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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第二章 〜少女期編〜
174/977

174.巨乳の女神? 将来の私ですか?





「「……」」


 いつも通りの朝の鍛錬。

 でも、アドルさん達との鍛錬は久しぶりでもあるかな。

 隣領に実家がある彼等は、数日ほど実家でゆっくりした後、通常の狩りや採取をしながら鍛錬していたとか。

 将来的には、有害級までの魔物や稀少薬草などで生計を立てたいとか。

 十年もやればそれなりにお金も貯まるので、それを元手に商売を始めたり、悠々自適な生活をしたりとかが、そのレベルの冒険者のライフスタイルだとか。

 ……戦災級まで含めれば、一年で貯まる気がするんですが、四人にはそこまで冒険はしたくないと言われたので、人それぞれなのだと思う。

 そもそも有害級も、今の彼等には厳しいだろうしね。

 ……さて、どうしよう。

 いい加減、視線を無視していたのだけど、視線の圧力が痛くなってきた。

 あと、聞こえない振りしていた、セレナとラキアの恨み言に近い羨望の言葉。


「白いわよね」

「全く日焼けしてないって」

「しかもモチモチしているし」

「スベスベよね」


 人に物理的結界を解かせてまで、いい加減に人の頬や手を摩ったり、(つつ)いたりするのは止めてほしい。


「え、えーと、二人は健康的な肌と言う事で」


 突っ込んだら負けと分かっていても、きっと此方が反応するまで続けられそうな気がしてきたので、諦めて突っ込んでみるのだけど…。


「いいわけないわよ」

「なりたくてなった訳じゃないの」


 ……ごもっともで。

 分かってはいたけど、想像通りの答えが変えてきました。

 この世界というか貴族や裕福層の美人の定義の一つには、日焼けしていない白い肌がある。

 そこまで気にしなくてもと思うけど、こればかりは文化みたいな物だから仕方がない。

 あと、白いと言っても私みたいな色なし(アルビノ)の、白過ぎる肌は別で、あくまで健康的な白い肌という意味合い。


「じゃあ、二人とも長袖と帽子を」

「暑いわよ!」

「倒れるわ!」


 はい、そちらも、ごもっともですよね。

 ほぼ一日建物の中にいる御令嬢はともかく、彼女達のような武官系の貴族の息女や、身体を動かす系はそう言う訳にはいきませんよね。

 無論、私は両方なのだけど、長袖長靴下ですよ。

 夏向けに涼生地と魔法の併用ですが。


「「ずるいっ」」


 気持ちは分かるけど、こればかりは仕方がない。

 魔導具で涼しくできないかって、できなくはないですが高いですよ。

 しかも一夏で使い捨てですし、侯爵様ですら我慢させているのに、先に作って渡したら、目をつけられますよ。

 分かってくれてなによりです。

 だいたい森とか林とかに入る時は、虫除けや下草対策に、お二人とも長袖だしスカートの下に分厚いタイツを履いているのだから、その延長と思えば。


「森の中はそれなりに涼しいけど、街中やそれ以外は暑いからね。

 なにより夏は夏らしく過ごしたいの」

「あれ、可愛くないし、汗疹になるのよ」


 ですよねぇ。

 その気持ち私もよく分かります。

 部屋では長靴下脱いで涼しい生足でいたい。

 最近はジュリが何故か煩くて、この間なんか肌着姿でいたら、はしたないと怒られて、着替えさせられてしまった。

 十歳ぐらいまでならともかく、私の歳でそれはないって。

 ……見た目が十歳だから、それでいいじゃないと言ったら怒られましたよ。

 しかもそんなやり取りを何回かやっていたら、とうとうライラさんにチクられてしまい、みっちりとライラさんに真面目なお話をされてしまいました。


「涼しくて可愛い姿したい」

「でも日焼けしたくない」

「そう思うとユゥーリィの白い肌がね」

「失礼だとは思っててもね」

「「羨ましい」」

 

 相変わらずの、仲が良さが伺える呼吸ですね。

 じゃあ、これで。


 ガシッ

「「逃げない」」


 駄目ですか。

 ええ、いつか誰かに言われると思っていたんですよ。

 どうやら冬に作った、日焼け止めの魔導具が、しっかりと仕事をしていてくれたようで、今年は、陽射しの強い時を除けば、帽子を被っていなかったのに、日焼けした様子が何処にも無い訳ですからね。

 多少赤く腫れているところと見せていれば良かったのですが、それも一切無いわけですから。

 ええ、袖口や頸にも段差の無い肌です。

 そりゃあ目立ちますよね。


「……ま、毎日治癒魔法とか?」

「世の神官や治癒術師が聞いたら、怒りそうな言葉よね」

「……それ以前に何故疑問形なのよ」


 駄目ですか誤魔化されてくれませんか。

 だって、魔法でと言ったら怒るでしょ。狡いって。


「「ユゥーリィばっかり狡いっ!」」


 ほらやっぱり言った。

 こればかりは魔導士の特権なので諦めてください。

 ぶ〜ぶ〜可愛く言っても駄目です。

 分かっていると思いますけど、私の場合は日焼けで肌が火傷しないためなんですからね。

 ああ、言ってみたかっただけで、私が困る姿が可愛いから見たかっただけと。

 呼吸が落ち着いたら、冷たいシャーベットをあげようと思いましたけどお預けです。


「ユゥーリィのいけずぅ〜」

「あの冷たいのが恋しかったの〜」

「アドルさん、ギモルさんには、溶けないうちにどうぞ。

 今日は梨と柚の二種類ですよぉ」


 ああ、そこの二人、奪おうとしないの、お預けは冗談でちゃんとあげますから。


「「ユゥーリィ大好き〜〜♪」」


 はいはい、暑いと言いながら抱きついて来ないでくださいね。

 いえ、抱きつかれるのは嫌いじゃ無いですけど、薄着でそう言う事やっていると服の裾が捲れたり、角度によっては見えそうになっちゃいますから、気をつけてくださいね。

 あちらの二人が、時折視線のやり場に困ってますから。


「「ばらすなっ!」」


 ……うん、ちょっと可哀想だったかも。

 別に二人も見ようとしていた訳じゃなく、見えちゃただけですからね。

 そうなれば、どうしても気になってしまうのが男の(さが)ですから、ある意味本能みたいなものだから、悪気はないですからね。

 そう言う訳で、セレナとラキアもそう言う冷たい目を向けないの。

 仕方ない事だから、生暖かい目で見守ってあげましょう。

 ……こう同情の眼差しで。


「「「……」」」

「「……そっちの方がマジに堪えるから、勘弁してください」」


 ……あれ?

 アドルさんとギモルさんが、マジ落ち込みをする予想外の姿と情けない声に、そんなつもりはなかったのにと此方が戸惑ってしまう。

 前世が男だった経験から、二人を擁護するつもりだったのに、逆に追い込んでしまうとは、……う〜ん、男心は難しい。




 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・




「そう言う訳でどう思います?」

「すみません、前置きをお願いします」


 流石はルチニアさん、大人の女性です。

 冷静な対応には感心しますが、反応がつまらないので、山●くん座布団一枚持っていってください。

 いえいえ、此方の話なので気にしないでくださいね。

 とにかく事情と、今後の対策の一つとして、現在は併用しているけど、去年まではメインとして使っていた日焼け止めクリームの話をしてみる。

 え? 何故ルチニアさんに話が来たかですか?

 冷静に話を聞いてくれそうな、大人の女性と言う事で。

 セレナとラキアはもちろん、ジュリもライラさんも多分知ったら、冷静に聞いてくれないだろうし、ラフェルさんは、姪っ子可愛さに洩らす可能性が。

 因みにヨハンさん達は問題外です。

 前世が男の私が言うのもなんですけど、興味なさそうですから相談にならないと思いますしね。


「此処での事は守秘義務があるので、確かに漏らす心配はありません。

 それと相談していただいた事は嬉しく思いますし、正解だとは思います」


 ルチニアさん曰く、私の想像通り、貴族や裕福層の女性にとって、日焼けは非常に強い感心がある事柄だと。

 私がずっと使ってきた事から、安全性と効果に関しては、まず問題ないだろうとの事。

 あと最大の問題点として、私が作った物だと言うこと。


「……えーと、何故私だと問題に?」

「自分の胸に手を当てて考えてみては?」

「薄い胸しか」


 ええ、限りなくAに近い胸ですね。

 約束された勝利の胸(エクスカリバー)の兆しは未だ深い冬眠中のようです。

 起こし方って分かります? ……知らないと。


「今まで作ってきた物の数々を振り返ってください。

 つい最近まで私も知りませんでしたけど、どれもこれも凄い物ばかりじゃないですか。

 しかも、滑り止め付きの胸当ては、胸の大きな女性にとって、救いの下着なんですよ。

 私は、そこそこの恩恵ですけど、本当に苦労をしてきた女性からしたら、あれを開発したユゥーリィさんは、巨乳に悩む女性を救った女神で、巨乳の女神と敬意を払われているみたいです」


 ルチニアさん、どうやら此処で働く前は、この街の服飾ギルドの下請け工房で、滑り止めテープの貼り付けアルバイトをしていたらしく、私が聞いている以上に凄い事になっている下着事情を話してくれるのだけど。


「……巨乳の女神って、本人は貧乳なんですけど。

 あと、絶対に誤解を招く表現ですよね?」

「……ユゥーリィさんはまだ若いので、これからと言う事で。

 それと、言っている人達は、悪気はないとは思いますよ。……たぶん」


 とりあえず私が作るものには、魔導具の関係で信頼が出てしまっているから、信頼が先走ってしまい、問題が出る可能性があると。


「あとは、こう言っては失礼にあたるのですが、ユゥーリィさんが色なし(アルビノ)だと言う事です。

 色なし(アルビノ)の方が日焼けをしないために、使い続けてきた製品と言うのは、ある意味説得力がありますから」


 あ〜、確かにそれはあるかも。

 結界を併用する前までは、紫外線が強くなる季節以外は此れだけでいけたし、夏とかも帽子を併用すれば、それで十分だったからね。

 因みにルチニアさんは気にしないんですか?

 気にしているけど討伐騎士団にいたから半分諦め気分でいるし、今はほとんど室内だから、そこまでは気を使わなくても大丈夫になったと。


「他にも、素肌の潤いを保つ化粧水や、美白効果のあるクリームとかもあったりしますけど」

 ガシッ


 ぁ、あの、なんでしょうか?

 きちんと効果の検証をした方が良いと。

 そうですよね、私みたいな素人が作った物ですからね。

 問題はそこじゃなく、私みたいな十代の瑞々しい肌でなく、十代の肌を失いつつある人間にこそ、その効果が分かりやすいと。

 た、確かにその通りかもしれないとは思うのですが、…あのルチニアさん、なにか顔が妙に近い気が。

 ちょうど、その条件に当て嵌まって、他所に漏れない人間がいると……。

 はい、よろしくお願いします。





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