第133話:面白いやつってそういう意味では。
わふ。
ヘルハウンドのナガトゥキーが主人であるオットーの顔を心配げに覗き込む。
「大丈夫……ではないが、心配はいらない」
オットーはそう言いながらヘルハウンドの頭を撫でる。
そうかー、成体のヘルハウンドであるナガトゥキーを一蹴できるようなスライムがあと3匹いるのかー。オットーは立ち上がりながら言う。
「こいつは金級テイマー誕生ですかね?」
ギルド長であるリスコゥは憮然として首を横に振る。
「従魔の強さだけでギルドランクは上げられん。もちろん、彼女がそれを望めば叶えられるだろうが」
そう言って立ち上がり再び歩き出した。
ここは廊下である。とにかくなんでもいいから座って話したかった。
廊下の先には巨大な扉があり、それを開ければ鉄格子があった。牢屋ではなく、巨大な檻であり、従魔用の区画である。
ここはテイマーギルドの本部であり王都内にあるため、コマプレースなどのように開放的で広い敷地があるわけではない。それでも大型の従魔がいても十分に動けるくらいの広さがあった。
職員が重たい鉄格子をガラガラと開けて、ウニリィたちはその中へ。スライムも入り口で引っかかることなく、のそのそと入っていく。
その一角にある応接用スペースにリスコゥは腰を下ろし、ウニリィたちにも座るよう促した。
「望めば叶えられるというのは……?」
ウニリィは尋ねる。
「そのスライムたちを使って真面目に数年間ギルドの仕事をすれば金級になれるということです」
「ああ……それは」
「でもそれはしないでしょう?」
ギルド長の確認するような言葉にウニリィは頷いた。
「勿体無い」
「仕事しましょうよー」
オットーとノハナーはそう言ったが、ギルドの仕事をするためではないのだ。
テイマーギルドに在籍する人間には、大きく分けて2種類のタイプがいる。1つは従魔を使ってギルドの仕事をこなすタイプ。オットーやマサクィがそうだ。もう1つは自分の仕事のために従魔を使い、その許可のために登録だけしているタイプであり、クレーザーやウニリィはそちらである。
実はウニリィのような者は結構多く、普通は問題ないのだが、滅多にギルドに来ないために時折大きなトラブルを起こすことがあるのだった。
だがそれであれば疑問が発生する。
「僕としては従魔の進化登録はもっと早めにきて欲しいところではありますが、まあそれは良いとしましょう。カカオ嬢はギルドランクを上げたいと先ほど仰った」
「はい」
「何か理由がありますか?」
彼女の父がスライム職人であるのをリスコゥは知っている。そしてその仕事を続けていくだけであればギルドランクを上げる必要性がないことも。
「えっとですね……」
ウニリィは小さな鞄から手紙を取り出して差し出した。
「これは?」
「テイマーのマサクィさんからいただいた推薦状です」
オットーが「へぇ」と声を上げた。リスコゥがちらりと視線をやる。
「コマプレース支部にいる若手の面白いやつだよ。今は銅級のはずだけどそろそろランク上げてくるんじゃないかな」
「はい。そのマサクィさんから、話する前に読ませた方がいいと」
銀級のオットーが認めるほどに将来有望なテイマーが、ウニリィのテイムについて能力を見出したということだろうとリスコゥは判断した。
「なるほど、拝見します」
リスコゥはウニリィから手紙を受け取る。テイマーギルド王都本部御中、銅級テイマーマサクィよりと書かれているのを確認し封を破る。
『推薦状』
そう書かれた手紙を開いた。
『拝啓っス』
面白いやつってそういう意味ではあるまい。リスコゥは思う。
『そちらに現在、自分がお世話になっている、カカオ家のウニリィさんがいると思うっス』
その『っス』は文面でも必要なのか。
『でっかいスライムを連れていて驚かれたと思うんすが、それエレメントスライム将軍っす。やばいっスよね。自分の想像だと多分、すでにトラブルを起こして玄関か受付を破壊している気がするンスが』
リスコゥは思わず顔を上げた。
「おい、見て書いたんじゃないだろうな?」
「……?」
ウニリィもノハナーも首を傾げた。時間的にそんなはずはない。リスコゥは手紙に視線を戻す。
『まあそうじゃないならいいんすが、もしそうなら代わって謝っておきます。明言しますが、ウニリィさんにも、その従魔のスライムにも悪気はないんすよ。全く』
まあそうだなとリスコゥは思う。扉に詰まったのは事故で、ノハナーの魔術を攻撃と思い反撃しただけと言えないことはない。
『ただ、ウニリィさんちょっと天然入ってるのと、スライムのパワーが強すぎるだけなんすよ』
リスコゥはウニリィに視線を送る。
「な、なんでしょう?」
「いや、なんでもない」
『ギルドランク上げを求めていますが、スライムの能力、ウニリィさんのテイムの能力としては限定金級だっていけるはずっス』
限定級とはテイムできる従魔が一種類に限られている場合などに発行されるランクである。つまり仕事上スライムに特化していて、他の種類の従魔とへのテイム能力が未知数であるが、それに関しては最上位であると彼は見ているわけだ。まあ、納得がいく。
『んで、彼女のスライムがランク上げを求めてるのは、従魔転移石が欲しいからっス』
「んんんん……!?」
リスコゥは唸った。
ξ˚⊿˚)ξ明日19日、月曜日は!
コミカライズ版スライム職人第3話の更新ですわ!!
多分昼の12時更新だと思いますのでー、
皆様是非ご高覧ください!
あと読んだらブクマといいねもよろしくお願いしますね。
♡を連打するのですよ!!!!!!!







