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私、お嫁になんていきません  作者: 歌○
第二章 〜少女期編〜
100/976

100.朝から寝台で絡み合う二人、でも普通に寝ているだけですから。





「……ん……んぅ………」


 暖かく心地良い感触に包まれながら、目が覚めるのが惜しく感じながらも、意識がゆっくりと上昇してゆく。

 とくん…、とくん…、と優しい音。

 そして静かな寝息をBGMに、せめてこの感触を最後にと顔を一層押し付けた無意識の行動と一層強くなる温もりに意識が急上昇し、心地良い感触の正体驚く。


 ぽにゅん、ぽにゅん。


 はい、ライラさんのしっかりとボリュームのある谷間です。

 彼女の香りに包まれるようにその胸に頭を埋めて、彼女に抱きついている自分の姿に、急速に気恥ずかしくなってしまう。

 しまうんだけど……、うん、手放すのが惜しいとも思ってしまう温もりに……。


『ユゥーリィ甘えすぎっ』


 そんな誰かの言葉が聞こえた気がして、指先で掴んでいた彼女の夜着から、そっと手を離す。

 うん、もう十分に甘えさせて貰ったから。

 なんと言うか自分でも分かるくらい、昨夜に比べて心の中が落ち着いているのが分かる。

 頭の片隅からどこかモヤモヤしていた重みが取れた感じに、自分の事ながら単純だなぁとも思ってしまう。

 私の中でライラさんが、昨夜より近しい人間になってしまっている事に。

 親友かはともかくとして、掛け替えのない友達にはなりたいと思っている事に……。

 我ながら、本当に単純だと思う。

 でもそれが悪くないとも思ってしまっているから、よけいに性質(たち)が悪い。

 本当に私って、どうしたいんだろうと思ってしまう。


 すぅーー、すぅーーー。


 静かな寝息を立てて眠るライラさんを、寝台の上に腰掛けながら静かに見守りながら、きっと昨夜は私がしがみ付いたままで、寝苦しかったのだろうなと申し訳なく思ってしまう。

 寝崩れた夜着から覗く胸元に、夜も着ける派なんだと思いながらも、つい自分の物と比べてしまう。

 ようやくAは脱して、Bくらいにはなっているのではないかと希望的観測はあるのだけど、目の前のFを遥かに超え、おそらくHはあるであろう物を目の前にすると、絶望しか湧かないのは私の思い違いだろうか?


 ふに、ぷにっ。


 明らかに違う弾力と深み。

 

 ………、むにゅ。


 ええ、此方は乗るどころか滑ります。と言うか結構重い。

 少なくても私の知っている前世の記憶も含めた中では、経験した事のない重さ。

 たぶん、お姉様やお母様はこれ以上に重いのだろうなぁ、と思ってしまうけど、よくよく考えたえら前世の感覚と言ったら、男としての記憶なので基本的な筋力が違いすぎるから、その辺りの感覚は当てにならないか。


 ぷに、ぷに。


 うん、思わず軽くツンツンと突いてしまうぐらい心地良い。

 多分これを枕にしたら、さぞかし気持ち良いだろうなと思うぐらい。

 別にやりませんよ、前世で懲りています。

 圧迫感が苦しいと、はっきりと文句言われましたからね。


「……ん、……おはよう」

「ぁっ、……お、おはようございます」

「んー、…朝から何してるのかなぁ~」

「いえ、その枕にしたら心地良さそうだなぁと」

「ふふっ、それは思うかもね。人の胸って気持ち良さそうだもの」

「あっライラさんでも、そう言う事を思うんですか?」

「誰だって一度くらいは思うんじゃないかな。

 ゆうちゃん試してみる?」


 ええ、してみます。

 スケベ心など関係なしに、このサイズで挑戦してみたいです。

 あっ流石に横じゃなくて、背もたれですか。

 いえ、させてもらえるだけ嬉しいです。


 ぼにゅっ。


 ……首が痛いです。

 後頭部にあたる心地良い感触とは裏腹に、それが生み出した段差と弾力のあまりに、首がおもいっきり、強引に項垂れてしまいました。

 ええ、衝撃ですよ。

 後頭部の感触にも首の痛みも。

 胸の段差が生み出す罠に。

 少しだけ待てって。なにを?

 今度は大丈夫だからって……?。


 ふにゅん。


 おぉぉぉぉ、凄いっ、心地良いっ。しかも良い香りっ。

 先程とは違って、後頭部がしっかりと谷間に入り込むため、後ろから包み込むような温かい感触が、………あのライラさん、この感触はもしかして。

 ああ、脱がずにずり上げたと、……つまり薄布の下は生ですか。

 刺激的ですよっ!

 もうすぐ人妻になる人が何してるんですかっ。

 別に同性同士だし、変な事をしている訳じゃないから問題ない。

 それも、そうですね。

 じゃあ、もう少しこの感触をって、……あのっ、ところでライラさん、その手は?

 私だけ狡いって、……私の胸なんて触っても面白くないですから。

 ちょ、そんな後ろから掴まれたら……。


「んっ……、くぅ…、や……、ん……、め…ふ…ぁ……」


 勝手に零れ出そうになる声を必死に押し止めながら、恥ずかしさに頭の中が真っ白になりそうになった所で解放される。

 されるんだけど、あのライラさん、なんでそこで男に油断しては駄目とか言い出すんですか?

 私の反応が可愛すぎて洒落にならないって、……普通はこんな事されませんっ!

 それより恥ずかしかったんですからって、……あの弱すぎだからって何の話です?

 知らない人に、こんな事なんてさせないですから大丈夫ですよ。

 ええ、攻撃魔法で吹き飛ばします。


「軽い冗談なのに洒落にならないって…。

 ゆうちゃんの場合、女の子同士のスキンシップも気を付けた方が良いかもね」

 

 ですから、一体何の話を?

 え? 擽りですか? 子供の頃から弱いです。

 家族とエリシィーにしかやられた事ないですが、大抵、悶えてしまうので……、はっ、まさかしませんよね!?

 脇をしっかり締めたから、駄目ですよ、諦めてください。

 したくなったけど諦めるって、やっぱりしようとしたんですね。


 ふわっ。


「しないわよ。

 こうやって抱きしめたいだけぇ~♪ こうされるのも、嫌?」


 優しく、だけどしっかりと後ろから抱きしめられる感触と、ライラさんの香りに嫌な事などある訳もない。むしろ不思議な安ど感があるから不思議だと思う。

 此れが年上の包容力なのかなぁと思いつつ、前世を含めれば此方が年上なのに、それで良いのかとも思ってしまう。

 けど、今はそんな事、どうでも良いか。

 今世は今世だから。


「ところで、ゆうちゃん。

 まじめな話、夜も着けた方が良いわよ」


 窮屈だから嫌です。

 それと、全部台無しです。






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