161.裸の付き合いも大切ですよ。 あっホクロ発見♪
「ん、ん……」
揺り籠のように優しく揺れる感覚と、暖かい感触に後ろ髪を惹かれながらも、重い目蓋を開けると、其処には、……美少女の顔が、……なんだジュリか。
互いに息が掛かりそうな距離に、驚くも目の前のジュリの寝顔は素直に可愛いと思ってしまう。
ただ残念なのは、赤く泣き腫らした顔と言うところかな。
「ぅ…、ん…」
部屋の旋回窓から差し込む光に、どうやら夜が明けているのが分かる。
……寝転がったまま体を少し捩ると、少しだけ体が痛む。
どうやら、昨日は泣き叫ぶ彼女を慰めながら、そのまま床で眠ってしまったらしい。
それだけ精神的にも疲れていたのだろう。
いくら富裕層向けの客室で絨毯が敷いてあると言っても床は床、身体が痛くなっても当然。
「まったく、この子は」
戦力的には正直に言えば、彼女は戦力外ではあったけど、こうして戻って来れたのは彼女のおかげだとは思っている。
彼女を守る事で、私は生き汚く戦い抜く事ができたし、彼女に操船を任せられたので戦いに集中する事ができたのも確か。
まぁ無理をさせたり怖い思いをしたのは、無理やりついてきた彼女の、自業自得と諦めてもらう。
アフターサービスは昨夜でおしまい。
でもまぁ、泣き腫らした顔ぐらいは治しておいてあげるかな。
「ん、……ぁ、…」
「おはようジュリ。いい夢は見れた?」
治癒魔法を掛けてあげようと思ったところに、彼女の長い睫毛が動き、その青い瞳を覗かせる。
「……おはようございます。
誰かさんに、凶悪な魔物の前に置いてけぼりにされる最悪の夢でしたわ」
「それは普段の行いが悪いのかもよ」
「貴女よりは良いつもりですわ」
我ながら少し意地悪な質問だったかもしれないけど、ジュリも一晩経って少し落ち着いたようだ。
少なくとも昨日のような怯えた目はしていない。
それにしても改めて見ると、……なかなかに酷い状態。
長くて綺麗な金髪は、海水を被ったまま一晩放っておいたのでボサボサだし、先程も言ったように顔も泣き腫らしている。
おまけに服も海水を被ってそのままだったためかゴワゴワしている。
幾ら夏といっても、風邪を引いていなければいいけど。
しかたない、私もさっぱりしたいので、ジュリを寝室に引っ張り込む。
そこ、別に変な事をする訳じゃないですからね。
寝室の一画で、結界と水魔法を駆使して簡易のシャワー。
ええ、一緒に入ってますよ。
別に外見上は女の子同士なので問題はありません。
それにしても、疲れた身体にお湯が心地良い♪
「ジュリだって、盾の魔法に慣れれば此れぐらい出来るようになりますよ」
「……悔しい事に、心底覚えたいと思ってしまいますわね」
やはりジュリも、なるべく綺麗にしていたいのだろう、真剣な顔で簡易シャワーの注意点を聞いてくる。
問題はジュリは時空系を持っていないので、使った水の処分かな。
結界で包んだ状態を維持して、外に運び出せば良いだけの事だけど。
「水って、そのまま還元すれば良いだけですわよ」
「……へっ?」
「出したのだから戻せるのは、当然ではなくて?」
うん、どうやらそう言う物らしい。
独学による魔法の限界なのか、私は時折魔導士としての常識的な事が抜けているところがあるらしく、今回もその典型なのだろう。
火は魔力という燃料がなければ消せるし、風は大気中へと還る。
物質的な土はそのまま地面に戻るだけだから、同じ物質的な水もてっきりそうだとばかり思っていたから、そんな事ができるとは想像だにしなかった。
水が湧き上がるように、地中に入っていくようなイメージで水を還してみる。
「……本当ですね。ジュリ凄いです!」
「貴女が常識を知らなすぎなだけですっ!」
酷い、魔導士としては少し変わった所はあるかもしれないけど、常識を知らない呼ばわりは言い過ぎでは?
と言うか、そもそも魔導士を常識の枠に填めても良いのだろうか?
何時だったか、コッフェルさんも魔導士は人から離れた変種で、いわば変人だと言っているぐらいですからね。
それはそうとして、身体を洗い終わったのなら確認を。
「ひゃっ、ちょっといきなり何をっ?」
「変な声を出さないでください、別にジュリの身体を診ているだけですから」
「み、見てて、その、そんなに見つめられると…その…できれば」
「あー、やっぱり、痣が彼方此方に」
あんな小舟で、あれだけ高い波にの中を突き抜け、魔物の攻撃を避けながらの操船。
挙げ句の果てに、空中から水面への落下に近い着水。
きっと身体の彼方此方を、船の縁とかに打ちつけていると思ったけど、思った通り彼女の白い裸体には、打撲らしい痣が出来ている。
幸いな事には、そんなに痛みが伴うような傷は見当たらないし、今まで痛がっている様子はないので、酷い打撲や骨折はないとは思う。
「ああ、ここにも擦り傷が……、今、治癒魔法を掛けますからね」
シャワーを浴びるついでに傷の位置を確認できたので、治し損ねはないと思う。
治癒魔法と共に、痣らしいものや擦り傷は時間を巻き戻すかのように消えて行き、元の綺麗な白い肌に戻る。
無論、泣き腫らした顔も治しておくことは忘れませんよ。
やっぱり女の子は、泣いている顔より笑っている顔の方が良いですからね。
「まだ、どこか痛いところとかありますか?」
「いえ、ありがとうございます。
それよりも、貴女のそれ」
優しげに、だけど強引に私の腕を取るジュリは、私の腕の後ろ側を指差し、そこにある裂傷や背中にある傷を気にする。
ああ、失敗しました。
彼女の身体を確認をするのを優先にしていたため、自分の事を忘れていましたね。
「こんなもの大した事ありません。
ジュリの方がよほど大怪我ですよ」
これ以上彼女に心配をかけまいと、自分にも治癒魔法を掛けて元通りにする。
裂傷と言っても軽く皮膚が裂けた程度、昨日の彼女の心の傷に比べたらないに等しいものです。
「これくらいの傷、山歩きで狩猟をしてたら珍しくありませんから」
「それとこれとは」
「同じですよ。
少なくとも私にとってはね」
獲物だろうが、木々に打ちつけてだろうが、同じ事。
そしてそれは彼女に対しても同じ事。
それくらいの事は、最初から覚悟をしていた事だから。
「さっぱりした事ですし、そろそろ出ましょうか」
その話はこれでおしまい、そう言わんばかりにドライヤーの魔法で髪と身体に付いた水滴を、全て下へと吹き落とし、結界の底に溜まっている水を還したのを確認してから結界を解く。
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こんこん、こんこん。
海水で荒れてしまったジュリの髪を、香油をつけながら丁寧に梳いている時に鳴らされるドアの音に短く返事をすると、朝食にまだ行っていないのは私達が最後らしく、態々食事を持ってきてくれたらしい。
多分、昨日の事があったので気を使ってくれたのだろうけど、生憎と此方はシャワーから上がったばかりで、まだ下着姿に近い状態。
部屋の中に入れる訳にもいかないし、航海中の船なので外に置いておいてもらう訳にもいかない。
身支度中なのでと理由を付けて、もう暫くしたら食堂の方へ行くと伝えると、よろしければ船長室で食事をと誘われる。
よく知りもしない、しかも初老の男性と話をしながら食事しても、楽しくはないと思うものの、……まぁ昨日の報告もあるから仕方ないかと了承する。
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「お待ちしておりました」
船長室へ招き入れられて入ると、まずは船長さんが、先日と違って笑顔で持って迎えてくれる。
一応は船長室という立場での食事会なので、私もジュリも相手の立場に敬意を表す意味もあって、軽くお化粧をしての出席。
こういう立場が絡んだ食事会で何が面倒くさいと言ったら、こういう準備もその一つなんだよね。
有り合わせとは言え、ジュリの化粧を施すとか、無理やり楽しみを見つけないと、やっていられない。
そういう訳でジュリは、何時もより二割増で綺麗で可愛いですよ〜。
「あらためて、この船を預かっている船長のガルードと言う。
貴女方の英断と活躍のお陰で、この船の乗客及び船員の全てが助けられた事を、この場でもって礼を言わせて戴く」
「ユゥーリィと申します。
この度はお招きありがとうございます。
また、我が儘を言ってお預かりした船を沈めてしまい、申し訳ありません」
「ジュリエッタです。どうかよしなに」
定型通りの挨拶を、船長も私もジュリも行うのだけど、挨拶されていない人が一人。
船長室は私達三人以外に、給餌役の船員さんと、先日も見たけど港で見た白髪の初老の男性が一番奥に佇んでいるんだけど……、なんと言うか、この部屋で一番存在感がある。
それはともかくとして、何故この場にと思う私を察したのか、船長さんが紹介しようとしてくれるのだけど。
「ジルドニア・ラル・アーカイブだ」
うん、最悪。
港の時は会話の節々から、それなりに立場がある方ではあると思っていたし、その会話の中身そのものは、気さくなお爺ちゃんと言う印象だったけど。
此方が誰一人家名を出していないと言うのに、こう言う感じで上から目線で自ら家名を出すと言う事は、此方に家名を言えと言う事に他ならない。
もっとも、船長さんは船長と言っているし、この部屋の主ではあるので家名を言っているような物ではあるけど、そう取る必要もないと言う見方もできるので問題はなし。
つまり完全なマナー違反である。
家名を名乗る資格がない私としては、敢えて眉を潜める事で、そのままでは相手をしないと意を示して見せる。
ええ、此方も一応はマナー違反ではあるけど、貴族間ではよくある事でもある仕草。
「なかなかに気の強いお嬢さんだ。
ジルドニアだ、これで良いかな?」
「ユゥーリィと申します。
御無礼をいたしました事、どうか御容赦を」
これで互いの挨拶はおしまい。
一応、私達はこの船と乗員の救世主と言う事になる訳だから、此方の立場を通すのが筋。
其方が御偉い誰であろうとも、御要望には答える気はありませんので、御容赦をと言う意味で、私としては大事な事なので、此処は譲る気はない。
挨拶の後、給餌役の船員さんに椅子を引かれ各席に座るのだけど、一番の上座にはあの初老の男性。
たぶん、最初の紹介でジルドニアさんの名と立場を知る人からすれば、それなりに有名な方なのだろうと思うけど、生憎と子供である私やジュリが、そんな相手の名や立場など知るはずもない。
知らないから萎縮する必要もないし、相手も名前を言い直した事から、この場では此方に合わせてくれると言う事なのだろう、軽い雑談をしながらの食事会。
ジュリが、まだ学習院の学院生で王都に行く事なんかを、話してしまっている事に軽い頭痛を覚えるけど、下手に家名を詮索されるよりはマシかと諦めておく。
向こうは向こうで、仕事の視察の帰りだと当たり障りのない事で、それ以上立場を匂わす事を言ってこないあたり、やはり最初のはワザとなのだと納得する。
向こうの名と立場を知っている者ならば、それなりの話をし、知らない者であればこのように、知らない者として扱う。
つまりそれだけの立場にあるのだと言う事を、船長さん達がジルドニアさんに気を使っている事から、……たぶん国内外問わず要職にある方か、かなりの高位の貴族……面倒臭い。
「もう、終わりかね?」
「ええ、見ての通り身体が小さいので、それほどの量は」
やはり男性の方に比べれば、女の体はどうしても食べる量は少なくなるし、身体の小さな私の場合は尚更のこと。
私が少食なのは、一等客室の客となれば流石にこの船の料理人は知っているため、私の分は少なめに作ってきてあるので、気を使わせないように、なるべくゆっくり食べてはいたのだけど、やはりそれでも私のお腹が一杯になる方が早かった。
それと言うのもジルドニアさんが意外にも此方に合わせて、船の歴史の話や貿易品、果ては海外の文化など、豊富な知識と見識が必要な面白い話をしてくださったので、向こうも食事のペースが遅れてしまったのもある。
相槌を打ちながらも普通の量を食べていたジュリが、ちょうど食べ終わったところを見ると、決して私が早すぎた訳ではないと思いたい。
それにしてもジュリ、もう少し勉強した方が良いと思うよ。
仮にも軍に入る事を目指しているのなら、隣国の首都や主要な貿易港ぐらいは、最低でも頭に入れておこうよ。
「此方に気にせずに、お続けください」
「では少しばかりお見苦しいが許されよ」
船長さんもジルドニアさんも、先程のの食事のペースとは一転して、かなりの早いペースで食べてゆき、それこそ数分で食べきってしまった。
普通の貴族や裕福層では、あり得ない食事の光景。
「済まないね、船乗りの悪癖で、食料を無駄にする事などできぬのでな」
「船乗りだけでなく軍も似たようなものだ。
今の若い者は、見かけだけの礼儀で、その辺りの礼儀がなっておらん者も多いがな」
「いえ、御立派なお心掛けかと。
食べたくても食べられない方もいる事を思えば、むしろ好感が持てます」
「貴女自身、食い意地が張ってますもんね」
「あら、無駄なく美味しく食べたいと思うのは当然でしょ」
「だからって、内臓料理が出てきた時には驚いたわよ」
「美味しそうに完食した人間の台詞じゃないと思うけど」
食材と見做していない物を食べるのと、食べられる物を残すのとでは意味が違うと思うけど、私が食い意地張っているのは本当の事なので、これ以上は突っ込まない。
ほら、船長さん達が驚いているじゃない。
見方を変えると、笑っているとも言うけどね。
「さて、慌ただしい食事を見せてしまった後で申し訳ないが、本題に入らせてもらおう。
「はい」
「見張り塔の者から、魔物はかなり大型のクラーケンと報告があったが」
「私は他のクラーケンの事は知りませんが、この船の倍はある個体でした。
「……よく生きて帰って来れたものだ」
「彼女が操船を一手に引き受けてくれたお陰です」
「なるほど」
ええ、なるべくジュリを立てておきますよ。
将来どこかでジュリの役に立つかもしれませんからね。
ただ、あの個体のクラーケンは、もうこの船を襲ってくる事はないと、少しボヤかして言っておいた。
私達みたいな子供が倒したなどと誰も信じないだろうし、実際にあの状況下で倒せたのは運の要素が大きい。
なにより、そんな事を言った日には、私の平穏な生活が脅かされかねない。
なんとか魔物が嫌がる事をしたら、墨を吐いて海中深く潜った所までは話しておく。
ええ、途中までの話であって嘘は言っていません。
ジュリにも、その実力があるなら、すぐ魔物の最前線へと言われても困るでしょと言って事前に納得させてはあるので、この事でジュリが口を出す事はない。
彼女自身、今の実力では魔物討伐騎士団に入った所で、生き残れないと実感しているだろうからね。
「そうか、船の恩人である貴女がそう言うのなら、そう言う事なのだろう。
それと、お預かりしていたコレはお返ししておく」
……なにか隠しているような事は見抜かれてはいるようだけど、此方の話に乗ってくれると言っているので私としては問題はないし、双眼鏡の魔導具も無事に戻ってきて良かった。
まだ世間に発表していない魔導具だから、早々に世間にバレて模倣品が出たら、ヨハンさんに何を言われる事か。
一応は非常事態と言う事で、人に使わせた事は報告しておくけど、きっと完成品を急がされる事は間違いないだろう。
残っている問題は、品質の安定化のための製品の精度の検査方法と、調整方法の確立だけだから、リズドに帰るまでに、なんとかしておこうと心の中に決める。
ええ、嫌味は誰だって言われたくないですからね。
「なかなかに素晴らしい魔導具だが、此れを何処で?」
ああ、やっぱり突っ込んできたかと、ジルドニアさんの言葉に前もって用意しておいた答えを伝える。
近い内には出回る物ですので、それまでお待ちくださいと。
それ以上の情報はあげませんよ〜と、営業スマイルで躱します。
互いに家名も立場も明かさない事を受け入れた上での食事会ですので、此れで正解だし、向こうもそれを受け入れた以上は、突っ込んでこないのがマナー。
マナー違反をするのであれば、それを理由に話を終えるだけ。
どちらにしろ、軍事利用できるような魔導具を、見知らぬ人に話す訳にはいかないからね。
「どうしてもかね?」
「ええ、どうしてもです。
逆にジルドニア様が、私の立場ならどうします?」
「……なるほど、もっともだな。
では、今回はあくまで非常時ゆえの事だと?」
「ええ、必要に迫られての事ですから、見なかった事にして戴けたらと思います」
重く落ち着いた碧い眼で、此方を覗き込むようにしていたジルドニアさんは不意に、相貌を崩し。今回は諦めようと言ってくださる。
ふぅ〜、良かった話の分かる人で。
「その魔導具の有用性を考えれば、そう言うのが当然であろう。
港での話から察するに、ああ言う使われ方は望まぬだろうしな」
「結局は、使う側の人間の問題でしかないんですけどね。船も魔導具も」
「……確かにな。
では、ああ言う使われ方以外に、どのような危険があると思う?」
あまり世に出していない製品の情報は与えたくないんだけど、確かに危険性を考えるだけなら、さしたる問題はない。
ただ、軍事利用をできることが考えつくのなら、大抵やれる事はその範疇に入っている。
斥候、警戒、偵察、監視、観察、基本的にはこの派生的なものになってしまう。
当然、それくらいの事は、この人は気がついているだろうから、違う視点で見た場合の危険性と言うと。
「着替えを覗かれる危険性が上がるのは、女の身としては非常に困りますね」
うん、私みたいな発育不良を見たがる人はいないだろうけど、ミレニアお姉様やライラさんみたいな、若くて綺麗で体型にも恵まれた方は、それこそ大問題だと思う。
そもそもこの世界の家や屋敷は、普通の覗きには気をつけてはいるものの、こう言う双眼鏡などで覗かれる事を前提としていないため、現状のままでは問題のある家も多いと思う。
この世界の女性の中には、既婚に拘わらず、夫以外の男性に裸を見られた事を理由に命を断つような貞淑概念の人もいますからね。
以前に森の中で着替えていた事が、エリシィーとライラさんにバレた時に、散々お説教された時にも出た話題です。
それくらい気にするものだから、私も気にしろと。
「ふはははっ、確かにそれは重大な危険性だな。
是非とも覚えておこう」
「する方で?」
「興味はないとは言わぬが、儂ぐらいの歳になると、それほどの冒険心もない。
なによりバレた時の妻や娘の視線が怖いからな。
覚えておくと言ったのは至急に対策をせねばと思ってな。
妻は流石にもう無いだろうが、娘や孫娘に対して、そのような不届きな事を赦す訳にはいかぬからな」
ジルドニアさん、家族思いだと思いますけど、奥様の方にもちゃんと対策してあげてくださいね。
女扱いされていないと思われると、後々面倒になりますよ。
実際、前世ではそこまでして見たいとは思いはしなかったけど、それは前世では態々危険を犯さなくても、それなりに目の保養になる環境があったと言うだけの話で、その手の犯罪がない訳ではなかった。
そう考えると、商会のヨハンさんにそう言う悪用される危険性もある事も伝えておいた方が良いか。
多分、軍事的な悪用しか考えていないだろうからね。




