35話
ミナお嬢様と外食をしてから、2週間が経った。
こんばんは、ユータです。あっ、ごめんなさい人間様の名前を名乗って、僕なんか"干からびた昆布"で十分ですよね。長い?じゃあ、省略して"ヒカコン"でいいです。
連日連夜、女性達に攻められて、完全に干からびてしまいました。最近ようやく復活してきたところです。うらやましい?そう思ってた時期が僕にもありました。
日本ではギャグで"アレ"一回をフルマラソン一回分に例えるけど比喩じゃなくこの世界の"アレ"は本当にそんな感じです。完全に色々吸われてます。ありがとうございます。たぶん、魔力的なモノですね。何故、俺のスキルの"魔力の超絶回復"が年中発情期と繋がるのか何となく分かった気がします。
断ればいい?逆に聞くけど断れる?俺が断る事が、ミナお嬢様を始めとする人間関係にどんな影響を及ぼすか分からないのに?人間関係を壊す事に快楽を覚える人なら、拒否できるのだろうけど、生憎そういう趣味はない。それに別にエレナさんもソフィアさんも嫌いなわけではない。むしろ、好きな部類だろう。3年近くも一緒に居れば情も湧く、そう考えれば実質的には断わるという選択肢は無い。
うん、まぁ言い訳は終わり、で現実に戻るとすると、今の状況は相当やばい。ミナお嬢様達は何やら腹を括ったみたいだけど、下手したら打ち首ものじゃないの?
領主様は学院を卒業したら結婚を認めると言ってたわけで、この国の結婚って、当然ながら"アレ"を含む一連の行為なわけで、つまり、俺達のやった事は完全に横紙破りという事になる。とりあえず、子供が出来ていない事を祈るばかりだな、凄く消極的な考えだけど。
ちなみに、連日の自宅訪問は最近ようやく終わった。どうやら、間接的にワンナを通して俺が"発情期"であると知ったみたいなので、ワンナを味方に付ける事で解決した。具体的には俺の匂いを嗅がない。匂いについて聞かれたら、いつもの匂いに戻ったと言うようにお願いした。それでも"発情期"を疑っていたけど、強引にそれで通した。というか女性陣は危機意識が低すぎないだろうか?まぁ、流された手前、俺に何も言う権利はないわけですが。
ワンナには代償として頭を"ナデナデ"する事と、俺の下着を要求された。下着って・・・。ワンナは"おとなし目の子"だから安心してたけど、意外にやばいのかも。下着はもちろんしっかりと洗って渡した。ワンナはちょっぴりしょんぼりしてたけど、納得はしてくれたみたいだった。
今は何をするところかと言うと、"通神"を使おうと思っているところだ、どうも、俺の"隠蔽"のスキルがワンナに見破られている。隠蔽は俺の発情状態を隠すものだったはずだ、見破られたということはスキルに欠陥があったという事になる。女神にはクレームを一言入れないと気が済まない。それに色々、疑問や問題も出た。まぁ、相変わらず下手に出るのだけども、そんなわけで、意を決して最後の"通神"を使った。
「女神様いますか?」
いつも通り呼びかける。
「ほいっと、呼ばれて飛び出て女神様だよ~~」
「うん。」
「何よ反応薄いわね。そんなんだから"ヒカコン"なんてあだ名がつくのよ。」
ついてないよ、自分で言っただけだよ?というかこの女神、俺を監視しているのだろうか?まぁ、いいや、とっとと本題に移ろう。
「女神様それより、質問があるのですが?」
「最後の通神の使用ね。聞きたい事は分かっているわ、ワンナという少女のことね?」
うん、やっぱり、俺の事、監視してそう。それとも女神だから何でもわかるのだろうか。
「そうです、俺のスキル"隠蔽"が効いていないようなのですが?」
「結論から言うと、見破られているわね。というより、あの少女の嗅覚はかなり凄いわね、恐らく"看破"に近いスキルにまで昇華しているのでしょう。」
「看破?」
「隠蔽を見破るスキルよ。」
「そんなのあるの?」
「隠すスキルがあるんだから、見破るスキルがあると考えるのは当然じゃない。」
「"クラ〇カ"みたいな事を言われても困るんだが」
いや、でも本当どうしよう、ワンナはまだ子供だからいいけど、いずれ大人になるだろう。そうなったら、常時発情期の俺が近くにいる事はかなりまずい。最悪、ワンナとは別れる道を考えないといけない。
「いいわ、そちらは私が何とかしましょう。」
「えっ、いいのですか?」
「元々、地球と同じ生活を保障すると言ったのは、こちらだし、例外とは言え、私が与えたスキルである"隠蔽"が見破られるのはプライドが許さないわ。」
「どうするのですか?」
俺が質問する。
「香水をあげる。明日の朝、枕元に置いておくから使いなさい。」
「香水?」
「隠蔽状態を補完するものね。それを使えばワンナという少女でも看破できなくなるはずよ。」
「なるほど、それならいいかな。」
「香水は2種類あげるわ、残り一つは"隠蔽"を解除するためのものね。よくよく考えれば必要よね。」
「隠蔽を解除する?つまり、発情状態が周りにばれるという事?必要かな?」
「香水を"シュシュ"と掛ければ、どんな女もイチコロよ。嬉しいでしょ?」
女神がいたずらっ子っぽい声を出しながら言った。
「それって単に襲われやすくなるだけでは…」
モテるのは嬉しいが、襲われたいとは思わない。それにこの世界に来て性欲が薄くなっている気がする。
「使いたくなければ、使わなければいいでしょ。」
「それは、そうかな。」
「香水は、無限に湧いてくるし、無価値の魔法が掛けてあるから、あなたが意図的に手ばなさい限り失うことはないわ。」
「無価値の魔法?」
「簡単に言うと、あなた以外には石ころと同程度の価値しか見いだせなくなるという感じね。」
「そんなこともできるのか。なんでもありだな。」
ユータが続ける。
「あの、隠蔽繋がりでもう一つ質問があるのですが、いいですか?」
「何よ。言ってみなさい。」
「言いにくいのですが、女性との行為の時に隠蔽状態が解けている気がするのですが?」
ここ数日で分かったが、どうも"アレ"の時はスキルが効いていない気がする。
「ああ、股間がエスタブリッシュしたからね。」
「エスタブリッシュって何ですか?・・・あっ、言わないでいいですよ。」
「それは、もちろん、ぼっ」
「言わないで良いですって!」
ユータがツッコむ。
「えっ、膨らむと、隠蔽解けるんですか?」
「そうよ、と言うかその段階で隠蔽って必要?」
「いやいや、男のアレって意味なく反応しますよね?」
「この世界の男は反応しないわよ。あなたも今まで無意味に反応した事あった?」
そう言われれば無いな。反応したのは"夢精"と"女性とキス"をした時だけだ。なるほど、何となく分かった気がする。
「ご理解いただけたようで何よりだわ。」
「分かりました。では最後の質問いいですか?」
ユータが続ける。
「女神様が俺に期待していることって何ですか?」
以前の"通神"からずっと気になっていたことだ、この女神は俺に一体何をさせようとしているのだろう。偶然こちらの世界に放り込んだわけではなさそうなのだが。
「それについては言えないわ。でも、あなたは今の所 期待に十分応えてくれている。色々と便宜を図ったのも、お返しと言う意味合いもあるのよ。」
女神が"フフッ"と笑う。
やはり、答える気はないか。予想はしていた。
「代りといってはなんだけど、いい事を教えてあげるわ。」
女神が続ける。
「あなたが、ここ数日関係を持った女性達だけど、だれも妊娠してないわよ。」
「えっ、そうなの?」
「元々、遺伝子構造が少し遠いせいで子供が出来にくいのよ。」
それって、大丈夫なんだろうか?今は逆に良かったけど。将来的には問題ありなんじゃないだろうか。
「大丈夫よ。子供が出来にくいだけで、それ以外の所に問題はないわ。」
女神が俺の疑問に先回りして答える。
「ま、結果を先に教えただけだけど。随分、気に病んでいたみたいだからね。ちなみに私は何もしてないわよ。単に運が良かっただけね。」
女神がそういうなら、そうなんだろう。
「インド版 巨人の星の視聴率ぐらいの確率ね。」
「いや、分かんないですけど。10%ぐらいですか?」
それでもかなり運がいい事になる。
「0.2%ね。」
低っ!そして、俺、運良すぎじゃない?1/500を引き当てたのか?
「もう、質問がないなら通神を切るけどいいかしら。」
女神がだるそうに言う。
「あっ、最後に一言、お礼を言わせてください。ありがとうございました。」
一応、心の中で頭を下げる。
「何よ、随分、殊勝ね。」
正直、このアホ女神を恨んだこともあるが、少なくともこの世界に来て俺の不利益になるような事はしていない。それにいい加減なように見えて色々計算しているようにも見える。他人の配慮には感謝する。人として礼を言うのは当たり前の事だろう。
「そうね。まぁ、私も色々楽しませてもらっているから、お礼を言っておくわ、ありがとう。」
女神が"クスッ"と笑いながら言って、最後の通神は切れた。




