表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第三章 〜新米当主編〜
287/977

287.家を貰ったのでDIYでリーフォームします。





「と言う訳で、アドルさん達四人を正式に家臣として雇用する事にしますが、本当に良いんですか?」

「ああ、その辺りはもう覚悟を決めてきた」

「冒険者でいるよりは生活が安定しているしな」

「野山を駆けなくても生活できるし」

「ユゥーリィの所だとお給金も高そうだし」


 私の確認に、四人とも迷いはないらしいのだけど、多分、夏期休暇中の間、ず〜と葛藤していたのだろうと思う。

 でもその前に、私も言うだけの事は言わないと。


「知っての通り、私は色々魔導具関連で、上位の貴族の方々とも付き合いがありますし、国とも関わっていますから、一度、家臣になったからには辞めれませんよ。

 最悪、私の意思に関係なく消されます」

「ん、まぁ、そう言う家もあるのは知っている」

「機密なんて、どの家もあるしな。……消されるかは別として」

「そんな重要な機密もあるんだ」

「どんな魔導具なのよと聞きたいんだけど」


 ラキア、聞いた瞬間に引き返せませんから、そう言う事をおいそれと聞かないの。

 清廉潔白を謳う貴族の家だって、綺麗事ではすまない人には言えないような暗部は存在するし、シンフェリア領のお父様もその点では例外ではない。

 教会にいた修道士が罪を犯し、労役のための鉱山に辿り着く事なく、悲惨な状態で崖下で発見されたのが、その良い例と言える。

 そして私の所は、それ以上に厳しい事になる。

 なにせ国家の政策等が関わっているのだからね。


「あと言っておくけど、御給金は相場より安めよ。

 四人とも相場通りに貰える程強くないし、護衛としては、それ程勉強してきていないでしょうが」


 ドルク様に確認したら、引越しを終えしだい四人の教官役兼警備の人達を寄越してくれるらしく、その人達も元々チームでド護衛をしていたけど、歳をとって体力が落ちてきたので、警備の職務に移る予定だったらしい。

 おまけに陛下に戴いたお屋敷、学習院のすぐ目の前と来ている。


「そうそう、言い忘れていたけど、お屋敷を陛下に貰ったから、全員、そっちに引っ越しね」

「「「「はっ?」」」」

「屋敷を貰ったって……」

「いや突っ込むのそこじゃなくて、その後でしょう」

「そうそう、陛下って」

「何方にしろあり得ねえだろ」


 うん、やっぱりこっちが普通の反応だよね。

 しかも、街外れなだけあって結構大きいし。


「じゃあ納得したら、こっちの雇用契約の書類に署名してね。

 コンフォード家でも使われている物を基本にした物だから、問題はないと思うわ」




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




 お屋敷を貰って、さぁ引っ越しだと言う訳にはいかない。

 なるべく残り少ない休暇中に引越しは終わらせておきたいと言っても、何年も使っていなかった上、大きな屋敷となると多少の補修が必要。

 まずはお風呂を設置するために大改装。

 別に露天風呂に拘る気はないし、街中だと覗かれたら嫌なので、ごく普通に室内風呂。

 良さそうな部屋を内装を床ごと全て剥がしてから、防湿防水をしっかりとしてから配管。

 あとはその上に巨石を繰り抜いたの浴槽を設置して、床は石材タイルを敷く、今回は洗い場の他にシャワーまで設置。

 今までは魔法で強引に湯を沸かしていたけど、使う人が増えたので湯沸かし器の魔導具を採用。

 屋根裏から続くバルコニーに石作りの小屋を作って、そこを設備室にした。

 と言っても、湯沸かし関係が集中しているだけなんだけどね。

 湯沸器と貯水槽に貯湯槽、井戸から魔法で自動で組み上げてくれる魔導具のポンプに、動力源として魔力貯蔵庫用に特化した魔法石。

 この魔法石は旅行中に遭遇した虹色双頭巨亀(エメラルド・タートル)の物で、私の手持ちの中では比較的大きな魔石。

 これを使って、魔導具の湯沸かし器も、ポンプもこの設備質の軽量化の魔法や各部屋の照明の魔導具への魔力供給を行うようにし、この魔法石への魔力供給も私の部屋から、行えるようにする予定。

 要は、先日陛下にお城の改装案として出したもの縮小版として、この屋敷を改装しようと言う訳。


「エリシィー、コッフェルさんのところに行って、強化型の魔力伝達紐を十束ほど分けて貰って来て〜。

 ギモルさ・、ギモルは荷物持ち兼護衛で」


 そして屋敷中に配線をしようと思うと、流石に手持ちの魔力伝達コードが足りないので二人にお使いをお願いする。

 あとアドルやギモルの二人は、さん付けから呼び捨てに変更。

 流石に主人(あるじ)になったのに、さん付けのままでは色々と拙いからね。

 まだ慣れなくて、つい呼びそうになるけど。


「ユゥーリィ、各部屋の天井裏まで、なんとか紐をひいたよ」

「ホコリだらけになったから、髪も顔を洗いたいわね」

「まだまだ汚れるから、夕方までは我慢して頂戴」


 照明器具は、後日ヨハンさんにお願いして在庫を分けてもらうか、お父様の商会から取り寄せるしても、今は手持ちの輝石や輝結晶を直付けするとして、切替機(スイッチ)を銅とミスリルを原料に、形状変化の魔法を駆使して作成。

 仕組みとしては単純だけど、板バネがどれだけ保つかだよね。

 セレナ達が階段の上下で何方からも灯けたり消したり出来るのを不思議がってはいたけど、そこはそこ、前世の義務教育レベルで学ぶ事ではあっても、この世界よりよほど進んでいる訳ですからね。

 そんな訳で階段以外にも、廊下とかも三箇所で点灯させられるようにして、利便性を上げてあります。


「ユウさん、設備室を組み終えましたわ」

「ここが済んだら行くわ」


 まずは石造りの設備室を床に魔法銀(ミスリル)の粉末を均等に撒いてから、形状変化の魔法で床石に結合させながら床石を一枚化して、その後で魔法石化を施し、強化と軽量化の魔法陣を刻む。

 これで現在の重さ以上は、魔力が続く限りは何トン上に載ろうと問題なし。

 使っている石自身は鉄平石に似た岩を切り出した物なので、魔法石化してもそれなりに寿命があるらしのは、収集した資料の中にあった知識の一つ。

 ただ、魔石に比べたら作る手間と効率が悪いので、魔法石化する人は、まずいないみたいだけど。

 でも、そこは私の場合は、魔力の力押しがあるからね。


「これでもう、置くだけですの?」

「まさか、これからが大変なの」


 水路の配管はアドルが上手くや積んでくれたみたい。

 事前に厚くて重い陶器製の管を、お風呂場やお手洗いや台所などの水回りから、ず〜と狭い場所を苦労して繋げて来てくれたみたい。

 あとはこれを真っ直ぐな部分は、形状変化の魔法で一本化。

 全てを一本化してしまうと、それはそれで熱膨張や収縮、それに地震で割れたりする原因になるから逃しを作らないとね。

 まぁ、井戸からの吸い上げに関しては、どうしようもないので一本化してあるけど、多少斜めになっても、一本化できる位置関係だったのは幸いかな。

 後でそれに沿って、外壁を作らないといけないけどね。


「水回りの配管と照明の配線は大方出来たから、明日は一階の床の嵩上げをやるから、アドルとギモルは手伝いをお願い。

 ジュリとエリシィーは街で布関係と日用品を揃えて来て頂戴。

 セレネとラキアは二階と屋根裏の掃除を徹底」


 基本的に、この世界の家は土足。

 貴族の家でも家自体を多少嵩上げしてあるけど、そのまま石畳を引く事が多い。

 そして前世の記憶を持つ私としては、寝る時以外は靴を脱がない、そんな窮屈な生活はなるべくしたくないので、秘密基地の屋敷同様に、この屋敷も土足禁止にするつもり。

 もちろん、玄関や土間は別だけどね。


「お風呂が使えるのは明日ぐらいだから、セレナとラキアは私の部屋のお風呂を使って」

「まぁ俺達は適当に水浴びするさ」

「ごめんね〜」


 秘密基地に行けば温泉が使えるけど、まだ四人を彼処に連れて行くのは早いと思っているし、せっかくだから、関わったお風呂に入りたいと思うのが人情だと思う。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




「なぁ、床組って、半日で出来るものだっけ?」

「一部屋、二部屋とかならともかく、ないよなぁ?」

「そこ、喋ってないで、ちゃんと寸法合わせて材料を切って張る。

 道具があるんだから、ノコギリで切るよりも楽でしょうが」


 まだ、全部終わってないのに、今、終わった廊下を、ぼ〜〜っと突っ立って手を休めている二人を叱り付ける。

 スライド丸鋸もどき魔導具を渡してあるんだから、口より手を動かして欲しい。

 前世の物と違って、丸鋸じゃなく群青半獅半鷲(ブルー・グリフォン)を使った包丁がくっつけてあるだけだけどね。

 しかも切れる位置が分かりやすいように、光石を使ったライン光まであるんだから、サクサクいけるはず。

 こっちは製材、木材加工、組み付けを一人でやっているんだから、それに比べたら楽な物でしょうが。

 もっとも、魔法でやっているから、手足はあまり動かしていないと言う意味では、人の事は言えないけどね。




「よし、これで床張りは終わり。

 次は玄関と土間に、この石板をこの図面通りに貼り付けておいて。

 最初の数枚はやるから、二人ともやり方をよく見ておいて」


 此処は二人に任せておいて、一階の出来上がったばかりの床の水拭きをセレナとラキアにお願いして、私は台所の製作に入る。

 作るのは、ライラさんの家で作ったような台所の大きい奴。

 こちらの床は防火を考えて石材タイルを使用。

 床のレベルは他と同じだけど、すぐ隣の部屋の一つが土間になっているので、そちらの段差は気をつけないといけない。

 家具類は、何故か(・・・)ふさふさの髪に戻りつつある禿頭だったグラードさんが、もの凄くやる気を出しているので、サラと共に明日寸法を測りに来る予定。

 何やら、グラード家具工房関係者全員集めて突貫工事をしてくれるとか。

 そこまで急いでいないので、特急料金払いませんよ言ったのに、矜持とか義理があるとか訳の分からない事を言って燃えています。




「ユゥーリィの部屋のお風呂も良かったけど、こんな広いお風呂は天国よね〜。

 しかも何これ、捻ればお湯が出るって御伽話の世界の話よ」

「こっちのシャワーとか言うのも凄いよ。

 両手を使って髪を洗えるし、凄く気持ち良いの」


 本日の作業終了後、脱衣所に脱ぎ散らかしてある二人服を籠の中に回収しながら、こちらのお風呂で喜んでくれるなら、なるべく早い内に、向こうの温泉に連れて行ってあげれたらと思うけど……、まずは躾かな。

 洗濯物はちゃんと洗濯籠に。

 靴下は砂埃を払ってから、きちんと裏返して。

 泥汚れが酷い物は、別の汚れ物用洗濯籠に。


「二人とも、身体についたお湯を拭き取る布、此処に置いておくからね」

「「は〜い」」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ