275.私の想い、そして彼女の想い。
【エリシィー・ブラーガ】視点:
私の名前はエリシィー、エリシィー・ブラーガ。
両親は健在だけど、五歳の頃から、訳あってお父さんの顔を見てはいない。
理由としては、お父さんが人を怪我させてしまったのが理由らしけど、お父さんの仕事仲間の人達曰く、正当防衛だったらしい。
小さい頃の話だったので、よくは覚えてはいないけど、相手が教会のお偉いさんの息子さんで、何故かお父さんが一方的に襲いかかり、怪我をさせた事になったみたい。
まぁ、貴族と教会が言った事が事実になる事はよくある話らしいし、そうでなければいけないらしい。
だけど私やお母さんにとっては、よくある事だで済む話ではなく、お父さんと言う働き手を失ったため、私達は路頭に迷う事になり、お父さんを嵌めた教会の厄介になる事になったのは、正直腹立たしかった。
でも、生きて行くためには我慢するしかないと、お母さんに言われたし、教会にいた似たような境遇の子達も同じような事を言っていた。
今、考えても、其れが正しい処世術なんだと思う。
生活は何時もお腹が空いていて嫌だったけど、其れでも頑張って色々覚えながら、教会やお母さんの手伝いをして過ごす日々が過ぎ、私が七歳になる頃、お母さんが引っ越すと言い出した。
其処は今より余程良い環境だと。
見知らぬ土地に行くのは不安だったけど、お母さんに迷惑を掛ける訳にはいかないし、子供の私には決定権などない。
そして移り住んだ先は、確かに良い環境と言えば良い環境なのかもしれない。
山奥すぎて、何もないと言う意味では確かに良い環境なのだと思う。
空気も水も美味しいのはともかくとして、お腹が以前よりもすく事がない辺りは、納得いく環境ではある。
「ここの領主様の下の娘さんと、仲良くなるのよ。
決して粗相の無いように、何があっても我慢して笑顔でいてちょうだい」
ただ、言い方は悪いけど、私は売られたんだとも感じた。
子供ながら育った環境が環境だけに、子供らしくなく世の中を斜めに見るようになっていた私は、お母さんのその言葉にある裏が、何となく理解できてしまった。
継ぎ接ぎが効かないくらいボロボロだった服が綺麗になったのも、お腹が其れなりに食べれるようになり、痩せ衰えていたお母さんが昔のように綺麗になったのも、私をその領主の娘に売ったおかげなのだと。
でも、子供の私に決定権はないし、私一人では生きられないし、お母さんは其れでも好きだから、私は黙って頷いた。
「私はユゥーリィ、ユゥーリィ・ノベル・シンフェリア。
よろしくね」
私達母娘をこんな山奥の田舎まで呼びつけるだなんて、どんな我が儘な貴族の令嬢かと覚悟していたけど、無用な心配だった。
癇癪や嫌味を放つ事もなく、暴力や意地悪をするような子ではなかった。
かなり変わった所があったけど、むしろ優しい良い子。
変わった所と言うのは、白い髪に赤い瞳なんて分かりやすい所ではなく、性格やあり方がね、控えめに言ってもっ物凄く変わっていた。
病弱と聞いていた通り、時折体調を崩して寝込んではいたり、何時も屋敷に閉じ籠って本を読んでいたりと貴族の令嬢っぽいかと言えば、一人で町から離れた川辺を歩いてきたりと、物静かなのか活動的なのか分からないような子。
其れに貴族の令嬢だからと言って威張る事もなく、むしろ普通に接して欲しいと願うあたりを見ても、貴族としては相当変わった子だと思う。
その子のお兄さんやお姉さんも気さくな人ではあるけど、其れでもその辺りの線引きはしっかりとしていたのにね。
だから、まぁお母さんに言われるまでもなく、私はその子とは仲良くなった。
たくさん本を読んでいるからか、色々な事を知っていたし、透き通るような綺麗な外観とは違って、時折男の子みたいに行動力があったりと、ついて行けない事も多かったけど、彼女といると楽しかったし、驚きの連続だった。
そして、そんな彼女の一番変なところは魔法。
前の住んでいた所でも魔法を使う人はいたけど、その子のような使い方をする子は誰一人いなかったし、何より何でも魔法でやろうとする変な子だったわ。
其れで騒ぎになった事など一度や二度じゃない。
そう言う意味でも、その子は物凄く危なっかしい子で、心配ばかりさせられた。
「エリシィー、今日は大きいマスが取れたよぉ」
ただ、病弱なのが不思議と思えるほど活発さで、その子、……ユゥーリィは前向きに真っ直ぐと生きていて、その姿が私にはとても眩しく感じた。
あと、お腹がすいたままの日になる事はなくなったのも確かだし、美味しい物も食べれる日があるのも、ユゥーリィが山歩きをし出したおかげと言えばユゥーリィのおかげと言える。
一緒に花を摘みに行ったり、木の実を取りに行ったり、川魚を取るために仕掛けをしたり、たくさんお話をしたり、ユゥーリィと一緒にいると本当に楽しかったし、互いに寄り添っていられた。
だから……。
「ユゥーリィ、ユゥーリィ、好きだ。 はぁはぁ」
この気持ち悪い奴の相手も我慢できた。
全身に虫が這いずり回る様な気色悪い感触と苦痛、そして生暖かくて臭い吐息。
正直、死ねばいいのにと何度も心の中で呪ったけど、子供の私にそんな力はないし、お母さんにはとても言えない。
そんな事をすれば、今の生活が壊れてしまうと、何となく理解していたから、私が我慢をすればいいだけとも思っていた。
何より、こんな気持ち悪い奴を、あんなにも眩しいユゥーリィに近づけたくなかった。
だから、なんとか勇気を振り絞って、神父様に相談した。
「ふむ、私も気を付けておこう。
ユゥーリィ様に危害があってはいかないからね」
でも、それだけだった。
アイツを追い出す事もなければ、止める事もなかった。
ユゥーリィに危害が及ばないように気を付けてくれただけ。
後で知ったのだけど、神父様はこの事をネタにアイツをコマのように扱い、裏で色々とやらしていたみたい。
ただ、それでも私が我慢したおかげで、ユゥーリィは益々輝いた。
寝込みがちだったユゥーリィは次第に、寝込む事が目に見えて減ってゆき、魔法使いの成り損ないなんて噂も、欠片も気にせずにまっすぐ歩き、自分にできる可能性をどんどん広げるユゥーリィの姿は、次第に周りの人達の口にも登るようになってきた。
私が守り、育てたユゥーリィが、皆んなに認められて行く、其れがとても誇らしかった。
「なぁ頼むよ、今度、紹介してくれよ」
「あんたねえ、先々月、私に告白しなかった」
「お前に近づけば、自然と仲良くなれると思ったんだよ」
だから、ユゥーリィが綺麗になって行くにつれ、増えて行くこんな輩を追い払うのも億劫ではあったけど、容赦無く可能性の芽を叩き潰した。
まぁ此処までの馬鹿は数少なかったけど、いない訳ではなかったし、ユゥーリィが綺麗になれば綺麗になるほど、アイツは執拗になって私をユゥーリィに見立てて、汚す事に夢中になっていった。
そんな私が、男なんかに告白されても少しも嬉しくないどころか、身の毛がよだつ思いでしかない。
だから、ユゥーリィの口から男に興味がないと、そう言う目で見れないと聞いた時、私はこの胸にある想いの正体に気がついた。
友達だから……。
親友だから……。
守りたいから……。
守ってきたモノだから……。
そう思っていたモノの正体を。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
【現 在】
知り合いの所に挨拶してくると言って出かけたユゥーリィとジュリさんを見送った後で、シーツや洗濯物を中庭に干しに行ってから部屋を拭き掃除をしていると、ジュリさん一人が帰ってきた。
本人は忘れ物と言ってたけど、……まぁ忘れ物には違いないか。
ユゥーリィが用意してくれた携帯竃で湯を沸かしてお茶を淹れ、忘れ物と言いながらも、ゆったりと机に座っているジュリさんの前に出す。
「忘れ物というのは、私に対する忘れ物ですか?
ジュリエッタ様」
今の彼女は、ユゥーリィの従者ではなく、彼女個人として此処にいるのだから、私は彼女を貴族の令嬢として扱うのだけど。
「ふ〜ん、ちゃんと空気は読めるし、切り替えもできるのね。
でも不要よ、確かに私個人として此処にはいるけど、貴族の令嬢としている訳でもないから」
ああ、やっぱりね。
ユゥーリィと違って、彼女はちゃんと察してくれていた。
気が付かない振りをして、ユゥーリィを困らせないように。
そしてだからこそ、ユゥーリィに適当な理由をでっち上げて此処にいるのだと。
何方にしろ、早い方が良いだろうからと。
「それで、泥棒猫の目的は何かしら?」
此処まで真っ直ぐに言ってくるとは、流石に私も思わなかったけどね。
でも、嫌味ったらしく遠回しに言われるよりは、余程好感が持てる。
「目的も何もないわ、私の目的はもうなったもの」
「ユウさんと会う事が目的だと?」
「ええ、ユゥーリィと居られる事が目的。あと私の後ろは何もないわよ。
敢えて言うなら教会だけど、私、教会って大っ嫌いなの。
良い想い出がないからね」
彼女の言葉を訂正しながらも、彼女の心配の元を一つ無くしておく。
私は私の意思で此処にいるのだと。
教会にはあれだけ母娘でお世話になった以上、義理立てはしないといけないけど、逆に言えばその程度でしかない。
あの人、ライラさんの話だと、ユゥーリィを利用したい大人は沢山いるらしい。
だからユゥーリィに力を貸し、利用している人達からしたら、私は疑われるかもしれないと教えてくれた。
まったく、くだらないとしか言いようがない。
私がユゥーリィを裏切る? ありえないわね。
「あと、泥棒猫はそっちでしょ。
私がいない間に、ユゥーリィに手を出したのは、其方が先」
だって、ユゥーリィは私のモノなんだもの。
そんな事は考えられないし、何を持って裏切ると言うのか、そもそも比較の対象にすらならない。
「言ってくれるわね。
でも半分は正解ね、ユウさんの心に、貴女が居た事は知っていたから。
本人は全然気がついてなかったみたいだけど、あれだけ胸元を気にしていたら、気が付かない訳ないわ」
本当、ユゥーリィらしい。
あの子は昔っから自分の事には、物凄く鈍いから。
心も身体も傷ついていても、気が付かないフリしていたり。
必死に泣きたいのを我慢しているのを、気が付かなかったり。
私が甘やかせてあげなければ、どうなっていたかと思う。
でもだからこそ、私はこの試練に打ち勝たないといけない。
ううん、これくらいの事を難なく切り抜けなければ、彼女の側にいる資格がない。
其れくらい、今のユゥーリィは遠い所を歩いてしまっているから。
でも、私には小細工できる程、頭は良くないし、貴族の出自でもないから自信もない。
だけど其れでも言える事がある。
「私はユゥーリィが好き。
昔からずっと、そしてこれからも、あの子が一番大切なの、自分の事よりもね」
「ふーん、其れが貴女の覚悟ね。
でも、だからって私も引き下がる気なんてないわよ。
ユウさんの事が大切なのは私も同じだもの。
ユウさんと一緒にいるためなら、魔物の領域だってついて行けるわ」
「凄い覚悟ね。私は魔物の領域にはいけないかな」
「あら、認めるの?」
「ええ、足手纏いでしかないと分かっていて、そんな事でユゥーリィを困らせたり悲しませたりできないもの」
「そう、賢いのね。
なら、今までもその状態だったと考えれないのかしら?」
「考えれないわ。比べるべき状況じゃないもの」
月の物が来るようになってから、魔力を感じるようになったけど、私はユゥーリィや彼女のような魔導士ではなく、唯の魔力持ちでしかない。
少しばかし人より力を出せるのと、神父様に教えて戴いたおかげで、ちょっとした怪我を治せる程度。
まぁ、教えてくれたのはあの腹黒神父様なりの償いなのか、私に治療をやらせて自分が楽をするためなのかは分からなかったけどね。
何方にしろ私は唯の人間で、魔物の領域どころか、ユゥーリィの趣味の狩猟にすらついて行けない。
でも、其れで良いとも思っている。
ユゥーリィを守るのに、ユゥーリィと同じ物を持つ必要はないのだから。
そして、私だからこそできる事がある。
「じゃあ逆に聞きますけど、ジュリさん、貴女に何ができるの?
ユゥーリィについて行くだけなの? 魔物の領域で守ってもらうだけ?
魔導具屋さんのお爺さんから聞いているわよ。
ユゥーリィに比べたら、其処等の魔導士など赤子も同じだと、無論、貴女もね」
「…貴女っ」
ぎちっ!
私が言い終わると共に、部屋の空気が凍りつく。
ううん、熱い? 熱いのに凍えつくように寒い。
手が震え、巧く呼吸が出来ない。
其れが何故かは分からないけど、ただ怖いと感じているのは分かる。
歯がカチカチ鳴る程恐怖を感じている、今すぐに、この場から逃げ出さなければいけないけないと衝動に駆られるのだけど、足が動かない。
胸の奥が重く、今にも心の蔵が握り潰されそうな程に締め付けられていて、その痛みに悲鳴が上がりそうになる。
でも、其れでも私は、ジュリさんから目を離したりしない。
怖くても、逃げ出したくても、今、この人から逃げ出したら、ユゥーリィと一緒に居られなくなると、なんとなく分かるから。
こんな恐怖よりも、ユゥーリィとまた会えなくなってしまう方が、よっぽど怖いから。
私は破裂するほど、痛く鼓動する心臓を、無理やり押さえつけてジュリさんにまっすぐ睨みつける。
ふっ…。
そんな音が聞こえるほど、突然私に延し掛かっていた空気が掻き消え。
「覚悟は本物のようね。
話の続きは、着替え終わってからしましょう」
そんな彼女の言葉に、私が荒い息を吐きながらも、粗相をしてしまっている事に気がつく。
……ゔっ。
この歳で、こんな失敗なんて……。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
「そうね、確かに私はユウさんについて行くだけよ。
でも今はよ。何時迄もユウさんに甘え続ける気はないわ。
そして、私も聞き返しましょうか、貴女に何が出来るの?
まさか甘えていないとか言わないわよね」
其れこそまさかだ。
言われるまでもなく、私はユゥーリィに甘えて此処にいる。
ううん、シンフェリアの地にいた頃から、私もお母さんもユゥーリィの行為に甘えっぱなし。
甘えすぎて、私もお母さんも身が重くなった事が何度かあったけど。
だから、其れを誤魔化す気はないし、否定する気もない。
「ユゥーリィを甘やかす事かな。
知っている?
あの子、強がっているし飄々としているけど、本当は物凄く甘えっ子なのよ。
甘えている振りをしているユゥーリィじゃない。
頑張って頑張って、一生懸命無理して頑張って、辛いのを必死に気が付かない振りをして、でも素直に誰かに甘えられなくて。
だから、本心に気が付かない振りして、別のどうでも良い事で甘えた振りをするの」
ユゥーリィは家族の事を敬愛しているけど、シンフェリアの屋敷は決して、ユゥーリィが素直に甘えられる環境ではなかった。
もしかすると貴族と言う物が、ああ言う物なのかもしれないけど、ユゥーリィ以外の家族はなんやかんやと忙しく、あまりユゥーリィと触れ合える時間は少なかったし、ユゥーリィ自身、病気の事もあったのだろう。
……どこか家族との間に壁を作っていた。……迷惑を掛ける訳にはいかないと。
だから、本当の意味でユゥーリィが、その胸の心の内にある苦しみを吐露出来たのは私だけだった。
親友である私を信用して、私だけに甘える事で、ユゥーリィは心の安定を図っていたんだと思う。
だから一昨日の事を話してあげる。
ユゥーリィがどれだけ危険な状態だったかを。
目に見えなくても分かる程、必死に張り続けていた緊張の糸が、ボロボロだった事を。
シンフェリアに居た頃なら、お湯が沸くぐらいの時間で落ち着いたのに、一昨日は時間を忘れるほど。
その前に、あれだけ泣き喚いていた後だと言うのによ。
「……そう、やっぱり無理していたんですね」
「でも、だからこそ分かった事もあるんです。
ジュリさんの存在が、支えの一つになっていたって事も」
「其れは、……光栄ね」
本音を言えば、ユゥーリィの心の中に私以外が居るのは嫌っ!
ユゥーリィには私だけを見て欲しい。
でも仕方ないじゃない。
ユゥーリィの話を聞いて、ユゥーリィにとって必要なんだって分かっちゃったんだから。
彼女の存在その物が、ユゥーリィを助けていたんだって、気を緩めずに走って来れたんだって。
そして、彼女ならば私では付いて行けない所も、彼女はユゥーリィについていってユゥーリィを守ってくれる。
私では守れないところを、ジュリさんなら守ってあげれる。
「エリシィーさん、貴女なら、ユウさん心を軽くできると?」
「そうしたい。
ユゥーリィが笑っていられるように、あの子を守ってあげたいと思っている。
そのためには、私自信もっと強くならないといけないけどね。
貴女とは違う方向で」
でも、今の私ではユゥーリィに迷惑掛けるだけだって分かっている。
ユゥーリィを守れるようになりたいと言っても、そのためには更にユゥーリィに迷惑を掛ける事になると言う事も。
だからと言って、立ち止まるなんて事はしたくない。
せっかくこうしてユゥーリィと再会出来て、想いを伝えれたと言うのに、其れに甘んじていたくないもの。
ユゥーリィは……、あの子は私が守る。
其れは、私が昔から思い続けてきた想い。
たとえ其れがどんなに歪んだ物であったとしても、ユゥーリィを想っている事には違い無いのだから。
「……そう、なら私も貴女を受け入れるしか無いわね。
ユウさんが、私以外の誰かを想うなんて嫌だけど、私にとって一番大切なのは、ユウさんが笑っていられる事だから」
「ふふっ、一緒ね」
「本当、自分で言うのもなんだけど、変な人を好きになっちゃったと思うわ。
少しも後悔はないけど」
「ええ、私もこの想いに後悔はないわ」
ユゥーリィのために仕方なく認める。結局は其れしかない。
私もジュリさんも、一番はユゥーリィだし、ユゥーリィを悲しませたい訳でも、苦しめたい訳でもない。
ジュリさんも私もこうして答えを急いだのは、結局はユゥーリィのため。
あの子が現実逃避をする振りをしながら、悩んで悩んで、結局は現実逃避で馬鹿な答えを出す前に、此方で答えを押し付けてやるため。
そう言う意味では、彼女はユゥーリィの事をよく理解していると思う。
こうして、すぐに動いたんだからね。
「じゃあ、問題は、どうユウさんを説得するかですわね。
あの人、妙なところで頑固で常識ぶりますから」
「自分が如何に非常識なのかを棚に上げておいてね。
でも、簡単な話よ。
ユゥーリィ、自分の事になると流されやすいから」
「結局、其れですわね」
「本人に自覚がないのが、一番問題なんだけど」
「その辺りも対策をしないといけませんわね」
「とりあえず二人で脇を固めるとして」
まずは情報の共有かな。
ユゥーリィ、昔から結構男の子達に人気があるから、気を付けないと。
……そう言えば小父さんやお爺さん達にも、不思議と人気が高いわよね。
流石に其方は大丈夫と思いたいけど、世の中身の程を知らない変態っているから油断は出来ないわね。
……以前に平気で男湯に入って行ったと?
あの子、一体何をやってるのよっ!
自覚がないにも程があるわよっ!




