181.えへへ、嬉しい誤算です。あと変な人達の会話。
「ひひゃいっ! ひひゃいっ!」
両頬のお肉を思いっきり引っ張られる痛みに悲鳴を上げながら、なんでそんな事になっているのかと思い起こす。
討伐遠征の視察からリズドの街に戻って、ドルク様のお屋敷の一角にあるルチアさんの研究室で、ジュリとルチアさんに、視察中にと言うか、何かと一言多いゴルドーさんに怯えた私のトラウマである原因を、話せる範囲で聞いてもらった。
いつまでも、ありもしない影に怯えて、差し伸ばしてくれた手を払うような真似をしたくないし、想いや繋がりを潰したくはないと言えば聞こえはいいかもしれないけど、一番の理由は単純に怯えたくないからで……。
だから、トラウマを自覚して誰かに話せば、前に進めるのではないかと。
でも、ライラさんと違って貴族である二人に話すのも怖い。
……怖いけど、だからこそ踏み出すには必要なのだと、震える手を、同じく震える手で必死に抑えながら話し終えた後に待っていたのは、何故かジュリの手による虐待。
「誰が虐待ですの。人聞きが悪いですわ」
「これひゃぎゃくはいじゃはくて、いひゃやや」
「毎回毎回、人を試すような事を言うからです!」
いえ、別に試すと言う訳では……。
……受け入れられるかどうか、心配になったでしょって、……いえ、確かになりましたけど。
「罰を受けるには十分な理由ですわよっ。
だいたい、ユゥーリィさんの今の話ですと、御当主であるお父様が背中を押されたのですし、完全に自活されているんですから、なんら恥じる事はないじゃないですか!
そりゃあ、確かに貴族の義務どうこうを言う人はいるでしょうけど、そもそもユゥーリィさんはそう言う事を気にするほど繊細じゃないでしょう」
「ふぐっ!」
酷っ!
そりゃあ確かに、赤の他人に何言われようとも、気にしないだけの図太さはありますよ。
でも、本気でなんとも思わないわけではないし、時折ふと思い出してしまうくらいの神経はあるつもりです。
でも、身近にこう言う風に言ってくれる人がいると、本気でどうでも良くなるから、自分の事ながら呆れはしてはいるんですけどね。
シンフェリア領では、エリシィーやミレニアお姉様のように。
コンフォート領では、ライラさんやコッフェルさんのように。
……そして。
「人が怒っているのに、なにを笑ってるんですか」
「ん〜、はんほはふ」
「だいたい貴女はですね」
呆れながらも、私を叱るジュリは、私が本当に怯えているのは男性に対してではなくて、その事で何かを失う事を怖がっているのではないのかと言っているけど。
ジュリの言う通り確かにそれは怖いし、実際にその自覚も無い訳ではない。
婚姻と言う貴族の義務を放り出す代償に、シンフェリアの皆と別れる事は、覚悟はしていても想像以上に堪えたのも事実だし、未だに私を蝕んでもいる。
でも、そもそもその選択をしたのは、前世で男だった私が、女として男に求められる事に対して恐怖しているからだから仕方がない。
仕方がないんだけど、……うん、年下の女の子にこうまで言われたら……。
こんなトラウマなんか、負けないなんて信じられたら……。
男としても、彼女の信じる友人としても、負ける訳にはいかないでしょ。
「ジュリ、ありがとう」
「もう、なんですの。
まだお話は終わってませんわよ」
だから、頑張れる。
我ながら、単純だと思うけどね。
だけど、しょうがないじゃない、なんとなく嬉しくなっちゃったんだから。
ジュリが怒ってくれる事が、私を信じてくれる想いが、嬉しく感じちゃったんだから。
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【ジルドニア・ラル・アーカイブ】視点:
「ジル」
必要な書類を届け、数多の確認事項と調整の話を終え、執務室から退出しようと陛下に背を向けた所に呼び止める声に、小さく溜息を吐いてから再び、身体を向け直す。
此後の仕事へと思考を切り替えようとしたところへの呼び掛けに、せめてもう一呼吸早く呼び止めてくれればとも思うが、ワザとだと言うのは呼び名で分かる。
公務ではなく、息抜きがてらの雑談を求めてなのだと言う事はな。
自分の息子程に若かろうとも、この国の王である彼に、その辺りの配慮を求める方が間違ってはいるとは思うが、儂のそんな事より、山となった書類を片付けろと言わんばかりの視線に、素知らぬ顔で受け流す辺りの図太さは、間違いなく退位した父王を超えたと思える。
……思えるが、その辺りの図太さの使い方に、怒りを覚えるか、好感を覚えるかは人によるだろうが、儂の場合は、……まぁ、この糞餓鬼めと思う程度である事から、陛下と儂の信頼関係は察してほしい。
なにせ陛下が幼少の身からの付き合いだからな。
前王の無能さを嘆いて、儂自身、政治学、商業学、護身術と厳しく当たってきた故に、此れで机の上の書類の山がもう少し溜まっていたならば、仕事をしろと平気で怒鳴れる関係を互いに築いてきたのもある。
もっとも、周りからは、そんな事など関係なく儂はやるはずだと、大きな誤解をされているのが、少しばかり悩みではあるな。
「いやあ、今回も怒鳴られずに済んだようだ」
「御戯れを」
そのギリギリを見極めて、声を掛けている癖にと思うが、こうして雑談に付き合うのも、臣下としての務めだし、公ではない重要な話である事も多くあるため、そう言う意味でも無碍にはできない。
「まぁ、怒鳴られているうちが花なんだからね。
口での説得より拳での説得が得意なため、【鉄拳宰相】と言われる我が国自慢の宰相閣下殿が相手となると、皆んなそう思っているんじゃ無いかな」
甚だ不本意な二つ名だ。
そう影で言われてはいるのは知ってはいるし、一々訂正しようとは思わぬが、手や足が出るのは、幾ら口で言おうとも、時間を掛けて諭そうとも、己が怠慢を是正しようとせぬ愚か者に対してだけだ。
己が理をもって意見や立場が対立している者を相手に、自ら手を出す事はそうは無い。
「陛下が其方の方が好みだと言うのであれば、此れから陛下に対しては、口よりも先にそうしてみますが」
「止めてくれ、君に殴られて顎が砕けたら食事が出来なくなって、調理長が職を失って路頭に迷う事になってしまう」
「あの調理長ならば、その時は陛下に満足してもらえる流動食を、きっと作ってくださるでしょうな」
「相変わらず口の減らないやつだな。
まぁいい、それよりも一つ確認を取りたい事があってね」
陛下が、視線でもって合図をすると、執務室に居る文官や近衛騎士が席を外し、陛下と儂だけになった事から。
どうやら信頼をおかねばならない程度の者には、知られたくない事のようだ。
陛下は机の引き出しから取り出した書類の束を儂に見えるように机の上に置くが、それには見覚えがある。
なにせ儂自身が書いて提出した書類だからな。
「此れが何か?」
「此れって、随分と軽く言うが、内容としてはかなりとんでもない代物だと思うのだけど」
「諸国との会談の帰りに魔物の強襲に遭ったものの、船に乗り合わせていた者に助けられたと言う程度の報告ですが」
「いやいや、災害級の魔物に襲われる事を、普通は程度とか言わないよ」
「ならば、生きて帰れた事は僥倖であったと申しておきましょう。
なんにせよ、既に解決済みであれば、災害級だろうと無害級であろうとも、魔物に襲われただけと言う事に違いはありません」
「はぁ……、相変わらず君の心臓はどうなっているのかと思うよ。
まぁ、王としては心強くはあるけどね」
少なくとも貴方様よりは、精細な心臓の持ち主だとは思っておりますが、とは流石に口にしては言わぬが、……さて、陛下は提出した書類のどの事を問いたいのだろうかと思案する。
陛下に諸国との会談の報告と共に直接提出した報告書だが、内容の概要としては、陛下が仰ったとおりの代物。
ただ、その内容そのものが、少しばかり……と言うか、かなり異質な内容だと言うに過ぎず、基本的にどのような災害であろうとも、無事に過ぎ去った以上は只の報告事項でしかない。
「本来であれば、この規模の魔物を、なんの被害もなく抑えられた事は奇跡としか言えないし、それを成した者には褒章を与えるべきだと思うのだが、……そのまま帰すだなんて、君らしくもないと思ってね」
「向こうが、そう言う事を望んでいませんでしたので。
アレだけの災厄から助けられた以上は、人としても、そして騎士としても、その望みを叶えない訳にはいきませんでした」
「…騎士って、君、宰相でしょう。
文官がそんな甘い事を言っていてどうするの?」
「文官だろうと武官だろうと、通すべき義理はございましょう」
「まあね、それも分かる話だし、尊重すべき事だと言うのも理解できる。
だからこそ、この報告書なんだろうけど」
災害級の魔物を、ほぼ単独で打ち払う。……でもなく討伐してみせた魔導士を、義理が出来たからと何も調べずに放置などできはしない。
陛下が言われるとおり、あの場は、あの少女の願いに合わせて、そうして見せたに過ぎず、出来うる限りの身元の調査を行った。
幸いな事に、あの少女自身は警戒はしていたものの、連れの少女の方は年相応に隙があったため、特徴のある外観と合わせて足取りを辿る事自体は難しくはなかった。
「しかし、僥倖って言えば僥倖だねぇ。
こんな隠れた天才を掘り出せたのだから。
……まぁ、この子の事は知っていたけど、此処までとは思わなかったよ」
「どうなされるおつもりで?」
「それはもう少し待ってよ。
まだまだ見定める必要はあるだろうからねぇ。
取り敢えず確認したいのが、殆どの者がその姿を見ていない魔物を討伐した件を知っているのは、この報告書通りジルと船長、そして見張り台で遠見の魔導具で見ていた船員のみで間違いないんだね?」
「私の権限でもって、緘口令を命じましたゆえにおそらくは」
「ふむ、君が何をもってそう命じたかはともかくとして、此れは使えそうだね。
自分達の職務を勘違いしている馬鹿が、針が付いているにも関わらず寄ってきているからね。
もしかすると、大物が釣れちゃうかも知れないな」
その楽しげに笑みを浮かべる姿に、まったくお人が悪いと思うが、国を預かる者としては、甘い事など言えはしないし、弱みとなるような事などできない。
その辺りを理解し、動く事ができるあたりは、国を背負う王として立派だとは言えるが、少々趣味に走られる事があるから、仕える者の側からすれば頭の痛い話だ。
何時、悪趣味な行動を起こされるかと、誰もが冷や冷やしているし、その趣味で犠牲になった者も一人や二人ではない。
もっとも、本当に民のためにならぬ事に走った場合は……。
「やだなぁ、そんな怖い顔しなくても、遣り過ぎないようには抑えるつもりだよ。
流石にこの歳でジルの鉄拳制裁を受けたくはないからね。
ギリギリにはするつもりだよ。ギリギリにはね。
それはそれで楽しみではあるから、野暮な事は言わないでおくれよ」
いっそのこと、この場でその性根を叩き直した方が良いかもしれんが、このヘラヘラと軽薄な笑みを浮かべた王は、それこそ幾ら叩こうとも何ら変わらぬのだから性質が悪い。
事実、王が今の立場を引き継ぐ前から合わせれば、三十数年掛けても一向に直らないどころか、直す気すら見当たらなかったのだから、齢が四十も過ぎた今、それこそ今更だろう。
腹立たしいが、その場その場で反省して戴くしかない。
肉体的にも精神的にもな。
「それで、そのような些事に、私の貴重な時間を費やしたと?」
「些事ってね。
結構、大事なんだよ、此れ」
重要ではあるが、此れ位の確認などは報告書に記載した内容だけで十分な事。
今更、私自身の直筆の報告書の真偽を問うまでもない事、それくらい信頼は築いてきているつもりだが。
それとも、私が信頼ならないと言うのならば、結構。
「まてまてまて、今、物騒な事を考えていたでしょ」
「いいえ、物騒なことなど何一つ考えておりませぬ。
ただ、お仕えして数十年、この程度の事に虚偽や不確定な事を、さもあらんように報告したと思われるのは心外でして、ならば陛下との信頼関係を築けなかった責任を取って・」
「取ってもらったら困るね。
君の後釜になる人材がいないうちは辞めてもらっては、宮内が物騒な事になる。
そもそも、ジル直筆の報告書を僕が疑う訳がないだろう。
悲しい事を言うねぇ」
無作法にも人の言葉を最後まで聞かずに、大袈裟に身振りでもって嘆いて見せる陛下の姿に、此方もまたもや隠居し損ねたと敢えて大きくため息を吐きつつ、話の先と言うか本題を促す。
「まぁ、そっちの件の微調整はジルに任せるとして、問題は、この報告書の後半の部分。
よく、この子の身元が分かったものだね。
別件で此の子の事が上がった方では、幾ら探らせても出てこなかったし、知っている可能性のあるギルドは、巧い事惚けてくれるしね。
身元に関しては、あまり彼処を突っつけないのは、彼処を利用している王家も同じだからね。
完全中立の国の知恵袋。
まぁこの程度の事で借りを作れないと言うのが本音なんだけど。
かと言って、以前、彼処の領主を別件で呼びつけた時には、自分の娘の事など何一つ話さなかったし、開発は経営する商会の技術者としか報告していない。
開発者の事を隠すのも、技術の秘匿を考えればある意味当然だから、そちらから繋がる事は砂漠の中で指輪の探し出すようなもの。
だから、こんなにも早く辿り着くだなんて、どんな魔法を使ったのかと思ってね」
随分と楽しそうに仰られるが、実際その通りなのだから仕方がない。
陛下が知っていた別件でのあの娘の申請と報告側からは、身元の調査を完了させるには最低でも数年は掛かるだろうと報告が上がっているし、儂の方からも結局は同じ所で調査は止まってしまっていた。
「魔法ではなく、まさに砂漠の中の指輪を探し出したのですよ。
偶然ですがね」
「偶然ねぇ。
このタイミングで探し出せたのならば、天命と言っていいかもしれない」
「天命など弱者の戯言だと、幼き頃にお教えしたと思いますが」
「では、必然性を感じると言い替えよう」
そうなるのが確実と言うには、些か疑問を感じるが、天命を言われるよりは納得がいく。
確かのあの娘の身元に繋がる切っ掛けは偶然ではあったが、その偶然さえ起きてしまえばむしろ必然と言えると儂も思ってはいるからな。
「先程も言いましたが、本当に偶然でしたがね。
外に出ていた私めの娘の一人が、孫娘を連れて遊びに来ていましてな。
まぁ我が家の孫娘と遊んでおりまして」
「ジルの孫娘と言うと確か、リィーシュリナとか言ったかな。
幾つになった?」
「いえ、陛下が仰られたのは、おそらくヴェルツナー家の者かと。
ウチの下の孫娘はリューセリアと申しまして、十三になります。
それと人の名前に自信がないのであれば、知らぬ顔で通されてください」
「……まぁ、似たような名前だからな許してよ。
それに、ジルだからこそ気を抜いたとも言えるし」
「そうあって欲しいものですな」
実際、陛下の言う通り似たような名前だし、儂自身、内孫ならともかく、年に一度顔を合わすぐらいの外孫の名前や、同僚や使用人の子供の名前など怪しいものが多い。
「もう一人も少し下ですが似たようなものでして、あの年頃の娘になりますと、自分を魅せる事に興味がいっているようで」
「まぁドレスや宝石、懐が痛くなる事を考えなければ、微笑ましいと言えるし、必要な事ではあるよね。それで?」
「外孫、ラーフィルナと言うのですが、化粧の本を持って来ておりまして、侍女達と共に目新しい化粧の話に花を咲かしておるのを横目で眺めておったのですが、会話の節々に覚えのある名が出ておりましてな」
期待もせず、一応はと本を見せてもらったら、書物の最後に載っていた著者は、名も家名も共に見覚えのあるもの。
駄目元で調べさせてみたら、外見とも一致。
更に、あの娘の実家と思われる家が経営している商会を調べさせたところ、先日王都を騒がせた原因となった魔導具を扱う、例の商会の相談役となっている魔導具師と繋がりがある上、その魔導具師のところにあの娘が出入りしている事も、再度確認ができた。
どうやら化粧の本を出したのは、あの娘の姉にあたる人物で、代筆者として出した書物らしい。
あの娘自身はそれなりに警戒心が強いようだが、あの娘の周りの者のおかげで、こうも早く辿れる事になるとは陛下の言うとおり、必然性を思わせる。
「成る程ね、そう言うふうに繋がるとは、流石の僕も思いもしなかったよ」
「そうですな。ですが分かってしまえばその程度の事です。
功を立てた者の身元が、判らぬ事など珍しくもありませぬし、その功の内容によっては身元不明のまま褒賞を与えた事も多々ありまする。
態々、改めて確認する程の事ではないかと思いまするが」
この程度の事など、態々人払いをして雑談混じりにする話をせずとも、進められる程度の事。
いったいこの時間で、何件の仕事を片付けられたと思うのか。
仕事を巻ける時には巻いておかねば、目の前の人物が、またいつ厄介事を起こしてその後始末に奔走させられる事になる事やら。
「そんな、睨みつけなくても、ジルが忙しい身なのは分かっているさ。
その忙しさの幾つかが、僕のせいでだと言う事も自覚してはいる」
「自覚をしているのであれば、御自分で後始末をしてもらいたいものですな」
「嫌味を言うのは寄せ。
ジルにとっては無意味な時間だったかも知れぬが、僕にとっては必要な事だった。
……と言っても信じてもらえそうもないだろうなぁ。
今まで散々やらかしたからね。
無論、これからもだけど」
此処で手をあげたとしても、不敬にはならぬだろうな。
と言うか、不敬だと申すのなら、その口を黙らせてやるだけの事だが。
「また、物騒な事を考えていそうだけど、真面目な話、本当に必要な事だったのさ。
宰相である君であっても、知る由もない理由での話でね。
まぁ、いつも力になってくれているからね、ヒントは与えてあげる」
「そう言って、嘘八百を述べられた事がどれだけあるとお思いか」
「信用がないなぁ。
まぁ自業自得だから、反論しないけど、信じる信じないはジル次第と言う事で」
そう言って、王はヘラヘラとした軽薄な笑みを微塵も残さずに引っ込め、代わりに王に相応しい威厳を纏い。
「彼女が力を持つシンフェリアだと言う事だ。
しかも金色の瞳を持ったね。
偶然か必然かはともかくとして、これ以上の事は、地下書籍庫の番人に光の時代の十三の書物を見せて貰うといい。
これが許可書だ」
金色の瞳と言うとサリュード殿下を彷彿させられるが、肝心のあの娘の瞳は赤色だったと記憶しているし、報告にもそうある。
その差異はそのうち分かるだろうとして、地下書籍庫……、王族専用の書庫の中でも部外秘のものばかりを保管した場所で、国の宰相であっても、王の許可なく立ち入る事はできない神域。
まぁ……実際は腹黒い臓物や汚物の集積場とも言える場所とも言える。
王の第二王子と第三王子の死の真相も、そこに納まっているだろう事は間違い無いだろう。
しかし光の時代と言うと、シンフォニア王国創世記の頃の書物か。
やれやれ、古代語は得意ではないのだがな。




