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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第八章 〜親としては新米だけど頑張ります編〜
1023/1024

1023.商会作っちゃおうかなぁ〜、そんでもってお裾分け。





 あの後、皆んなから称賛の言葉を浴びせかけられた。

 水難事故から、一人でも多く命を助けられる代物だって。


「ユゥーリィ、調子に乗りすぎ」

「そうですわ。

 疲れているのに夜遅くまで起きているなんて」

「そんな元気があるなら、もっと私達を構うべき」

「まったくその通りですわ」


 エリシィーの言うとおり調子に乗って、今度は荷物を入れていても水に浮く旅行用の大型革鞄を開発。

 魔導具や魔道具でも出来るけれど、何方かというと作りたかったのは、普通の職人にも作れる代物。

 基本となる設計と水に浮く為の構造の仕組みさえ確立してしまえば、後は専門の職人に丸投げ出来る。

 オルディーネ領は魔物の繁殖を含めて畜産業にも力を入れているし、防壁の外に出れば天然の革が豊富にある。


《凶悪な魔物を革と称するのは貴女ぐらいでは?》


 【   】が何か言っているけど知らない振り。

 領軍が防壁の点検も兼ねて、定期的に狩ってきているので、革が豊富である事には間違いはない。

 そもそもそれだって、お肉が目的の物が殆どなので、【   】の意見は見当違いだ。

 という訳で、まだ早いかもしれないけど、革製品を扱う部門を立ち上げても良いと思っていたのよね。


 革工房【森の敷物屋(ドイ・ヴィトン)


 そうなると目玉となる商品が一つ二つでは寂しいと思って、幾つも意匠図を書いて、更に見本となる物を数個作った所で、二人の嫁による強制終了が発動されたの。

 そんでもって放っておいた罰だと、これでもかと可愛がられて、気絶するように何時の間にか眠ってしまい、翌朝何時ものように過ごした朝食後、こうして二人に御説教を食らっている訳です。

 それならば二人掛かりで可愛がっていないで、素直に御説教に入れば良いのにとかは口にしない。

 嫁達曰く、それはそれ(可愛がるのと)これはこれ(御説教は別)、だそうだからね。


『ユゥーリィが縁談の話しが沢山されていたって聞いたら、ユゥーリィが遠くに行ってしまいそうで恐かったの」

『私も貰ってやる奴を紹介してやるぞって、頼みもしないのに無理矢理押し付けてくる縁談話が恐くて、私はユウさんの物だって言うのに』


 おまけにこんな可愛い事を言われたら、嫁の愛を全力で受け入れざるを得ない。

 嫁達の不安を慰めて満足させるのは、夫である私の役目だもの。

 夕べの事は、お客様がお越しになられている時はしない、という約束は夕べだけ忘れる事にしておく。

 という訳で、朝から嫁達とイチャイチャしていたい気分ではあるのだけど、流石にお客様方を放っておく訳には行かない。

 魔導船略奪未遂事件も、まだ後始末が残っているとは言え、それこそ、それはそれ(最優先事項)これはこれ(は家族)、だものね。

 とはいえ、予定を変更して御迷惑を掛けたので、お話しをある程度した以上、お客様にも賠償品のお裾分け。

 細かな事は言えないので、余計な事は言わずに今回の件で戴いた物だと強引に通す。


「えっと、いいの?

 私達関係ないのだけど」

「どうせお土産をある程度お渡しする予定でしたので、戴いた物の中で欲しい物があれば程度の事ですので構いません。

 今回参加した領軍の人達には、別途で特別手当を出してありますし、美術品や装飾品と向こうの珍しい布類が大半です。

 やはり向こうの物ですから、日常使いには向かない物も多いので、意外に人気はないので遠慮なくどうぞ」


 騎士って金と美味しい酒と飯の方が良い、と言う連中が多いからね。

 平民より収入が多くて豊かだと言っても、騎士だと意外に質素な生活なのよ。

 職業柄、何時死ぬか分からないし、怪我をして動けなくなる事もあるから、貯められる時は貯めておくんだって。

 私の護衛騎士であるアドル達も殆ど散財していないから、貯まる一方だとか言っているもの


『いや何度も言っているが、衣食住が全て付いて装備品も支給だぞ。

 何処に金を使うって言うんだ』

『予備の武器だって支給されているしな』

『家の品格維持って名目で、装飾品まであるでしょう』

『本や娯楽品だって屋敷に揃っていたら、使い道って殆ど無くなるわよ』


 何時だったかの誰かさん達との会話が脳裏に流れたけど、関係ない関係ない。

 ともあれ実用性があるかどうかはともかく、珍しい物を持てるかどうかは貴族や富裕層においては大切な事、……らしい。

 私、そう言うので部屋を飾る趣味はないから、全部丸投げしているからね。

 という訳で始まりましたのが物色タイム。

 国やジル様へお納めする分は既に避けて置いて貰っているので、どれでもどうぞ状態。

 嫁二人の分は、私が既に選別済み。

 二人に似合いそうな簪があったのよね。

 此方にある物とは趣が違うけれど、髪飾りとして十分に使えるし、拵えを変えてもいい。

 今夜に渡すんだぁ〜。

 喜んでくれるかなぁ〜

 と、気持ちがウキウキしているので、多少の放出は気にしない。


「ライラさん、ライラさん、此方の絵なんてどうです?

 お店に飾っておくには、丁度良い雰囲気の絵だと思うのですけど」

「あら、不思議な感じがして良いわね。

 黒一色の絵なんて変わっているけど、この箇所だけ赤が使われている感じが、あの作者の絵を彷彿させるし、分かる人には目を引き寄せられると思うわ」


 富裕層と言ってもライラさんの場合平民だから、高価すぎても危険が生まれるだけなので、異国情緒が感じられる程度の物が良いと思うのよね。

 ライラさんは黒一色と言っていたけど、俗に言う墨絵。

 色の濃淡のみで表現する絵だけど、だからと言って墨絵は黒のみしかない訳ではなく、朱色の墨でアクセントを付ける事もある。

 しかも墨絵って花鳥風月が多いというイメージがあるけれど、この絵は珍しく人物画で、男性か女性かは分からないけれど、美麗な顔の一部を飾る耳飾り、そこの部分にだけ朱が入れられているのよね。

 よく唇にだけ朱を入れる手法があるけれど、それだと描かれた性別が女性に片寄ってしまうので、おそらくこの絵を描いた人は敢えて性別を曖昧にして、見る者によっては美男子に、また別の見る者にとっては美少女に見えるように描いたのだと思う。


「ライラさんの旦那様には此方の工芸品を。

 透かし彫りの壁飾りで、装飾の素晴らしさよりも何方かと言うと、そこに使われている技術が職人魂を擽る逸品です」


 ライラさんの旦那さんは、職人ではあるけど仕事としては技術者に近いらしく、趣味として職人の真似事をしているという、実に羨ましい生活をされているんですよね。

 なので、こういった異国の技術に触れられる物の方が喜ばれると思ったのよ。

 あと、此方が選ばないと平民という立場上、選べれないと言うのもあるから、ライラさん達の事を思ったら押し付けた方が親切なのよね。


「マリアちゃんは、このお花の髪飾りなんてどう?

 可愛いわよねぇ〜」

「かわいい、私に似合いそう?」

「似合う似合う、似合うに決まっているわよ。

 寧ろマリアちゃんのためにあるような物よ」


 ライラさんの娘のマリアナちゃんも、もうすぐ五歳の女の子。

 オシャレに芽生えている可愛い盛りなので、美麗な布で出来たお花の髪飾りを幾つか。

 宝石とか使っていないので、幼い娘が身に付けていてもおかしくはない。

 まぁ使っている布が、かなり高級品ではあるので見る人が見れば分かるだろうけれど、大きさが大きさだから、端切れで作られた物だと思ってくれるはず。


「お姉ちゃん、ありがとう〜」


 うん、可愛い子の満面の笑顔での感謝の言葉、これだけでお腹いっぱい胸いっぱいです。

 思わず可愛いぃ〜と言って、抱きしめちゃいましたよ。

 大丈夫、純粋の気持ちであって邪な気持ちじゃないから、事案にはなりません。


「ゆうちゃん、流石にもうハムハムするのは止めてね」


 したいけれど、そこは言われなくても自重している。

 ぷにぷにの可愛いホッペに、頬ずり頬ずりとするだけです。






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