34話~ミナスタシア視点~
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外食した翌日の夜。いつも通りの3人が王都の寮の食堂で話していた。
「板金とワイヤーかユータは想像以上にとんでもない事をしようとしているのかも知れん。」
ミナが言った。
「良く分からなかったのですが、鉄の棒が少し細くなる事になんの意味があるのですか?」
エレナが言う。
「私も最初は分からなかったが、食事の時、ユータに説明されてようやく分かった。ユータはあれを繰り返して鉄の紐を作ろうとしているらしい。」
「鉄の紐ですか?それなら既に武器や鎧などで使われていますよね?」
「それはそうなのだが、今やっている方法ではどうやっても、大量に作る事が出来んだろう。それに時間も人手もかかる。ユータはそれを無くそうとしているのだ。」
「ふむん、いまいち、ピンと来ませんが?」
「そうだろうな。私も本当に成功するかは疑問に思うところはある。」
ミナが呟くように続けた。
「少し考え直した方が良いかも知れん。」
「ユータの事ですか?」
「そうだ、ユータを見ればまずは容姿に目がいくだろう。だが、内には叡智を秘めておる。そちらの方も守るべきなのかもしれん。具体的にはユータが作ろうとしているものだな。」
「こないだ、この寮が見張られていると言っていましたが、大丈夫でしょうか?」
エレナが不安そうに言う。
「今のところ、興味の中心はユータ自身の事だろう。だがいずれ、ユータの作るものにも興味が湧くようになる。そうなる前に手を打つ必要があるな。」
ミナが答える。
「まぁ、私はユータの作るものより、ユータ自身に興味がありますけどね。」
「お前は相変わらず、ブレないな。」
ミナが呆れた様に言った。
「ところで、話は変わりますが、ミナお嬢様のお肌すごく"ツヤツヤ"してますよね。」
エレナがミナの顔をまじまじと見ながら言った。
「そ、そうか?私はいつもこんな感じのもち肌だろう。」
ミナが目を逸らしながら言った。
「ミナお嬢様はユータとキスをすると言ってましたよね。結局したんですか?」
「む、む、無論だ、私は有言実行をモットーとしているからな。」
「では、ユータが"発情期"かどうか分かったんですね?」
「あ~、あ~、その事な、以前と同じ感じだったな、まだ、発情期ではないのではないか?」
「ミナお嬢様、何か動揺していませんか?」
「ど、ど、ど、動揺などしておらん。」
「目が泳いでいる気がするのですが、私達に何か隠し事をしてますよね?」
「か、隠し事などしておらんぞえ。」
「なるほど、自白はしないと・・・、今日ワンナが珍しくミナお嬢様の匂いを嗅いでいましたよね。」
「むっ、そのようだな」
「気になったので、どんな匂いがするか聞いたのです。そうしたら"ユータ"の匂いがしたと言ったのです。どういう意味だと思います。」
「き、昨日は近くにいたからな、匂いが移っただけだろう。」
「そうですか、でもワンナはユータからは"ミナお嬢様"の匂いがしたとも言ってました。」
「ち、近くに居たのだから、逆もあるだろう。」
「ミナお嬢様、誤魔化すのは止めて、いい加減楽になったらどうですか?ユータと何かあったのでしょう?」
エレナがミナを"じっ"と見ながら言った。
「ぐっ、分かった。白状しよう、結論から言えば、ユータは発情期だった。」
「それで、ミナお嬢様は発情期のユータを前に何もしなかったんですか?」
エレナが興味津々と言った感じで聞く。
「・・・やりました。」
ミナお嬢様が、項垂れながら言った。
「えっ、なんですか。」
エレナが確認するように聞く。
「やりました。やってしまいました。これで満足か?」
ミナがやけくそ気味に言う。
「まぁ、なんてこと!」
エレナが演技っぽく言う。
「やったというのは、女男のサムシングって事ですよね。」
「なんだよ、サムシングって・・・、あっ、言わんでいいぞ。」
「それは、もちろんセッ」
「言わんでいいと言ってるだろ。」
ミナがツッコむ。
「それで、何回ぐらいやったのですか?」
エレナの尋問は続く。
「五回だ。」
もう、誤魔化すのは無意味と考え、ミナは諦め気味に言った。
「何と五回!五回もユータの鉄棒をミナお嬢様のダイスに出し入れしたのですか?」
「お前、それは下品すぎるだろう。」
「なるほど、それで朝からユータがぐったりしてたんですね。いつもはきちんと朝起きるのに寝坊もしてましたし。」
エレナが続ける。
「ところで、そのユータは今、どうしているのでしょう?」
「さっき、湯浴びをしていたので、今は自分の部屋にいるのではないでしょうか?」
珍しくソフィアが答えた。
「ふむ、では私も湯浴びをして来ましょうかね。」
「お前、まさかユータの部屋に行く気ではあるまいな。」
「いけませんか?ミナお嬢様が手を出した以上、私とユータを阻む壁はもはやないでしょう。」
「うっ、それを言われると立つ瀬がないが・・・」
「エレナさん、ちょっと待ってほしい。」
ソフィアがエレナの肩に手を置きながら、部屋を出ていこうとするエレナを止める。
「何ですか?ソフィアさん」
「ここは私に先を譲ってくれないだろうか?」
「いやいやいや、無いですよ。私がどれだけ待ったと思っているのですか。」
エレナが首を振りながら言う。
「待った時間は私も同じでしょう。いや時間で言えば、ユータさんと出会ったのは私の方が早かったはずです。」
ソフィアが言う。
「そんなの殆ど違いがないじゃないですか。それに、今日が明日になるだけでしょう?」
「ならエレナさんが譲ってくれればいい。ユータさんだって、今日が発情期だからと言って、明日も発情期とは限らない。ならやれるときにやる。鉄則です。」
「なぁ、今日も私ではダメか?」
「「ダメに決まっています!!」」
エレナとソフィアの声が綺麗に重なる。
「ここは平等にユータが考えた"ジャンケン"とやらで勝負しませんか?」
ソフィアが提案する。
「いいでしょう。エロが賭かったときの私は強いですよ。」
エレナが受けて立つ。
そうして、不毛な争いをしながら、女性達の夜は過ぎていく。




