている分、一日ぐらいは大人しく家族に付き合うのも仕方ないと思って、部屋に戻って外出着に着替えてみるのだけど……、


「う゛っ」


 服がキツくなっている。

 薄い黄色のブラウスに浅い緑色のスカートに同色の上着は、お姉様のお古ではあるものの、まだまだ着れるはずだったそれは、所々ややキツさを感じる。

 まだ肩はそうキツイという訳ではないけど、袖は手首が見えてしまうし、スカートの裾もデザインからしたら少し丈が足りない。

 お腹周りはまだ余裕があるので苦しくはないのが、せめてもの救いなのかもしれない。

 確かに五歳児の半年間の成長を考えたらこうなっても仕方ないのかも知れない。

 実際この外出着に袖を通すのは、それより短い三ヶ月ぶりではあるからね。

 でもアルフィーお兄様には、ちっとも成長してなさそうな事を言われているけど、こうしてみると、一応は成長しているのだと実感できる。


「ユゥーリィ、一人で準備できそう?」


 そこへ心配したお姉様が部屋に様子を見にきてくれたのだけど、流石は姉妹、すぐに私が少し困った表情をしている事に気がついてくれる。


「あちゃー、やっぱり小さくなってきちゃってたかぁ」

「うん、でもまぁ今回はなんとか」

「そうね。特に動き回ったりしない限りは、今回はやり過ごせるかな」


 病弱なため、敷地やその周りを散歩する程度なので、あまり外出着を必要としていなかったから仕方ないとは言え、やはりこの世界の感覚だと、この程度ぐらいなら教会のミサへに参加する事の方を優先すると言う感覚は理解できる。

 それに子供用の服にはよくある事で、これくらいのキツさなら、所々で寸法調整をしている箇所の糸を切って縫い直せば事は足りる。

 逆にこれより一回り大きいお姉様の子供の頃のお古の服となると、大きすぎる事になるのは目に見えている。


「帰ったら、針と糸を借りないと」

「え? ユゥーリィ? もしかして自分でやるつもり?」


 あっ……、しまった。

 前世の感覚で、ついこれくらいならば自分でと思って口に出てしまったけど、この体はあくまで五歳の幼女。

 いくらなんでも五歳で裁縫は早すぎたかも知れない。


「あ、あの、だからお姉様と一緒にやりたいので教えてくださると…」

「ユゥーリィには少し早いと思うけど」

「できる事は少しずつ増やしたくて」


 【ユゥーリィ】の中身が別のモノになってしまっている事を悟られないように必死で誤魔化す。

 これくらいの年齢なら色々と自立心が生まれてくるから、おかしくはないはず。

 うん、多分。

 それが幸いしたのか。


「まぁいいわ、一緒にやりましょう。

 一人で勝手にやられるよりはマシだから」

「ありがとうございます」


 理由に酷いと思いながらも、ごもっともだと同時に思ってもしまう。


「それはともかく、来て正解だったわ」

「ふぇ?」

「貴女、その髪のままで行くつもり?」


 お姉様の呆れたような少し困ったような声に、つい自分の白い髪を掴む。

 白くて腰の後ろまである髪は、いつも通り軽く櫛は通して、邪魔にならないように後ろで軽く紐で縛ってある。

 

「ほら、結ってあげるから、そこに座ってちょうだい」

 

 お姉様に、お気楽簡単の身嗜み遠回しに駄目を出しされる、しかも改善の強制。

 大人しくベッド横の椅子に座る私の髪を、お姉様は二つに分けてそれぞれ緩めに三つ編みをし、細い紐で縛って留めた後で白と赤の飾り布でそこを覆い、リボンで飾る。


「ほら、此方の方が可愛いでしょ」


 そう言って手鏡で見せてくれ他姿は…、うん、自分の事ながら可愛いといえば可愛い。

 そもそも子供はそれだけで可愛い範疇だから、可愛いの意味合いが違うのだけど、素直に可愛いと言うのであれば、お姉様の方がよっぽど可愛い。

 将来可愛い系の美人になる事が約束されたような顔立ちに、明るく優しくとも時折厳しい性格。

 ちなみに胸も年齢の割に大きいプチ巨乳、これでモテない訳がない。

 冗談はさておき、本日のお姉様の髪型は私と同じく緩めの三つ編み。

 ただし此方は二つに分けずに一つにまとめ、そして端を縛る飾り布は私のとは色違いの白と青のもので、リボンの意匠は全く同じもの。

 

「お姉様とお揃い」

「ふふ、気がついたわね」


 私の言葉にお姉様は嬉しそう微笑む。それに釣られるように私も笑みが浮かんでしまう。

 なんと言うか嬉しいし、そして少しこしょばゆい。

 でも嫌いじゃない。


「今度は此れで一緒に教会に行こうと思っていたから、やっと望みが叶ったわ」

「ぁぅ…、ごめんなさい」

「ち、違うの。そう言う事じゃなくて」

「分かってます。

 私もお姉様達と一緒に出かけれるのは、楽しみにしていました」


 互いのちょっとした失言。

 でも、それを補うような言葉が自然と口に出る。

 病弱で寝込んでばかりいた【ユゥーリィ】が望んでいた願いが、【相沢ゆう】の知識と経験を通した言葉で、今まで伝えられなかった【ユゥーリィ】の想いが言葉という形を持って届けられる。

 お姉様の浮かべた表情に、その想いは確かに届いたのだと【ユゥーリィ】が身体が喜んでいる事を確かに感じ、その事に私自身もより嬉しくなる。

 想いを届けれたのだと。

 【相沢ゆう】が目覚めてしまった事によって、失ってしまった本来の姉妹の関係。

 お姉様にとって当たり前であっても、【ユゥーリィ】と【相沢ゆう】にとっては、以前とは別物の関係。

 二人姉妹。

 その関係が全て失われた訳ではないのだと、そう分かり嬉しくなる。

 たとえ、それが私の一方的な思い込みだとしても。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




 屋敷の敷地から歩いて三十分ほどの場所、シンフェリア家の屋敷より大きい建物である教会は聖オルミリアナ教の物。

 私が知る限りこの世界は一神教らしく、少なくともシンフォニア王国とその周辺国では唯一の宗教団体なのだとか。

 正直、二百人規模の小さな町にしては不釣り合いだと思うものの、領地内にあるまともな教会と言うと此処だけらしいので、歴史だけはあるというシンフェリア領と考えれば、判らなくもない規模なのかもしれない。


「父上、母上おはようございます。

 兄上達も今日も仲睦まじいそうで安心します。

 ミレニアはだんだん母上に似て綺麗になってきたな。

 そしてユゥーリィ、久しぶりに元気そうな顔を見れて嬉しいぞ」


 ミサのために人々が行き交う教会の前で、一つの家族を代表するように声をかけてきた青年はダルダックお兄様。

 アルフィーお兄様が結婚した翌月に名主の家へと婿入りしたのは、つい三か月前の事。

 それ以来、私の体調の事もあって顔を見る事がなかったのだけど、元気そうな顔を見る限り、婿入り先でも上手くやっているのだろうと安心する。

 家族へのハグの後、最後の私へのハグは少し大げさで長かっただけでなく。


「ん、少し重くなったか?」


 片腕一本で抱き上げてくる。

 いきなりではあったけれど、けっして乱暴ではなく優しい手付きと、三か月ぶりの懐かしく暖かい感触に少しだけ嬉しくなる。

 ダルダックお兄様は、家を出てからも相変わらずのようだ。


「おまえな、いくら幼くとも女性に対して重いはないだろうが。

 と言うか返せ、ユゥーリィは儂のだ」


 そう言って、今度はお父様の腕の中に抱っこされる。

うん、嫌いではないんだけど、人前でこれは止めてほしい。

 だいたい、こんな事をやっていると。


「あなた、人前ですよ。

 それにダルダック、貴方はもう別の家の人間です。

 このような公の場で他家の子供、ましてや領主である我が家の子供を断りもなく、いきなり抱き上げるなんて事は失礼に当たりますので、以後、このような事は慎むように」

「う゛っ」

「あぁ…、母上、失礼いたしました」

「こほん、まぁ気持ちは分かりますし、我が家の敷地内でならば煩い事は言いません」


 やっとの事で地面に降ろされた私を、マリアお義姉様とミレニアお姉様が、抱っこ合戦によって乱れてしまった服と髪を直してくれる。

 それくらい自分でできると思いつつも、多分、自分だけだったら気にせず放置していただろう自覚はあるので、此処は素直に感謝してされるが儘になる。

 それで、とりあえず久しぶりのダルダックお兄様との挨拶は終わりで、私達は家族は教会の中へと足を向ける。

 今日のミサは十日毎に行われる略式ミサと違って、きちんと順序立てた儀式の後のありがたい神の御業であろうお話と、同じくありがたい説法。

 どれくらいありがたいかと言うと、ありがたすぎて自然と頭が下がるのと同時に瞼まで下がってくると言うありがたさ。

 幼くとも領主の娘である以上、教会のミサで舟を漕ぐ姿を見せる訳にはいかないと思い必死に下がる瞼の重さに堪えて、眠気覚ましというか眠気を紛らわせるためにありがたい話に耳を傾ける。


「─────であるからして、神は─────」


 それにしても、この手の話は世界が変わってもそう大差がないものだなぁと言う感想を持ちながらも、少し居心地の悪さに背中を椅子の背もたれで掻く。

 教会に向かう時などは気のせいだと思っていたけど、何と言うか視線が刺さる?

 一応、貴族で領主の家族だからと思ってはいたんだけど、その視線の向かう先の殆どは家族ではなく、私自身に向けられている。

 公の場にめったに顔を見せない領主の末娘。

 と言うより、多分アルビノ故の白い髪が目立つんだろうな。

 どうりで我が家だけ、席の座り方が違う訳だ。


 他の家族は、席の中心に夫婦でその両横に子供達。

 簡単に言うと偉いもの順に中心に座っていく会社の集合写真みたいなものだけど、我が家はその逆で、私とお姉様を挟むようにして両親が座っている。

 しかも座った私に、お母様はストールを掛けてくれた。

 最初は冷えないようにかと思ったけど、たぶんこの白い髪を少しでも隠すために、私を少しでも奇異の目に晒さないようにしてくれているんだと思う。

 じゃあミサの参加は無しでという選択は、こうしてミサに参加している以上あり得ない選択なのだと思う。

 でも、私は大丈夫です。

 そこまで気を使ってもらわなくても、私は平気です。

 見た目は五歳児でも、中身は三十路のオッサンですから、奇異の視線ぐらい気にしないだけの図太さはあります。

 などとは間違っても言えないので、両親の愛情に素直に感謝する。

 そう言えば【ユゥーリィ】の記憶に、夏祭りの時に少し年上の子供にお婆さんみたいと揶揄われて、お母様に泣きついていた事があったな。

 子供は素直である反面、残酷な一面を持つからね。

 相手の男の子も悪気はなかったのだと思うし、今の自分なら軽く聞き流せる自信はあるけど、当時の【ユゥーリィ】には、ただでさえ家族との容姿の違いに敏感になっていただけに、それを正面から指摘され、言われた事そのものよりも、家族と違う事実を再認識して悲しくなった。

 痛む胸と理由の分からない不安を誤魔化すように、感情の儘に両親に抱き着いた記憶。

 当時は気が付かなかったけど、その子の親はきっと青い顔をしていただろうな。

 一応は領主の娘である私に、自分の子供がそんな事を言った事に。

 そう思うと、ある意味その子供と一緒にいた親も、私の白い髪の被害者だと言えるかもしれない。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




 想像していた以上に長かったミサを終えると、年老いた神父様が両親に挨拶してくる。

 こう言う姿を見ると、やはりお父様は貴族で、領地は小さくても領主なのだと実感する。

 そうして一言二言づつ両親と言葉を交わした神父様は、年齢故か、これまで過ごしてきた苦労のためか、その相貌に刻まれた皴を伸ばすかのように優しい笑みを浮かべ。


「本日はユゥーリィ様が来られた良き日。

 よろしければ、私めに祝福をさせて戴けませぬか?」

「うむ、頼む」


 そうして、ほんの数十秒ほどの短い祝詞の後で、神父様と私はお互いに頭を下げあう。

 お父様はともかく、私は貴族の当主ではなくその家族でしかない。

 教会と言った場所で、終わったとは言っても本ミサという式典の場においては、神父様の方が立場的に上になる。

 少なくとも言葉通りの祝福ならば、頭を下げる事に何ら躊躇いはない。


「それにしても皆さん、とても熱心なのですね。

 私は、…その、…申し訳なく思います」

「いえいえ、ユゥーリィ様は御病気故に仕方なき事。

 むろん信者様方の信心と御協力には、我々神官は、神と信者の皆様への感謝を忘れた事はありません」


 お布施と労働力に感謝をと聞こえるのは、私の心が捻くれているからだとは思いたくはない。

 ただ大人の目で見て、今回のミサの規模には素直に驚いた。

 ちょっとした体育館ぐらいの広さの教会の建物に、およそ四百人程の参加者が集まっていて、領民の五分の一以上が来ている事になる。

 いくら月に一度の本ミサだとしても、町の人口を遥かに上回る数の参加者は前世の価値観から考えてもおかし過ぎる気がする。

 人々が日々を生活する上で、こう言う集会があるからと言って、町や村を空にする訳にはいかないから、ミサに行くほど信心のない人間も一定割合はいるはず。

 例えいくら信仰に溢れている世界だとしても、これは異常と言えるのではないだろうか?


「ユゥーリィは覚えてないかもしれないけど、何度もお世話になっているのだぞ。

 たとえ教会に来れなくても、神様や教会に感謝する気持ちを忘れてはいかん」

「そうなのですか?」

「ああ、お前がもっと小さい頃は熱を出すたびに見に来てもらったり、今でもお薬を出してもらっている。

 ついこの間もアーフィーが狩りで大怪我をしたが、直ぐに治して戴いた。

 我が家だけでなく、多くの領民が神父様や教会のお世話になっている」


 なるほど、病院を兼ねているのか。

 それよりも気になるのは……。


「え? 大怪我って、何時の話ですか?

 アルフィーお兄様、お怪我はもう良いのですか?」

「そうか、ユゥーリィはまだそういう意味ではお世話になっていないし、見た事もなかったな」

「いえいえ、私等のお世話になるような事態にならないのであれば、それに越したことはありませぬ」

「たしかにな。

 アルフィー、この間の怪我はお前の不注意だ」

「分かっているって、だいたいその話をするのは何度目だと思っているんですか。

 いい加減に許してほしいものです」


 私の知りたい返事が返ってくる事なく、じゃれ合にも聞こえる会話に苦笑を浮かべるお兄様を余所に、ミレニアお姉様が知りたかった事を教えてくれる。


「神官様の中には、治癒の魔法を使われる方が多くいて、お兄様のお怪我もそれであっという間に治してくだされたのよ。

 突っ込んできた大鼠を避け損なって、木の根に足を取られてたのを皮切りに右足と腰の骨折。それとあちこちの打撲と擦傷だらけだったっけ」

「バラすなっ!」

「斜面を転がり落ちていった姿は、多くの人に見られていたわね。

 あの斜面って町からよく見えたし」


 そして暴露されるお兄様の大怪我の原因に、マリアお義姉様が追撃をかける。

 一応、旦那様なんだから庇ってあげては思うのだけど、きっと大怪我と聞いて心配した分のお返しなのだろう。


「怪我も一か所だけならともかく、身体の彼方此方だったから銀板貨二枚に銀貨三枚。……痛い出費だったわ」


 しかもお母様に止めを刺される始末。


「ぁ、あのっ、お兄様も怪我をしたくてした訳ではないでしょうから、それくらいで」

「ユゥーリィは優しいなー、まるで天使だ。

 それに比べて我が家の女どもは」


 すみません、その言い方ですと、私も『女ども』の中に入っているのですが……。

 それにしても銀板貨二枚に銀貨三枚か、結構な大金だ。正確な事は分からないけど、言葉のニュアンス的にも、前世で言うと二十三万ぐらいだと思う。

 でも、前世の日本だと保険があるから高く思えるけど、保険のない海外を考えたら、安いのかもしれない。

 いや、もしもそんな大怪我が一瞬で治るのなら、格安とさえ言えるかもとも思えるけど、前世の初任給が一瞬で消えると思えば、痛くない出費だとはとても言えないか。


「神父様は凄いのですね」

「いえいえ、私達にお力を貸してくださる神のお力であって、私達は神のお力を皆様に届けているだけにすぎません」


 確かに、これなら異様とも思えるミサへの参加者にも納得する。

 それだけの大怪我でも治せる力を持つ医療団体であり、宗教団体でもあるのなら、人々にとってはなくてはならない存在であり、同時にどうしても頼らざるを得ない存在。

 信心と言うより、必要な存在に対してのゴマスリと思えば、一番納得できる考え方だ。

 誰だって大怪我をした時を考えれば、信心を無い事を理由に治療を後回しにされたくはないからね。

 そんな罰当たりな感想を浮かべるも、ユゥーリィとしてお世話になっているのなら、私とて感謝の気持ちがない訳ではなく。

 ただ、せっかく魔法と言うものを見れる機会があったのに、みすみす見逃していた事が悔しいと思っただけです。

 でも流石に魔法をこの目で見たいと思っても、これは願えないかな。

 だって、それは実際に治療する現場に立ち会うと言う事だし、誰かの怪我を望むと言う事でもあるから。

 そんな事は願えないし、願ってはいけない事だもの。







2020/03/01 誤字脱字修正

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